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映画『ポップスター』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ポップスター』の概要:銃乱射事件から唯一生還したセレステには歌の才能があった。彼女は姉と作った曲を追悼式で披露し、瞬く間にトップアーティストの仲間入りを果たす。鮮烈なデビューから18年が経ち、セレステは酒とドラッグに溺れスキャンダルで世間を賑わす存在になっていた。

映画『ポップスター』の作品情報

ポップスター

製作年:2018年
上映時間:115分
ジャンル:音楽
監督:ブラディ・コーベット
キャスト:ナタリー・ポートマン、ジュード・ロウ、ステイシー・マーティン、ジェニファー・イーリー etc

映画『ポップスター』の登場人物(キャスト)

セレステ(ナタリー・ポートマン)
1986年アメリカ生まれのポップスター。13歳を迎え8年生になった時、担任のドワイヤ先生のクラスで同級生による銃乱射事件が起こる。クラスメイトは皆犠牲になり、自身も脊髄を損傷したが一命は取り留めた。事件以降、毎晩「約束に遅れていて出口の無いトンネルを猛スピードで走り、途中で自分が倒れているが助けられない」という悪夢を見るようになる。姉と仲違いしてからはビジネスに貪欲になった。31歳になり、酒とクスリとスキャンダルで落ちぶれた彼女は、再起をかけたツアーを企画する。
マネージャー(ジュード・ロウ)
セレステとエリーのマネージャー。追悼礼拝の中継を見て姉妹に目を付け、歌手として契約を結ぶ。アーティストとしての二人を事務的にマネジメントするだけでなく、外国でのアルバム制作で羽目を外す幼い姉妹へ「ご両親は俺を信頼してるんだぞ」と説教する一面も持つ。世界を飛び回る内、エリーと肉体関係を持つ。セレステが31歳になった今もマネージャーを務めている。
エリー / エレノア(ステイシー・マーティン)
セレステの姉。銃乱射事件の日は学校を病欠していた。病院のベッドで塞ぎ込むセレステを心配し、追悼礼拝のスピーチが浮かばない彼女に寄り添い曲を作った。楽曲制作やツアーで忙しいセレステに代わり、アルビーを育てあげた。
アルビー / アルベルティーネ(ラフィー・キャシディー)
セレステの娘。小さい頃からほとんどの時間をエリーと共に過ごしているため、常時酔ったような態度でエリーを毛嫌いするセレステとは良い関係が築けていない。

映画『ポップスター』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ポップスター』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ポップスター』のあらすじ【起】

1999年。冬休みが終わり最初の授業へ遅れてやって来たエリックは、自らをカレンと名乗るなり突如担任のドワイヤを撃った。彼は銃を乱射し、教室にいた同級生も次々に撃っていった。駆け付けた警察によって病院へ運ばれたセレステは、撃たれた同級生の中で一人だけ一命を取り留めた。

第1幕。創世記2000年―2001年。脊髄を損傷したセレステは、懸命にリハビリを受けていた。彼女の見舞いに来た父親は、カレンはクリスマスの3週間前に祖父母を撃ち殺し遺体と暮らしていたことや、事件について新聞記者から連絡があったことなどを告げ、エリーは病室へキーボードを持ち込んでセレステと共に曲を作った。

追悼礼拝の日、牧師はカレンの自宅が放火されたことを参列者へ伝えた。彼は涙しながら「犠牲者と犯人へ祈りましょう」と訴え、セレステを壇上へと迎えた。彼女はスピーチを考えたが言葉が見つからず、エリーが作った曲に自分の歌詞を乗せ、その一曲を被害者と遺族へ贈った。彼女の歌は取材に来ていた記者やテレビクルーによって全米各地へ届けられ、中継で二人の姿を見たレコード会社のマネージャーはすぐさまマネジメント契約を結んだ。セレステの歌う追悼の曲は後に編曲がなされ、大ヒットを飛ばすこととなった。

思わぬところでアーティストの仲間入りを果たしたセレステとエリーは、新曲のレコーディングを行った。

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映画『ポップスター』のあらすじ【承】

後遺症と戦いながらダンスレッスンに励むセレステは、マネージャーから、新曲「アイラヴ」と「ホログラム」が全米チャート100位内に入ったと知らされた。彼は休暇の後ストックホルムで新しいアルバムを作ると言い、売れることへ期待していなかったセレステに対し、エリーは「成功するって言ったでしょ」と得意げだった。

必ずヒット曲を作ると評判高いスウェーデン人プロデューサーは、姉妹に惹かれていった。5週間で中毒性のある新曲ができたが、これは後に酷評されることになる。そんなことを予想もしない二人は、異国での生活を大いに楽しんだ。エリーは週末になるとセレステをクラブへ連れ出し、大人の世界を共有した。

