映画『ブラッド・ジャスティス』の概要:悪徳警官により不当に息子を殺された判事。息子の無実と警官の罪を暴こうと奮闘するも、警察を擁護する市はまともに取り合ってはくれない。判事は同様の事件で息子を亡くした父親と共に復讐を遂げようと一歩を踏み出してしまう。
映画『ブラッド・ジャスティス』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:サスペンス
監督:ウェス・ミラー
キャスト:テイ・ディグス、ジョン・キューザック、ジョージ・ロペス、ルーク・ヘムズワース etc
映画『ブラッド・ジャスティス』の登場人物(キャスト)
- チャールズ・コールマン(テイ・ディグス)
- 10代の後半に妻との間に子を儲け、苦労して弁護士、警官を経て現在は判事を務めている。真面目で正義感に溢れた人物。息子のCJを悪徳警官に射殺されたことで復讐を誓う。
- ホレス(ジョン・キューザック)
- チャールズの親友で元警察官。現在は警察の内部調査官をしている。事件に関わった警官が証拠偽装していることに気付きチャールズへ知らせる。
- ハビエル(ジョージ・ロペス)
- 整備工場に勤める男性。CJと同様に息子を白人警官に射殺されている。悪徳警官とフォンにより証拠偽装されたと気付き必死に抵抗したものの、権力に負ける。チャールズと共に復讐を誓う。
- フォン(ルーク・ヘイムワーズ)
- CJを射殺した白人警官。妻と幼い息子がおり、罪の呵責に悩む。気が弱く相棒を止めることができず、保身に走っている。
- CJ(ジョセフ・ベルク)
- チャールズの息子。警察学校へ入学初日、白人警官に止められ不当に射殺されてしまう。父親に似て明るく真面目で真っすぐな性格。
映画『ブラッド・ジャスティス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブラッド・ジャスティス』のあらすじ【起】
10代の後半で家庭を築くことになり、苦労しながらも真面目に勉強し警察官を経て現在は判事となったチャールズ・コールマン。救急隊員である妻との間に得た一人息子のCJも立派に成長し、元警察官である父に憧れを抱き警察学校へ入学。いよいよ登校初日を迎えた。
その日の朝、CJはチャールズと腕相撲の勝負に勝ち、父の車に乗って出発。ところが、交差点を曲がったところでパトカーに止められてしまう。乗っていた2人の白人警官に詰問されたCJは免許証を出そうとした次の瞬間、銃弾を何発も撃ち込まれてしまう。白人警官のフォンはCJの免許証と警察学校入学の書類を発見し、相棒と共に愕然とする。そうして2人は罪を隠蔽するため、現場を工作するのだった。
息子が不当に白人警官から射殺されてしまったチャールズと妻は酷く嘆き悲しんだ。白人からの差別に辛い思いをしながらも懸命に生き、息子も父の背を見つめて真っすぐに育った。何も悪いことなどしていない。それなのに、この仕打ちはあんまりである。
元警官で親友のホレスはチャールズに、記録ではCJが銃と覚せい剤を所持していたことになっていると言う。だが、警察学校へ向かうCJが銃や覚せい剤を持っているはずがない。チャールズは息子の無実を信じることにした。
映画『ブラッド・ジャスティス』のあらすじ【承】
一方、フォンは自分が犯してしまった罪の呵責に悩み、相棒に真実を明かそうと詰め寄っていた。CJは銃も薬も所持しておらず、免許証を提示するために財布を取り出そうとしていただけだ。それを誤認した相棒が早まって銃を持っていると叫んだために起こった悲劇である。しかし、相棒は自分が証拠偽装をしたのだから助かったのだと宣うのだった。
事件の捜査が終了したため、処分について市長の元を訪れたチャールズ。私的な話をしたいと言ったにも関わらず、市長は司法長官と警察署長を呼び公的な会議としての場を設ける。そこで、予想した通りCJを殺害した警官2名は懲戒も訴追もされないと知らされた。決定的な証拠も目撃者もいないため、警官の聴取だけが真実だと言われてしまう。
