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映画『愛の流刑地(2006)』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『愛の流刑地(2006)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『愛の流刑地(2006)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『愛の流刑地(2006)』の結末までのストーリー
  • 『愛の流刑地(2006)』を見た感想・レビュー
  • 『愛の流刑地(2006)』を見た人におすすめの映画5選

映画『愛の流刑地』の作品情報

愛の流刑地

製作年:2006年
上映時間:125分
ジャンル:ラブストーリー
監督:鶴橋康夫
キャスト:豊川悦司、寺島しのぶ、長谷川京子、仲村トオル etc

映画『愛の流刑地』の登場人物(キャスト)

村尾菊治(豊川悦司)
別れた妻との間に娘が1人いる。恋愛小説を書いている作家。長年スランプに陥っている。冬香に一目惚れして、相手が結婚していると知りながら猛アタックする。冬香に求められるまま首を絞めてしまい、殺してしまう。
入江冬香(寺島しのぶ)
夫との間に3人の子供がいる。富山出身の女性。菊治のファン。菊治に惹かれながらも、家族を裏切っている後ろめたさに苦しみ、菊治に「殺してくれ」と頼むようになる。
織部美雪(長谷川京子)
菊治の事件を担当する検事。検事としてはやり手で、気の強い性格。自身も上司と不倫関係にある。

映画『愛の流刑地』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『愛の流刑地(2006)』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『愛の流刑地』のあらすじ【起】

入江冬香は村尾菊治と情事をしている最中に、愛しているのなら首を絞めて殺してくれと懇願した。菊治は言われるがまま首を絞めるが、殺す気はなかった。しかし、セックスを終えて冬香の顔を見ると、既に息絶えていた。

菊治は屋上から飛び降り自殺をしようとするが、死ぬことはできなかった。部屋に戻って冬香の遺体を抱きしめた。そのまま眠ってしまい、目が覚めると朝になっていた。菊治はベッドの下に置いていた録音テープを再生させた。冬香が殺してくれと頼んでいる声が聞こえて、菊治は目を潤ませた。菊治は警察に連絡するが、既に冬香の死後5時間が経っていた。

平成17年8月1日。冬香は神宮外苑の花火大会に行くため、菊治の家を訪ねた。菊治は無理をして家から出て来てくれた冬香に謝罪するが、冬香は無理をしなければ出てこられないと淋しそうに微笑んだ。その日の晩、菊治は冬香を絞め殺してしまう。

菊治は取り調べを受けた。刑事は話を聞く前から、菊治に殺意があったと決めつけていた。女性が情事の最中に殺してくれと頼むのは、ただのプレイの一環だと菊治の話を一蹴した。検事の織部美雪も取り調べを見ていたが、刑事と同じような気持ちだった。だが、取り調べを受ける菊治の悲しそうな表情が気になった。

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映画『愛の流刑地』のあらすじ【承】

美雪は事件の詳細を調べるため、冬香の友人である魚住祥子の家を訪ねた。事件後、祥子は冬香の3人の子供達を引き取っていた。祥子は美雪に強張った顔を向けながらも、菊治達について話し始めた。元女性誌の記者であった祥子は、作家である菊治と知り合いだった。冬香が菊治のファンだったので、祥子が2人を引き合わせたのだ。菊治は一目見たときから、奥ゆかしくて美しい冬香に惹かれていた。祥子は薄々菊治達の関係に気づいていた。だが、菊治がまた小説を書けるようになればいいと思い、深く2人の関係を聞こうとはしなかった。

美雪は菊治の事情聴取を行い、冬香と出会った最初の頃から話を確認した。菊治は冬香に会いたい思いが募り、連絡を取り合った。冬香から数時間しか会えないと言われるが、菊治はそれでも構わず、冬香の住む京都まで会いに行った。菊治は美しい冬香の手の動きに触発され、冬香の地元である「おわら踊り」をテーマに恋愛小説を思い立つ。書き上げれば一番初めに見せると言うと、冬香は涙ぐみながら嬉しそうに微笑んだ。それからも菊治は冬香に会うため、新幹線に乗って東京から京都まで足しげく通った。2時間ほどの逢瀬だったが、幸せな時間だった。

