映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』の概要:ファンクの帝王ジェームス・ブラウンの波乱万丈の人生を描いた伝記映画。チャドウィック・ボーズマンがまるで生き写しのようにJB役を演じ、圧巻のパフォーマンスを披露している。
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』の作品情報
上映時間:139分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
監督:テイト・テイラー
キャスト:チャドウィック・ボーズマン、ネルサン・エリス、ダン・エイクロイド、ヴィオラ・デイヴィス etc
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』の登場人物(キャスト)
- ジェームス・ブラウン(チャドウィック・ボーズマン)
- ファンクの帝王。JB。極貧家庭に生まれて幼い頃に両親に捨てられ、10代に窃盗で少年院に入る。ゴスペルグループで活動中にレコード会社にスカウトされて才能を開花。JB流ファンキー・ソウルの扉を切り開いていく。
- ボビー・バード(ネルサン・エリス)
- ゴスペルグループの活動に少年院でJBと出会い、彼の保釈に協力する。フェイマス・フレイムス時代から長きにわたり、彼のバックコーラスとして活動を共にする。
- ベン・バート(ダン・エイクロイド)
- デビューしたJBが信頼を寄せる白人マネージャー。JBの愚痴やわがままも何でも聞いてくれる存在。
- スージー・ブラウン(ヴィオラ・デイヴィス)
- JBの母。暴力的な夫との貧しい生活に耐えられなくなり、JBを置いて家出をして、娼婦となる。数十年後、アポロ劇場でコンサート中のJBの楽屋を訪れる。
- ハニーおばさん(オクタヴィア・スペンサー)
- 売春酒場を経営するJBの叔母。両親に捨てられた幼いJBを預かる。JBをリトル・ジュニアと名付けて可愛がり、いつか世界を魅了する存在になると予感する。
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』のあらすじ【起】
1988年、50歳を過ぎたジェームス・ブラウン(以下、JB)は、猟銃を持って自分の事務所に乱入し発砲事件を起こした。
1968年、全盛期。JBはフェイマス・フレイムスを率いてベトナムの米軍駐屯地へ慰問に訪れた。砲弾が飛び交う中に輸送機で着陸し、黒人が全体の8割を占める兵士たちの前でショーを披露する。
1939年、少年時代。JBは森の山小屋で極貧生活を送っていた。母親は家出をし、父親は軍に入ることになったため、彼は売春酒場を営むハニーおばさんに預けられる。リトル・ジュニアとあだ名を付けられ、ビッグ・ジュニアという少年と一緒に客引きの仕事で小遣いを稼いだ。彼の楽しみは時々教会に通ってゴスペルを聞くことだった。
1964年、JB&フェイマス・フレイムスという名で活動するJBは、音楽番組でローリング・ストーンズの前で歌うことになった。トリではないことをマネージャーのベンに不満を漏らしつつも歌い切り、観客を魅了する。その後もJBは白人の音楽番組で白人向けに歌い踊りながら、いつか黒人の音楽番組を作る夢を思い描いた。
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』のあらすじ【承】
1949年、17歳のJBはスーツを盗んだ罪で少年院に入所した。慰問に来たゴスペルグループの歌を聴きながら、彼は大声で歌って乱闘騒ぎを起こす。ボーカルのボビー・バードはJBの才能を見抜き、父親に保証人になることを頼んでJBを保釈させる。
ボビーの家に住むことになったJBは、生まれて初めて温かい家族の食事を味わった。JBはボビーの妹とすぐに関係を持つほどのプレイボーイだったが、ボビーは咎めたりしなかった。JBはボビーと一緒にフェイマス・フレイムスとして活動を始める。ダンスクラブに飛び入りで出演し、客を虜にするJB。リトル・リチャードと名乗る男から、売れると白人の姿をした悪魔が現れるのよと忠告され、レコードを10枚作るよう勧められる。
場面は少年時代に戻る。JBは白人のパーティの見世物でリングに立たされ、黒人の子供同士で殴り合いの対決をさせられていた。一度は倒されるJBだったが、黒人バンドの演奏を聞いて力がみなぎり、対戦相手の少年を打ち負かして勝利する。
