映画『闇の子供たち』の概要:2008年に公開された日本映画。梁石日の小説の映画化で、タイを舞台にした子供たちの人身売買や幼児売春の実態を臓器移植の問題と共にリアルに描いている。物語自体はフィクションである。
映画『闇の子供たち』 作品情報
- 製作年:2008年
- 上映時間:138分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
- 監督:阪本順治
- キャスト:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、プラパドン・スワンバーン etc
映画『闇の子供たち』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『闇の子供たち』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『闇の子供たち』のあらすじを紹介します。
タイではまだまだ貧困層が多く暮らしている。
その中には食べ物や借金に困り、実の子供を人身売買するケースもあった。
タイに駐在している新聞記者の南部(江口洋介)は、タイで行われている幼児売春を調べているうちに臓器移植の問題を知る。
それは売られた幼い子供たちが病院に連れて行かれ、世界中の移植が必要な患者に臓器を提供しているという衝撃的なものであった。
ある時、南部は生きたまま心臓をとられ、そのまま必要な子供に提供するというネタを掴む。
NGOの児童福祉センターに情報を求めて連絡すると、そこに日本からボランティアで来た恵子(宮崎あおい)という女性がいた。
彼女は裕福な家庭で育ち性格も良く、熱心に子供のことを考えている女性だった。
しかし苦労知らずなため、たまに空回りすることもある。
また、現地人のゲーオという人物も協力していた。
恵子が親から売春宿に売買された少女を躍起になって探している時も、親身になって助けてくれたのだ。
彼らもまた、南部の追っている情報を真剣に受け止めてくれた。
別の日、南部はタイで子供に心臓移植をさせようとしている日本人夫婦のことを知る(佐藤浩市・鈴木砂羽)。
すぐに恵子たちと日本に行き、夫婦に取材を申し込むも断られてしまった。
それならばとタイに戻り、心臓移植用に連れてこられるタイ人の子供の証拠写真を写真家の与田(妻夫木聡)に撮らせることを思いつく。
しかしその後信じていたゲーオの裏切りが発覚。
与田は南部の家に立ち寄ってみると、首を吊った南部の姿があった。
遺品整理で部屋を見回すと、壁紙が不自然であることに気が付く。
壁紙に掛けられた幕。
それを外すとそこには児童買春の新聞記事がたくさん貼られてり、その真ん中には鏡があった。
映画『闇の子供たち』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『闇の子供たち』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
南部の苦悩とラストシーン
この映画に出てくる新聞社に勤務する南部は、非常に誠実で熱い男である。
しかし幼児売春や臓器売買の問題を調べているシーンに何度か出てくる、白黒シーンでフラッシュバックする後ろ姿。
それは南部とタイ人の少年が手を繋いで歩いているものだった。
最初は虐待や売買された少年を助けたのかと思っていたのだが、それはラストシーンで明らかになる。
与田が南部の自殺を発見し、遺品整理をする。
その時壁に不自然な幕がかかっていることに気がついた。
めくってみるとそこには児童買春の記事や捕まった容疑者の記事の切り抜きが貼られていたのだ。
しかもその真ん中には鏡。
これらが物語る真実、それは南部自身が幼児性愛嗜好だったということでは無いか。
手を繋いでいたあの姿は助けた少年では無く、南部が買っていた少年。
その罪悪感に苛まれて、その記事の真ん中に自分の顔を見て戒めていた。
だとしたらこのフラッシュバックは成功である。
近年、江口洋介は近年実力派俳優として名高く、本作品の出演でそれは確固たるものとなった。
彼の爽やかなイメージを変える衝撃的な内容であることは事実であるが、彼の見たことのない魅力が引き出されている話題作であることも間違い無い。
フィクションとノンフィクション
この映画はフィクションを押されている。
もちろん取材し、裏付けをしているのだろうが人身売買などは本当にあったことがどうかは謎とされているからだ。
一般的にタイの闇社会の事件は小説や映画になりやすい。
本当にそうかどうかは分からないが、親が子供を売らなければならない自体は日本でも昔あった話であるだろう。
フィクションかノンフィクションかが問題ではなく、このようなことが起こってはいけないという人々の意識を高めるのには必要な提起なのかもしれない。
映画『闇の子供たち』 まとめ
このような社会問題、特に闇に埋もれている問題を日本国民が目にするというのは非常に大事である。
世界の中でもとりわけ安定している経済化の中で暮らしている国民は、危機意識が薄いのも事実であろう。
その中で決して大スクリーンでロードショーする映画では無いのにも関わらず、日本を代表する実力派俳優が総出演しているのは凄いことである。
そのおかげで興味を持ち、目に触れ少しでも考える時間を持てるなら言うことない。
中でも難しい南部の役を江口洋介が演じたのにも注目だ。
爽やかでトレンディードラマの匂いが強い彼が、このようなワケありの役を演じるというのはファンでなくても興味深いものがある。
どのような理由からでもいい。
ぜひこの事実を考えて欲しい。
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