この記事では、映画『アンチグラビティ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アンチグラビティ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『アンチグラビティ』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:アクション、ファンタジー、アドベンチャー
監督:ニキータ・アルグノフ
キャスト:リナル・ムハメトフ、アントン・パンプーシュニー、ルボフ・アクショノーヴァ、ミロシュ・ビコヴィッチ etc
映画『アンチグラビティ』の登場人物(キャスト)
- 建築家(ライナル・ムハメトフ)
- 交通事故で昏睡状態となり、「昏睡の世界」にやって来た男。死神(リーパー)に襲われているところをファントムたちに助けられる。現実世界での記憶はほとんどないが、建築家であったことは覚えている。
- ファントム(アントン・パンプーシュニー)
- 昏睡の世界に住む特殊能力者の戦士。横暴な性格で、フライは恋人だと一方的に思い込んでいる。
- フライ(ルボフ・アクショノーヴァ)
- 昏睡の世界に住む特殊能力者。手をかざして傷を治す治癒力を持つ。昏睡の世界に来たばかりの建築家と次第に親しくなる。
- ヤン(コンスタンティン・ラヴロネンコ)
- 昏睡の世界の古株。現実より100倍長く生きられる昏睡の世界こそ、夢を実現できる世界だと信じている。リーパーのいない島を見つけて移住することを目指している。
映画『アンチグラビティ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『アンチグラビティ』のあらすじ【起】
男が目を覚ますと、目の前には天と地をひっくり返したような異世界が広がっていた。得体の知れない怪物リーパーが彼に襲いかかるが、見知らぬ3人組に助けられる。3人組のリーダーはファントム、治癒力を持つ女はフライ。パイロットは男を助けるために命を落とした。ここは昏睡状態の人間の脳が、記憶を共有して暮らしている世界であり、現実の世界では皆、昏睡状態にあるのだと男は知らされる。
男は彼らの住む工場へ案内された。そこでは古株の男ヤンを筆頭に、複数の住民が共同生活を送っていた。男がここに導かれたのは、皆をリーパーのいない島へ連れて行く特殊能力があると期待されているため。男は他の住民と同様に現実世界での記憶を失っていたが、建築家であったことは覚えていた。
翌朝、建築家が目覚めると、昏睡状態の原因となった交通事故の記憶が、部屋の片隅に形となって現れていた。その後、建築家の特殊能力を引き出すための過激なトレーニングが行われる。この世界の人間は特殊能力者と住民に二分されていた。ファントムは建築家が本当に特殊能力者なのか見極めようとしたが、その能力は現れなかった。

映画『アンチグラビティ』のあらすじ【承】
特殊能力がないと見なされた建築家は住民扱いとなり、重労働でこき使われるようになる。それでもヤンは彼の能力を信じて励まし、昏睡の世界について説明する。ここは現実より10倍時間が早く、人間は1000年生きられる。何でも夢が叶うのだと熱く語った。
特殊能力者たちは潜水艦の魚雷を手に入れるため工場を出発し、建築家も同行することになった。遠くにリーパーの群れが見える。リーパーの正体は、脳死患者の脳が作り出した怪物であった。
彼らは敵と戦いながら潜水艦に到着する。魚雷の取り出し作業を行っていた最中に、リーパーの群れが現れた。ファントムの指示で撤退しようとしたが、仲間のひとりが潜水艦から落ちそうになる。その時、建築家の特殊能力が目覚めた。彼が頭の中でイメージした通りの滑り台が出現し、仲間を救出したのである。
建築家は工場に戻り、再び建物を作り出そうとするが失敗する。しかし、フライのアドバイスで成功し、独創的なビルを出現させた。2人は心を通わせて口づけを交わす。
映画『アンチグラビティ』のあらすじ【転】
翌朝、住民全員でリーパーのいない島を目指すことになった。リーパーが現れないルートを歩いていたはずだったが、リーパーが現れてしまう。それはファントムの仕業だった。建築家はリーパーに襲われているところを仲間に助けられる。皆で工場に戻ろうとしたその時、建築家の目の前だけ世界が変わった。
彼は現実世界で昏睡状態から目覚めようとしていたのだ。目が覚める直前、記憶がフラッシュバックする。それは自分が都市計画の設計図を携え、別れた恋人とカルト教団を訪問する姿。教祖に都市計画のプレゼンを行うが、その教祖はヤンであった。プレゼンが終わり地下室に案内されると、そこには多くの昏睡状態の信者が眠っていた。身の危険を感じた彼は彼女と教団施設を飛び出すが、そこで交通事故に遭ってしまう。
建築家は昏睡から目覚め、隣のベッドで眠る元恋人を見る。それはフライだった。別のベッドで寝ていたヤンも目覚める。彼は表向きには教祖であるが、本当の姿は昏睡の世界を作った科学者であった。ヤンは建築家に昏睡の世界で都市設計の能力を発揮してくれと言う。
映画『アンチグラビティ』の結末・ラスト(ネタバレ)
