映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の概要:何万個ものカラフルな風船で家を飛ばすという夢のあるお話で、主人公のカールじいさんを困らせるラッセル少年や犬軍団のキャラクターも面白い。特に犬軍団のユーモアセンスは抜群。ピクサーらしい完成度の高い作品で、大人から子供まで楽しめる。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:アニメ、ファンタジー、アドベンチャー
監督:ピート・ドクター
キャスト:エドワード・アズナー、ジョーダン・ナガイ、ボブ・ピーターソン、クリストファー・プラマー etc
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の登場人物(キャスト)
- カール・フレドリクセン(エドワード・アズナー)
- 78歳のおじいさん。杖と補聴器を使用中。少年時代に運命の女性エリーと出会い、結婚して幸せな日々を送る。エリーの死後、思い出の家を守るため大量の風船を使って家ごと冒険の旅に出る。無口で頑固だが、本当は優しくて行動力もある。
- ラッセル・キム(ジョーダン・ナガイ)
- 中国系の肥満体の少年。ボーイスカウトで自然探検隊に属しており、任務完了バッジを集めている。「お年寄りのお手伝いバッジ」をもらうため、カールのところへ来る。よく喋る明るい少年だが、寂しい一面も持つ。犬たちに“小さい郵便配達員”と誤解される。
- チャールズ・F・マンツ(クリストファー・プラマー)
- 有名な冒険家だったが、幻の怪鳥の存在を主張して世間から嘘つき呼ばわりされてしまう。汚名を晴らすため南米の秘境で多くの犬たちと執念深く怪鳥を追っている。犬軍団は翻訳機や探知機を搭載した首輪をしており、会話や料理もできる楽しい奴ら。
- ダグ(ボブ・ピーターソン)
- マンツの犬軍団の一員。愚鈍でお人好しなので、他の犬たちからバカにされている。カールを大好きになり、勝手に“ご主人様”と呼び始める。
- ケヴィン(ピート・ドクター)
- マンツに追われる幻の怪鳥。カラフルな羽と巨大な体が特長。3匹の雛を育てている。ラッセルを気に入り、ずっと後を付いてくる。チョコレートが好き。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のあらすじ【起】
冒険家チャールツ・マンツに憧れるカール少年は、近所の空き家でエリーという元気な少女と出会う。カールはエリーの弾丸トークに圧倒されつつも、すぐに意気投合。2人きりの「冒険クラブ」を結成して、エリーはカールに“いつか南アメリカにあるパラダイスの滝へ連れて行くこと”を約束させる。
その後2人はめでたく結婚。思い出の空き家を買い取って幸せに暮らす。子供を持つことは叶わなかったが、夫婦は年老いてもずっと仲良しだった。しかしカールがエリーとの約束を果たそうとした矢先、エリーは病に倒れ、天国へ旅立ってしまう。
78歳になったカールはエリーとの思い出が詰まった家で孤独な日々を送っていた。杖を使って歩き、耳には補聴器を入れている。自宅周辺では再開発が始まり、開発業者がこの土地を狙っていた。しかしカールは家を売るつもりは一切なかった。
そんなある日、ラッセルという肥満体の少年がカールを訪ねてくる。ラッセルはボーイスカウトに入っており、お年寄りのお手伝いをすれば自然探検隊の最後のバッジがもらえるので何か手伝わせて欲しいと頼みに来る。そのバッジを貰えば上級クラスに進級でき、セレモニーには父親が来てくれるからとラッセルはしつこく食い下がる。カールが“庭を荒らすシギという鳥を捕まえてくれ”と適当なことを言うと、ラッセルは大喜びでシギを探し始める。
その直後、工事車両が運転ミスをして大事なポストを壊す。カールははずみで作業員を杖で殴り、怪我を負わせてしまう。開発業者は喜んで訴訟を起こし、カールは強制退去を命じられ老人ホームへ行くことになる。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のあらすじ【承】
退去の日。老人ホームの職員がカールを迎えにくる。職員がカールを待っていると、家は膨大な数の風船によって宙に浮き、そのまま飛んでいってしまう。昨日の夜、カールはありったけの風船を膨らませて家ごと旅に出る準備をしていた。目的地はエリーとの約束の地、南アメリカにあるパラダイスの滝だ。
