映画『悪の法則』の概要:『エイリアン』のリドリー・スコット監督&豪華キャストが織りなすクライム・サスペンス。有能な弁護士が出来心から手を出した麻薬ビジネス。それがきっかけで、彼と周りの人々の生活が揺るがされていく……。
映画『悪の法則』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:サスペンス、フィルムノワール
監督:リドリー・スコット
キャスト:マイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム etc
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映画『悪の法則』の登場人物(キャスト)
- カウンセラー(マイケル・ファスペンダー)
- 有能な若手弁護士。名前は明かされず、皆から「カウンセラー(弁護士さん)」と呼ばれている。ちょっとした出来心から、友人ライナーの誘いで麻薬ビジネスに手を出した。
- ローラ(ペネロペ・クルス)
- カウンセラーの恋人。信心深く悪事とは無縁。カウンセラーを深く愛している。カウンセラーの麻薬取引失敗を機に、事件に巻き込まれていく。
- マルキナ(キャメロン・ディアス)
- 元ダンサーでライナーの恋人。背中に豹柄のタトゥーがある。セクシーだが、何を考えているかわからない、ミステリアスな女性。
- ライナー(ハビエル・バルデム)
- カウンセラーの友人で大富豪。カウンセラーを麻薬ビジネスの道に誘う。マルキナと付き合っており、彼女に魅入られながら、本能的に恐怖を感じてもいる。
- ウェストリー(ブラッド・ピット)
- 麻薬の仲買人。マルキナの紹介で、カウンセラーに麻薬取引をあっせんする。白いカウボーイハットにスーツといういでたちで、どことなく謎めいた雰囲気。
映画『悪の法則』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『悪の法則』のあらすじ【起】
メキシコとの国境付近に位置する、テキサス州エル・パソ。弁護士のカウンセラーは、恋人のローラとの逢瀬を楽しんでいた。
メキシコ、ファレス市。デザート・スター下水処理会社に向かうトラックが出発。トラックにはコカインが隠されていた。
オランダ、アムステルダム。カウンセラーは宝石店で、ローラに贈る婚約指輪のダイヤモンドを選んでいた。宝石商は“警告のダイヤ”と呼ばれるダイヤを見せ、「ダイヤを贈ることは“闇に落ちない“と宣言することだ」と暗に選択への警告をほのめかす。
カウンセラーは友人ライナーの豪邸を訪ねる。ライナーに誘われて、カウンセラーは一度だけと、麻薬ビジネスに手を染めようとしていたのだ。ライナーは一度この道に足を踏み入れれば抜けることは難しいと、暗に警告する。
ローラとディナーに来たカウンセラーは、指輪を渡しプロポーズする。彼女の答えはもちろん“イエス”。ローラはマルキナに指輪を見せる。
カウンセラーはライナーの誘いを受けることにした。カウンセラーはライナーの紹介で、麻薬の仲買人であるウェストリーを訪ねる。カウンセラーはこれから始めるビジネスについてウェストリーから詳細を聞く。取引するブツの利益は2000万ドルほどにのぼる。ウェストリーもライナー同様、カウンセラーに「危険なビジネスだ」と警告する。
映画『悪の法則』のあらすじ【承】
テキサス州立刑務所。カウンセラーは担当している女性囚、ルーシーと面会していた。彼女の息子がバイクのスピード違反で逮捕されたのだ。カウンセラーは彼の保釈金を建て替えることにする。
デザート・スター下水処理会社のトラックが国境を越えてアメリカに来た。運転手はトラックとトラックの部品をわたして金を受け取る。
カフェでバイクの運転手が男と何かをやり取りしている。バイクの運転手は男から何かを受け取り、ヘルメットに隠した。それを1組の男女が見張っていた。
カウンセラーとライナーは、開店準備中のライナーのクラブで会っていた。ライナーはマルキナの異常な性癖について話す。ライナーはマルキナに惚れていたが、同時に何か怖さを感じていた。
1人の男が、特定のバイクの高さに合わせて道路にワイヤーを張っている。カフェで取引を見張っていた男だ。1台のバイクが通り、運転手がワイヤーに首を切断され殺されてしまう。運転手は保釈されたルーシーの息子で、先日カフェで何かをやり取りしていた人物でもあった。男はルーシーの息子のクビとヘルメットを奪い去る。さらに男は、ヘルメットに隠されていたトラックの部品を使い、コカインを積んだトラックを盗み出した。
映画『悪の法則』のあらすじ【転】
ウェストリーから「問題があった」とカウンセラーに電話がかかってきた。カウンセラーは急いでウェストリーに会いに行く。ウェストリーは運び屋の“グリーン・ホーネット”と呼ばれる男が、首を切断され殺されたと話す。コカインも奪われてしまった。“グリーン・ホーネット”はルーシーの息子で、カウンセラーが彼の保釈にかかわっていたことから、組織はカウンセラーを疑うだろう。ウェストリーはそう危惧していた。ウェストリーは身を隠す。
男の乗ったトラックが警官に止められる。銃撃戦となり男は死亡。しかし男を殺したのは偽警官で、男と同じ人物に雇われていた。足がつかないための計画だ。偽警官はトラックを引き継ぎ目的地へ向かう。
カウンセラーはライナーを訪ねる。状況は深刻だ。組織はカウンセラーに出し抜かれたと考えていた。2人の会話はマルキナにも盗聴されていた。カウンセラーはローラに連絡を取り、アイダホ州で落ち合う約束をする。
ライナーは組織の車に追われていた。組織は彼を生け捕りにするはずが、撃ち殺してしまう。カウンセラーはライナーと連絡がつかず、不安を抱えたままアイダホへ飛ぶ。
アイダホへ向かうローラに組織の手が迫っていた。ローラは組織に誘拐されてしまう。カウンセラーがいくら待っても、ローラは現れない。カウンセラーは知り合いの弁護士にローラの件で相談するが、望みは少なかった。
マルキナは誰かと電話していた。「ブツは必ず手に入れる」「トラックの居場所はわかっている」と話している。
シカゴにトラックが到着、コカインが換金される。
映画『悪の法則』の結末・ラスト(ネタバレ)
カウンセラーはメキシコの有力者に電話していた。助けてほしいと頼むカウンセラーに、有力者は自分の選んだ運命だ、受け入れろと諭す。カウンセラーは自分の選んだ道を心から悔いていた。人生を取り戻すことはできないのだ。
ウェストリーはロンドンに高飛びしていた。ホテルでウェストリーは、ブロンド女性に出会い声をかける。しかしこのブロンド女性は、マルキナに雇われていたのだ。ウェストリーは殺され、パソコンの入ったスーツケースをマルキナに奪われてしまった。ブロンド女性が得た情報によって、マルキナはパソコンから投資銀行の情報を得る。
メキシコで悲しみに沈むカウンセラーの元に、1枚のDVDが届く。ローラの死を悟ったカウンセラーは泣き崩れる。ローラの死体はゴミ処理場に捨てられた。
マルキナは共犯者で友人の投資アドバイザーと会っていた。マルキナは手に入れた2000万ドルをダイヤに変え、香港に飛ぶつもりでいた。彼女は自分の行ったことを少しも悪びれず、ハンターが獲物をとらえる本能について語るのだった。
映画『悪の法則』の感想・評価・レビュー
「ノーカントリー」の原作小説の作者コーマック・マッカーシーが脚本という時点で、一筋縄ではいかない難解な映画になるのは約束されたようなものだと思う。設定自体は語られないからややこしいが、おそらくもし語られていたら単純な関係性なんだとは思う。それを不可解な状況として描いているのは、まさにこの世界の理(ことわり)が不可解である、というメッセージであるからだろう。
ラストのキャメロン・ディアスの「空腹よ♪(I’m famished.)はかなりの名台詞だと思うが、実際にはあまり話題にならなかったのが寂しい。(男性 30代)
ブラット・ピットやキャメロン・ディアスら豪華キャストを用いて演技力も何も言う事がない程の完璧な作品。
悪の法則つまりは因果応報という言葉がとてもしっくりくる。この世とは本当に不思議なもので悪いことをしたら必ずそれが帰ってくるというこの世の理がある気がしてならない。
この映画ではそのような教訓を反面教師として学ぶことが出来た。
