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映画『甘い鞭』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『甘い鞭』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『甘い鞭』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『甘い鞭』の結末までのストーリー
  • 『甘い鞭』を見た感想・レビュー
  • 『甘い鞭』を見た人におすすめの映画5選

映画『甘い鞭』の作品情報

甘い鞭

製作年:2013年
上映時間:118分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:石井隆
キャスト:壇蜜、間宮夕貴、中野剛、中島ひろ子 etc

映画『甘い鞭』の登場人物(キャスト)

岬奈緒子(32歳:壇蜜 / 17歳:間宮夕貴)
不妊治療を専門とする勤務女医。その一方でSMクラブの売れっ子M嬢「セリカ」としての顔も持つ。そんな彼女には、1ヶ月拉致監禁され暴行され続けた凄絶な過去のトラウマがあった。
藤田赳夫(中野剛)
17歳の奈緒子を誘拐した男。地下室に幽閉し様々な暴行を加え奈緒子を凌辱するが、1ヶ月ののち奈緒子に殺害される。
岬加代子(中島ひろ子)
奈緒子の母親。暴行された奈緒子を受け入れられずに末期がんで死ぬまで奈緒子とは和解しきれず溝は埋まらなかった。
木下景子(屋敷紘子)
奈緒子がセリカとして働くSMクラブの社長。S嬢としても働いている。
醍醐(竹中直人)
SMクラブの上得意。S嬢である木下景子をいたぶるため、M嬢セリカとの立場逆転を要望する。
神山(伊藤洋三郎)
真性のサディストと木下景子に言われている。真性のM嬢としてセリカを指名する。

映画『甘い鞭』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『甘い鞭』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『甘い鞭』のあらすじ【起】

17歳の奈緒子はその日水泳部の練習に出かける。普段と同じ他愛もない会話を交わし、娘を見送る母親。しかしその日の夕方、娘奈緒子が帰ってくることはなかった。激しい夕立の降る中、奈緒子は自宅近くの丸い屋根の家に住む男、藤田赳夫に地下室へ拉致される。

一向に帰ってこない娘を案じて警察へ通報するも、事件性がないと判断され聞き込みだけの対応がされる。それから1ヶ月後、若い警察官と玄関先で世間話をする母親のもとへ、突如裸でバスローブをまとった血だらけの少女が現れる。

変わり果てながらも戻ってきた娘を見て、母は歓喜して涙を流し抱きしめるどころか、まるで化け物でも見るかのような冷めた眼差しを向ける。父親もどう接していいのか困惑し、その後単身赴任先で病死。凄絶な日々を過ごしてきた奈緒子は、家族に受け入れられるどころか唯一の居場所さえなくす。

深く傷つき妊娠していた奈緒子に、検査から堕胎までを担当した女医は何度も何度も繰り返し「大丈夫」と声をかけ、強く抱きしめる。暖かな湯のような存在の女医が冷え切った奈緒子の心を癒し、彼女も医者になろうと決意させる。

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映画『甘い鞭』のあらすじ【承】

15年後、岬奈緒子は不妊治療を専門とする女医として活躍している。しかし、どれだけの時間が経ち、人々から忘れ去られようとも、奈緒子の中からあの事件が消えることはない。末期がんを患いホスピスに入っている母親も、片時も忘れさせないかのように奈緒子に会いに来るよう電話を寄越す。会いに行くたびに奈緒子がどれだけ自分を憎んでいるかと愚痴る母親。事件後奈緒子が立ち直ろうとも、それまで存在して幸せな家族は二度と戻ってくることはなかった。

母親の病室で奈緒子は着替えをする。勤務医とは別の夜の仕事。SMクラブでのM嬢の仕事。真っ黒な衣装に派手な化粧を施した奈緒子は「セリカ」に変身する。クラブのオーナー木下景子が所有している廃倉庫に車を走らせ、今宵も指名してくる客の前で四つん這いになり鞭で打たれる。客の要望に従って体を縛られM字開脚につるし上げられる。

脳裏に浮かぶのは、激しく抵抗し逃げようとする奈緒子を縛り、天井から吊るしあげる藤田赳夫。どれだけ奈緒子が泣き、許しを請おうとも藤田はズボンのベルトを奈緒子に向って振り下ろす。最後には泣きながら奈緒子に謝罪し、藤田はいつも一方的な愛を告げる。

映画『甘い鞭』のあらすじ【転】

2夜続けてセリカにM嬢の仕事が入る。上得意の醍醐はオーナーでS嬢の木下景子をベッドに縛り付けると、セリカに鞭を渡し木下景子をいたぶるように命じる。初めて経験する痛みを必死にこらえる木下景子を見て、セリカの中に17歳の奈緒子がよみがえる。