計画は順調だった。ところが空飛ぶ家はシギを捕まえようと軒下に潜り込んでいたラッセルまで運んでいた。カールはがっかりして風船の紐を切り始める。その時、家が積乱雲に巻き込まれ操縦不能になってしまう。
カールが意識を取り戻すと、家はすでに南米上空まで飛ばされていた。家を降下させるとかなり高い高度で地面にぶつかり、その衝撃で2人は外へ放り出される。そこはパラダイスの滝の反対側の崖の上だった。カールはホースを掴んで家が飛んでいくのを防ぐ。しかし浮遊する家に戻ることができず、そのままラッセルと家を引っ張って反対側の崖まで移動することにする。
途中のジャングルでラッセルは巨大な鳥と出会い、すっかり気に入られる。ラッセルは鳥をケヴィンと名付け、一緒に連れていくとゴネだす。カールがいくら反対しても、ケヴィンは勝手に付いてくる。実はケヴィンは冒険家のチャールズ・マンツが何十年も探し求めている幻の怪鳥で、マンツの愛犬たちに追われる身だった。
カールは道中でマンツ特製の翻訳機を首輪に搭載したダグという気のいい犬と出会う。ダグはなぜかカールを慕い、ケヴィンに“捕虜になって”とお願いする。ラッセルはケヴィンを守ろうと必死だった。しかしケヴィンは雛のために巣へ戻ってしまう。
その直後、カールたちは犬軍団に捕まり、マンツのもとへ連行される。ところがマンツは空飛ぶ家をおかしがり、自分の大ファンだというカールを歓迎してくれる。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のあらすじ【転】
憧れの飛行船アドベンチャー号に乗せてもらい、カールは感激する。ずっと昔、マンツは怪鳥の骨の標本を持ち帰って嘘つき呼ばわりされ、怪鳥を生け捕りにするまでアメリカへは帰らないと誓っていた。何も知らないラッセルは無邪気にケヴィンの話をして、マンツに怪鳥を横取りしようとする敵だと見なされてしまう。そこへケヴィンが戻ってくる。
カールは家を引っ張り、ラッセルとケヴィンを連れて急いで逃げる。マンツの命令で犬軍団がカールたちを追ってくる。ダグの協力もあって何とか逃げ延びるが、ケヴィンは足を怪我してしまう。カールは仕方なく遠回りしてケヴィンを巣まで送る。
しかし巣を目前にしてケヴィンはマンツに捕まってしまう。カールはケヴィンを助けようとするが、家に火をつけられて消火作業に追われる。その間にケヴィンは連れ去られ、カールは苛立ちのあまりダグにひどいことを言ってしまう。ダグは黙って去っていく。
翌朝。カールはついに家をパラダイスの滝の上まで運び終える。ラッセルはカールがケヴィンより家を守ったことで拗ねていた。カールはひとりでエリーの「私の冒険ブック」を広げる。するとそこにはカールの知らないページが追加されており、エリーから感謝の言葉と“新しい冒険を始めて”というメッセージが残されていた。
カールはラッセルに謝ろうと外へ出る。しかしラッセルは風船を使って飛び立ち、ひとりでケヴィンを助けに行ってしまう。カールは大事にしてきた家財道具を家から放り出し、残りの風船で家を飛ばしてラッセルの後を追う。軒下に隠れていたダグも仲間に加わる。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の結末・ラスト(ネタバレ)
ケヴィンを捕まえたマンツは、飛行船でアメリカへ帰ろうとしていた。ラッセルは空中で飛行船に侵入する。しかしすぐ犬軍団に捕まってしまう。カールは船から落とされそうになっていたラッセルを救助して家に保護し、自分はダグと飛行船に侵入する。
ダグのアイデアでテニスボールを使って犬軍団の注意をそらし、檻に入れられたケヴィンを助ける。ラッセルは家から出たはいいが、飛び移るのに失敗して宙づりになる。犬軍団はラッセルとダグの相手をし、マンツはカールと対決する。戦いの場は飛行船の屋根の上に移り、みんながそこに集結する。
カールは側を飛んでいた家へラッセルたちを逃すが、銃を持ったマンツも家へ侵入。追いつめられたラッセルたちは間一髪で家から脱出し、マンツは家とともに地上へ落ちていく。カールは思い出の家に別れを告げ、ラッセルたちの無事を心から喜ぶ。
カールたちはケヴィンを雛のもとへ送り届け、マンツの飛行船でアメリカへ帰る。ダグと犬軍団も一緒だ。
セレモニーの日。ラッセルの父親は来てくれなかったが、代わりにカールが出席してラッセルの胸に最高の勲章「エリーバッジ」をつけてくれる。その後カールは孫のようなラッセルと新しい家族のダグや犬軍団とともに幸せな日々を過ごす。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の感想・評価・レビュー
序盤に、カールじいさんが妻を亡くし、妻エリーに対する思いに胸が一杯になった。
立ち退きを強いられたカールは、エリーとの長年の大切な思い出が沢山詰まったお家を丸ごと風船で運び、エリーとの夢だった南アメリカへ旅に出る。
2人の幼少時代や、夫婦になってからエリーとのお別れまでの回想シーンが映像のみで流れ、涙なくしては観れなかった。
辛い別れをしながらも、いつもエリーを想うカールじいさんに感動した。
哀しくもなるが、観終わった後に温かい気持ちになれる作品。(女性 20代)
観る前から素敵な作品だという予感はしていたが、まさかここまで素敵な映画だとは思わなかった。確かに設定は無理があるかもしれない。そこを割り切れない人にとっては面白くないのかもしれない。しかしファンタジー作品としてここまで綺麗にわかりやすく描ける作品もなかなかないと思う。
観終わった後のスッキリする感覚、後味の良さもこの映画の魅力である。不思議と力が湧いてくるような感覚にさえなる。この映画には人生についてのたくさんの教訓が詰まっている。(男性 20代)
冒頭の妻エリーとの出会いから永遠の別れまでを回想する場面では、カールじいさんの深い悲しみが伝わってくる。
妻との思い出がたくさん詰まった大事な家を大量の風船で飛び立たせる映像は、カラフルな色合いでとても綺麗。
ラッセルと共に冒険していく様子はアドベンチャー映画としても十分に楽しめる。
マンツとカールじいさんの決闘にはハラハラした。
大事な我が家を捨てた後には、エリーが望んだ新しい冒険が始まるのかなと思った。(女性 40代)
可愛らしい映像や演出であったが、内容がとても重要なことばかりであり、考えさせられた。特に、カールが大事にしていた家や、エリーとの思い出や記憶などを振り切り、目の前にいる仲間達を救い出すシーンがぐっときた。ラッセルとの出会いや、旅の途中で出会ったダグ、ケヴィンと共に行動することで、様々な事件に遭遇してしまい、それぞれの気持ちが交差する中、ひとつにまとまるシーンも見所である。風船をたくさん膨らまして、家や人を宙に浮かせる事は現実的には難しいが、夢を見させてくれる映画だと感じた。(女性 20代)
長年連れ添った恋人との家を失わないように、沢山の風船で移動するというアイデアも夢があるのだが、やはりカールが少年の頃、空想の話として嘘つき呼ばわりされた事が事実として証明されるのも面白い。悲しい別れも含まれているが、独り身となってしまったカールが冒険の果てに出来た、新しい家族ともいえる存在が今後のカールの人生を豊かにしてくれるだろうと思うととても胸が温かくなる。この作品で年老いても夢を忘れずにいる事と大切な人を想い続ける事は大事なのだと教わる事が出来た。(男性 30代)
カールが出てきたときただの難しい頑固じじいかな、と思っていたが、家ごと飛んじゃうし、南アメリカに向かってるし、色々ぶっ飛んでて面白かった。
元々ひねくれてるわけでもないので、カールの本来あった優しさが見える話。スケールも行動もビッグで、夢があって、終始カラフルで、私が初めて見たときはまだ小学生だったが、とてもワクワクしていたことを覚えている。
ほっこりすると同時にカールの愛する奥さんのことを考えると家財道具はもちろん、家が無くなっちゃったのも少し寂しくもある。
でも素敵な出会いがあったし、78歳にして大冒険と家族が増えたのは結果的にやって良かった旅なんだなと思った。(女性 20代)
ピクサーの作品の中でもかなり良い作品だと思います。頑固じいさんが風船で家を飛ばすだけ、の映画だと思ったら大間違いで、きっと泣かされてしまいます。ストーリーとしてももちろん良作です。それに、場面描写が誰もが思い浮かべるような空だったり、表情も味わい深いよう描かれていて観ていて気持ちがいいです。まるでいつかの夢の中のような感じがわたしにはしました。それは確かにカールじいさんの夢であるので間違いではないのです。ピクサーのメッセージ力は底知れないです。(女性 20代)
冒頭の数分から、先に亡くなってしまった妻との思い出を振り返るシーンが泣かせてくれる。たった数分のシーンなのに、カールじいさんの悲しみに思わず号泣してしまった。それもピクサーの映像技術の賜物のお陰だろう。
そのシーン以降キャラクターに深く感情移入したまま、空での様々な危機を食い入るように鑑賞。何かを失うと再び何かを大切にするのは、果てしない喪失感ゆえに難しく感じてしまうが、「また誰かを愛してみよう」と思わせてくれる素晴らしい作品だった。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー
私が感動した場面は2つ。
1つ目は、序盤10分間のエリーとの出会いから別れまでのシーン。
2つ目は、エリーが密かに冒険のアルバムに書いていたお礼の言葉と前に向かっていくように押し出すメッセージ。
最後に明かされる一つに、切なかった予想が的中する。ラッセルの母子家庭と父親に会えない現実。しかし、それを乗り越えてひたすら前向きで生きていく逞しい姿にパワーを与えてもらえる作品。
オープニングとエンディングでそれぞれ泣ける。冒頭の10分くらいでおじいさんとおばあさんの出会いから別れまでのシーンをあんなに魅力的に、切なさ満載に見せるのはさすがピクサーだなと思う。2人のシーンは大人の方がグッと来てしまうのではないだろうか。最期は夢だったあの場所に思い出を残し、前に進む決意ができた姿に、涙が止まらなかった。夫婦愛、冒険のワクワク、新しい仲間との絆。全てが詰まった、子供だけでなく大人も楽しめる作品だ。
この映画ほど、序盤10分で感動して泣かされる映画は無いです!カールとエリーの出会いからの日々が本当に素敵で、こんな夫婦になりたいと憧れながら見ている中で迎えるエリーの死。感情移入していた分、カールの気持ちが伝わってきすぎて、涙が止まりませんでした。
エリーとの思い出に固執していたカールが、ラッセルと出会って一緒に冒険をして、また誰かを愛せるようになっていく姿にも感動します。
自分と結婚して、夢だった冒険に出れなかったことを、きっとエリーは後悔したまま死んでしまったとカールは勘違いしていたけれど、そんなことはなくて、一緒に過ごした日々も楽しい冒険だったのだと気付かされるシーンが特に好きです!
綺麗な映像と、温かみのある絵のタッチ。さすがピクサーと言わざるを得ない、最高の作品でした。
ストーリーはもちろん素晴らしいのですが、私が何よりも惹かれたのは「色使い」でした。今作の原題は『Up』。大量の風船をつけた「家」が空へ「Up」していく様子を色とりどりの沢山の風船と美しい空で表現していました。
見ている私たちも一緒に「空の旅」をしている感覚にさせてくれる、心温まる作品です。家族みんなで楽しんで欲しいなと思います。
第一印象はかなり子供向けの映画です。ですが発想が面白くて、夢が詰まっています。風船で家を飛ばすなんて絶対に不可能だし、万が一浮いたとしても気圧の変化で風船は割れてしまうので落下するのが目に見えているけどやってみたいという気持ちになります。あと、カールの家にある座るバージョンのエスカレーターのようなものも便利で欲しくなっちゃいます。でもキャラクター達は頑固なカールと、ややお節介で遠慮のないラッセルなどあまり好きになれませんでした。
カールが妻を失ってしまうシーンや、妻との思い出の家を守り続けようとする姿にとても切なくなった。冒険を始め、ラッセルの登場により急展開していく中でカールの心境にもどんどん変化が生じていく。
ボロボロになっていく家を捨ててラッセルを助けるシーンは、過去に囚われていた彼が新しい未来へと踏み出したことを象徴している。最終的には孤独だった二人がまるで祖父と孫のように、仲間のように、寄り添いあい新しい日々を始めるハッピーエンドに感動。
心温まる夫婦の愛の物語です。家に沢山の風船をくくりつけて家と一緒に空を飛び旅をするという発想はとてもユニークだと思いました。それも、亡くなった奥さんとの約束という理由が涙を誘います。
旅を通して、少年や犬と出会い一緒に旅をします。仲間の大切さや旅の楽しさなどこの映画は沢山の事を教えてくれます。
主人公のカールが無口で頑固な性格だと知ったとき苦手なキャラクターだなと思っていたのだが、彼の人生を知れば知るほど好きになっていった。ピクサー作品の中でも一番と言えるぐらい魅力的な作品である。好奇心旺盛だけれども寂しさを抱えるラッセルが可愛くて、少しずつカールと気持ちを通じ合わせていく過程に感動した。カールが妻を失った悲しみから立ち直り、ラッセルを孫のように愛せるようになって本当に良かったと思う。
アニメーションのクオリティはピクサー水準でもかなりのレベルだと思います。空の描写が最高ですね。この空、夢で見たことがある!と思わせる。ピクサー凄いですね。
本作の原題は『Up』です。たった2文字ですよ。たった2文字で作品の全てを表現しているんです。凄すぎる!