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映画『弥生、三月 君を愛した30年』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『弥生、三月 君を愛した30年』の概要:運命的に出会った男女の30年間を三月の日付を追いながら描いた作品。運命的な出会いを果たした太郎と弥生は学生時代に親友を病気で亡くし、互いに思いを告げることなく別々の人生を歩むことにする。時を経て想いが通じるまでを描いたラブストーリー。

映画『弥生、三月 君を愛した30年』の作品情報

弥生、三月 君を愛した30年

製作年:2019年
上映時間:109分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:遊川和彦
キャスト:波瑠、成田凌、杉咲花、岡田健史 etc

映画『弥生、三月 君を愛した30年』の登場人物(キャスト)

結城弥生(波瑠)
気丈ではきはきとしており、曲がったことが大嫌い。真っすぐな気質を持ち、自分の意見を貫き通す強さがある。教師になるのが夢。太郎に好意を抱いているが、胸の奥にひた隠している。
山田太郎(成田凌)
愛称はサンタ。天性の明るさを持ち運動神経が抜群。サッカーが得意で夢はワールドカップで活躍すること。弥生に好意を抱いているが、言い出せずにいる。
渡辺サクラ(杉咲花)
弥生の親友。事故に遭って輸血した際、HIVに感染してしまう。引っ込み思案だが、内に秘めた強さを持っている。優しい性格で弥生を励ますことができる存在。高校卒業を目前に病気が悪化し命を落とす。太郎のことが好き。
あゆむ(岡田健史)
太郎の息子。サッカー選手の父親を信奉していたが、自分を庇った父親が車に轢かれたことをきっかけに父親とは疎遠になる。弥生のお陰で父親と再会することができ、弥生のような教師になりたいと思い、教師になる。
白井卓磨(小澤征悦)
弥生の夫で歯科医師。穏やかで優しく子供達に人気がある。東北大震災の折、近所の子供を庇って命を落とす。
山田真理亜(黒木瞳)
太郎の母親。海の近くで食堂を営んでいる。一人息子をいつも心配しており、事ある毎に電話する。震災直後から炊き出しをするなど、気丈な女性。

映画『弥生、三月 君を愛した30年』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『弥生、三月 君を愛した30年』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『弥生、三月 君を愛した30年』のあらすじ【起】

1986年3月1日。バスに乗っていた山田太郎、愛称サンタは乗り遅れたバスを無理矢理止めて乗り込んで来た隣のクラスの女子、結城弥生と出会う。弥生は登校早々、クラスメイトへ黒板に誹謗中傷を書いたのは誰だと怒鳴った。

虐めの対象にされているのは、弥生の親友である渡辺サクラである。彼女は事故に遭った際、輸血したことで運悪くHIVに感染してしまい治療中の身だった。そこへ担任教師がやって来たが、黒板を目にして犯人を強く注意するでもなく流そうとした。弥生は教師がきちんとした対応しなかったことを指摘し、日常生活でサクラが安全であることをその身を持って証明するのだった。

衝撃的で運命的な出会いを果たしたサンタはその後、弥生とサクラと仲良しになる。
翌年の3月3日、病気の悪化で入院生活を送るサクラ。そこへ、サンタが病室へとやって来る。弥生とサンタは打てば鳴る太鼓のように互いに言い合う間柄だ。サクラはそんな2人を傍で眺めているのが大好きだった。勢いに乗ったサクラはサンタにあっさりと告白する。

翌年の3月4日。サクラは卒業まで生きられず病気の悪化で命を落とした。卒業式にはサクラの両親が出席し、卒業証書を受け取る。かけがえのない親友を亡くした2人は、互いに惹かれ合いつつも別々の道を歩むことにした。その時、サンタは弥生に40歳までに独身だったら、嫁にもらってやると言うのだった。

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映画『弥生、三月 君を愛した30年』のあらすじ【承】

1995年3月6日。25歳になった弥生は、憧れのサリバン先生を目指すべく教師の試験を通過。その頃、サンタは付き合っていた女性の妊娠が発覚し、実は好きな女性がいるのだと告白していた。そんなところへ、近くに来たから会いたいと電話してしまった弥生。彼女は恋人と一緒なら遠慮すると言ってすぐに電話を切った。サンタは弥生に会うため、夜行バス乗り場まで走ったが、弥生とは会えずにバスを見送った。
そうして、サンタはできちゃった婚で一児の父親となる。産まれた息子はあゆむと名付けられた。