地下室で常に裸で過ごし、過度のストレスと度重なる性交渉により熱を出した奈緒子。そんな彼女を必死に看病する藤田。弱々しくベッドに横たわる奈緒子に、藤田は両親が亡くなって10年、一人寂しかった身の上を語る。しかし、奈緒子にとってそんな話はどうでもよく、彼女の脳裏には常にいつ殺されるのかという恐怖が支配していた。奈緒子は藤田が食べさせたリンゴをわざと吐き出し、吐しゃ物を片付ける藤田の目を盗んで果物ナイフをベッドマットにそっと隠す。

過去の自分が木下景子に重なり、セリカは一心不乱に鞭を振り下ろし続ける。やめてと叫び声をあげる木下景子を見ていると、セリカの口の中に奇妙な味が広がる。それは15年前に感じた甘い味を彷彿とさせるが、奈緒子が求めているものとは違っていた。

映画『甘い鞭』の結末・ラスト(ネタバレ)

醍醐とのSMプレイを終わらせた木下景子から、3夜連続だが指名が入っていると告げられる。真性のサディスト、神山という男。SMクラブに入ってから2年、15年前に感じた甘い味の記憶を思い出したいと思っていた彼女は、その男に会えば思い出せるかもしれないと期待に胸を膨らませる。

神山は初めて会った奈緒子に、「お前を殺す」と告げる。SMクラブは安全が保障されたうえで行われるプレイ。だが神山はSMクラブの契約を無視してセリカの首を締め上げ、ナイフで衣服を破り捨てると一番痛みを伴う鞭でセリカの白い肌を傷つける。セリカの脳裏には「殺される」という恐怖がめぐり、神山からは見えないように隠しながらナイフを手に取り、セリカを犯してと腰を振り誘う。興奮してセリカの上にまたがる神山。

激しい痛みは、果物ナイフの紛失に気付き奈緒子をベルトで痛めつける藤田と重なる。17歳の奈緒子の身体中に夥しい数の傷跡ができる。ベッドマットに隠していたナイフをバスローブに忍ばせた奈緒子は、血液で汚れたシーツや部屋を掃除するために戻ってくる藤田を待つ。戻ってきた藤田に、忍ばせていた果物ナイフを勢いよく突き刺す。2人で一緒に過ごしたいと言い息絶えた藤田をベッドまで引きずり、奈緒子は彼が一緒に踊りたいと言っていたワルツを流してあげた。

セリカは神山の腹部に何度も何度も憎しみを込めてナイフを突き立てる。息絶えた神山からナイフを抜き、手についた神山の血をそっと舐める。よみがえるあの甘い味。セリカと神山の異変に気付いた木下景子と用心棒の鳴海が駆けつける。セリカの目にはあの日自分を拒否した母と父が映し出される。「怒らないで」と母に許しを請いながら、抱きしめようとする母と父にナイフを突き刺す。足元に倒れた木下景子と鳴海の死体。

セリカはゆっくりと歩きだし、目の前にもう1人いた17歳の自分にナイフを振り上げる。そのとき背後からそっと白い手が伸びてきて、自らを傷つけようとするセリカを制止した。

映画『甘い鞭』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

すごいものを見てしまったと興奮する気持ちと、後悔する気持ちが共存します。血が苦手な方は絶対に見ないでください。そして、壇蜜目当ての方も「壇蜜の裸が見れる」と軽い気持ちで見始めると、後悔します。
ただのAVのようなアダルト作品でもないし、ホラーというにはアダルト要素が強すぎるし、なぜR18では無いのかが不思議です。
とにかく、壇蜜だから成り立った作品。彼女じゃなければ、きつくて見ていられませんでした。(女性 30代)


思春期に経験したトラウマが大人になった主人公・奈緒子の内面にどのような影を落とし、それをどう乗り越えていくかに焦点を当てた作品でした。彼女が外科医として社会的に成功している一方で、別の顔を持っているという二面性がとても人間らしく、苦しさと強さが共存している姿に惹かれました。(30代 女性)


奈緒子の過去と現在の葛藤が丁寧に描かれており、表面上は冷静で完璧に見える彼女の心の揺らぎが痛々しくもリアルでした。過去の出来事が癒えることのない傷となり、それが今の自分の一部になっているというテーマには共感できる部分もあり、心に残る作品でした。(40代 男性)


衝撃的な内容ながら、非常に繊細に構成された心理ドラマだと思いました。過去の記憶と向き合うことがどれほど困難か、それを描いた本作は、ただのセンセーショナルな映画ではなく、人間の弱さや再生について深く考えさせてくれます。主演の壇蜜さんの表現力が見事でした。(20代 女性)


奈緒子の「普通ではいられない」生き方に、共感はできなくとも理解しようと努めてしまう自分がいました。社会的な顔と本当の自分の間で揺れる姿は、誰しもが少なからず持っている感情なのではないかと思います。全編を通して静かな緊張感があり、心をざわつかせられました。(50代 男性)