菊治はどんどん冬香に溺れていき、2人は愛し合うようになった。会えない時間はメールでやり取りをして、思いを伝え合った。だが、冬香は菊治と家族との間で板挟みにあい、密かに苦しんでいた。

菊治は娘の高子と面会した。高子は気丈にも父を責めず、体を心配していた。菊治はただ謝ることしかできなかった。だが、高子は傷ついていないわけではなかった。冬香を恨み、冬香の自殺に父が巻き込まれただけだと思うことで、心の均衡を保っていた。菊治は涙を流しながら、高子の話を聞いていた。

映画『愛の流刑地』のあらすじ【転】

冬香は菊治に恋をしたことで、初めて生きていることを実感できていた。冬香の夫が東京に転勤になったことをきっかけに、東京に引っ越すことになった。それから、菊治と冬香は会う頻度を増やし、菊治の家で情事に耽るようになった。

菊治は弁護士と面会した。弁護士から問い掛けられ、一番初めに冬香が「殺してくれ」と言い出したのはいつだったか、記憶を思い起こした。菊治と冬香の逢瀬はいつも時間に追われ、水槽に飼われた金魚のように密室でしか会えなかった。せめて冬香の誕生日ぐらいは、外でゆっくりと会おうと予定を立てた。冬香はワインを飲みながら、死んでもいいぐらい今までで一番幸せだと微笑んだ。私のために死んでくれますかと問い掛けられ、菊治は首を横に振った。菊治は冬香と出会ったことで作家としても息を吹き返し、冬香と一緒に生きたいと思っていた。冬香は微笑みながら涙ぐんだ。その夜、情事の途中で、冬香は「殺してくれ」と菊治に懇願した。菊治は言われるまま冬香の首を絞めるが、すぐに手を離した。冬香は殺してくれなかった菊治を激しく責めた。その時、菊治が設置した録音機が、布団から飛び出しているのが見えた。冬香はその録音機に向かって、死んでもいいぐらい幸せだと呟いた。

事件当日。夜中に冬香は目を覚ますと、ベッドの下に録音機を設置した。そして、菊治を起こして、抱いてくれと懇願した。菊治は戸惑いながらも、冬香とセックスをした。裁判当日。検察側は菊治の罪状を殺人罪としていたが、弁護士側は嘱託殺人の適用を求めた。冬香の首の甲状軟骨は折れており、菊治が強く首を絞めないとこのような状態にはならなかった。美雪は冬香の首の状態と遺族の心情を合わせて、厳罰を望んだ。傍聴席にいた高子は話を聞いておれず、泣きながら席を立った。

映画『愛の流刑地』の結末・ラスト(ネタバレ)

引き続き裁判が行われ、冬香の夫である徹が証言台に立った。徹は仕事に忙しく、菊治の存在を全く知らなかった。徹は検事や弁護士から質問され、取り乱してしまう。そして、菊治が妻を誑かして殺したのだと叫んだ。菊治は徹の顔を見ながら、昔のことを思い出していた。冬香は徹に触れられるのを嫌がっていた。それに苛立った徹は、子供を置いて家を出て行けと冬香に迫った。

冬香は菊治が書き上げた小説「虚無と熱情」を大切そうに抱きしめ、私達の子供のようなものだと微笑んだ。しかし、その小説は若者受けするものではなかったので、出版の目途が立っていなかった。だが、冬香はいつか受け入れられればいいのだと、菊治を優しく励ました。皮肉にも事件が起こった後、「虚無と熱情」は飛ぶように売れた。

録音テープが証拠として採用された。美雪は証言台に立つ菊治に、なぜ被害者が死にたいと発言していたのか問い掛けた。上手く説明できない菊治に、冬香とは心を伴わない関係で、重荷になって殺害したのだろうと詰め寄った。菊治はそれを聞いて、死にたくなるほどの喜びをどう表現すればいいのかと反論した。そして、「死にたくなるほど人を愛したことがあるのか」と叫んだ。