場面はフェイマス・フレイムス時代に戻り、JBとボビーはレコード盤を作ったことでお金を使い果たし、クラブ巡業で生活していた。そこへ大手キング・レコードの営業が彼らのスカウトにやって来る。JBの初めてのレコーディングは「プリーズ」を繰り返すだけの曲で、「プリーズ・プリーズ・プリーズ」という名でリリースされた。
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』のあらすじ【転】
1955年、JBに白人マネージャーのベン・バードが付くことになり、フェイマス・フレイムスのメンバーは解雇される。ボビーはJBに雇われるという形で残ることになった。「JBとフェイマス・フレイムス」という名で活動を始めたJB。1962年、自腹をはたいてアポロ劇場を貸し切り、ライブアルバム「ライヴ・アット・ジ・アポロ」を制作。これが全国的な大成功を収めることになる。
アポロ劇場の初日、楽屋に母親が突然訪ねて来て、JBは複雑な思いに駆られる。少年時代、JBは売春婦として働く母を一度だけ見たことがあった。呼び掛けても返事をしてくれなかった母。家に帰って落ち込んでいると、ハニーおばさんは優しく慰めてくれた。
1965年、稼ぎ頭となったJBに、ベンは高級車をプレゼントした。JBはもっと金儲けをしたいと考えており、興行師を通さずに自分でチケット販売を仕切りたいとベンに言う。ルール破りではあったが大幅な増収となり、ライブツアーも盛況で全盛期を迎えた。自家用ジェットを購入するほど羽振りが良くなるJBだったが、一方で妻に暴力を振うようになり、バンドメンバーには気まぐれな指示を出して煙たがられるようになる。
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』の結末・ラスト(ネタバレ)
1968年、キング牧師が暗殺され世の中に不穏な空気が漂う中、JBはボストンでのショーを強行する。興奮した黒人ファンがステージに上がるなどして騒動寸前となるが、JBは「黒人の誇りを持て!」とファンを叱咤し、何事もなくステージを終えた。JBは黒人社会で最も影響力のある存在となる。その後、マネージャーのベンが発作で死亡すると、ギャラの未払いや脱税疑惑などが露呈し、ボビー以外のメンバーは脱退した。
JBは新メンバーと活動でキャリアのピークを迎える。1971年のパリ公演で「セックス・マシーン」「ソウル・パワー」などのヒット曲を歌い、圧巻のパフォーマンスを披露。大盛況のパリ公演が終わると、ボビーがソロで歌いたいと打ち明けた。JBはボビーを馬鹿にし、ついにボビーまで彼の元を離れてしまった。お前は昔からいつも孤独だったと言われたJBは、以前アポロ劇場を訪れた母に、金を渡して帰らせたことを思い出した。
1973年、息子のテディが交通事故で死ぬと、JBは薬物に溺れて生活は荒れて、人気も衰退していく。そして1988年、冒頭の発砲事件を起こして実刑判決を受ける。
1993年、服役を終えた60歳のJBは音楽活動を再開していた。彼はライブ直前にボビーの家を訪問してチケットを渡す。観客席でボビーを見つけたJBは、予定になかったバラードを彼に歌い捧げるのだった。
映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』の感想・評価・レビュー
2020年8月に大腸がんでこの世を去ったチャドウィック・ボーズマンの2014年の主演作。完全にJB本人になり切ったギラついた演技にすっかり魅了された。歌とダンスのパフォーマンスも圧巻で、まるで本物のショーを見ているかのようだった。
時間軸が行ったり来たりするので分かりにくい部分もあるが、スーパースターの孤独をよく表している。マネージャー役のダン・エイクロイドは実際にJBと親友だったようで、JBはダンの主演・脚本作『ブルース・ブラザース』(1980年)でファンクな神父役で出演しているので、併せて見ても面白そうだ。(MIHOシネマ編集部)
チャドウィック・ボーズマンが亡くなった今この作品を見ると、なんとも言えない儚さを感じました。ジェームス・ブラウンという名前は聞いたことがある程度で知っていましたが、この作品を見ると、彼の「ソウル」を感じることが出来て、何も知らなかったことを後悔しもっと早く出会いたかったなと思いました。
過酷な幼少期があったからこそ、彼に訪れた明るい道、そして男の友情など見る人を感動させる要素が沢山ありました。(女性 30代)
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