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映画『乱魄』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『乱魄』の概要:中国の時代劇ファンタジー『陳情令』のスピンオフ作品第二弾。五大世家の一門、聶氏が抱える一族の秘密とそれに抗う兄弟の絆を描く。聶氏宗主が刀霊による失心症を患う中、一族の墓に盗賊が侵入。宗主の弟、懐桑は兄と共に墓の修繕へ向かい一族の秘密を知る。

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映画『乱魄』の作品情報

乱魄

製作年:2020年
上映時間:83分
ジャンル:ファンタジー、歴史
監督:チョウ・チョンウェイ
キャスト:ジー・リー、ワン・イージョウ etc

映画『乱魄』の登場人物(キャスト)

聶・懐桑(ジー・リー)
ニエ・ホワイサン。聶氏次男。武術が不得意だが、非常に賢く芸術や美を愛する。口が上手くふわふわした性格。愛情深く人を傷つけ、犠牲にすることが嫌い。兄を尊敬しているが、聶氏が習得する刀法に疑問を抱いている。
聶・明玦(ワン・イージョウ)
ニエ・ミンジュエ。懐桑の兄で聶氏宗主。短気で厳格だが、本質はとても愛情深く誠実。歳の離れた弟をとても大切にしているが、軟弱な性格を矯正しようと奮闘している。自分の刀霊に乗っ取られる失心症を患っており、生い先が短いことを自覚している。
金・光瑶(チュウ・ザンジン)
ジン・グアンヤオ。金氏の庶子で各世家を転々とし、明玦に拾われる。藍氏でも修行をしたことがあり、藍氏特有の術を使うことができる。実は復讐するため、壮大な策を実行中。
聶・宗輝(フェー・シアン)
ニエ・ゾンホイ。聶氏の親族で子弟。明玦に次ぐ腕を持ち忠実。懐桑を警護するほど明玦に信頼されており、聶氏に忠誠を誓っている。

映画『乱魄』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『乱魄』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『乱魄』のあらすじ【起】

仙門五大世家のうちの一門である聶氏は不浄世に本拠地があり、武に誉れが高いことで名を馳せている。宗主は厳格な聶明玦(ニエ・ミンジュエ)。彼もまた武神のごとく雰囲気を持ち、短気な上に厳しいことで有名だった。

ある日、不浄世の山奥にある聶氏の墓、祭刀堂に盗賊が入る。明玦は弟の懐桑に祭刀堂に隠された一族の秘密を教えるため、親族で子弟の聶宗輝(ニエ・ゾンホイ)へと連れて来るよう命じる。そこへ、明玦の前に五大世家の一門、金氏の庶子である金光瑶(ジン・グアンヤオ)が現れる。彼は金氏の庶子ではあるが、不遇の扱いをされ明玦に拾われ子弟として世話になっていた。

明玦の弟である懐桑は、武の聶氏直系の次男でありながら、およそ聶氏らしくなく武術よりも芸術や美術品に興味を示しふわふわと浮雲のような性格。兄はそんな弟を常々、不甲斐ないと叱りつけているが、懐桑は口八丁で逃げてばかり。祭刀堂の修繕に関しても自分は戦えないので兄に任せると言う。短気な明玦は怒り狂い一族でも強すぎて扱いにくい自身の刀の影響を受けてしまう。彼の気を鎮めるのが、光瑶の仕事である。彼は各世家を放浪し藍氏の琴を操る術も習得しているため、明玦が刀霊に負けないよういつも琴を奏でているのだった。

聶氏では刀霊に意識を奪われることを失心症と呼んでいる。短気になって怒りやすくすぐに手が出てしまうのも、刀が持つ霊力に己の意識が奪われるからである。だが、この事実を懐桑はまだ知らなかった。故に彼は幼い頃から荒々しい兄に嫌われていると思っており、光瑶の説得にも応じない。そこで、光瑶は懐桑に短笛を渡し、心を鎮める曲を奏でて明玦の病の進行を食い止めろと言うのだった。

そうして、懐桑は明玦と共に祭刀堂へ向かった。祭刀堂は周囲に霧の結界を展開しており、容易に近づけないようになっている。ところが、道も半ばで一行の1人が何者かに連れ去られてしまう。直ちに構えを取った一行だったが、相手が何者かが分からない。明玦は宗輝に懐桑を警護させ、自らは先陣を切って先に進んだ。