冬香の母が証言台に立った。冬香の母は菊治のことを殺したいほど憎んでいた。だが、本当の冬香のことを語ることが、娘のためだと信じていた。事件の前日、冬香は子供達を連れて母の家を訪れ、子供達のために誕生日のような豪華な料理をたくさん作っていた。母は冬香が綺麗に化粧をする姿を見て、嫌な予感を感じた。だが、どうすることもできなかった。冬香は後悔しないからと呟いて家を出て行った。菊治は証言台から立ち去る冬香の母に土下座した。

裁判の最終日、菊治は最後に証言台に立ち、今までの気持ちを語った。冬香を殺して本当によかったのか、裁判が進むにつれて疑問を抱くようになった。菊治の知らない時間を生きる冬香がいたのだ。そして、本当に冬香と愛し合っていたのか疑問を抱くようになった。だが、菊治が最後に感じたのは、冬香が誰にも渡したくないほど菊治を愛してくれていたことだった。菊治は冬香に選ばれた殺人者だった。

菊治は殺人罪で8年の刑に処されることになった。ある日、冬香の母から郵便が届く。中には冬香が大切にしていた、菊治が出版した本が入っていた。本の中には、冬香が書いた菊治への手紙が挟まっていた。家族に対しての後ろめたい気持ちと、菊治に対しての深い愛情、菊治への謝罪と感謝の言葉が綴られていた。菊治は冬香の気持ちと共に、刑を全うすることを決める。

映画『愛の流刑地』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

純文学的な愛の哲学を感じさせる作品。年齢を重ねると、何の利害もなく盲目的に人を愛することが難しくなる。不倫というテーマに幸せな結末はなく、分別があるはずの大人だからこそ、のめり込むと後戻りできない。死にたくなるほど人を愛するということが、ストーリー的にあまり現実味を感じない。ただ、悲しい男と女の傷の舐め合いに近いような風情が漂う。ある種の美しい精神性と完結することのない愛の形は十分に表現されている。妙齢の主演二人の濡れ場はリアルで素晴らしい。布団の中でこんな風に愛し合ってみたいと思わせる映画。(女性 30代)


世間から忘れ去られている小説家・村尾菊治が、交際している人妻・入江冬香を絞殺したところから物語が始まるのが衝撃的だった。入江の家族が登場したり村尾の家族が登場することで、二人の関係に巻き込まれて苦しんでいる人がいるのだということがリアルに表現されていたと思う。生々しい濡れ場と淡々とした情景が印象的で、現実と幻想が入り混じったような不思議な雰囲気が漂う作品だった。個人的には平井堅の主題歌がピッタリと作品に合っていて、余韻が感じられて良かった。(女性 30代)


この作品、公開当時結構話題になりましたよね。CMで流れていても、こういう大人の映画って見てはいけないような気がして、とても気まずかったのを覚えています。
内容はまさに気まずいやつ。全員が色気を出してきて、いい意味で気持ち悪い。寺島しのぶの濡れ場って、なんでこう目を覆いたくなるのでしょうか。
女は愛する男と死んでもいいと思い、男は愛する女と生きたいと願う。ちょっと納得は出来ませんが、こういう人達もいるんだなと。
自分にはない考えや行動、いいものを見せてもらった気がします。(女性 30代)


死をもって愛を証明しようとする2人の姿に、単なるスキャンダルを超えた切実な感情を感じました。豊川悦司さんと寺島しのぶさんの濃密な演技が圧巻で、重たくも美しい愛の形が描かれていたと思います。賛否分かれるラストですが、個人的には心に深く残りました。(20代 男性)


濃密な性愛描写が話題になった作品ですが、その裏に流れる「救いを求める愛」の物語に惹かれました。2人の行動は常識では理解できないけれど、彼らなりに純粋だったのだと思います。特に寺島しのぶさんの体当たり演技には心を打たれました。(30代 女性)


文学的な台詞回しと、独特の空気感が印象に残る作品でした。愛の行き着く果てが「死」だという結末には賛否あるでしょうが、2人の孤独や救いを求める必死さには共感できる部分もありました。映像美も素晴らしく、どこか幻想的な印象を残しました。(40代 男性)


