映画『エヴァの告白』の概要:ポーランド人のエヴァは妹と一緒にアメリカへと渡った。だが、妹が結核を患い、病棟に拘置されてしまう。エヴァ自身も入国審査の結果、送還が決まってしまう。エヴァは旅行者援助会のブルーノに助けられるが、それは苦難の幕開けだった。
映画『エヴァの告白』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ジェームズ・グレイ
キャスト:マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナー、ダグマーラ・ドミンスク etc
映画『エヴァの告白』の登場人物(キャスト)
- エヴァ・シブルスカ(マリオン・コティヤール)
- 戦争に巻き込まれ、ポーランドからアメリカへ移民してきた。両親を目の前で兵士に殺されている。妹思いの優しい姉。ブルーノに目をつけられたせいで、娼婦に身を落とす。敬虔なキリスト教徒。
- ブルーノ・ワイス(ホアキン・フェニックス)
- 劇場の裏で売春を斡旋している。警官や入国審査官など、幅広いツテがある。エヴァを一目見て仕事に利用しようと思い立ち、裏で手を回して審査で弾かれるように仕組んだ。その後、エヴァを1人の女性として愛するようになる。
- オーランド(ジェレミー・レナー)
- マジシャンとして働いている。ブルーノの従兄弟。昔恋人を横取りしたことがあり、ブルーノに憎まれるようになった。エヴァに恋をする。
- マグダ・シブルスカ(アンジェラ・サラフィアン)
- エヴァの妹。肺結核に罹り、病棟で半年間拘置されることになる。
映画『エヴァの告白』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エヴァの告白』のあらすじ【起】
1921年1月、ニューヨーク、エリス島。ポーランドから移民してきたエヴァは、妹のマグダと入国審査の順番を待っていた。その時、マグダが咳をしているのを役人に見られ、医師を呼ばれてしまう。診断の結果は、感染症の疑いがある肺病だった。詳しい検査と療養が必要なため、マグダは病棟で半年間拘置され、回復しなければ送還されることが決まる。
エヴァはマグダのことが気がかりだったが、自分の力ではどうすることもできなかった。頼りにしていた叔母は迎えに来ず、教えてもらっていた住所も出鱈目だった。審査官はエヴァと面談した結果、船上で問題行動を起こしたこともあり、送還することを決める。エヴァが壁際で泣いていると、旅行者援助会のブルーノの姿が目に入った。エヴァはブルーノに声を掛け、働かせて欲しいと頼んだ。ブルーノはエヴァの事情を知り、雇うことを決めた。
エヴァはブルーノの家に連れて行かれるが、そこには小さな子供がいた。エヴァは異様な雰囲気を感じ出て行こうとするが、ブルーノに説得され家に留まることを決める。ブルーノが仕事に出かけた後、エヴァは子供にブルーノが父親なのか問い掛けた。子供はお隣さんだと答えた。
エヴァはブルーノからマグダの診断結果を教えてもらう。マグダは結核で高額な治療費が必要だった。ブルーノはツテがあるので、お金さえ払えば治療前でも引き取ることは可能だとエヴァに教えた。
エヴァがブルーノに連れられて風呂場に行くと、大勢の女性達がいた。女性達はエヴァと似たような境遇の者で、ブルーノの元で働いていた。風呂に入った後、エヴァは針子として働くため、ブルーノの職場である劇場に顔を出した。そこで、エヴァはブルーノや劇場で働く人達と食事を食べた。その時、エヴァはお金を盗んでしまう。
帰宅後、エヴァはロケットペンダントの家族写真を見ながら、両親やマグダのことをブルーノに話した。エヴァは目の前で兵士に両親を殺されていた。ブルーノはエヴァを抱きしめて慰めようとするが、エヴァはそれを拒んだ。すると、突然ブルーノが激高し、盗みを働いたことを怒りだした。エヴァは震えながら、謝罪の言葉を口にした。