霧深い中で子弟が次々と連れ去られる。触手のようなもので身動きができなくなった明玦は、刀霊の力を得て触手を断ち切り襲い来る者を次々に倒した。彼はたった1人生き残り、弟達の元へ戻る。襲撃者は傀儡と呼ばれる者たちだ。傀儡は死体などを用いて意のままに操る邪術である。明玦達は急いで祭刀堂へ向かい中へと入った。触手は祭刀堂の中にまでは入れない。

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映画『乱魄』のあらすじ【承】

これらの現象は祭刀堂に祀られる刀霊との均衡が崩れたことが原因だ。祭刀堂の周囲はかつて千人塚と呼ばれ無数の遺体が土中に埋まっており、怨念によって邪霊が蠢く。故に刀霊の力でもって鎮めていたのである。

一行は祭刀堂の主墓室へ。ところが、主墓室へ入るための門を制御する陣が破られていることが判明。中へ入るには青竜と白虎と呼ばれる墓室の陣を修復しなければならない。そこで、明玦は二手に別れ陣の修復を行うことにした。

懐桑は弱気ながらも宗輝と共に向かう。明玦は白虎の墓室へ向かい触手の攻撃を受け、陣の組み直しができない。一方、青竜の墓室へ向かった懐桑は頭脳を使って陣の組み直しを見事に果たした。更に懐桑は宗輝から祭刀堂の秘密を聞かされる。

聶氏は狂暴な刀霊を剣に宿らせ、その力を制御しながら戦う。故に武による誉れが高い。だが、持ち主が亡くなると刀霊が制御できなくなってしまい災禍を招くため、祭刀堂の壁には骸を埋め、強力な護符や結界で殺気を抑えるしかない。そのため、祭刀堂の壁は骸を欲し生きた人間を取り込もうとする仕組みになっていた。

その話を聞いた懐桑はショックを受ける。そんな時、白虎の陣が修復され扉が開いたが、急いで出なければ再び閉じられ壁に取り込まれてしまう。子弟たちは懐桑を脱出させるため、盾となった1人が犠牲となってしまうのだった。

陣の修復が行われたことで主墓室への門が開く。明玦はすぐに先へ進もうとするが、懐桑は納得できず兄に祭刀堂のことを問い質そうとする。宗輝は祖先が悪党の骸で刀霊の均衡を図ったと言うが、懐桑は生贄を捧げることに納得ができない。兄弟はこの件で口論となってしまう。刀法を駆使し祖先より受け継いだ強い聶氏を維持したい兄、犠牲を無くし刀法を使わずとも良い方法があるのではないかと主張する弟。懐桑にとって聶氏の家訓とは、自分を死に追いやる刀霊に生贄を捧げることで邪道と同義だった。

しかし、明玦は弟の言うことなど一切聞かず、犠牲がいくら出ても刀霊の均衡を図ると断言。当然、子弟たちは宗主の命令を聞くしかなく、懐桑もまた兄の命令に従うしかない。
門の先の橋を渡る。一行は蝙蝠の群れに襲われながらも先へ向かったが、懐桑は蝙蝠の攻撃によって破壊された橋から転落。明玦は弟を助けるため、崖へ飛び込み自分の剣で弟を助け自ら犠牲になってしまった。

映画『乱魄』のあらすじ【転】

年の離れた兄弟は幼い頃、とても仲良しだった。弟の罪を兄が庇い一緒に怒られたこともある。刀法を習得した兄の気質が様変わりしてしまっても、本質は変わらない。兄によって助けられた弟は明玦を見捨てられず、剣を手に再び崖下へと身を投じてしまう。

どうにか崖下へ到着した懐桑。明玦を探しながら道を進むが、道に迷って出られなくなる。疲れ果てた頃、どこからか自分を責め立てる複数の声が。恐怖に慄き逃げ惑った懐桑はいつしか意識を失ってしまう。
気が付くと明玦が助けてくれていた。懐桑は自分を助けた兄を見殺しにはできないと話す。そこで、明玦は本音を口に出した。弟の指摘は最もで、刀霊の均衡を図ることは目先の策に過ぎない。聶氏を救うには刀霊を完全に抑えることが必須なのだ。