非常に内向的な映画で、登場人物の心の動きが映像で丁寧に描かれていたのが印象的です。奈緒子という人物がどんなふうに生き延びてきたのかを知るたびに、彼女の選択が必ずしも“異常”とは言い切れない複雑な気持ちになります。観たあとに語り合いたくなる作品です。(30代 女性)


奈緒子が過去の自分を乗り越えるために選んだ道が正しいのかどうかは分かりません。ただ、彼女なりに必死に生きてきた結果なのだと思います。過去は変えられなくても、自分との向き合い方は変えられるということを教えてくれるような映画でした。重く深いテーマに圧倒されます。(20代 男性)


「人はどうやって心の傷と付き合っていくのか」その問いに真正面から挑んでいる映画でした。奈緒子の姿を通して、過去に囚われながらも一歩ずつ歩みを進めることの難しさと美しさが伝わってきました。劇伴の静けさも、感情の動きを引き立てていて印象的でした。(60代 女性)


幼少期や思春期の経験が、その後の人生にどれだけ影響を及ぼすかを描いた作品で、ただのショッキングな内容では終わらせない深みがありました。奈緒子の「過去を見つめ直す」行為は、どこか自分自身の痛みを肯定していくようで、静かに感情が揺れ動かされました。(40代 男性)


主人公の内面描写がとても細やかで、観る側に静かな共感や戸惑いを与えるような構成でした。社会的には成功しているのに、自分の心の空白を埋めることに必死な姿は、人間の本質に迫っているようにも思えました。単なる過激なテーマにとどまらない、重厚な人間ドラマでした。(30代 男性)

映画『甘い鞭』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『甘い鞭』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

冷たい熱帯魚

この映画を一言で表すと?

日常が少しずつ壊れていく恐怖と、目をそらせない人間の業の深さ。

どんな話?

小さな熱帯魚店を営む男が、カリスマ的な存在の男に出会い、その関係性の中で平穏な日常が狂気へと変貌していくサスペンス・ドラマ。実際の事件をモチーフにしながら、人間の暗部をえぐり出す衝撃作。

ここがおすすめ!

『甘い鞭』と同様に、静かな日常の裏に隠された人間の本性を描いています。園子温監督の大胆な演出と、役者陣の鬼気迫る演技が心に残ります。倫理と暴力、欲望と理性の境界線が問われる作品です。

復讐するは我にあり

この映画を一言で表すと?

人間の裏側を丹念に描き出す、日本映画史に残る問題作。

どんな話?

昭和期に実際に起きた連続殺人事件を基に、逃亡生活を送る男の姿とその内面を淡々と描いた社会派ドラマ。善悪の境界があいまいな人間の本質に迫る作品で、観る者の価値観を揺さぶる。

ここがおすすめ!

社会の中で生きる“顔”と内なる衝動とのギャップを、『甘い鞭』と同じく描いています。緒形拳の演技力は圧巻で、観終わったあとも心にざらつきが残る、考察に値する一本です。

他人の顔

この映画を一言で表すと?

仮面の裏に隠された「本当の自分」に向き合う心理劇。

どんな話?

事故で顔に大きな火傷を負った男が、顔を隠すマスクを手に入れることで別人格のように行動し始める。人間のアイデンティティとは何か、外見と内面の関係性を問いかける哲学的な物語。

ここがおすすめ!

『甘い鞭』と同様に、社会的仮面と心の奥にある本音の間で揺れる人間心理がテーマです。難解ながらもビジュアルと構成が秀逸で、自己認識に関する深い問いを投げかけてきます。

ヘルタースケルター

この映画を一言で表すと?

美しさと名声に取り憑かれた女の、華やかで壊れていく人生。

どんな話?

トップモデルとして完璧な美を手に入れた主人公・りりこが、表舞台の栄光と引き換えに、心と体をすり減らし崩壊していく様を描く。中村うさぎの同名漫画を実写化した衝撃作。

ここがおすすめ!

『甘い鞭』同様、女性の二面性や社会的役割と本当の欲望とのギャップが描かれており、沢尻エリカの圧倒的な存在感も見どころです。華やかな世界の裏側に潜む孤独と狂気に圧倒されます。

愛の渦

この映画を一言で表すと?

欲望むき出しの空間で浮き彫りになる人間の本質。

どんな話?

匿名のまま集まった男女が“とある一夜”を共に過ごすという極限的な状況下で、人間関係、欲望、羞恥、そして自己認識が複雑に絡み合っていく密室劇。舞台劇の映画化作品。

ここがおすすめ!

表面的な性描写ではなく、むしろ人と人との関係性、見栄や孤独、承認欲求のリアルな描写に重きが置かれています。『甘い鞭』に通じる“自分の輪郭”を探す心理描写が魅力です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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