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映画『前田建設ファンタジー営業部』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『前田建設ファンタジー営業部』の概要:実存する組織、前田建設ファンタジー営業部の七転八倒を映画化。空想世界のマジンガーZの地下格納庫を実際に造ってみようという上司の命令により、奮闘する社員達の様子を面白おかしく描いている。

映画『前田建設ファンタジー営業部』の作品情報

前田建設ファンタジー営業部

製作年:2020年
上映時間:115分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、青春
監督:英勉
キャスト:高杉真宙、上地雄輔、岸井ゆきの、本多力 etc

映画『前田建設ファンタジー営業部』の登場人物(キャスト)

ドイ(高杉真宙)
総合企画部、広報グループに所属しファンタジー営業部のサイトを管理している。格納庫建設に最後まで乗り気ではなかったが、フワによってダムの素晴らしさを教えられ本気になる。
ベッショ(上地雄輔)
総合企画部、広報グループに所属。元土木設計課所属で、設計図などの製作を行う。土木設計課の課長からエールを送られたことにより本気を出す。
エモト(岸井ゆきの)
総合企画部、広報グループに所属する紅一点。とにかくやる気がなく、格納庫建設に関しても乗り気ではなかったが、ヤマダと掘削について興味を抱き本気を出す。ヤマダと恋仲になる。
チカダ(本多力)
総合企画部、広報グループに所属するアニメオタク。マジンガーZに関しても非常に詳しく、メンバーに格納庫について教授する。
ヤマダ(町田啓太)
土質担当の掘削オタク。掘削とドリルに関して語り出したら止まらない若者。格納庫建設について掘削を考案することで、エモトと恋仲になる。率先して協力してくれる。
フワ(六角精児)
土木課、機械グループ・担当部長。専門はダム建設でドイにダムで使われている技術を教授する。ダムが大好きで、常に試行錯誤を繰り返し考案している。格納庫建設に率先して関わってくれる。
アサガワ(小木博明)
前田建設工業、総合企画部、広報グループ長。社内でも変人で有名。非常に情熱的で奇抜な人物だが、空想世界の建造物を実際に造ることで意図せず技術向上に貢献している。

映画『前田建設ファンタジー営業部』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『前田建設ファンタジー営業部』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『前田建設ファンタジー営業部』のあらすじ【起】

2003年、前田建設工業の総合企画部、広報グループに所属するドイはある日突然、グループ長のアサガワからマジンガーZの地下格納庫を造ろうと言われる。アサガワは格納庫を作るための討論をウェブで展開し、実際に設計図も製作、現実的に建造を可能にするのだと夢を熱弁。題してファンタジー営業部として、マジンガーZの格納庫を造るのだと言った。
そうして、広報グループの面々は、ファンタジー営業部所属となり格納庫を造るためだけのプロジェクトを始動させることになった。

まず、第一段階として検討を試みる。ドイと同僚で先輩のベッショと紅一点のエモトがミーティングルームへ。ドイは早速、ホームページにファンタジー営業部の宣伝ページを作成。そこへ、アニメオタクのチカダが戻って来る。アサガワは社内でも変人だと有名な人物で、やる気はおかしな方向へ向かっており、アニメ制作会社もやるなら徹底的にやって欲しいと期待を込めているようだ。一同はアニメを観て格納庫の研究を始める。DVDはチカダの私物だった。チカダによってマジンガーZと格納庫についての説明が行われたが、現実的な意見ばかりが飛び交い格納庫どころではない。

翌日からメンバーは他課の面々から絡まれ始め、ドイもベッショも朝からくたくただった。その日のミーティングでは、東映アニメーションからの全面協力により、格納庫の設定画が提供される。格納庫は地下に作られているため、基本的な工程の流れとしてまず立坑掘削で穴を掘り、ゲートの開閉ギミックを製造。次にロボットを地上へと送り出すジャッキアップ装置を設置、そして格納庫内の設備と併設されている汚水処理場の建造。場所は富士山麓と想定し、最終的な積算を出す。

