映画『アーカイヴ』の概要:日本、山梨の山奥の研究施設でアンドロイドとAI開発をたった1人で行っているロボット工学者。彼の野望は亡き妻のアンドロイドを製作することだった。彼は故人の記憶と意識を保存し会話することができるアーカイヴを使ってアンドロイドの製作を行うが…。
映画『アーカイヴ』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:ギャヴィン・ロザリー
キャスト:テオ・ジェームズ、ステイシー・マーティン、ローナ・ミトラ、トビー・ジョーンズ etc
映画『アーカイヴ』の登場人物(キャスト)
- ジョージ・アルモア(テオ・ジェームズ)
- ロボット工学者でAIの開発を行っている。妻ジュールを亡くし記憶と意識をアーカイヴに保存。アンドロイドを製作しジュールを移植することを目指し、山梨の山奥の研究施設で研究を行っている。
- J2 / J3 /ジュール(ステイシー・マーティン)
- ジュールはジョージの妻。J2は二足歩行のロボットで16歳程度の知能を持っている。おしゃべりだが、ジュールを慕っている。J3は極めて人に近いアンドロイドでアーカイヴのデータからAIが作られている。
- シモーヌ(ローナ・ミトラ)
- ジョージの会社の上司。ロボット開発で功績を立て昇格する。気が強く上から目線の物言いをし、ジョージの研究が進まないことに不満を抱いている。
- シンクレア(トビー・ジョーンズ)
- アーカイヴ社の調査員。ジョージのアーカイヴのメンテナンスに訪れ、契約満了について保存された故人が休眠に入ることによって再び死を迎える事実を知らせる。
映画『アーカイヴ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アーカイヴ』のあらすじ【起】
日本の山奥にあるARM社の研究施設にてたった1人でAI開発を行っているジョージ・アルモア。彼は亡き妻ジュールをモデルに人工知能を開発中で人型ロボットのJ2に知識を蓄えさせている最中だった。
会社の上司シモーヌはジョージの元同僚だったが、ロボット開発で成果を上げたことで昇進。彼女はジョージに対し研究成果の進展がないと文句を言う。加えて、技術の盗難に遭う危険性が増したため、警備隊を送ると言い通信を切ってしまう。
彼女には報告していないが、J2は人と同様に会話をすることができるし、感情も徐々に理解している。シモーヌはJ2が未だ言葉が話せないと思っているのだった。
更にジョージは密かに極めて人に近い高性能アンドロイドの開発も行っている。会社には報告していないため、秘密が露呈するのだけは避けたい。アンドロイドJ3はボディは上半身まで出来上がっているが、まだ開発途中でエラーばかり。
J2は腕のないJ1のアップロード版で知識の蓄えが進んでいる。故に時々、空気を読めずおしゃべりが過ぎるのでジョージもうっとうしくなる時があった。
そんなある日、施設の出入り口に野犬が現れる。追い払ったものの異常を検知できなったのは問題である。ジョージはJ2の仕業と決めつけ彼女の言い分をきちんと聞かなかった。
野犬騒ぎの後、訪問者が現れる。施設にある黒い装置アーカイヴにはジュールの記憶や意識が記録され、会話が可能となっていた。だが、近頃アーカイヴのジュールとは通信が途絶えがちで会話も満足にできない状態。訪問者はアーカイヴ・システム社の者で担当はシンクレアという男だった。いずれアーカイヴに記録された故人もまた死に至る可能性を聞き、動揺するジョージ。故人が休眠に入った場合は、アーカイヴの装置ごと丁重に埋葬されると言う。
映画『アーカイヴ』のあらすじ【承】
アーカイヴのセキュリティに問題が発見されたものの、ジョージはシンクレア達を追い返してしまった。
その後、J3を再起動。彼女はとても混乱していたが、前日と違って多少は会話が交わせる。J3はまるで本物のジュールのように表情を動かし、警戒して混乱しアンドロイドの体は嫌だと言うのだった。
その様子を影からじっと見つめるJ2。J2はJ3が完成したら自分が捨てられるのではないかと思っている。自分の体とJ3の体は構造もビジュアルも大きく違う。ジョージにとってロボット然としているJ2は自分に魅力があるとは思えなかった。
翌日、ジョージはJ3に様々なテストを受けさせる。そして、J1とJ2を紹介。そして、J3の体は数日で完成させると断言した。J1の知能は5歳程度だが、J2の知能は16歳程度。そして、J3の知能はそれ以上である。ジョージの研究は飛躍的に進んでいた。
翌日は安全システムの修理のため、外へ出たジョージ。鉄塔に上りシステムの修理を行ったが、不具合が続く。どうにか再起動を行い復旧は完了した。
その日の夜は会社のリスク査定人と会う予定があり外出。リスク査定人と対面すると、相手からジョージが危険な組織に狙われており監視されていると告げられる。施設にはジョージしかいないはずだが、何者かに睡眠中の姿を隠し撮りした写真が届いたと言い、充分に気をつけろと忠告されるのだった。
ジュールと共に自動車事故に遭った時の夢を見た後、侵入者の警報で目が覚めたジョージ。部屋の窓が粉々に砕けている様子を目にし、施設の奥へ。システムのリセットを行い、施設内を見て回るとJ3の姿が消えていた。そこで、リスク査定人から受け取ったトランクを開けると、中には銃一式とリスク査定人に通信が即座に繋がる。危険性がないと判断したリスク査定人は、トランクを開ける時は緊急時だけにしろと言うのだった。
映画『アーカイヴ』のあらすじ【転】
確実に施設で何かが起きている。夜が明けてからジョージは施設周辺を捜索したが、J3は見つからない。生前、ジュールとアーカイヴについて話したことを思い出した。
