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映画『虐待の証明』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『虐待の証明』の概要:幼少時に実の母親から虐待され捨てられたヒロイン。辛い記憶に耐えながら大人になった彼女の前に、虐待された少女が現れる。ヒロインは少女と自分を重ね合わせ、虐待から救うべく行動を開始する。

映画『虐待の証明』の作品情報

虐待の証明

製作年:2018年
上映時間:98分
ジャンル:サスペンス
監督:イ・ジウォン
キャスト:ハン・ジミン、キム・シア、イ・ヒジュン、クォン・ソヒョン etc

映画『虐待の証明』の登場人物(キャスト)

ペク・サンア(ハン・ジミン)
幼い頃、うつ病を患った母親に虐待され、捨てられた過去を持つ。仕事を掛け持ちし、必死に働いて金を貯めている。粗暴で強気だが、実は深い愛情の持ち主。ジウンを幼い頃の自分と重ね合わせ、助けようとする。
キム・ジウン(キム・シア)
イルゴンの9歳になる娘でサンアが住むアパートの近くに住んでいる。ミギョンとイルゴンに虐待されており、浴室に閉じ込められていた。優しい心を持ち、助けてくれたサンアをも心配する様子を見せる。
チャン・ソプ(イ・ヒジュン)
刑事課の刑事。かつて傷害罪でやむを得ずサンアを逮捕したことから、何かと気にかけ何度もプロポーズするなど、救いたいと考えている。ジウンが虐待されていることを知り、父親と恋人の罪を明らかにする。
チュ・ミギョン(クォン・ソヒョン)
イルゴンの恋人。飼い犬は可愛がるが、ジウンには暴力を振るう。エステに通い良い車を持っているが、自分勝手。
キム・イルゴン(ペク・スジャン)
ジウンの実の父親。自身も虐待されて育ち仕事もせず日がな一日、家でゲームをしてばかりいる。娘を痛めつけても死ななければいいと考えており、罪の意識はない。

映画『虐待の証明』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『虐待の証明』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『虐待の証明』のあらすじ【起】

韓国、ソウル。氷点下が3日も続き酷く寒い朝。近所とも一切付き合いのない独居老人が死後1年も経過してから発見された。死因は判然としないが、恐らく肺癌が要因だったと思われる。

寒い中、洗車場で働くペク・サンアの前に顔見知りの刑事チャン・ソプが現れる。刑事は仕事を掛け持ちして働き続けるサンアのことを何かと心配し、今朝方発見された独居老人が彼女の母親であったことを明かした。

サンアは老人の遺体を確認したが、母親であるにも関わらずそっけない。むしろ、その存在を酷く厭っているようだ。たった一人の身内だというのに弔いもせず、葬式もやる気がなく早々に安置所から去ってしまう。

そこで、チャン・ソプはサンアの母親のことを調査。チャン・ソプが新人だった頃、建設会社の息子に性的暴行されそうになったサンアが抵抗して傷害事件を起こしたことがある。だが、相手は大会社の御曹司であったため、起訴することもできずチャン・ソプはやむなくサンアを逮捕。その後、母親は娘のために建設会社の息子を車で轢き殺し、殺人の罪で逮捕されていた。以降、救えなかったサンアのため、チャン・ソプは何かと彼女を気にかけ何度もプロポーズしていたのだった。

しかし、チャン・ソプのそれは恋愛とは違う。サンアは彼のプロポーズを受けることはなく、母親から虐待されていたために恨みを抱えていることを明かし、自分にはもう関わるなと強く拒絶した。だからと言って、簡単に諦める気がないチャン・ソプ。
その夜、サンアは衝動的に外へ飛び出し寒空の中、蹲っている少女を発見。悩んだ結果、少女を拾うことにするのだった。

9歳の少女キム・ジウンは父親と二人暮らしだったが、どうやらサンアと同様に虐待されているらしく酷く怯えていた。だが、父親の恋人チュ・ミギョンが少女を迎えに現れたため、サンアは深く関わらずジウンを引き渡してしまう。
翌日の昼、サンアが働くエステ店へ姿を現したミギョン。ジウンの父親キム・イルゴンは20歳の頃に生まれた娘をやむなく引き取ったが、働くこともせず日がな一日ゲームをしてばかりいる。ミギョンはイルゴンと長い付き合いのようだが、男の様子に呆れ果て逃げようと思っているらしい。だが、問題はジウンの存在で苛立ちを募らせたミギョンが少女に手を上げてもイルゴンはゲームに夢中で何も言わないのだった。

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映画『虐待の証明』のあらすじ【承】

傷だらけのジウンに幼い頃の自分の姿を重ねたサンア。彼女は仕事帰りに見つけた少女を連れてまず、服を購入。傷の手当てをした後、食事をさせた。ジウンは殴られればお金がもらえてご飯が食べられると言う。警察に助けを求めても保護者が呼ばれれば結局、家に連れ戻される。サンアはジウンを遊園地や海へ連れて行くことに。相手が幼子であっても粗暴な態度を崩さないサンアだったが、そっけない態度でも少女には信用できる存在であるらしい。

日が暮れたため、ジウンを家へ送ったサンアだったが、戸口に出たイルゴンはジウンを足蹴にする。その所業にかっとなったサンアは家へ突入し、ミギョンとも口論になった。その後、一家とサンアは警察へ向かったが、虐待されている証拠がないと言われジウンも両親に怯えて何も言えず。ミギョンは良い親を装っており事実を証明することができない。しかも、サンアには前科がある。そこへ、チャン・ソプが駆け付けてくれ、ひとまずは助かった。

チャン・ソプのお陰でジウンの家に児童相談所の職員が訪問することになったが、施設に空きがないため、今すぐ保護はできないと言われる。その代わり定期的に自宅訪問をするらしいが、その間にも幼子は親に痛めつけられ下手をすれば死んでしまうかもしれない。
ジウンは家へ帰ったが、案の定ミギョンとイルゴンによってベランダに放置されているのだった。

そこで、サンアは一大決心をする。仕事を辞めてジウンを引き取ろうと考えたのだ。日が暮れた頃、ジウンの家を訪ねたサンア。室内ではイルゴンによってジウンが首を絞められ殺されそうになっていた。たまたま携帯に着信があったため、ジウンは命からがら助かったが、サンアは帰ってしまう。少女は必死に彼女へと助けを求めた。

チャン・ソプと合流したサンアだったが、嫌な予感が脳裏をよぎる。彼女は車を強引に止めジウンの家へ戻ることにした。その頃、自宅浴室の小さな窓から脱出を図ったジウン。どうにか脱出に成功し戻ったサンアとようやく出会う。サンアは少女を助けることで、幼い頃の自分をも助けたかった。

映画『虐待の証明』のあらすじ【転】

ジウンをすぐさま救急医療センターへ。書類の記入をしなければならなかったが、少女が帰ろうと言うため、その場から逃げ出す。
その頃、チャン・ソプはイルゴンの自宅を訪ねていた。家にはイルゴンしかおらず、チャン・ソプは家中を見回って写真を撮影。更に彼は周辺に聞き込みを行い、監視カメラ映像も見せてもらう。その結果、ジウンはサンアが保護したことが分かった。

ひとまず安いホテルに身を寄せたサンアとジウン。サンアは背中の傷を見せ、自分もジウンと同じ境遇だったことを明かす。そして、教養も何も持っていないが、ジウンの傍にいてやることはできると言った。優しい少女はサンアの心の痛みを癒すかのように身を寄せ抱き締めてくれるのだった。

深夜になり、チャン・ソプへ連絡を入れたサンア。そこで彼女は母親の真実を聞かされる。うつ病を患っていた母親は酒を飲んでは幼い娘に度重なる暴力を振るっていたが、ある日の朝、サンアが酷い怪我で死にそうになっているのを発見する。母親はこのままではいつか娘を殺してしまうかもしれないと気付き、警察に自分を逮捕して欲しいと頼んだが、捕まえてくれなかった。そこで、怪我が治った娘を遊園地へ連れて行って置き去りにしたのだった。