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映画『前田建設ファンタジー営業部』のあらすじ【承】

ファンタジー営業部の目的は、実際に建造するわけではなく、格納庫を現実的に建設できるという技術を証明することにある。ベッショは警備員から憧れの目を向けられ、自宅に帰ってからアニメを観ることにした。

アニメが回を進めると、格納庫の様相も変わってくる。初回では水が格納庫に流れてしまっていたが、中盤になると事前に水抜きが行われる仕様になっていた。そうなると、どの回を基本にしたら良いか迷ってしまう。そこへ、本気になったベッショが現れ、現実的な数字を出し始める。そして、彼は自ら設計図を書き上げ持参するのだった。

討論は日が暮れるまで続いたが、トイレへ入ったベッショの元に土木設計課の先輩がやって来て、格納庫の素材はマジンガーZと同じ超合金Zで出来ていると告げる。計算を間違えると積算で突っ込まれる可能性が高い。先輩も本気度を示した元部下に習い、彼へとエールを送ったのだった。

第2段階は掘削。アニメの設定では富士山麓の北か南に格納庫が建造されている。全書では南となっているが、実際に放送されたアニメでは北となっていた。やる気のないエモトにとってベッショとチカダの話は、すでに子守歌のように聞こえてしまっている。ベッショの熱意が伝わったのか、土木設計課はファンタジー営業部に全面的に協力を約束してくれていた。次は技術研究所に打診をするため、ドイとエモトが向かうことに。

土質担当のヤマダと合流し早速、富士山麓の土質について話を聞く。ところが、ヤマダの話は専門的過ぎて分かりづらい。とりあえず、掘削現場を見学させてもらった。ヤマダの話は実に現実的で、現場見学に出たエモトのテンションが上がる。彼女は真剣なヤマダに好意を抱いた。

ところが、ドイ以外のメンバーは掘削にあまり興味が湧かないようでエモトの話を聞きはするが、真剣に取り合わない。エモトはしょんぼりしてしまうが、残業していたヤマダと遭遇。ヤマダはとても真剣に格納庫の掘削について考えてくれている。彼は地味ではあるが、掘削のことが本当に大好きなのだ。そんな彼に惹かれていくエモト。

ここで、アサガワ一同はサイトのアクセス数をドイに尋ねる。しかし、アクセス数は始める前からあまり変動はなく、今のところ人気はない。その後、トイレへ入っていたドイの元に土木部、機械グループ・担当部長のフワが声をかける。格納庫建造についてとても興味津々の様子。

映画『前田建設ファンタジー営業部』のあらすじ【転】

ドイは格納庫の設計図をフワに見せた。すると、フワは建造費1000億円あれば、100%実現可能だと言う。そこからいかにコストダウンできるかが、社員の手腕だ。機械グループでは主にダムの建造を手掛けており、ゲート開閉ギミックにも活用できる。ダムの水圧だけを比較すれば、ギミックも案外容易にできそうなものだが、フワ曰く設計図には決定的なミスがあるらしい。設計図では開閉ゲートをV型にしているが、実際は300トンの水圧がゲートにかかるので、V型だと耐久性があまりに弱い。ゲートから水が漏れないようにするにはどうすればいいか。フワはドイにダム建造の本を手渡し、自分で考えるよう告げた。

いまいち、テンションが乗らないドイだったが、本を良く読み一晩かけてゲート部分について真剣に考えた。そして、フワにプレゼン。すると、フワは良く考えたと褒めてくれる。V型を変更しない場合、中心部分から水が漏れないようにするには、ゴム製のクッションを利用するのはどうかと考えたドイ。フワは他にも方法があることを教えたが、今度はゲート開閉時の摩擦について考えるように言われる。ドイはまたも数冊の本を渡され、必死に勉強。

ゲートはスライド式になっているため、摩擦熱で不具合が出やすい。そこで、ゲート収納部分にローラーを設置すれば、不具合も出にくい上にコストダウンに繋がる。加えて水圧軽減のための方策も考えてきた。すると、フワは休日にドイを連れて実際にダムへ。ゲート開閉に使われている技術を見学させてもらった。