5年後の3月7日。サンタはサッカー選手の2軍としてクラブに所属していたが、30歳になってもレギュラーに入れずにいた。あゆむは父親がワールドカップに出場するのだと期待を寄せていたが、そんな時にクラブから契約を切られてしまう。ショックを受けたサンタは、公園で息子とボールを蹴って遊んでいたが、間違って別の方向へボールを蹴ってしまう。そのせいで、あゆむがトラックに轢かれそうになり、庇ったサンタが轢かれてしまうのだった。サンタは足に酷い怪我を負ってサッカーができなくなり、妻とも離婚する羽目に。

翌年の3月8日、サンタはサクラの墓参りに来て近況報告をしたが、そこへ弥生が男性を伴って現れる。サンタは咄嗟に身を隠し2人の様子を窺った。弥生は一緒に訪れた歯医者の白井卓磨と結婚するとサクラに報告したのだった。

サンタの結婚式から15年後の3月10日、弥生がサンタの母親山田真理亜の元を訪れる。すると、サンタは現在、仙台におり無職だと言われる。弥生はサンタへと会いに行ったが、サンタは落ちぶれた生活を送り卑屈なことばかりを垂れ流す。そこで、弥生は半ば無理矢理彼を連れ出し、中学生になったあゆむと強制的にボールの蹴り合いをさせた。何度パスをしても返してくれない息子にサンタは泣きながら謝った。すると、あゆむは無言ながらボールを蹴り返してくれるのだった。

弥生のお陰で息子とも再び会う約束が取れた。サンタは別れ際、想いが募り弥生を抱き寄せてしまう。弥生もまた彼の想いを受け互いに体を重ねてしまうのだった。
日付が変わって3月11日早朝。弥生は逃げるようにサンタの元を去って行く。

映画『弥生、三月 君を愛した30年』のあらすじ【転】

その日の午後14時45分、弥生は授業の真っ最中だった。突如、地面が大きく揺れる。生徒たちには机の下に隠れるよう指示し、揺れが治まってから避難を促した。
東北大震災である。同じ頃、サンタもまた危険を察して自宅から避難。携帯は通じず、停電で電気も点かない。サンタは徒歩で実家へ向かったが、辺りは津波が襲い見る影もなかった。幸い、真理亜は無事だったが、弥生が生存しているかも分からない。

サンタは避難所を巡り、弥生を探して歩いた。すると、ある病院で弥生の父親と遭遇する。弥生の父親は多額の借金を抱え、大学生だった娘に銀行頭取の息子と結婚するよう迫っていた。家族は借金取りから逃れるべく夜逃げ寸前の状態だったが、弥生は家族のために21歳で結婚することに。披露宴に駆け付けたサンタは連れて逃げてやろうかと言ってくれたが、家族のために逃げるわけにはいかなった。チャペルへ入る直前、弥生はサクラとの約束を思い出し父親に反発して結婚式から逃走。その時、サンタも手伝ってくれたが、弥生は彼を置いて行ってしまうのだった。

2011年3月17日、地震の傷痕も生々しい中、サンタは弥生の所在を探し続けていた。携帯の電波もようやく通じ、真理亜から弥生が見つかったと連絡が入る。弥生は夫の棺の前で座り込んでいた。白井は近所の子供を守って命を落としたらしく、教師を辞めるとまで言い始める。彼女はサンタと会うと昔のことを思い出して辛くなると告げ、サンタを拒絶するのだった。

同年3月19日、弥生の夫卓磨の葬儀が行われる。その後、弥生は教師を辞め書店の店員になった。そんなある時、サンタからラインの誘いが来る。しかし、弥生は彼の求めに応じなかった。