翌朝、イルゴンとミギョンは警察へ駆け込み、前科があるサンアに娘を誘拐されたと訴えた。早々に捜査が開始されたが、イルゴンは娘の身長も誘拐された日に着ていた服も覚えていない。サンアは誘拐犯として手配されたが、危機を察したチャン・ソプによって救われる。彼はジウンの身体の傷を撮影し、虐待を証明しようと考える。そこで、誘拐の捜査が行われているチームへ合流し、ジウンが自宅浴室の窓から脱出を図っている動画を見つけ出した。

このことにより、誘拐の訴えが嘘であることが判明。刑事たちはイルゴンを逮捕し、ミギョンの捜索へ。嘘がばれたと知ったミギョンは、ジウンがいなくなれば虐待の事実が隠蔽されると考えた。

映画『虐待の証明』の結末・ラスト(ネタバレ)

一方、逮捕したイルゴンの聴取を行っていたチャン・ソプ。実はイルゴンも虐待されて育ったことを知る。虐待されて育つ子供は大概が救われない。それでもどうにか生き延び大人になるが、いずれは自分の子供も虐待するようになるという負の連鎖が止まらない。イルゴンは自分の子供を痛めつけても、生きているのだからいいだろうと豪語するのだった。

同じ頃、ジウンが発熱したことを知ったサンアは近くの薬局へ。目覚めたジウンはサンアがいないことに不安を抱いたが、そこへミギョンからチャン・ソプの姉へ電話がかかって来る。ジウンはサンアを探して一人で外へ出て、ミギョンに見つかってしまう。

ジウンを保護して匿っていたチャン・ソプだったが、少女が姿を消したと部下から知らせが入り慌てて外へ。サンアにも知らせを入れた。
ジウンを捕まえたミギョンは、少女を殺そうと空きビンを振り上げたが、監視カメラの存在に気付き手を止める。そこへ、駆け付けたサンアがミギョンを殴り倒し、ジウンを救出した。ひとまずは少女を車に保護する。ところが、そこへミギョンが戻って来てサンアへと反撃し逃走。サンアも彼女を追った。

サンアは後を追って来たジウンにもう会わないと告げる。そして、警察に通報していたミギョンを追い詰める。サンアの母親は娘を虐待していたが、少なくとも愛情はあった。だが、ミギョンには愛情が全くなくジウンのことを厄介な荷物だとしか思っていない。揉み合った結果、ミギョンは突き出ていた石に頭部を強打し、意識を失った。サンアは彼女を殺そうと石を手に振り上げる。そこへ、どうにか居場所を見つけたチャン・ソプが駆け付け、サンアを制止した。

彼はジウンを連れて逃げろと言う。数日は時間が稼げる。ジウンを実の娘だと思って過ごせと背中を押した。サンアは待っていたジウンの元へ戻り、少女を連れて逃走するのだった。

1年後、チャン・ソプに引き取られたジウンは、小学校へ通い平穏な暮らしを送っていた。実の娘に虐待していたイルゴンは懲役10年が、殺害を企てたミギョンには15年の懲役が科せられた。だが、ジウンの気持ちは少しも晴れない。しかし、その日の夕方、ジウンが通う小学校の門前にて、少女を待つサンアの姿を発見。2人は見つめ合いやがて笑顔を浮かべるのだった。

映画『虐待の証明』の感想・評価・レビュー

韓国で実際に起きた児童虐待事件を基に、虐待の悲惨な連鎖を止めようと奮闘する女性の葛藤を描いている。今作にて主演のハン・ジミンは、第38回韓国映画評論家協会賞主演女優賞と第39回青龍映画賞主演女優賞を受賞している。

恐らく、韓国の貧民層ではまかり通っていると思われる児童虐待。貧困故に安易に起こる事柄とは言え、胸に突き刺さる。児童虐待については親が全ての責任や教育を負うことがほとんどであるため、証明はとても難しいと聞く。今作でもその難しさが描かれており、八方塞がりとされ助けを求めても諦めるしかないと思わされる。親が虐待するのは、その親もまた虐待されていたからという事実。正に負の連鎖が終わらない危機感と恐怖を覚えた。(MIHOシネマ編集部)

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