フワの教授を受けたドイが開閉ゲートのギミックについて、メンバーにプレゼン。ゲートはアニメに習いスライド式に決定した。意気揚々とゲートについてプレゼンしていた最中、ベッショが慌てた様子でやって来る。なんと69話で脅威が迫った折、マジンガーを格納庫内の横に移動させるというシーンがあったのだ。

このままでは案を初めから作り直さなければならない。愕然とした一同だったが、そこでドイがジャッキ装置ごと台車のようなもので横に移動させたらいいのではないかと発案。結局は設計図の作り直しになってしまうが、最後まで乗り気ではなかったドイがメンバー全員に熱く語る。諦めずに考案し直すべきだと。そこで、アサガワが原案の再検討を上層部に相談すると言ってくれたため、メンバーは作り直しに取り掛かることにした。

第3段階目は横移動するジャッキアップ装置の考案である。これまで協力してくれた部署へ各々相談を持ち掛け再検討を頼んだが、ここにきて多くの問題が山積みとなってしまう。ジャッキアップの機動を上げるには巨大な装置が必要となり、設置すると今度は横移動に支障が発生するというパラドックスに陥ってしまった。

映画『前田建設ファンタジー営業部』の結末・ラスト(ネタバレ)

これまでにない行き詰まった感がファンタジー営業部内を漂う。フワが新たに吊り上げ式とマジックハンド式を考案してくれたが、いまいちピンとこない。諦念が皆を襲った。そこで、不意にアサガワが口を開く。もう他社の専門家に技術相談してはどうかと。あまりに突拍子もない意見ではあったが、恐らくフワもヤマダも他社からそういった相談がきたら、惜しげもなく協力するだろう。

ファンタジー営業部は他社へ電話やメール、手紙で相談しまくった。すると、奇特な会社が3社名乗り出てくれる。しかし、3社とも技術的には不可能だと告げた上で、現実にするために協力してくれると言う。3社はとにかく真剣にジャッキアップと横移動について考えてくれるのだった。

そうして、動作シミュレーションがとうとう出来上がる。あらゆる角度から考案し、全ての計算を取り入れて作成したシミュレーションでは、横移動も発進も問題なく時間ぴったりで起動させることができたのだった。

最後は積算である。ファンタジー営業部は格納庫建設計画書を作成し、見積書も漏れなく記した。リアルな金額の報告である。掘削一式、機械設備一式でトータル、総工事価格72億円で収まった。次は工事期間についてだが、掘削に約3年かかる。機械設備についてはおよそ6年かかるが、汚水処理場はダミーにして短期間で終わらせることになった。

積算中に疲れ切って居眠りしてしまったドイは、ミケーレ帝国が復活したという恐ろしい夢を見てしまう。はっとして起きた彼は安堵したが、社内放送にてサイトに不具合が生じアクセスしにくくなっていると流れる。すると、アサガワの携帯に連絡が入り、ファンタジー営業部のサイトアクセス数が爆発的に上昇していると言う。その人気はヤフーサーバーがダウンするほどだった。

上層部からの電話に対応しつつ、社内を移動していたアワガワは、人気のない廊下でガミラス帝国のデスラー総統と遭遇。彼はアサガワに造ってもらいたいものがあると告げる。アサガワはその言葉ににやりと笑うのであった。

映画『前田建設ファンタジー営業部』の感想・評価・レビュー

前田建設ファンタジー営業部による実話を映画化した作品。意味のないことに本気で取り組んだ社員達と彼らを支えた技術者たちの夢のあるストーリー。

マジンガーZの地下格納庫を実際に建造するには、どんな技術と素材が必要なのか。そんなことを真剣に考えたところで、実際に建造するわけではないのだが、何だかとても夢があって素晴らしい内容だった。行き詰まった時、他社へ助けを求め応えてくれた3社も本当に真剣に設計図や方法を考えてくれ、感動で涙が零れる。意味はないかもしれないが、真剣に取り組むことで新たなアイデアが生まれるなど技術向上にも繋がる。決して無駄ではないと思う。スピード感があって、わくわくが止まらないとても面白い作品。(MIHOシネマ編集部)

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