映画『エヴァの告白』のあらすじ【承】
エヴァはブルーノに命令され、踊り子として働くことになった。エヴァは何もできず、ただ顔を強張らせながら舞台上を歩いた。前半の舞台終了後、エヴァは他の踊り子からお酒を無理矢理飲まされる。他の踊り子達は、ブルーノに関心を寄せられているエヴァのことが気に入らなかった。
有名な婦人服店の店主が控室を訪れ、息子(レオ)を男にするために人を買わせて欲しいとブルーノに頼んだ。店主が指名したのはエヴァだった。ブルーノはまだ新人なので相手をするのは無理だと断った。エヴァを家に帰そうとするが、泥酔状態のエヴァは気を失ってしまう。エヴァが目を覚ますと別室に寝かされていた。しかも、レオがエヴァの体を触ろうと、手を伸ばしているところだった。エヴァが触れられるのを嫌がったため、ブルーノが部屋に現れる。マグダを助けるために必要だと言われ、エヴァはレオの手を受け入れた。
エヴァはブルーノにレストランに連れて行かれるが、気分が晴れず食欲はなかった。娼婦の仕事をさせたブルーノのことも、娼婦に身を落とした自分のことも許せなかった。だが、ブルーノはエヴァに愛を囁き、嫌いにならないでくれと懇願した。その夜。エヴァは叔母の住所を道行く人に尋ね、無事に叔母と再会を果たす。叔父がエリス島に迎えにきていたことが判明し、エヴァは困惑するが、再会できた嬉しさの方が勝った。
エヴァが目を覚ますと警察官達に取り囲まれていた。エリス島に行った叔父がエヴァの船上での問題行動を耳にし、体面を守るために警察に通報したのだ。叔母は夫を非難するが、夫は妻の願いを聞き入れなかった。
エヴァはエリス島に勾留された。マグダに会いたかったが、役人に無理だと断られる。だが、慰問ショーがあるので、もしかしたらそこで会えるかもしれないと教えられる。エヴァは聖母マリアに、マグダに会わせて欲しいと祈りを捧げた。その夜、エヴァは慰問ショーを見に行くが、観客席にマグダの姿はなかった。
映画『エヴァの告白』のあらすじ【転】
ブルーノがエヴァを迎えにきた。エヴァはブルーノを信用できなかったが、他に頼る人がいなかった。お金をもっと稼がせて欲しいと頼み、くれないと無断で営業していることを警察に言うと脅した。ブルーノは微笑みながら、警察にお金を渡すならエヴァに渡すと告げて了承した。
エヴァは娼婦として働き始めた。愛想笑いをしながら接客をし、チップを貰えるまでになった。エヴァはブルーノにお金を貰うため、劇場に顔を出した。裏から舞台を見ると、慰問ショーでマジックをしていたオーランドの姿があった。ブルーノはエヴァがオーランドを見ていることに気づき、顔を強張らせた。しかも、オーランドもエヴァに惹かれている様子だった。ブルーノは体を張ってエヴァ達をしゃべらせないようにした。
オーランドはエヴァを引っ張り、舞台に上がらせた。だが、酔っ払った客達から売女と声を掛けられ、エヴァは侮辱される。ブルーノはエヴァが傷つけられるのに我慢できず、この状況を作ったオーランドを殴りつけた。ブルーノ達の喧嘩は白熱し、会場は騒然となった。劇場のオーナーに怒られ、ブルーノは娼婦達を連れて劇場を飛び出した。
エヴァ達は路上で商売をすることになった。エヴァが少年と部屋に行くと、オーランドが現れる。オーランドが少年にお金を払って、エヴァを呼び出すように仕組んだのだ。オーランドはエヴァに劇場でのことを謝罪した。エヴァはオーランドが娼婦のことを見下していないことを感じ、肩の力を抜いた。その頃、ブルーノは少年から渡されたお金が偽札だったことに気づき、急いでエヴァの元に向かっていた。だが、部屋にいたのは少年ではなくオーランドだった。ブルーノはエヴァを部屋から退出させると、オーランドにエヴァに近づくなと忠告し、刃物を握って襲いかかった。エヴァは急いで警察官を呼びに走った。
オーランドはすぐに釈放されたが、ブルーノは明日まで勾留されることになった。他の娼婦はエヴァが来てから滅茶苦茶になったと声を上げて怒った。