過激なラブシーンだけが注目されがちですが、根底にあるのは「孤独な二人が心を通わせた」という純粋な物語だったと思います。苦しみの中でしか愛せなかった2人の哀しさが胸に迫りました。裁判パートも緊張感があって良かったです。(20代 女性)


ラストで主人公が無罪になる展開には驚きましたが、彼女の「死ぬことでしか愛を証明できなかった」思いを考えると、納得できる結末だった気もします。二人の愛は歪んでいたけれど、確かに本物だったと感じさせる力がありました。(50代 男性)


テーマが重いだけに見る人を選ぶ映画だと思いますが、私は深く心に響きました。人はどこまで孤独に耐えられるのか、愛するとは何なのかを考えさせられました。演技派2人の迫真の芝居があってこそ成立した作品だと思います。(30代 女性)


愛が暴走するとここまで極端になるのかと、ある種の恐怖すら感じました。ただその極端さが、逆に2人の愛の深さを物語っていて説得力がありました。映像も美しく、静かな狂気を描き切った力作だと思います。見応えがありました。(40代 女性)

映画『愛の流刑地』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『愛の流刑地(2006)』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

失楽園

この映画を一言で表すと?

禁断の愛に溺れ、破滅へと突き進む男女の物語!

どんな話?

中年の男と人妻の不倫愛を描き、純愛と背徳が交錯する極限のラブストーリー。やがて2人は、死をもって永遠の愛を誓おうとする…。切なくも官能的な世界が広がる名作です。

ここがおすすめ!

『愛の流刑地』の原作者・渡辺淳一によるもうひとつの代表作。不倫、愛、死というテーマを、圧倒的なリアリティと情感で描き切った作品です。激しい愛の末路を知りたい人にぴったりです!

昼顔(映画版)

この映画を一言で表すと?

一度燃え上がった愛は、二度と消せない。

どんな話?

かつて不倫関係にあった2人が、数年後に偶然再会し、再び惹かれ合ってしまう。禁断の恋と社会的制裁、そして自ら選ぶ結末を描いた切なすぎるラブストーリーです。

ここがおすすめ!

単なる不倫ドラマでは終わらず、愛に生きるか、社会に従うかを究極まで突き詰めた深い作品です。『愛の流刑地』のような、許されない愛に心を掻き乱された人には、間違いなく刺さります!

白夜行

この映画を一言で表すと?

闇の中で交錯する、決して結ばれない純粋な愛。

どんな話?

幼少期の悲劇によって引き裂かれた男女が、互いのために犯罪すら厭わずに生きていく。すれ違いながらも、誰よりも強く結ばれた絆を描くサスペンスラブストーリー。

ここがおすすめ!

「誰よりも深く愛しているのに、決して手を取り合えない」という切なさが胸を打ちます。『愛の流刑地』で感じた苦しくも純粋な愛の感覚を、さらに深く味わえる作品です。

八日目の蝉

この映画を一言で表すと?

罪を背負いながらも「母」を求めた女の、哀しい逃避行。

どんな話?

不倫相手の子を誘拐してしまった女と、その子供の運命を描くヒューマンドラマ。逃げ続けた日々の中に、たしかに存在した愛情の光が切なく胸に刺さります。

ここがおすすめ!

「愛してしまったがゆえに罪を犯す」というテーマが、『愛の流刑地』に通じます。罪と愛の間で揺れ動く感情に深く共感した人に、ぜひ観てほしい名作です。

愛の渦

この映画を一言で表すと?

愛を求めて集まった男女の、本音と孤独が剥き出しになる夜。

どんな話?

匿名で集まった人々が一夜限りの快楽を求める中、それぞれが抱える寂しさや欲望が露わになっていく群像劇。欲望の裏に潜む人間の本性を赤裸々に描きます。

ここがおすすめ!

性愛を題材にしながら、決していやらしさだけではない、人間の弱さや哀しさを浮かび上がらせる傑作。『愛の流刑地』で感じた「愛と孤独」のテーマを、より生々しく感じたい人におすすめ!

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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