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映画『あん』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『あん』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『あん』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『あん』の結末までのストーリー
  • 『あん』を見た感想・レビュー
  • 『あん』を見た人におすすめの映画5選

映画『あん』の作品情報

あん

製作年:2015年
上映時間:113分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:河瀬直美
キャスト:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子 etc

映画『あん』の登場人物(キャスト)

店長さん(永瀬正敏)
どら焼き屋の店長さん。昔暴力事件を起こし、世話になった先代のお店を継ぐ。人と距離をとりながら生活するが、トクエさんと出会い次第に心を開いてゆく。
トクエさん(樹木希林)
どら焼き屋のアルバイト。若い頃ライ病を発症し、療養所に隔離されてしまう。あん作りの名人で彼女が作ったどら焼きは評判になる。
女子中学生(内田伽羅)
シングルマザーの家庭で育つ。高校進学をためらう多感な女子中学生。黄色いカナリアを飼っているが、大家さんにばれて家出する。
施設の友人(市原悦子)
トクエさんの親友。トクエサンの死後、カセットテープとあん作りの道具を店長さんに託す。

映画『あん』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『あん』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『あん』のあらすじ【起】

満開の桜の下、 ワケありの男(永瀬正敏)が、どら焼き屋をやっていた。
そこに、大きなサングラスをかけたおばあさん(樹木希林)が訪ねてくる。アルバイト募集の張り紙を見たらしい。
「あたしだめかしら。時給は300円でいいの」
男は、迷惑そうにおばあさんを追い払う。「またくるわね」と言い残しておばあさんは去った。そのお店には、できそこないのどらやきの皮をもらって帰る女子中学生(内田伽羅)がひとり。この子もワケありそうだ。

またおばあさんが訪ねてきた。彼女はトクエさんという。
「50年あんを作ってきたの。あんは気持ちよ。これちょっと食べてみて」
ビニール袋を押し付けて逃げるように去る。中には彼女が作ったつぶあんが入っていた。男は夜の居酒屋で女子中学生とまた会う。酔っぱらいながら興奮気味に話した。
「味も香りもぜんぜんと違う。びっくりするほどおいしいんだよ!」

桜の花が散って、ひさしぶりにトクエさんが訪ねてきた。
「もしよろしければ、手伝ってくれませんか?」
彼女はなぜか、涙を流した。
「どら焼きはあんが命でしょ?お天道様が顔を出す前に仕込みをはじめます。」
そんなこんなで2人のあん作りはスタートした。

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映画『あん』のあらすじ【承】

「豆の渋みが残るから。」
「ゆっくりね」
「湯気の香りが変わってきた」
「おもてなしだから」
「せっかく来てくれたんだから、畑から」
「いきなり煮たら失礼でしょ」
全く違う2人が力を合わせてあんを作る。なかなか息が合っている。独特な調理法で作ったどら焼きは、無事完成した。2人でどら焼きを食べる。トクエさんは、男のことを「店長さん」と呼んだ。
「ぼく、どらやきあんまり好きじゃないんです。甘党じゃないんですよ」
驚くトクエさん。
「じゃあなんで店長さんは、どら焼き屋をやっているの?」
意味深に微笑む店長さん。2人で作ったどら焼きは近所でも評判になっていった。

女子中学生は黄色いカナリアを飼っていた。シングルマザーの母親のもとで暮らす彼女。恋人と電話をする母親に反発を覚えていた。

ある日開店すると驚くことに、行列ができていた。トクエさんのあんが評判になり、近所の人が詰めかけたのだ。2人の顔に笑顔が浮かんだ。

映画『あん』のあらすじ【転】

ある日、オーナーの奥さんが突然訪ねてきた。トクエさんのことで話があるという。
「知り合いが言うには「ライ」じゃないかって。」
トクエさんの住所はライ病患者を隔離している療養所だった。ライ病とは、別名ハンセン病ともいい、一生隔離される病。近所の評判を気にして、トクエさんを辞めさせろと詰め寄る。
「少し、時間をください」
男はうつむきながら、そう言った。

いつものようにあんを作るトクエさん。そんな彼女を男は優しい目で見つめた。
「トクエさん、接客もしてください。自由にやっちゃってください」
彼の決心は固かった。
「指どうされたんですか?」
なにげなく、女子中学生が質問してしまう。男の表情が強ばる。
「これねー、若い頃病気して、指が曲がったままになっちゃったの。」
その場ではなんとかなったものの、彼女は図書館でライ病について知ってしまう。

どら焼き屋は、お客さんがぱったり来なくなってしまった。途方に暮れる2人。彼女の噂が近所に広まったからだ。店を去るトクエさんを何も言わず見送った。

ひとりでお店に立っているとトクエさんから手紙が届いた。
「あんをたいているときの私は、いつも小豆の言葉に耳をかたむけていました。ひいらぎが店長さんに声をかけろと言うんです。迷惑かけてごめんなさい。」