映画『エヴァの告白』の結末・ラスト(ネタバレ)
エヴァはオーランドに会うため、劇場を訪れた。オーランドから全米ツアーに一緒に行こうと誘われるが、エヴァはマグダを置いて行くことはできなかった。次の日の朝、エヴァは拘置所から出てきたブルーノを迎えに行った。帰宅すると、ブルーノは銃を手入れしながら、オーランドとは2度と会わないようにエヴァに忠告した。オーランドに恋人をとられた過去があり、心から憎んでいた。
エヴァは教会で祈りを捧げた後、告解室に足を運んだ。エヴァは移民船で、男達に乱暴されたことを話した。エヴァの告白はまだ続き、ブルーノの気持ちを利用して、お金を稼いでいることを懺悔した。ブルーノは部屋の外で、エヴァの告白を聞いていた。
エヴァが部屋にいると、窓からオーランドが現れる。興行主と対立してツアーが中止になり、戻ってきたのだ。エヴァはブルーノがベッドの下に銃を隠し持っていることを教え、危険だから逃げてくれと頼んだ。しばらくして、ブルーノが家に帰ってきた。エヴァはオーランドに逃げるように声を掛け、ブルーノを出迎えた。ブルーノは今までのことを謝罪して、明日妹に会えるように手配するとエヴァに約束した。その時、オーランドが銃を持って現れる。オーランドはブルーノに銃を突きつけると、エヴァを解放しろと脅した。銃の引き金を引くが、弾は入っていなかった。しかし、命の危機を感じたブルーノはオーランドを刺殺してしまう。それを他の娼婦が部屋からこっそり見ていた。
次の日、ブルーノ達が路地で営業をしていると、突然警察が現れる。警察官はエヴァを逮捕しようとしていた。殺人を目撃した娼婦は、エヴァが犯人だと嘘の密告をしていた。ブルーノはエヴァを地下水路に隠すが、ブルーノは見つかってしまい警察に暴行される。
エヴァはマグダを連れて逃げるため、2度と会わないことを条件に叔母にお金を借りた。そして、ブルーノのツテを頼ってエリス島に足を踏み入れた。マグダが出てくるのを待っている間、ブルーノはカリフォルニア行の切符をエヴァに渡した。ブルーノが行けば警官達が追ってくるため、一緒に行くことはできなかった。エヴァが感謝の言葉を述べると、嵌めた男に感謝を伝える必要はないと拒んだ。ブルーノはエヴァを一目見たときに商売に利用しようと思い立ち、審査官を買収したことを打ち明けた。その後、エヴァのことが好きになっても仕事に利用するぐらい、自分は屑人間なのだと言い募った。エヴァはブルーノを抱きしめ、あなたは屑じゃないと伝えた。
エヴァは出てきたマグダを抱きしめ、一緒にボートに乗った。ブルーノはその姿を目に焼き付けた後、1人淋しく帰っていった。
映画『エヴァの告白』の感想・評価・レビュー
ラブストーリーと言うには、とても苦味を感じる作品だった。エヴァの波乱に満ちた人生が、あまりにも悲しい。きっと彼女は高望みはせず、家族と平凡に生きることを願っていただけなのではないだろうか。マグダと再会した後、幸せな人生が待っていて欲しいなと願わずにはいられない。
ブルーノの不器用な生き方も、苦しいなと思った。エヴァのことを愛していたのであれば、別の選択肢を選んで欲しかった。きっと後悔を抱えながら、これから生きていくのではないかと思う。(女性 30代)
マリオン・コティヤールがとても美しく、魅力的な作品です。彼女の瞳の奥にある「強さ」のようなものがものすごく輝いていました。美しい顔立ちでありながら、芯のある強い女性を演じさせたらピカイチです。『パブリック・エネミーズ』で演じていたビリーも強くて自分で立ち上がろうとする女性でした。
今作で彼女が演じたエヴァはとにかく悲しく、辛く、過酷な目に遭いながらも立ち上がります。ホアキン・フェニックスやジェレミー・レナーなどキャストも豪華でとても見応えのある作品でした。(女性 30代)
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