その結果にチャールズの妻は夫をなじり憤慨。思い悩んだチャールズはホレスに相談し、捜査書類の確認をしてもらうよう密かに頼んだ。警官で現在は内部調査官であるホレスなら容易くできることだった。ホレスは電話を受けたその足で警察署へ向かい、捜査書類の画像をチャールズに送る。そこには、以前にも同じ白人警官による似たような事件がいくつもあったことが分かった。
チャールズはCJを射殺した警官による被害者や遺族を訪ね、彼らからそれぞれの事件について聞いて回る。中でも息子を同様に殺害されたハビエルは、CJの事件でも警察へ抗議してくれていた。
映画『ブラッド・ジャスティス』のあらすじ【転】
調査を重ねつつ妻との関係を修復し、共に支え合おうと誓ったチャールズ。ところが、CJの事件がニュースの一覧に掲載される。そのせいで、元からCJが不良で犯罪者だったと印象付けられてしまう。妻は再び嘆き悲しみ、夫を酷くなじった。
チャールズは市長の元を再び訪れ、CJが所持していたと思われる銃が他の事件でも使用されていたことを明かす。そのどちらにも、当事者である白人警官が関わっていた。それは、証拠偽装を示すのではないかと告げる。しかし、市長はまともに取り合ってくれず、更に市が提示した慰謝料も受け取らなかったと逆にチャールズを責め立てた。
行き詰まったチャールズはハビエルの元を訪れ、憤りを吐露。ハビエルの息子もCJも街ぐるみで殺されたのだと訴える。更にチャールズは車載カメラの映像を密かに入手し、ハビエルに見せた。ハビエルの息子が警官に追われ射殺された決定的瞬間が録画されていた。このことで2人の白人警官に復讐することを誓ったチャールズとハビエル。
映画『ブラッド・ジャスティス』の結末・ラスト(ネタバレ)
秘密裏に準備を行い、まずはフォンの相棒である悪徳警官の元へ。しかし、住宅へ侵入し大乱闘の末、結局反撃されてしまう。そこで、チャールズは隙を突いて奴の銃殺を成功させた。
ハビエルとチャールズは警察が駆け付ける前に逃走。
通報により、警官が殺された現場へとやって来たホレス。彼はそこでCJの身分証を発見し、チャールズの仕業であることを察してしまう。彼は早々にフォンの身柄を確保し、チャールズの所在を妻に訪ねた。すると、妻は復讐してくれたと夫を称える始末。
無我夢中で逃走していたチャールズとホレスは、治安が悪く危険地域と言われる場所へ入ってしまい通りかかった私服警官4名に追われる。どうにか、逃げ出した2人だったが、逃走中に護送されるフォンを発見し、今度はそちらを追うことにした。カーチェイスを展開した後、フォンを捕まえることに成功。フォンは真摯に2人の父親へと謝罪したが、激情に駆られたチャールズは彼を銃殺してしまう。その場に駆け付けたホレスはチャールズを止めようとしたが、止められず警官の発砲により2人の父親は銃殺されてしまうのだった。
映画『ブラッド・ジャスティス』の感想・評価・レビュー
無実の黒人が白人警官たちの手で執拗に尋問され、時に不当な暴力を振るわれ命を落とす事件がアメリカで続発し、ブラック・ライヴズ・マターの抗議運動が世界的な広がりを見せる中で生まれた作品。
ストーリー的に街ぐるみで警察を擁護され追い詰められていく内容だが、方法は他にもあったのではないかと思う。作中では犯行の決定的な証拠があることも描かれるが、その動画を利用しても良かったと思うし、世論を味方につける方法もあった。思い詰められた結果だと言われればそうかもしれないが、短絡的な気がする。判事になるほど賢いならもっと頭を働かせても良かった。結果はどうあれ、警察の悪事を描くことが主目的なような気もしたので、これはこれで良かったのかもしれない。(MIHOシネマ編集部)
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