映画『あん』の結末・ラスト(ネタバレ)

家出した女子中学生が、カナリアをかかえて訪ねてきた。彼女は、昔、トクエさんにカナリアを譲る約束をしていたのだ。
「店長さん、トクエさんに会いに行きませんか?」
2人はバスに乗った。

そこは静かで木が生い茂っていた。鳥の声がする。歩いて行くとそこには楽しそうに談笑する患者の姿があった。
「綺麗な黄色ね」
久しぶりに会ったトクエさんは少し元気がなさそうだ。彼女は施設に来たときのことを語り始めた。遠くを見ながら、楽しそうに、悲しそうに。
「店長さん。楽しかったです。」
涙を流す店長さん。
「桜がきれいだった、楽しかった。」

店長さんはトクエさんに、手紙の返事を書いた。
「僕は、トクエさんとは違う理由で、社会に出られなかった時期があります。酒場で喧嘩をして、相手に重い障害を負わせてしまったのです。」
でもトクエさんは、二度と帰っては来なかった。3日前に、トクエさんは亡くなっていた。

トクエさんは施設の友人(市原悦子)にカセットテープとあん作りの道具をたくしていた。カセットテープがトクエさんの代わりにしゃべる。
「カナリアを早くに放してしまいました。ここから出してと言うんです。ごめんなさい。店長さんは私と同じ目をしていました。私に子供がいたらきっと店長さんぐらいだったでしょうね。」
トクエさんが眠る墓には、ソメイヨシノが植えられていた。春になったら満開の桜が咲くだろう。

映画『あん』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

人間の冷たさと優しさ、強さと弱さを感じることができる物語。樹木希林さんの自然な演技が素敵だった。トクエさんが他界してしまったのが悲しいというより寂しくて、また会いたいなと思うような温かな人柄だった。無知、無理解というのは人を差別するきっかけになるため、恐ろしいなと思った。自分も含め、人間は理解する努力をやめてはいけないと改めて感じた。後悔を抱える店長さんの未来が、少しでも明るければいいなと思う。(女性 30代)


とても素朴で温かい作品。樹木希林さんの独特な演技が日常の素朴さをより感じさせる。「あん」になるまでの小豆の旅のように、人もまた、出会いや時間の費やし方によって「人」としての味が変わっていく。店長である千太郎さんは徳江さんと出会い、また徳江さんは千太郎さんと出会い、お互いが出会わなければ生まれなかったであろう日常がそこにできたように。
誰かと出会うことで自分の中に新しい何かが生まれる。自分に何もなくても、出会い、そこで生まれる少しの変化がそれだけで素晴らしく、それがあるから人生は面白いのだと感じさせる作品であった。(女性 30代)


過去に問題を起こし、心を閉ざした主人公がどら焼き屋さんの店主となる。そこで働きだしたおばあちゃんのトクエさんがあんを丁寧に愛情をこめて作る描写にとても癒された。トクエさんを樹木希林が演じているが、自然で素朴な演技で彼女の出演作品は大好きだ。この映画でもその才能と魅力が溢れている。どら焼き屋さんに足を運ぶ中学生の女の子を、実の孫である内田伽羅が演じていて2人のやり取りにも注目だった。普段、考える機会の少ない社会問題を、映像作品やエンターテインメントを通して社会に目を向けてもらうことはとても重要であり、映画は学びだと感じさせてくれる作品のひとつ。(女性 30代)


こういう作品って樹木希林が出ているだけで、本当に深みが増して、温かくなりますよね。そして温かいのに悲しくて、大事にしなければいけないはずの「人」。その人こそが、一番残酷だということを思い知らされました。
とにかく目がパンパンに腫れるほど泣きました。樹木希林演じる徳江さん。もう徳江さんなんです。彼女が発するセリフの一つ一つが胸に響きすぎて、涙で見えなくなるほど泣きました。
軽い気持ちで言った誰かのその一言が、人生を狂わせ、終わらせることになるかもしれない。しかし、誰かが言ってくれたその一言が、人生を救うかもしれない。そんな「人」の繋がりを感じる作品でした。(女性 30代)


孤独だった店長とトクエさんの出会い、そこから生まれる温かくささやかな日常と変化を丁寧に描いた作品。そんな彼らを追い詰める人々の無神経さにも悪意はない。だからこそリアルで残酷で、観ていて苦しくなる。そして言うまでもないが、樹木希林さんの演技はずば抜けて素晴らしい。コロナの流行で大切なことを忘れてしまいがちな今、このタイミングで観てよかったと思える作品だった。(女性 20代)


