映画『心の香り』の概要:1992年の中国映画。京劇の名俳優として活躍していた爺さんのところへ、勘当した娘の孫が預けられる。その子もまた京劇の子役をしている。見たことのない孫と突然の共同生活をすることで、親子として祖父としての絆を確認する感動作品である。
映画『心の香り』 作品情報
- 製作年:1992年
- 上映時間:98分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:スン・チョウ
- キャスト:フェイ・ヤン、チュウ・シュイ、ワン・ユイメイ、ハー・チエリン etc
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映画『心の香り』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『心の香り』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『心の香り』のあらすじを紹介します。
元京劇俳優の祖父。
彼は名俳優として有名だった。
彼には娘が一人、しかし家を出ていってからは音信不通である。
ある日京京という娘の子供がやってきた。
つまり孫である。
離婚することになった娘が父しか頼れず、預けたのだ。
13歳の京京もまた京劇の天才子役として活躍中であったが、彼はそのことを祖父には内緒にしていた。
祖父には恋人がいる。
老人同士の静かな愛情だったが子供の目から見ても優しく愛情深いものだった。
彼女の名前は蓮おばさんと言い、仏教信者だった。
彼女は夫と40年前に生き別れたが、最近になり実は夫が台湾で生きているという事実が判明。
心が揺らいでいた。
全く会ったことの無い祖父と孫は奇妙な共同生活を開始した。
しかし、お互い中々打ち解けることはできない。
京京は黙って新しい世界を観察していた。
次第に蓮おばさんや近所の女の子とも心を通わせ、打ち解け始める。
ある時、旦那さんの訃報を受け取った蓮おばさんは倒れ、後を追うように亡くなってしまった。
悲しみに暮れる祖父は家宝の琴を売り、金にして夫婦の供養をしようとする。
それを知った京京は自分の京劇で金を儲けようと、祖父の前で演技と歌を披露。
祖父は初めて知った。
自分と対立していた娘が孫に京劇を学ばせたこと、そしてこの子もまた才能があること。
あらゆる感情が湧いてきてしみじみするのだった。
映画『心の香り』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『心の香り』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
祖父と孫の絆
今まで会ったこともない孫が突然やってきて共同生活を始める。
家出した勘当同然の娘が離婚するということで、頼れる人もなく父に預けてきたのだ。
祖父は京劇の名俳優だった。
孫もまた天才子役として街で活躍している。
しかし会っても孫は京劇の子役をしていることは内緒にしていた。
その理由は子供らしく、言えば熱心な指導をされるのではないかという怯えがあったからだ。
しかし孫はその秘密を告白する時が最後に来る。
それは祖父が大事に思っていた女性・おばさんのためだった。
年齢を重ねているからこそ、互を大事にし、共に生きることを尊重しあう二人を間近で見ていた孫は心を打たれる。
そして自分自身、蓮おばさんに話を聴いてもらうことで救われていた。
金の工面をするために自分の技術を披露することにした孫。
その時、祖父は血の繋がりを確かに実感したのだ。
そして拒絶しあっていた娘が自分の職業を子供に学ばせていることにも感動をする。
余計でわざとらしいお涙ちょうだいの台詞はここには無い。
しかし伝わるのである。
表面的な感動ドラマではなく、深い絆を見せてくれる素朴な映画。
たらーっと流れてくる静かな涙に自分でも驚くほど、涙腺を攻撃される。
映画でありながら物語のある絵を見ている、そんな感じだ。
名俳優・朱旭
この俳優は中国の国民的俳優である。
お父さん、おじいさんをやらせたら右に出るものはいないと言われている人物である。
日本ではNHK放送の「大地の子」での養父役で有名だ。
彼の演技は素晴しく、物語に感動を必ず与えてくれる。
静かなのに気迫が感じられ、映像からその存在感の大きさがビシビシと感じられるのはまさに才能。
損はさせない。
彼を堪能して欲しい。
ほんの些細なきっかけや、その場の勢いで気まずい関係になってしまうことってあると思うんです。今回の場合は父と娘の関係がそこに当てはまるでしょう。
しかし、関係を修復するのもほんの些細なきっかけで良いのだと心が温かくなりました。離れていても、父の意思や教えはしっかりと娘に伝わっていて、それは孫に受け継がれています。そんな孫が今までの苦悩や悲しみを癒して元気づけてくれたと言っても過言ではないでしょう。
ゆっくりとした空気感が流れているので、リラックスしながら見ることが出来ました。(女性 30代)
映画『心の香り』 まとめ
中国映画の奥深さの秘訣はなんだろうか。
日本映画もさりげなく素朴で派手すぎない演出が感動的な作品は数多い。
同じようなヒューマン系の映画を比べてみるとよくわかるが、魅力としては断然中国映画が勝っている。
国土の広さや俳優の演技力なのだろうか。
いや、恐らく脚本や演出なのであろう。
日本の脚本ももちろん素晴らしいのだが、どこか白々しく感じてしまうものがある。
中国映画の名作と呼ばれるものは、俳優というよりもそこで生きている人たちの出来事をまるでそのまま撮影したかのようなナチュラルさがあるのだ。
だからこそ俳優など知らなくても楽しむことが出来るし、自分のことのように感動し号泣もできる。
本作品の素晴らしさはさらに伝統芸の京劇を盛り込んでいるところだ。
中国らしさをさらにパワーアップして、この国独自の魅力を引き出している。
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