2015年3月21日。サンタは子供サッカークラブでコーチの職に就いていた。彼は時折、弥生を思い出し連絡を取ろうとしたが、拒絶されるのを恐れ連絡するのを躊躇っていた。
2017年3月23日。書店の店員として働きつつ、入院中の父親の面倒を見る日々を送る弥生。父親は事ある毎に自分の言う通りにしていれば良かったのにと娘に恨み言を吐く。

翌年の3月24日、弥生の父親が人生を終えた。
翌日、弥生はサクラの墓入りへ。彼女はそこで、もう墓参りには来られないと呟く。その時、後からサンタがやって来たため、サクラは咄嗟に身を隠した。サンタはサクラに弥生を守って欲しいと祈る。桜が咲き始めた頃のこと。弥生はサンタに声をかけずにその場を去った。

映画『弥生、三月 君を愛した30年』の結末・ラスト(ネタバレ)

サンタの息子あゆむが教師になった。報告に訪れた息子から弥生の所在が分からないと言われる。そんな時、真理亜から客が来ていると連絡が入った。客はサクラの父親で、サクラが生前、録音していたカセットテープが見つかったが、東京にいるはずの弥生と連絡が取れないと言う。そこで、サンタは弥生を探すべくサクラのカセットテープを手に東京へと向かった。

2020年3月27日、サンタは弥生が住んでいたアパートの大家から引っ越し先のヒントを聞き出す。
翌日、弥生を探して方々を歩き回った彼は古本屋で偶然、弥生と遭遇。彼女はサンタを目にすると逃げ出してしまう。サンタは近くのショッピングモールまで追いかけたが、どうしても弥生を見つけられず肩を落とした。だが、その時サクラが好きだった曲が2人の足を止める。サンタはとうとう弥生を見つけ出し、サクラが残した録音テープを差し出した。サクラは2人が結婚する時にテープを流して欲しいと言っていたらしい。

カセットテープを受け取った弥生は酷く迷った末、サクラの録音テープを聞くことに。それは、2人の親友からのお祝いメッセージだった。サクラはサンタと弥生が思い合っていることを知っていて、いつか結婚すると思っていた様子。それは大震災から以降、自分を見失ってしまった弥生を芯から温めるようなメッセージだった。

同年3月29日、地元へ戻って来た弥生はバスに乗り込むサンタを発見し、バスを止めて乗り込んだ。彼女はそこでサクラのメッセージを聞くよう促したが、サンタはあゆむが起こした問題で頭が一杯だと言う。その足で2人はあゆむが務める学校へ。

教師となったあゆむが初めて受け持ったクラスで、不登校の生徒が発生したらしい。それが教師のせいだと責められているのだ。不登校になった生徒は福島からの転校生で、クラスメイトが放射能を理由にいじめていたらしい。あゆむはいじめを咎め、阻害するのはおかしいと断言。すると、生徒達はあゆむに教師を辞めろと言う。そこで、弥生は生徒たちを一喝。あゆむはきっと困った時に助けてくれる素晴らしい教師になると叫んだ。

3月30日、弥生とサンタは共にサクラの墓参りへ。2人は学生時代に戻ったように軽口を交わし、一緒にサクラが好きだった曲を唄い、手を繋いで帰路に就いた。
50年前の3月31日、新生児室に男女の赤ん坊が並べられている。片方の男の子は太郎と名付けられ、女の子は弥生と名付けられたのだった。

映画『弥生、三月 君を愛した30年』の感想・評価・レビュー

数々の大ヒットドラマの脚本を手掛けた脚本家・遊川和彦が、運命で結ばれた2人の30年を3月だけで描いた作品。

日付ごとに年数を経て2人の男女の30年が描かれるという、面白くも感動的な作品。天性な明るさを持つ太郎役を成田凌が演じているが、とても彼らしい演技ではまり役だったのではないかと思う。対して、強い信念を持つ弥生役は波瑠が演じており、こちらも役柄通りの演技ができていたと思う。とにかくすれ違っていく男女が何とも切ない。2人の中心には若くして亡くなった親友がおり、互いに思い合っていながらもタイミングが上手く合わないという絶妙さはさすがだと思う。30年後に発見される親友のメッセージに思わず涙する。(MIHOシネマ編集部)

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