この記事では、映画『あなたへ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『あなたへ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『あなたへ』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:111分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:降旗康男
- キャスト:高倉健、田中裕子、佐藤浩市、草なぎ剛、余貴美子 etc…
映画『あなたへ』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『あなたへ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『あなたへ』のあらすじを紹介します。
富山の刑務所で指導教官を務める倉島(高倉健)。
病気で亡くなった妻の墓の準備をしていた時、NGO法人から妻からの遺志だと2通の絵葉書を渡される。
1通は「ありがとう」
もう1通は「故郷の海に散骨してください」だった。
倉島は散骨には反対であったが妻の遺志であることから、とりあえず故郷である平戸に向うことにした。
その車はキャンピングカー。
倉島は退職後、妻と改造したこのキャンピングカーで旅行に行くはずだった。
道の駅、ガソリンスタンドと続けて顔を会わせたのが元教師と名乗る杉田(ビートたけし)という男だった。
埼玉から来たという。
彼はキャンピングカー初心者の倉島をダムサイトのキャンプ場まで連れて行ってくれた。
どうやら彼もまた妻を亡くし旅をしているらしい。
しかし同時に帰る場所を無くしているらしいということがわかった。
翌日目を覚ますと杉田はすでに出発していた。
大阪に向かう途中、田宮(草彅剛)という男に出会う倉島。
彼は物産展を回り、いかめしを売っているのだが車の故障のため大阪まで乗せてくれないかと頼んで来た。
倉島は了承。
さらに一緒に物産展で2000食のいかめしを売るのを手伝った。
そこへ遅れて来たのが南原(佐藤浩市)だった。
その後倉島は亡き妻との思い出の地、竹田城跡へ向かう。
そこで再会したのが杉田だった。
しかし彼の跡をパトカーが追ってきた。
彼は教師なんかでは無く、車上荒らしとして指名手配されていたのだ。
複雑な倉島。
その後物産展に戻った倉島は再び田宮らと飲みそれぞれの悩みを愚痴ったあと、倉島は亡き妻の散骨のため平戸に向かっているという話をした。
二人と別れるとき、南原は散骨に困ったらこの漁師に頼むと言いというメモを渡す。
遂に平戸に着いた。
そこで散骨について漁協に問い合わせるが断られる。
南原が教えてくれた大浦という老人の漁師も駄目だった。
そして向かったのが多恵子という女将が経営している食堂だった。
娘の奈緒子(綾瀬はるか)は昼間の倉島の行動を偶然目撃していた。
多恵子の夫もまた借金の末、海難事故で死んでいた。
彼女は倉島に食堂の2階を使うように言う。
奈緒子は大浦の孫との結婚が決まっていた。
そのため散骨の船を出さないなら結婚を辞めるとまで言い出し、説得する。

映画『あなたへ』 結末・ラスト(ネタバレ)
多恵子は倉島に奈緒子のウエディングドレスの写真を持たせ、これも海に流してくれと頼む。
夫にわかるようにと。
そして倉島は花束を投げ、散骨を済ませた。
しかし写真だけは流さなかった。
平戸から物産展に戻った倉島は南原に電話をする。
そしておかげで無事に散骨ができたことを告げる。
そして1枚の写真を手渡すのだった。
そう奈緒子のウエディングドレスの写真である。
父親は生きていたのだ。
人には様々なドラマがある。
倉島はこの旅で妻が自分の残りの人生を生きてくれと言いたかったのではないかと思うのだった。
映画『あなたへ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『あなたへ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
人間というものを描いた作品
退職後、二人で旅行しようとしていたキャンピングカーは思いもよらない形で使われる。
まさか倉島は妻の散骨の旅に車を使うなどとは思わなかっただろう。
倉島は妻のために平戸に向かう途中で、様々な人種に人に会う。
それまでは自分がひどい目にあっていると思っていたのかもしれない。
しかし聞いてみるとどんな人にも事情があるのだ。
表面的なことだけでは何も見えず、親切にしてもらっても犯罪者だったりもする。
また長年連れ添っても死んだ後に他人から「散骨して欲しい」などと聞かされたりもするのだ。
人生とは何なのか、人との関わりは何のか。
深く考えさせられる作品であり、名優高倉健の最後の名演技と向き合うには良い作品であると言える。
多様なキャスティング
この映画に出ている俳優はジャンルも役も様々。
草彅剛が出ていたり綾瀬はるかが出ていたりと、バラエティーに富んでいるのだ。
ロードムービーというのは人が多く出てくるのが魅力。
そして着いた土地で人と交流し、自分の考えを柔軟にしていくというのがだいご味である。
今までの自分との対話とでも言おうか。
それを説得力あるものにするには演技力が必要なのである。
そしてまた同じタイプの俳優だけでは面白みに欠けるのだ。
本作品の良い所。
それはやはり豪華で個性的な俳優が集まっているというところだろう。
映画に広がりを与えてくれているように思う。
日本映画はこういう「人生」をテーマにした作品が本当に上手いと言うか、見る人の心に残る作品がとても多いと思います。高倉健を主演に描かれたロードムービーですが、行く先々で出会う人には草彅剛やビートたけし、佐藤浩市など豪華すぎるキャストが揃っていて見応えがありました。出会う人達がそれぞれ悲しみや苦悩を背負った人生を送っていましたが、それでも生きなければならないし、そういった苦悩や悲しみも含めてその人の人生なんだと思わせてくれる本当に素敵な作品でした。
ラストの写真を渡すシーンは思わず涙が零れてしまい、高倉健の不器用だけど暖かい表情がとても印象的でした。(女性 30代)
高倉健さん演じる倉島が、亡き妻の遺言に従い旅を続ける姿に、深い哀しみと温かさを感じました。旅先で出会う人々との交流も、すべてが優しく心に響きます。ラストシーン、妻が伝えたかった「あなたへ」の意味を知ったとき、自然と涙がこぼれました。(20代 女性)
亡き妻からの手紙を抱えて、ひたすら車を走らせる倉島の姿に、人生の孤独と向き合う男の覚悟を見ました。特に、妻の想いが海に託されるクライマックスには、言葉にならない感動が。高倉健さんの静かな演技が、何よりも雄弁に語ります。(50代 男性)
最初は静かすぎる映画かなと思ったけど、観終わった後、心にじんわりと余韻が残りました。人生の終盤で愛を再確認する物語に、まだ若い自分でも考えさせられました。派手な演出はないけれど、本物の感情が詰まった作品です。(20代 男性)
自然の美しい景色が、倉島の心情を代弁しているように感じました。旅の途中で出会う人々も皆、何かしらの「別れ」を抱えていて、それが静かにリンクしていく展開が心に残ります。人生を丁寧に描いた、優しい映画でした。(40代 女性)
旅を通して倉島が少しずつ自分自身と向き合っていく姿に、強く共感しました。人は、最後に何を大切に思うのか。愛する人に何を伝えたかったのか。そんなテーマが静かに、でも確実に心に沁みました。改めて高倉健という俳優の偉大さを実感。(60代 男性)
妻を想う気持ちが、言葉少なに、でも確かに伝わってくる演出が見事でした。派手な事件もドラマチックな展開もないけれど、倉島の心の旅路が胸を打ちます。エンディングの海のシーンは、ただただ静かに涙が溢れました。(30代 女性)
何気ない旅の途中の会話が、すべて伏線になっているように感じられて、じっくり見れば見るほど味わい深い映画でした。誰もが抱える「後悔」や「感謝」が、画面から静かに滲み出ています。人生を大切に生きようと思わせてくれる一作です。(40代 男性)
高倉健さんが演じる倉島の背中が、すべてを物語っていました。亡き妻への想いを抱きながら、誰にも強く頼らず、ただ静かに旅を続ける姿が、胸に刺さりました。日本映画らしい「間」と「余白」の美しさを堪能できる作品です。(30代 男性)
若い頃はあまり響かなかった「別れ」というテーマが、年齢を重ねた今、痛いほどリアルに感じました。妻のためだけに旅をする倉島の姿に、真の愛情とは何かを考えさせられます。人生の最期に何を伝えたいか、改めて考えたくなる映画です。(50代 女性)
映画『あなたへ』を見た人におすすめの映画5選
鉄道員(ぽっぽや)
この映画を一言で表すと?
「静かな雪景色に滲む、男の一生と家族への深い想い」
どんな話?
北海道の寂れた駅を守り続ける駅員の、孤独と哀しみを描く物語。人生を鉄道に捧げた男が、亡き家族との心の交流を果たすため、最後の冬を迎えます。人知れず生きた男の温かな魂に触れる、深い感動作です。
ここがおすすめ!
高倉健さんの圧倒的な存在感と、雪の静寂が織りなす映像美に心を奪われます。愛する人を失った哀しみと、それでも続く日常を静かに描くストーリーに、深い余韻が残ります。『あなたへ』が好きな人なら、必ず心を打たれる一本です。
歩いても 歩いても
この映画を一言で表すと?
「何気ない家族の時間に潜む、愛しさと切なさ」
どんな話?
ある夏の日、亡き兄を偲んで集まった家族が、それぞれの想いを胸に過ごす24時間を描く作品。家族の微妙な距離感や、言葉にできない後悔と愛情が、日常の中に丁寧に映し出されていきます。
ここがおすすめ!
是枝裕和監督ならではのリアルな家族描写が光る名作です。押しつけがましくないからこそ、ふとした瞬間に心に刺さる感情が溢れてきます。人生と向き合う静かな時間を大切にしたい方に、強くおすすめします。
黄泉がえり
この映画を一言で表すと?
「もう一度だけ、大切な人に会える奇跡の物語」
どんな話?
熊本の田舎町で、亡くなった人々が次々と帰ってくるという奇跡が起こるファンタジードラマ。再会に喜ぶ者、戸惑う者、それぞれの感情を丁寧に描きながら、”生と死”に真正面から向き合った感動作です。
ここがおすすめ!
大切な人を失った経験のある人なら、必ず心に響くテーマが込められています。生きることの尊さ、別れの意味を、優しくも力強く描くストーリーは涙なしでは見られません。感情を素直に揺さぶる、珠玉の一本です。
おくりびと
この映画を一言で表すと?
「死と向き合うことで、生を見つめ直す感動作」
どんな話?
失業したチェリストが、ひょんなことから納棺師という仕事に就き、様々な「別れ」と向き合っていく物語。死をタブー視せず、深い敬意と温かなまなざしで描いた、世界中で絶賛された日本映画です。
ここがおすすめ!
納棺の儀式を通じて伝わる「人を見送る」という行為の重みと美しさに、深く心を打たれます。人生の儚さと、そこに宿る希望を感じたい人にぴったり。温かい涙が自然とこぼれる感動作です。
64-ロクヨン- 前編・後編
この映画を一言で表すと?
「過去と現在が交錯する、哀しみと執念のドラマ」
どんな話?
14年前に起きた少女誘拐殺人事件「ロクヨン」をめぐり、警察内部の葛藤と被害者遺族の想いを描く社会派ドラマ。過去の真実と向き合うため、ひとりの広報官が奔走する重厚なストーリーが展開します。
ここがおすすめ!
ただのミステリーではなく、人間の弱さや家族への愛、償いへの苦悩を深く掘り下げた骨太な作品です。『あなたへ』同様、静かに燃えるような情熱と哀しみが心に残ります。重厚な人間ドラマを味わいたい方におすすめ。
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