またそれ同時に人間の欲というものは底がなく、いつまでも欲望というものは心の中に存在し続けるということも知ることが出来た。(男性 20代)
リドリー・スコットらしい巧緻なカッティングが映像のテンポを大きく助けており、気が付くとストーリーを追えていない。物語は闇社会に足を踏み入れた小悪党がいいように食い物にされてしまうという単純なものであるが、わかりやすい分岐点が示されず、いつの間にかそうなるように仕向けられていくという流れになっており、多くが語られないところがいわばお洒落なポイントだろう。リドリー・スコットが知らぬ間に訳知り顔の爺さんになってしまったような悲しみも感じるが、ここは素直に質の高い映画を楽しもう。(男性 30代)
とにかく冷徹で、ただただ素晴らしい。リドリー・スコット作品ってこういうことです。ブラッド・ピットにキャメロン・ディアス、そしてペネロペ・クルス。最高に豪華なキャストが最高に面白い、いい意味で最悪な作品を作りました。リッチな世界とそれを支える、底辺の世界。そこで生きる人たちの描き方が本当にリアルで、映像技術が素晴らしいです。
一度その世界に入ったら抜け出せない。「悪の法則」ってまさにそういうことです。かなり過激なシーンも多いので、苦手な方は注意して見てください。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
主演の“カウンセラー”役にマイケル・ファスベンダー、純粋な恋人ローラ役にはペネロペ・クルスが、そしてペネロペ・クルスの夫ハビエル・バルデムが“カウンセラー”の友人のライナー役に配役された。
ヒョウ柄のタトゥーを左肩から背中に入れて2匹のチーターを飼っている、自由奔放な性格のライナーの愛人マルキナ役にはキャメロン・ディアス、ミステリアスな麻薬ディーラーのウェストリー役にはブラット・ピットがキャスティングされ、メインキャストの豪華さが目を引く。
かの有名なアルマーニとのコラボレーションが行われ、ヴェルサーチ、クリスチャン・ルブダンといったブランド品も数多く使用されている映画。
ヒョウ柄のタトゥーを上手く生かしたデザインのマルキナの衣装や、ローラがさらわれてから自暴自棄になり着替えることもなくなった“カウンセラー”の、ヨレヨレになることをまでも想定したような衣装は上手くできている。
ストーリーにまとまりがなく、早い展開やスピード感に乗せられてハラハラドキドキするという展開よりは、作品を見ながらどう進んでいくかを想像しつつ、味わうような作風になっている。
“カウンセラー”とライナーの最初の会話に出てきた「ボリート」という殺人兵器が終盤でウェストリーを殺める道具として使われている。
また、ウェストリーが“カウンセラー”に語った、殺人の様子などを収めた過激な内容と思われるDVDが“カウンセラー”を絶望の底に追い詰める事になるなど、バラバラのようなストーリーが忘れた頃に繋がってくるという意外な展開を見せる。
しかしどこがどう繋がっているかをわかりやすく見せることはなく、見ている側に丸投げしているので集中しなければならない。
また、DVDの仕様や設定で見る事ができるのかはわからないが、メキシコでの会話やエンドロールの後のテロップに日本語訳の字幕や吹き替えなどが存在しないのは、不親切だろう。
主要登場人物5人が2人以上集まるシーンがほとんどないのは面白い演出だ。
サスペンススリラー映画だが、事件が起こって登場人物が巻き込まれていくという内容ではなく、自分の選択によって絶望的なラストに進むという哲学的なストーリー。
有名な哲学者のニーチェの言葉に似通った台詞や、印象を強く受けたと思われる設定が多く、物語としても難しい印象が全面に出ていて解説無しでは理解しにくい映画になってしまっている。
見方によっては奥が深く、よく考えずに行った選択が自分と周囲を破滅に導く結果になるという、教訓めいた部分も見受けられる。
キャストの豪華さやアルマーニとのコラボレーションが行われた衣装も目を引き、まるでファッションショーのように独創的。
主人公の名前は一度も呼ばれることがなく、「カウンセラー」や「弁護士さん」としか呼ばれないのも独特な印象を与えるものになっている。