木希林さん演じる徳江さんが、どら焼き作りを通じて人生を取り戻していく姿に胸を打たれました。徳江さんの秘密=ハンセン病の過去が明かされる瞬間、世間の無理解と偏見の重さに言葉を失いました。それでも徳江さんの温かな「餡」と人柄が、千太郎やお客さんたちの心を溶かしていく様子が感動的でした。(20代 女性)


徳江さんと千太郎の交流が進む中で、餡作りの奥深さだけでなく、生きる意味すら考えさせられました。過去の過ちに囚われた千太郎と、過去を背負いながらも前を向く徳江さんの対比が見事。特にラスト、徳江さんの手紙を読むシーンは涙が止まりませんでした。静かだけど深い余韻の残る映画でした。(40代 男性)


ハンセン病という重いテーマを扱いながらも、押しつけがましくなく、そっと寄り添うように描かれていたのが印象的でした。誰もが抱える「生きづらさ」を、餡作りという日常の営みを通して見事に表現。千太郎が最後に自分の道を歩み出す姿に、救いを感じました。温かい気持ちになれる一本です。(30代 女性)


若い頃には分からなかった「生きる意味」が、歳を重ねた今、深く刺さりました。徳江さんの「生きること自体に価値がある」という言葉に救われた思いです。千太郎がかつての自分を受け入れ、前を向くエンディングには希望があり、涙なしには観られませんでした。名作です。(60代 男性)


最初はゆったりした展開に退屈さも感じましたが、物語が進むにつれて心を掴まれました。差別や偏見の中でなお優しさを忘れない徳江さんに、尊敬しかありません。千太郎と徳江さんが作った餡には、単なる甘さ以上の「思い」が詰まっていて、観終わったあと心が温まりました。(10代 女性)

映画『あん』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『あん』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

湯を沸かすほどの熱い愛

この映画を一言で表すと?

「家族の絆と生きる力を、涙とともに描ききった心温まる物語」

どんな話?

突然余命宣告を受けた母が、バラバラになった家族を再生させるために奮闘するストーリー。親子の愛情、夫婦の絆、そして命の尊さを真正面から描きます。観る者すべての心を震わせる、温かくも切ない感動作です。

ここがおすすめ!

家族それぞれの傷や秘密が明かされていく過程で、観る人の心に寄り添うような優しさを感じられます。宮沢りえの圧巻の演技と、思わず涙があふれるクライマックスが必見。生きる力をもらえる珠玉のヒューマンドラマです。

しあわせのパン

この映画を一言で表すと?

「北海道の大自然と共に、人々の心を静かに癒す優しい物語」

どんな話?

北海道・洞爺湖のほとりにあるパンカフェを舞台に、訪れる人々の心の傷を、温かな食事と風景が癒していくストーリー。日常に疲れた人々が、ここで小さな再生を遂げる姿を優しく描いています。

ここがおすすめ!

映像美とゆったりした空気感に癒されること間違いなし。パンとコーヒーの香りがスクリーン越しに伝わってくるような感覚が味わえます。静かな時間を過ごしたい人にぴったりの、心温まる映画です。

誰も知らない

この映画を一言で表すと?

「静かに胸を打つ、子どもたちの過酷な日常と希望の物語」

どんな話?

母親に置き去りにされた子どもたちが、誰にも知られずに小さなアパートで暮らしていく姿を描いた実話ベースのドラマ。過酷な環境の中でも、子どもたちは小さな幸せを見つけながら生きようとします。

ここがおすすめ!

是枝裕和監督の緻密な演出と、主演・柳楽優弥の圧倒的な存在感が光る一作。静かな描写の中に、言葉にできない切なさと力強さが溢れています。社会の片隅に生きる人々のリアルを、丁寧に見つめた傑作です。

海街diary

この映画を一言で表すと?

「美しい四季とともに紡がれる、姉妹たちの心の再生物語」

どんな話?

鎌倉を舞台に、父の死をきっかけに出会った四姉妹の、家族としての絆が深まっていく様子を描いた物語。日常の中の小さな喜びや悩みを、丁寧に描き出します。優しさと温かさに満ちたドラマです。

ここがおすすめ!

緩やかに流れる時間、四季の移ろいとともに描かれる姉妹たちの成長に、心が洗われるような気持ちになります。演じる女優陣のナチュラルな演技も魅力的で、心にじんわりと染みる一本です。

小さいおうち

この映画を一言で表すと?

「昭和の時代背景の中で描かれる、秘めた恋と家族の物語」

どんな話?

昭和初期、ある一家に仕えた女中が抱え続けた秘密を、現代の孫世代が紐解いていく物語。時代の流れの中で、言葉にできなかった想いと、当時の人々の生き様が鮮やかに浮かび上がります。

ここがおすすめ!

山田洋次監督ならではの繊細な人間描写と、美しい美術・衣装に注目。ほろ苦くも温かな余韻が残る、上質なヒューマンドラマです。人の想いの深さと時代に流される切なさに心打たれます。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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