帰国した姉妹は、すぐにLAでのMV撮影を開始した。その合間、マネージャーに伴われライブハウスを訪れたセレステは一人のバンドマンを紹介され、彼女は滞在しているホテルへ彼を連れ込んだ。バンドマンの彼とベッドに横たわるセレステは、彼の作る曲を「撃った子が聴いてた曲に似てる」と言った。セレステは「自分にとって意味を持つ人に出会うと過去を振り返ってしまうの」と呟き、男はセレステにとって大切な人になれて嬉しいと微笑んだ。その翌日、エリーの部屋を訪れたセレステは、ベッドでエリーとマネージャーが裸で眠っている場面を見て取り乱した。それ以降、姉妹の仲は険悪になっていった。

映画『ポップスター』のあらすじ【転】

第2幕。復活2017年。クロアチアのブラチ島で、覆面の男達がビーチにいる人々へ無差別に発砲するテロ事件が起こった。31歳になり既に頂点へ登り詰めていたセレステは、ツアー初日の準備中にマネージャーからこのテロ事件について報告を受けた。「ここは地球の裏側よ、ライブやっちゃダメなの?」と言う彼女だったが、テロの実行犯は全員「ホログラム」のPVに出てくるようなマスクを着用していたという。

マネージャーはセレステによる緊急会見を決めた。声明文を担当するジョジーは、記事によると“犯人はセレステのイメージを西洋社会のモラル崩壊に重ねた”と書かれていることを伝え、心を込めて追悼の言葉を話してとセレステへ念押しした。

セレステは周囲の制止も聞かず、アルビーとランチへ出掛けた。母とレストランに入ったアルビーは、日頃からエリーを避けるセレステに「おじいちゃん家でエリーが歌って踊るビデオを見た。彼女の夢を叶えたのに何が不満なの」と疑問をぶつけた。セレステは「エリーは私の幸福を妬むことにしたの、エリーが選んだ道よ」と答えたが、クスリが残った状態で酒に酔っている彼女は次第に声を荒げ、あわや警察沙汰になるところだった。

セレステは2011年の米国南部ツアー中、家庭用アルコール洗剤を飲み左目の視力を失っていた。その後彼女は人身事故を起こし、世間から大バッシングを受けた。そして、アルビーが処女を失ったのは6枚目のアルバム「ヴォックス・ラックス」のツアー直前だった。彼女は母を絶望させるため早くそのことを話したかった。アルビーの計画では、娘の処女喪失を聞いたセレステは母性本能を取り戻し、自分の相談相手になるはずだった。

映画『ポップスター』の結末・ラスト(ネタバレ)

アルビーから処女を失ったと打ち明けられたセレステは気が動転し、彼女に妊娠検査薬を渡すとエリーの元へ怒鳴り込んだ。彼女は男の存在に気付かなかったエリーへ「あなたバカだわ」と怒鳴り散らし、エリーは「今度自分を脅したら子育ても曲作りも私がしたって暴露する」と言い返した。

テロ事件を受け会見を開いたセレステは、マネージャーやジョジーの言う通り追悼のスピーチをした。記者からは、予想通りセレステ自身の襲撃事件に対する質問が飛び交った。トラウマが蘇るセレステだったが「わたしは犯人を恐れない」と言い切り、“私には30発の銃弾よりたくさんのヒット曲がある”と訴えた。

セレステがホテルの部屋に戻ると、アルビーはマネージャーとハグしていた。セレステは「娘に触らないで」と激昂し、アルビーをエリーの部屋へ行かせた。セレステは、マネージャーに「ファックしていいからやろうよ」とクスリをねだった。

クスリが残ったまま会場入りしたセレステは、支離滅裂な言動で喚き散らし泣き叫んだ。エリーはそんな彼女を抱き締め慰めた。

フィナーレXXI。セレステのライブコンセプトは「再生」と「これが新しい新約聖書」というメッセージであった。

銃乱射事件の後、セレステはエリーに奇妙な話を語っていた。セレステが生死の間を彷徨っていた時、色の溢れる場所で彼女は悪魔に助けられたと言う。悪魔はセレステにメロディーを吹き込み、新世紀の大確変を約束した。悪魔は「1にマネー、2にショー、3で準備、4で始めよう」と囁いたのだという。

マネージャーとエリー、アルビーは、笑顔でセレステのステージを見守った。

映画『ポップスター』の感想・評価・レビュー

トラウマを抱えながら若くしてトップアーティストの仲間入りを果たした少女が、次第に落ちぶれ起死回生のツアーに踏み切る新しい視点のサクセスストーリー。歌って踊る、ナタリー・ポートマンの新境地。楽曲提供は覆面アーティストのSia。セレステの半生を新約聖書に重ねる斬新な描き方が印象的だった。

人間には色んな顔がある。清純な少女は心に深い傷を負い、人々から同情され賞賛される裏で孤独と戦っている。一人の人間の様々な表情や葛藤を覗き見ているような気がした。

セレステとうまくいかないアルビーの気持ちが痛い程理解でき、心苦しかった。娘と母はうまくいかないと言うが、酒に溺れる母との関係は本当にどうしようもないものだ。(MIHOシネマ編集部)

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