ジョージはドローンを飛ばして更なる捜索を行った。心配したJ1が雨の中、施設の出口で立ち尽くしている。ジョージは山奥でJ2のキーホルダーを拾う。
帰宅すると立ち尽くすJ1を発見。J1は防水ではないのでショートしたらデータが消えてしまう。面倒をJ2に頼んでいたはずだが、目を話した隙に出てしまったらしい。ジョージはJ2に全員家族だから守ると告げ侵入者を中に入れるなと頼んだ。
作業室でたまたま棚を開けるとなんとJ3が落下してくる。しかも彼女は何かを知ってとても怒っている。そこで、ジョージは真実を全てJ3に明かすことにした。
ジョージはアーカイヴからジュールのデータを抜き出したが、膨大な量によりハードにダウンロードができなかった。そこで、彼はJ3の脳に生化学的な要素を加え複雑化することに成功。アーカイヴからジュールのデータを抜き取り、それを更にパターン認識ソフトにかけ、1年以上をかけてジュールの全容をデータ化。それを基に人格テンプレートを作成しJ3を作った。
ジョージはJ3で研究を終わらせるつもりだったので、J4は作らないと約束。そして、J3から何があったのかを聞く。どうやらジョージに捨てられると危機感を抱いたJ2がJ3をアーカイヴへ連れ出し、押し付けたと言う。ジョージはJ2を責め、彼女の電源を落とし両足を切断してJ3の足へ流用してしまった。
アーカイヴ社からジョージがロボットにアーカイヴ技術を用いたとして、特許侵害を疑い調査を求めているとシモーヌから通信が入る。シモーヌは、研究内容は明かせないと抵抗してくれたようだが、アーカイヴ社は法的手段に講じると言う。会社は弁護士を立ててジョージを訴えようとしている。守秘契約を破ってアーカイヴ社の人間を施設に入れたからだ。これにより、ジョージは会社から解雇される可能性が高まった。
そこで、ジョージはJ3の完成を目指す。両足を装備した後は人工皮膚と毛髪を付属し、指紋を作成。作業は急ピッチで行われた。J3が完成した後、J2を再起動し新たな足を装備したが、彼女は元の足を返して欲しいと言い募る。彼女はバッテリーがなくなるまで外で過ごし施設に戻って来たが、バッテリーが切れて倒れてしまった。
映画『アーカイヴ』の結末・ラスト(ネタバレ)
J3が完成したため、彼女に食物を食べさせてみる。そこへJ1がやって来る。J2が倒れたことを知らせてくれたのだ。急いでバッテリーを補給したが、J2は何も話したくないと拒絶。
J3は最早ジュールそのものである。ジョージは彼女とダンスやジョギングを共に楽しんだ。2人の様子を窺うJ2は密かにある決心をする。彼女はJ1に別れを告げ近くの湖へ。自ら湖へと沈み自身の存在を消してしまう。
J2が姿を消したことでジョージはドローンを飛ばして姿を探したが、見つけられず通信も繋がらない。彼はJ2の物を箱に収め丁重に埋葬した。
そんなある日、J3はジュールの記憶を思い出し、ジョージのベッドへ入り込む。だが、ジョージは彼女を拒絶。J3は再び混乱状態に陥り倒れてしまう。
大事故の時の記憶が蘇り記憶が錯綜する。ジョージは彼女を再起動しジュールが事故当時、妊娠していたことを知るのだった。
そこで、ジョージはアーカイヴ社へ連絡を入れたが、会社にはシンクレアというスタッフはおらず、ジョージの元へ訪問した記録もないと言われてしまう。アーカイヴのジュールはすでに眠りに入っているため、会話はできない。ジョージは愕然としてしまいシンクレアこそが組織の一味であったことに気付く。
そこにシモーヌからの通信が入る。曰くアーカイヴ社が湖でJ2を発見し、会社に対して巨額の賠償請求をしてきたと言う。ジョージはシモーヌとの通信を強制的に切り、J3を連れて施設から脱走しようとする。しかし、J3は彼について行かずアーカイヴからの通信を受ける。アーカイヴのジュールは混乱していたが、ジョージは彼女をJ3にダウンロードするしかないと考える。
しかし、施設の外に会社のヘリが到着。J3がジョージに向けて銃を向ける。ジョージは、J3にジュールを復活させて関係を修復したかったと語った。J3は彼の想いの強さに負け自らの身体を託す。ドアが今にも焼き切られようとしている。ジョージはアーカイヴからジュールそのものをJ3にダウンロード。データは全てダウンロードが完了していたが、J3の意識は戻らない。
直後、襲撃が止みJ3が意識を取り戻す。それなのにアーカイヴから着信が入る。疑心暗鬼になったジョージは通話を開始し、相手がジュールと娘であることを知る。契約が完了したため、休眠に入るとのことだった。
実は事故で亡くなったのはジョージの方で、彼こそがアーカイヴのデータであった。彼は契約を終えその命を完全に終えた。ジュールと娘はジョージのアーカイヴを葬送に出し、その場を去って行くのだった。
映画『アーカイヴ』の感想・評価・レビュー
アーカイヴという装置の中に個人の意識と記憶を保存し、契約期間中は会話もできるという画期的なシステム。主人公はアーカイヴを利用し、亡き妻をアンドロイドとして復活させようとするという内容。
今作に登場するアンドロイドは3体あるが、それぞれに可愛げがある。特にJ2は作業用ロボットのような人型であるにも関わらず、感情が手に取るように分かる。いずれはJ3のようなアンドロイドが誕生するのだろうが、あそこまで極めて人に近いロボットとなるとまだまだ技術が追い付かないだろう。それでもいずれは、誕生しそうな気がする。更に、ストーリーがラストシーンで逆転するので驚愕。なかなか良くできたシナリオである。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー