映画『犬鳴村』の概要:臨床心理士として働く奏は、幼い頃から不思議なモノが見えていた。一方兄の悠真は父の期待に背き、悪い仲間とつるんでふらふらと生活していた。そんな折、悠真は恋人の明菜と最凶心霊スポット「犬鳴トンネル」を訪れた。
映画『犬鳴村』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:ホラー
監督:清水崇
キャスト:三吉彩花、坂東龍汰、古川毅、宮野陽名 etc
映画『犬鳴村』の登場人物(キャスト)
- 森田奏(三吉彩花)
- 臨床心理士として病院に勤務している森田家の長女。幼い頃から幽霊が見えており、綾乃と祖母・ヤエも同じ体質である。兄と弟の失踪を受け、犬鳴村へ足を踏み入れる。
- 森田悠真(坂東龍汰)
- 奏の兄。晃の期待にことごとく背き、チンピラ紛いのなり振りをしている。一緒に犬鳴村を訪れた恋人・明菜が自殺してしまい、真相を探るべく再び村へ向かおうとしたが失踪する。
- 西田明菜(大谷凛香)
- 悠真の恋人。深夜に訪れた犬鳴村で何かを見てしまい発狂、後に飛び降り自殺をする。悠真の子供を身籠っていた。
- 森田晃(高嶋政伸)
- 悠真や奏の父。綾乃の家柄を見下しており、悠真の愚行を「お前の血筋だな」と吐き捨てる。妻と同じように奏にも何かが見えていると察し、気味悪がっている。
- 森田綾乃(高島礼子)
- 悠真や奏の母。息子達の失踪を受け錯乱し、犬のような挙動を繰り返すようになってしまう。
映画『犬鳴村』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『犬鳴村』のあらすじ【起】
森田悠真は、恋人の明菜に連れられて深夜の心霊スポットを訪れていた。怖がる悠真とは対照的に、ハイテンションの明菜は午前2時に電話が鳴ると噂の公衆電話を撮影。2時になると噂通り公衆電話の受信音が鳴り響き、明菜は受話器を取って「今からそちらに向かいます」と言い、二人は動画を回したまま犬鳴トンネルへ向かった。
トンネルを抜けた先で「コノ先日本国憲法通用セズ」と書かれた看板を見つけた二人は、ここが伝説の“犬鳴村”であると確信した。興奮気味で村内を進む明菜は用を足すため廃墟内へ入り、その間に悠真は一人で周囲を散策した。しばらくして、用を足し終えた明菜が悲鳴を上げた。悠真は明菜を助けたが、彼女は廃墟の中で恐ろしい幻覚を見ており錯乱していた。
森田奏は、治療を担当している遼太郎から、彼が悩まされていると言う「怖い夢」の内容を聞き出そうとしていた。しかし、遼太郎は本当のママが怒るから言えないと言う。奏は、彼の背後に佇む女性に気付き言葉を失った。
奏が自宅へ戻ると、うつむく悠真は「明菜がおかしい」と奏に話した。今朝方犬鳴トンネルから戻って来たという彼の話を聞いた末弟の康太は、自由研究で犬鳴村について調べようとしていたため興奮した。そこへ父・晃が「そんなものはない」と口を挟み、康太は部屋へ引っ込んだ。
映画『犬鳴村』のあらすじ【承】
悠真の部屋にいた明菜は、奇妙なわらべ歌を歌いながら一心不乱に絵を描いていた。彼女は奏へ、子供のように拙い口調で「明菜見たんだよね、犬」と言うと庭へ行ってしまった。一方の康太は、秘かに悠真のビデオカメラからSDカードを引き抜いた。そこに明菜の歌声が聞こえたので庭へ目をやると、彼女は尿を垂れ流しながらどこかへ行ってしまった。それを聞いた悠真は慌てて明菜を追ったが、彼女は鉄塔から飛び降り悠真の目の前で死んだ。
明菜の葬式にて、検死を行った山野辺医師は、彼女の死因が溺死だったと晃へ告げた。さらに「昔は何度も同じ死に方を見てきた。あんたの親父も先代も」と呟いた。そこへ奏が来たため山野辺は席を立ち、去り際に奏の耳元で「この犬殺しが」と囁いて去った。
自室に残った明菜の遺品を整理していた悠真は、彼女の鞄から母子手帳を見つけ涙を流した。
明菜の死を受け入れられない悠真は、仲間達を集め再び犬鳴トンネルを訪れた。明菜と訪れた時とは違い、トンネルには何者かによって強固なバリケードが組まれていたが、悠真は仲間が止めるのも聞かずに一人でトンネル内へ侵入した。悠真に隠れてついて来ていた康太も後を追ってトンネルへ入り、二人は行方不明になってしまった。
出勤した奏は、遼太郎の父親から、彼が養子であることを聞かされていた。遼太郎の産みの母は身寄りがない女性で、出産と同時に亡くなってしまったのだという。同時期に妻・ユウコが死産で子供を産んだため、妻には内緒で遼太郎を養子に迎えたと明かした父親は「妻には内密に」と念を押した。
映画『犬鳴村』のあらすじ【転】
警察と共に兄弟の捜索に来た母・綾乃は錯乱し、犬のような唸り声を発して側にいた晃を引っ掻いた。一方の奏は、危篤状態で病院へ運ばれた山野辺が「自宅の風呂で溺れていた」と聞かされた。翌朝、山野辺は息を引き取った。
悠真の仲間の一人リュウセイは、犬鳴トンネル付くの電話ボックス脇で原付が壊れてしまったため他の仲間に連絡をした。連絡を受けて電話ボックスへやって来た二人の仲間は、公衆電話が鳴ったため受話器を取った。すると、ボックス内に水が溢れ返り二人は溺れ死んでしまった。水が引いた後、ボックスの中にはリュウセイを含む三人の死体が入っていた。
奏は、父なら兄と弟の失踪、発狂して人が変わってしまった母、山野辺の死の真相を知っていると感じ詰め寄ったが、彼が口を開かなかったため母方の祖父の家へ向かった。祖父は、家の前に捨てられており共に育った祖母・ヤエには、昔から不思議な力があったと振り返った。彼の話を聞いている最中、奏が敷地内の墓へ目をやると、墓地の端に青年が佇んでいるのが見えた。
奏は、沈んでしまったという犬鳴村を見にダムへ向かった。そこに祖父の家で見た青年が現れ、彼は8㎜フィルムを観せてくれた。そこには在りし日の犬鳴村の生活が映っていた。誰からも干渉されず生計を立てていた村民らだったが、ある時電力会社の人間が村へ押し入り、ダム建設の計画を強引に進めた。当時の電力会社の人間こそ、晃の父や祖父だったのだ。衝撃を受けた奏は青年の前から逃げ出した。
映画『犬鳴村』の結末・ラスト(ネタバレ)
自宅へ戻った奏は、康太の部屋でSDカードを見つけ再生した。明菜の動画を観て深夜2時の公衆電話から犬鳴村と繋がることができると確信した彼女は、電話ボックスを経由し犬鳴村へと向かった。
村では青年が彼女を待ち構えており、奏は彼の案内で牢屋に閉じ込められていた悠真と康太を助け出した。すると、青年は牢屋の奥に奏を連れて行き、出産を終えたばかりの女性と赤ん坊を彼女に見せた。女性の名は摩耶といい、青年の恋人であった。青年は赤ん坊を求める摩耶を諫めると、「俺達の子を頼む、村の血を絶やさないでくれ」と奏へ子供を託した。
トンネルまで戻って来た奏、悠真、康太だったが、骨格が犬のように変貌した摩耶と大勢の村人の亡霊に阻まれてしまった。追いついた青年と悠真は二人がかりで摩耶を抑え、奏と康太はトンネルを抜けると、祖父の家の玄関先に倒れ込んだ。赤ん坊だけは、幼少時代の祖父の家に置かれていた。
後日、犬鳴ダムから悠真の水死体が見つかった。彼の両足には、青年と摩耶の腐乱死体もくっついていた。奏は、そんな曽祖父と曾祖母の骨をヤエの墓に入れた。埋葬後、ようやく両親と一緒になったヤエは墓の端で微笑んでいた。
遼太郎の症状は快復し退院の時を迎えていた。別れ際、彼は奏に「お友達によろしくって、ママが」と耳打ちし、背後に佇む女性に肩を抱かれながら病院を後にした。それを見送った奏は、犬のような仕草で口元を拭った。
映画『犬鳴村』の感想・評価・レビュー
都市伝説としての旧犬鳴トンネル、犬鳴村、犬鳴ダム、犬鳴峠の与太話がどのような物語に昇華しているか非常に楽しみだったため、多少の期待外れ感は否めなかった。
まずもって村人達の亡霊の描写が滑稽だった。コメディ映画かと思うような描かれ方である。恐怖と笑いは紙一重と言うが、これは完全に笑いの方に振り切れてしまっていたのではないだろうか。病室で死を待つ山野辺医師が、急に奏の腕をつかんだ時の効果音が一番びっくりした。(MIHOシネマ編集部)
映画が公開される際に、実在した村が舞台になっていると知り怖くて見られなかったのですが、とても気になっていた作品で、今回レンタルしていつでもやめられる状態で緊張しながら鑑賞しました。
正直な感想は、想像とは全く違うストーリーでした。ホラーと言うよりも村で生活していた人たちの無念や憎しみが描かれていて、村の消失に関わっていたのが主人公の父親の父や祖父であったという繋がりにも驚きました。
それにしても犬のようになってしまうという描き方は、怖いと言うよりも気味が悪かったです。(女性 30代)
過去に実在した犬鳴村という場所とヒロインの隠された出生の秘密が描かれたホラー映画。
話題になっていたこともあり鑑賞した作品。所々のシーンにはどきっとさせられたが、それよりも村の成り立ちと滅びた理由や、その恨みや無念の深さにぐっときた。序盤のカップルが村に迷い込んだシーンが一番ハラハラしたように思う。後半は人情的な面が強く押し出されるのでホラーはそっちのけ。トンネルからの逃走劇は何とも言えない。終盤の血族の秘密は少しだけぐっときた。あとは、ビックリシーンでどきっとしたくらい。期待して観たわけではないので、そこそこ面白いと感じた。(女性 40代)
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