明玦は自身の決断が弟をも巻き込んでしまったと後悔している。だが、懐桑は武術が苦手な自分のために一族の宗主となった兄を見捨てることができない。明玦は聶氏の刀霊の呪いを受けないために武術を磨いたが、結局は祖先と同じ轍を踏んでしまったと肩を落とす。そして、呪いを受けた自分の命がもう僅かもないことを自覚しており、近い内に懐桑が宗主となるだろうと言う。弟を守るために必死にやってきたが、それもできなかった。だが、懐桑は今からでも兄弟が支え合えばきっと道は開けると言う。ところが、明玦曰く、現在いる場所は刀霊に乗っ取られた祖先が自ら外へ出られないよう閉じ籠った場所で、出る術はないらしい。

懐桑は落涙する兄を目にしても尚、前向きなことを口にした。そこでふと、水が流れる音に気付いた懐桑。更に壁に描かれた絵や壁画から床に八卦陣があるのを発見し、陰陽の術を発動すると壁の一部が道を開く。無いと思われていた出口だった。細道を進むと主墓室へ繋がっており、子弟とも無事に合流できた。

明玦は心を入れ替え、犠牲となった者達を惜しみ刀霊の均衡を図るには兄弟2人だけで行うと宣言。しかし、宗輝を含む子弟たちは聶氏に心から忠誠を誓う。一同は刀霊を滅して同胞に祭ると心を一つにするのだった。

映画『乱魄』の結末・ラスト(ネタバレ)

いよいよ主墓室。この先は均衡が崩れているため、何が起こるか分からない。刀霊は狂暴極まる危険なものだ。早速、刀霊による襲撃に遭い、子弟が次々とやられていく。懐桑も衝撃によって意識を失ってしまった。残った明玦と宗輝は剣を構え刀霊と対峙。2人は協力して暴れ狂う刀霊を捕縛して陣を敷いたが、制御を失った刀霊には敵わない。そして、吹き飛ばされた明玦を宗輝が身を挺して庇った。すると、宗輝は刀霊に乗っ取られてしまう。刀霊は聶氏の祖先である。奴は邪霊扱いされることに憤り、聶氏を滅ぼすと宣う。更に子弟の命が犠牲となり、とうとう明玦の怒りが爆発。

明玦は自らの刀霊にその身を託し祖先の刀霊と攻防を展開。狂暴化した刀霊と互角に戦う明玦。彼は奴の猛攻を物ともせず戦い続けとうとう暴れる刀霊を倒した。

しかし、明玦は失心症により刀霊の制御が上手くできず、正気に戻った宗輝に剣を振り下ろそうとする。そこで、意識が戻った懐桑が短笛によって心を鎮める曲を奏でたのだが、力及ばず明玦は宗輝を斬り殺してしまうのだった。更に明玦は生き残った2人の子弟を殺し、弟にまで手を下そうとする。だが、明玦は相手が愛する弟であることに気付き寸前で剣を止め、刀霊を抑え込んだのであった。

正気に戻った明玦は腹心の宗輝の遺体や子弟の遺体を目にしたが、記憶が無い様子。刀霊が殺したと答えると、明玦は泣き崩れてしまう。その後、兄弟は刀霊の均衡を図り帰路に就いた。

しばらく後、明玦の病は悪化の一途を辿り、光瑶の術も効果を成さず亡くなってしまう。
兄の死後、不浄世にて聶氏宗主となった懐桑。彼は涙に暮れるもあることに気付く。心を鎮めるとして光瑶が奏でていた曲に不審な点が見つかったのである。明らかに光瑶による仕業と察した懐桑は、彼への復讐を密かに誓うのであった。

映画『乱魄』の感想・評価・レビュー

中国の人気作『陳情令』のスピンオフ第二弾。今作では本編の現代へ入る少し前、聶氏の次男、懐桑が一族の秘密を知り兄明玦との絆を結び直す様子を描いている。

本編では懐桑が復讐を誓うまでの詳細は描かれておらず、ラストシーンで全ての画策が彼の仕業だったと匂わす程度で終わる。彼の印象は常に傍観者で主だった戦いにも出て来ない。対して兄、明玦の印象は痛烈で厳しく短気で正に武神のごとく。今作では彼が刀霊に乗っ取られるまでは非常に愛情深く誠実な人物だったことや、男泣きしたり後悔してしょんぼりする姿が描かれるなど、イメージを覆される。そういった意味でも聶氏兄弟の絆がいかに強いものだったかが分かった。本編で兄の死に号泣していた懐桑に違和感を覚えていたのだが、今作を観てようやく納得した。(MIHOシネマ編集部)

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