映画『アナイアレイション 全滅領域』の概要:北半球の海岸に突如出現したエリアXは、拡大を続けていた。中心部にある灯台は光(シマー)に覆われており、誰も詳細を把握できずにいた。生物学者のレナは、エリアXから唯一戻った夫が昏睡状態に陥っている理由を調査しに行く。
映画『アナイアレイション 全滅領域』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:SF
監督:アレックス・ガーランド
キャスト:ナタリー・ポートマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ジーナ・ロドリゲス、テッサ・トンプソン etc
映画『アナイアレイション 全滅領域』の登場人物(キャスト)
- レナ(ナタリー・ポートマン)
- 元軍人の生物学者。現在は大学講師を務める。エリアXから唯一帰還した夫に何があったのか調査するため、自身もエリアXに向かう。
- ケイン(オスカー・アイザック)
- 突如出現し、現在も拡大を続けるエリアXの調査に向かった軍人。彼らより先に送られた調査隊も、彼と共にエリアXに入った隊員も全滅しケインだけが帰還したが、昏睡状態に陥る。
- ドクター・ヴェントレス(ジェニファー・ジェイソン・リー)
- 心理学者。調査隊のリーダー。真実を知るため、エリアXの中心部にある光(シマー)へ向かう。
- キャシー・シェパード(ツヴァ・ノヴォトニー)
- 地形学者。ヴェントレス率いる調査隊のメンバー。娘を亡くしている。
- アニャ(ジーナ・ロドリゲス)
- 救急隊員。調査に参加するも、ヴェントレスのことは信用していない。麻薬中毒者。
- ジョシー・ラデック(テッサ・トンプソン)
- 内気で自傷癖のある物理学者。調査に参加する。
映画『アナイアレイション 全滅領域』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アナイアレイション 全滅領域』のあらすじ【起】
レナは隔離され、白い防護服に身を包んだ男から尋問を受けていた。部屋の外には、緑色の手術着のような服を着た人々がガラス越しに彼女を観察している。防護服の男に、エリアXでどれ程の期間を過ごしたか問われたレナは数日間と答えたが、実際には4ヶ月が経過していた。
レナは、自分が講師を務める大学の同僚、ダンから食事に誘われた。ダンは、旦那が居なくなって1年も経つのだから、自分の人生を楽しんではどうかとレナを励ましたが、彼女は誘いを断った。
レナが自宅の壁紙を変えていると、突然、軍人である夫のケインが帰宅した。レナはケインに、どこでどんな任務にあたっていたのか聞き出そうとしたが、ケインはぼうっとしていて要領を得なかった。その内にケインが血を吐いて倒れたため、レナは救急車を呼び同乗した。しかし、黒塗りの車と武装した男達に囲まれてしまい、レナと瀕死のケインは見知らぬ施設へと隔離されてしまった。
隔離されたレナは、ドクター・ヴェントレスと出会った。ヴェントレスは、ケインが多臓器不全と内部出血で昏睡状態だとレナに告げた。レナは、まるで被爆したような症状に見舞われている夫に何があったのか問い詰めると、ヴェントレスは彼女にエリアXを見せた。
窓から見える北半球の海岸一帯は、オーロラのような光に覆われていた。この光は、宇宙から突如現れたという。ヴェントレスは、エリアXに向かった先遣隊で生還した者はなく、境界は日々拡大していると語った。
映画『アナイアレイション 全滅領域』のあらすじ【承】
レナは、施設内でアニャに話し掛けられ、シェパードとジェシーを紹介された。彼女達はヴェントレスを隊長に、エリアXの中心部にある灯台を覆う光(シマー)へ向かう調査隊だと言う。アニャは、自分達の前に送られた調査隊は軍隊で、1人だけ生き残ったらしいと噂した。レナは、それが自分の夫であることは黙っていた。
レナは、情報を持ち帰るだけの任務と言いながら本音では「真実を知りたい」と思うヴェントレスへ、自分も調査に同行すると申し出た。5人の女性からなる調査隊は、エリアXへと足を踏み入れた。
レナが目を覚ますと、それぞれが1人用のテントを張って朝を迎えていた。境界を越えてから現在までの記憶を持つ者はなく、食料の減りから計算すると4日は経過しているようだった。外界との通信はできす、コンパスも使い物にならなかったが、時計の針を指針に入った場所の反対側に抜けるよう、5人は南を目指した。
しばらく進むと小屋があったため、彼らは小屋の内外を調べた。咲き誇っている色とりどりの花は、1つの株から変異して成長を続けていた。すると、小屋を調べていたラデックが何かに引っ張られ、池の中へと引きずり込まれてしまった。レナ、シェパード、アニャがなんとか彼女を助けたが、池の中からは巨大化したワニが現れた。
レナが銃でワニを仕留め、口内を覗いてみると、歯が環状にびっしりと生え揃っていた。ワニは、花と同じように遺伝子プールに異常をきたしているようだった。
映画『アナイアレイション 全滅領域』のあらすじ【転】
水源を進み、境界に浸食される前に調査基地として利用していたアマヤ要塞へ辿り着いた5人は、「次の調査隊へ」と書かれたメモリーカードを発見した。そこには、ケインが苦しむ仲間の腹を裂いて胃や腸がある筈の場所を開け、内臓ではなく蛇のように蠢くモノを見せる様が映っていた。
あまりにショッキングな映像に混乱する一行だったが、映像を撮影していた部屋には腹を裂かれていた隊員の死骸と、それに寄生する未知の植物があったため、彼らは調査を続行した。
その夜、見張りの甲斐虚しく、シェパードが要塞のフェンスを破って侵入してきた熊のような生物に喰われてしまった。アニャとラデックはパニックになり「引き返そう」と訴えたが、ヴェントレスは灯台を目指した。レナはアニャに「反対側に出た方が早い」と嘘を吐き、ヴェントレスに付いて行った。
廃村に着いた彼らは、人の形を形成した植物を数多発見した。ラデックは、シマーによって光や電波が反射しているのと同じように、人や植物のDNAも反射されているのではないかと結論付けた。夜になり、レナが自分の血液を分析すると、血中の細胞は七色に光って細胞分裂していた。
目を覚ましたレナは、アニャに拘束されていた。ヴェントレスとラデックも同様だった。アニャは錯乱状態で「自分の指紋が動いている」と訴え、誰かに腹を裂かれる前にお前達を調べるとナイフを翳した。そこへ、シェパードの断末魔を真似る熊のような生物が現れた。アニャは顎をえぐられ絶命し、拘束が解けたラデックが銃を撃ち熊のような生物を仕留めた。
映画『アナイアレイション 全滅領域』の結末・ラスト(ネタバレ)
ヴェントレスは、日が昇るのを待たず灯台へ向かった。残されたレナとラデックは朝を迎えたが、ラデックは「真実など要らない」と言い残しレナの前から消えた。レナはラデックを追ったが、彼女が向かった先には人型の植物だけが生えていた。
泣きながら灯台を目指したレナは、海岸にそびえる氷でできた木のような物の中を抜け、灯台の内部に入った。室内には白い根が張り巡らされており、壁の真ん中には地下に続く穴が開いていた。穴の横には黒焦げの死体と、死体に向けられたビデオカメラがあった。レナは録画を再生する。
映像は、今来た道や灯台の内部を映し出した後、ケインの姿を捕らえた。ケインはカメラの前に座ると「自分はケインという人間だと思っていたが、今は分からない。ここから出たらレナを探せ」と言い残し、白リン弾を手に自殺。しかし、カメラ側からはもう1人のケインが現れた。
ショックを隠しきれないレナは、地下へ続く穴に入った。中にはヴェントレスがおり、「私たちは全て飲み込まれて全滅する」と言い残し肉体が消滅した。レナがヴェントレスの後に残ったエネルギーの塊を覗き込むと、塊はレナの体と同じ形を形成し、反射するように全く同じ動きを真似た。レナは、自分と同じ動きをするエイリアンに白リン弾を持たせるとピンを抜き、灯台から脱出。炎に包まれた灯台は宇宙からの光を失い、オーロラのような境界も消滅した。
生還したレナは隔離され、エリアXで見たことを全て報告した。シマーが消えたことでケインの容態が戻ったと聞かされたレナは、彼の病室を訪れた。レナは意識を取り戻したケインへ「ケインじゃないのね?」と聞き、彼は「そうだ」と答えたが、「君はレナ?」と聞かれると彼女は閉口した。無言で抱き合うレナの瞳は、七色の光を反射していた。
映画『アナイアレイション 全滅領域』の感想・評価・レビュー
非常に興味深い映画だった。単なる宇宙人との遭遇ものではなく、『インセプション』のようにラストシーンから遡って何度か見返したくなるような、ゾっとする展開が堪らなかった。
宇宙人が地球に拠点を置いたことに、理由が無いというのがリアリティに溢れている。人類が月に上陸した(かどうかは真偽が分かれるが)のも、アメリカの技術力を誇示しただけに過ぎなかった。地球外の文明人も、知的好奇心や政治的理由で他の星を目指しているのかと思うとロマンがある。(MIHOシネマ編集部)
本作は、生物学者のレナが秘密任務から帰還した夫が昏睡状態になったことをきっかけに、政府が封鎖した謎の光に包まれる地域へと足を踏み入れる姿を描いたSF作品。
角が植物でできた鹿や海辺にそびえ立つガラスの支柱、壁に潜む死体など、細胞分裂が進み変異した動植物や幻想的且つグロテスクで多種多様な情景が美しかった。
含みを持たせた終わり方も好みで、キャスティングと内容共に素晴らしく、新しいタイプのSFという印象で新鮮だった。(女性 20代)
好奇心旺盛な女性ってどう思いますか?もちろん色々なことに興味があるのは可愛らしいと感じますが、あまりに首を突っ込みすぎる人は鬱陶しいかな…。Netflix限定配信のSF作品。未知のエリアから帰還した夫とそこへ調査に向かう妻。帰還した夫は危篤状態になってしまったため、夫に何があったのかを確かめようと危険な未知のエリアへ向かう。これって当たり前のことでしょうか?愛情よりも、「知りたい」という好奇心が勝っている気がしました。
ラストは他には無い展開でした。集中力を切らさずに意気込んで見てほしいです。(女性 30代)
謎の光”シナ―”によって、電磁波や光、DNAまでもが混ざり合う領域。幻想的な恐ろしい世界観を観ることが出来ました。植物になっていく人の心の変化や、自己崩壊が加速する人間の行動など、興味深い場面が多かったです。ただ、”そういう世界だから仕方がない”と言わんばかりの現象は無心にして観ました。クリスタルの木、黒い人型生物の誕生、この辺りは宇宙人の仕業ということでしょうか。最後のハグは侵略開始の予兆?難しいです。(男性 20代)
独特の世界観を放つインパクト絶大な作品。行方不明になっていた夫が突然帰ってきたものの、どこか様子がおかしく、そのまま倒れてしまう。夫が何をしていたのか、どんな目にあったのか真相を探る為、妻は夫と同じ任務を受けるという物語。エイリアンや宇宙人といったSF物ではあるものの、遺伝子操作された不思議な生き物や動物、人間の形をした植物などどこか神秘的なもので溢れている。夫の正体は序盤で想像つくものの、何が起こるのだろうというソワソワが最後まで続き、飽きずに観ることが出来る。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー