映画『アパートメント:143』の概要:制作、脚本は「リミット」のロドリゴ・コルテス。カルレス・トレンスは監督としてのデビュー作品。ポルターガイストに悩む一家に雇われた調査チームが、怪奇現象の正体に迫っていく。
映画『アパートメント:143』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:80分
- ジャンル:ホラー
- 監督:カルレス・トレンス
- キャスト:カイ・レノックス、ジーア・マンテーニャ、マイケル・オキーフ、フィオナ・グラスコット etc
映画『アパートメント:143』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『アパートメント:143』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『アパートメント:143』のあらすじを紹介します。
ポルターガイストに悩むホワイト家は、怪奇現象を検証するチームに調査を依頼した。
一家の父アランは訳あって無職、長女ケイトリンは反抗期で調査にも非協力的、まだ4歳の弟ベニーはあまり状況を理解していない。
病気の妻を亡くしたばかりのホワイト家は、以前住んでいた家でポルターガイストに悩まされてアパートへ引越したのだが、また始まったために調査を依頼したと語る。
チームリーダーのDr.ヘルザー、ヘルザーの助手のエレン、機材や科学技術担当のポールは、ホワイト家を訪れる。
調査用のカメラや機材を設置し始めるが、早速ラップ音に驚かされる。
ポルターガイスト現象が納まった深夜、ケイトリンを写した写真に、謎の人影を発見。
しかし翌日、その人影は消えていた。
そして、ポルターガイストは酷くなっていく。
様々な機械を使って調査を進めるチームだが、上手く進まない。
やがてベニーは1日の予定で、祖父母の家に預けられる。
その間に霊能力者を呼んでの調査が行われるが、ケイトリンが別人のようになり、アランの”罪”を糾弾する。
やがてDr.ヘルザーはひとつの仮定を提示する。
行き場の無いストレスを溜めたケイトリンが、無意識にポルターガイストを起こしているのではないのか、と。
精神科医でもあるDr.ヘルザーは、核心に迫るべくアランに話を聞く。
明らかになる亡き妻とアランの確執、そして死の理由が明らかになった時、ケイトリンの身に恐ろしい異変が起こる。
映画『アパートメント:143』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『アパートメント:143』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
映像酔いの心配も無い、新しいフェイクドキュメンタリー映画
フェイクドキュメンタリー映画だが、撮影方法が凝っている。
検証チームという存在が、まるで本物のドキュメント番組を見ているように錯覚させるので、その設定も独特の雰囲気を醸し出している。
検証チームが調査用に設置した監視カメラや、動いたものを自動的に追いかけるカメラ、暗視カメラやストロボカメラなど、調査するというイメージにぴったりのカメラの数々。
それからポールが持っているカメラの映像が多く使われているので、ドキュメント番組だと言われても違和感がない。
また、フェイクドキュメンタリーによくある、映像の手振れまでリアル過ぎて映像酔いする、といった心配もほとんど無く、そういった点では安心して見る事ができる作品だ。
BGMが全く使われていないといった点や、俳優人が有名ではないこと、特にベニーを演じた子役のダミアンの子供らしく、怖がるよりも「ママなのかな?」と言ってしまえる無邪気な演技力によって、リアル感が増している。
エクソシストを連想させるパッケージと、それとは正反対のストーリー展開
終盤、ケイトリンが宙に浮いているシーンはパッケージにも使われているのだが、エクソシストを題材にした作品によく見られる、不気味な宙吊りの格好だ。
だが、その理由とそこに行き着くまでの展開が、今までのホラー映画にはあまり見られなかった展開になっている。
ポルターガイストの原因が思春期の少女の感受性と、亡くなった母も同じだったという心の病気に悩んだ、ケイトリンの潜在的なテレキネシスが全てを引き起こしていた、という結末には驚きを隠せない。
終始反抗的な態度のケイトリンと、チームへ依頼しておきながら、時に威圧的な態度を示すアランが、精神科医の顔も持つDr.ヘルザーによって本音をさらけ出し、父と娘の絆が戻るという場面には感動する。
だが、全て終わったと思わせておいて、証拠として残した1台のカメラに映ったものの存在には、「やられた!」と思う。
ヒットしたホラー映画を真似たB級作品だと思って鑑賞しましたが、非常に完成度が高く、想像以上に楽しめる作品でした。ドキュメンタリー作品のような作りをしているので、ポルターガイストに悩まされる一家の様子を観客として、難しく考えずに見られるのがすごく良かったと思います。
家族それぞれに闇があるので、全てを疑いながら見てしまいましたがポルターガイストの原因が意外なものだったので、怖いと言うよりも妙に納得してしまいました。こんな感じで終わるのか…と思っていたら最後の最後で別の驚きがあります。完全に気を抜いていたので、びっくりしてしまいました。(女性 30代)
定点カメラで部屋の様子を映し出されるのが、やけに怖く心拍数が上がりました。怪奇現象がコンスタントに起きるので、飽くことなく集中できます。殊に、物音や電話のベル等、音で恐怖を煽ることが巧みでした。絵画が逆さになっているシーンには、反射的に鳥肌が立ち凄みを感じました。どれも実際に起きそうな、現実離れしていない塩梅が良いのだと思います。また、家族関係に明らかな難があり、それがポルターガイストと関係あるのかどうかが気になり目が離せません。(女性 30代)
本作は、数か月前に妻を失くして以来、ポルターガイスト現象に悩む子ども二人とアランと彼に雇われた学者調査チームに襲い掛かる恐怖を描いたホラー作品。
ポルターガイスト現象に苦しむ家族ではなく、学者調査チームが現場検証し解明するという視点や調査チームのカメラと監視カメラの映像が面白く、家族の絆が見られる終わり方も良かった。
しかし、最後の解散後に映っていた女の霊の正体は誰だったのか。
妻ではない気がしてゾッとした。(女性 20代)
映画『アパートメント:143』 まとめ
パッケージから連想されるような、エクソシスト系の王道ホラー映画ではなく、ポルターガイスト現象を学者チームが調査、検証していくという斜めから見たストーリー。
そこにフェイクドキュメンタリーを用いた事で、テレビのドキュメント番組を見ているような感覚を楽しめる。
そして、カメラの数や種類が本当に幅広く使われている。
今作「アパートメント:143」と同時期に、よく似た設定の、超能力を学者が解明していくという映画「レッド・ライト」を、ロドリゴ・コルテスが脚本と監督、キリアン・マーフィー主演で制作している。
そのため、ロドリゴ・コルテスは今作では制作サイドにまわり、カルレス・トレンスの監督デビュー作品になった。
無駄に流して見えるシーンにも、不思議な現象が映っていたり、驚かされたりするので、ホラーとしてもちゃんと楽しめる。
だが、親子の絆もしっかりと描かれていて、怖いだけではなく不思議な後味が残る作品だ。
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