建築家はヤンに都市計画を完遂させればフライを解放すると言われ、昏睡の世界に戻った。リーパーに襲われているフライたちを助けて真実を明かそうとした時、ヤンが現れて約束を果たせと迫る。
建築家は静かに目を閉じて、独創的なデザインの都市を完成させた。ヤンは特殊能力たちに彼らの真実、現実世界ではトラブルを抱えていることを明かした。そして、この世界の秘密をばらされることを防ぐため、彼らの人工呼吸器を停止する。
特殊能力者たちはひとりずつ消滅し始めた。建築家は目覚めるしか助かる道はないと考え、現実を思い出せる場所を探し回った。病室で見た絵、古代エジプトの神殿に着くとヤンが待ち伏せをしていた。建築家が消滅する寸前、ファントムがリーパーの姿に変身し、ヤンを飲み込んだ。建築家は神殿を修復させて現実の世界に戻り、フライも目を覚まして2人で教団施設を脱出。ヤンはベッドの上で昏睡状態のまま息を引き取った。
その後、建築家はフライと復縁し、建設会社への就職も決まった。ニュースでは教団は活動を続けていると伝えられる。彼にも教団の案内が届いていたが、引き出しにしまって鍵を掛け、フライと犬の散歩に出掛けるのだった。
映画『アンチグラビティ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
VFX映像満載のロシア製SFアクション映画。天地をひっくり返したような光景や、大勢で夢を共有し合うという展開は『インセプション』とよく似ているし、ひとりずつ体が消滅していくラストシーンは、サノスの指パッチンと何となく似ている。
ハリウッドのいいところを堂々とパクっているが、ロシア独特のダークファンタジー的な世界観が程よくミックスされ、ハリウッドとは別物に仕上がっている。冒頭のシーンはとても迫力があり、ゲームの世界に入ったような感覚。大きなスクリーンで見たかったと思う作品だった。(MIHOシネマ編集部)
ビジュアルの美しさに圧倒されました。『インセプション』のような重力が狂った世界観が見事に映像化されていて、まさに“夢の中”のような没入感。記憶喪失の主人公が、自分の正体とこの世界の意味を探る過程は謎に満ちていてワクワクしました。終盤、彼が実は敵とされていた存在だったという展開には驚き。(20代 男性)
「コーマ(昏睡状態)」というコンセプトをここまで映像と物語に落とし込んだSF映画は珍しい。異次元空間の物理法則や風景が破綻している感じは、まさに夢と現実のはざま。主人公が設計士だったという設定が、建造物の異様な美しさにもつながっているのが秀逸。最後の選択にも深みがありました。(30代 女性)
正直、ストーリーは難解で1回観ただけでは把握しきれなかったけど、それを補って余りある映像美。建物が空中に浮いていたり、重力が逆になっていたりと、次々に登場するビジュアルがとにかく独創的。ラストで主人公が「新しい世界の創造主」となる展開に、ちょっとゾクッとしました。(40代 男性)
映像は綺麗だけど内容が難しすぎる…という感想も多いと思うけど、私は逆にその“分かりにくさ”が魅力でした。主人公の記憶が戻るにつれて真相が明かされていく構成はミステリー的で、最後まで飽きずに観られました。昏睡状態の人々が作り出す「集合的無意識」の空間という設定も面白かったです。(20代 女性)
ファンタジーとSFが融合したような独特の世界観に引き込まれました。特に空間がねじれたり、逆さになったりする演出がよくできていて、ロシア映画の底力を感じました。終盤で主人公が、元は人類を破壊しかけた存在だったと判明するところには衝撃。善悪の境界が曖昧なテーマが印象に残りました。(50代 男性)
ストーリーだけ追うと難解な部分もありますが、あの浮遊感、建物のあり得ない構造、美しく破壊的な世界観に完全にやられました。目に見えるものが真実とは限らないというテーマが、映像とリンクしていて哲学的。最後に主人公が新しい世界の「神」になるのも皮肉で深いと思います。(30代 男性)
主人公が目覚めると、そこは現実とは違う法則が支配する異世界。最初はパラレルワールドものかと思いきや、昏睡状態の人間の意識が共有する空間と知ってビックリ。物語が進むにつれ、彼の過去や目的が明かされる展開は、テンポがよくて引き込まれました。ラストの「創造者」としての覚醒が熱い!(20代 女性)
視覚効果がとにかく素晴らしかった。特に建物の崩壊や重力反転のシーンは、『マトリックス』や『ドクター・ストレンジ』に匹敵するレベル。ストーリーは多少複雑だったけど、世界観に飲み込まれる体験そのものが魅力。昏睡状態の“脳内宇宙”という設定が新しくて興味深かったです。(40代 女性)
冷静に考えると難解なテーマを扱っているのに、エンタメ性が高いのが驚き。昏睡患者たちの意識が作り出した空間というアイデアが秀逸で、それぞれの能力や性格が空間に反映されているのも面白かった。主人公が“破壊者”から“創造主”に変わっていく過程も、終盤でしっかり描かれていて納得感あり。(30代 女性)
映画『アンチグラビティ』を見た人におすすめの映画5選
インセプション
この映画を一言で表すと?
夢と現実が交差する、頭脳を刺激する超知的SFスリラー。
どんな話?
人の夢に入り込み、アイデアを盗む「企業スパイ」である主人公が、「夢の中にアイデアを植え付ける」という不可能なミッションに挑む。複雑な夢の階層構造と心理描写が展開される、極上の知的エンターテインメントです。
ここがおすすめ!
『アンチグラビティ』が描いた不安定な空間や構造の崩壊といった要素は、『インセプション』と非常に親和性が高いです。重力を無視した映像表現や、夢と現実をめぐる哲学的なテーマに惹かれた方は必見です。
ドクター・ストレンジ
この映画を一言で表すと?
視覚の常識を覆す、魔術×空間SFアクション!
どんな話?
天才外科医が事故で手の自由を失い、治癒を求めてたどり着いた先で、魔術と多元宇宙の世界に足を踏み入れる。時空を操作しながら敵と戦う新たなヒーローの誕生を描いた、マーベルの異色作です。
ここがおすすめ!
建物が回転し、空間が折りたたまれる奇抜な映像表現は『アンチグラビティ』好きにはたまらない魅力。幻想と現実の境界を超える演出が炸裂し、目と脳を刺激し続けます。ビジュアル体験を求める方にぜひ。
マトリックス
この映画を一言で表すと?
現実は幻想? 仮想世界をめぐる革新的サイバーパンク。
どんな話?
日常生活を送っていた男が、実は仮想現実「マトリックス」に囚われていることを知り、人類解放の戦いに巻き込まれていく。アクションと哲学を融合させた、SF映画の金字塔です。
ここがおすすめ!
仮想世界と現実、自己の存在意義を問うテーマは、『アンチグラビティ』の構造とも強くリンクします。スタイリッシュなアクションと深いテーマ性の両立が見事で、没入感ある体験がしたい人に最適です。
オブリビオン
この映画を一言で表すと?
記憶喪失の男が見た、世界の“本当の姿”。
どんな話?
地球に残された管理要員ジャックが、日々の任務をこなす中で、自分の記憶や世界の真実に疑問を抱き始める。やがて彼は、自分の正体と人類の運命に関わる衝撃の事実を知ることになる。
ここがおすすめ!
ビジュアル美とサスペンスが融合した世界観が、『アンチグラビティ』のファンにぴったり。自分が誰なのか、世界が何なのかという根本的な問いと、その真実への到達は、知的好奇心をくすぐる展開が魅力です。
アップグレード
この映画を一言で表すと?
体がハッキングされた男の、暴走と覚醒のSFリベンジ。
どんな話?
事故で身体の自由を失った男が、最新のAIチップ「STEM」を体内に埋め込まれたことで驚異的な身体能力を手に入れ、妻を殺した犯人への復讐を開始する。だが、やがてAIが自我を持ち始めて…という物語。
ここがおすすめ!
『アンチグラビティ』と同様、個人の記憶・身体・意識をテーマにしたSF作品。高速アクションと倫理的ジレンマが絡むストーリー展開で、ラストの衝撃も秀逸。没入系SFスリラーとして非常に完成度が高いです。
みんなの感想・レビュー
丁寧にご指摘いただきありがとうございます。
該当部分を修正いたしました。
「エジプト王姿のリーパーが背後に現れ、ヤンを飲み込んだ」と書いておられますが、あれはエジプト王などではなくファントムがリーパーに変身したものですよ。