映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』の概要:中世イングランド。キャメロット城の王アーサーはローマ帝国との戦い終結後、自身を見失い帰国もせず怠惰な日々を送っていた。ところが、自国を任せていた王子モルドレッドの反逆により王妃の身が危ないと知り、再び王として帰り咲くべく立ち上がる。
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』の作品情報
上映時間:91分
ジャンル:アクション、ファンタジー、アドベンチャー
監督:ジャイルズ・オルダーソン
キャスト:リチャード・ショート、リチャード・ブレイク、ステラ・ストッカー、ティム・フェリンガム etc
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』の登場人物(キャスト)
- アーサー王(リチャード・ショート)
- イングランド、キャメロット国の王。元は平民であったが、聖剣エクスカリバーを手にしたことで王と崇められる。愛情深く心優しい人物であるが故に失われる命に心を痛める。息子モルドレッドの反逆により帰国を決意。マーリンを頼りにしている。
- ランスロット(ティム・フェリンガム)
- 円卓の騎士であり、アーサーの親友。王を守ることを信念としていたが、王妃グィネヴィアと心を通わせ、アーサーを裏切る。
- マーリン(リチャード・ブレイク)
- 偉大なる魔法使いでアーサーを王として導き鼓舞している。神出鬼没で時にハヤブサに姿を変えアーサー一行を導くこともある。
- グィネヴィア(ステラ・ストッカー)
- ブリテン国王妃。魔女によって森の洞窟に拘束されていたが、アーサーとランスロットにより救出される。黒髪の美しい女性で意思が強い。王妃となるもランスロットと心を通わせていた。
- ルーカン(ローナン・サマーズ)
- 円卓の騎士。キャメロットに残り国の守備に務めていた。モルドレッドの横暴を止めることができなかったことを悔い、アーサーの呼びかけに応じて集う。
- モルドレッド(ジョエル・フィリモア)
- アーサーと先王妃の息子。小心者であり王の器でないにも関わらず、父王の暗殺を企て王位を簒奪しようとする。横柄で権力を笠に着ている。
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』のあらすじ【起】
中世、イングランド。キャメロット城の主、アーサー王は騎士ランスロットと遠乗りに出掛け、その帰りに森の中で魔女に囚われていた女性グィネヴィアを救出した。アーサーは妻に先立たれ幼い息子モルドレッドのために新たな花嫁を迎えようとしていたため、グィネヴィアを妻に迎えることにした。
その後、アーサー王は8年にも渡りローマ帝国との血戦を続け、戦には勝利したものの多くの家臣を失った彼はその反動に耐えられずフランスで堕落した日々を送るように。その間、国のことはモルドレッドに任せきりだった。
最早、アーサーの元には聖剣エクスカリバーもない。ランスロット曰く、アーサーが我を失ったせいで消えてしまったらしい。ランスロットは再三に渡って王に都へ帰還し、国を狙うサクソン国との戦いに備えるべきだと進言していたが、アーサーは全く聞く耳を持たなかった。
一方、キャメロット城では王子モルドレッドが好色を示し横柄な態度で政治を行っていた。彼は父王アーサーが国を捨てたと認識してすぐに円卓を破壊し、忠誠を誓う騎士へも態度を改めなかった。王の器があるとは思えないモルドレッドの言動や態度には、騎士たちも辟易としている。モルドレッドは苦言を呈する騎士すらも問答無用で切り捨てる残忍な性格で、サクソン国から侵略されないために手を結ぶと言い出す。更に騎士へと自分に忠誠を誓えと強制するのだった。
その頃、休んでいたアーサーの元に暗殺者が現れる。生き残った者に尋問したアーサーだったが、女暗殺者はモルドレッドが差し向けたらしい。彼女は王妃がモルドレッドの玩具として扱われていると言う。アーサーは激怒し暗殺者を解放した後、息子の所業を止めるべくイングランドへ帰国することにした。
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』のあらすじ【承】
王妃グィネヴィアは貞操を守りつつも夫アーサーの帰国を待ち続けている。だが、モルドレッドの影響力は大きく、いつの間にか入り込んだ魔女が彼を支持していた。モルドレットは魔女から情報を得て父王が帰国の途に就いたことを知る。
アーサーは忠臣を集いイングランドの地へ。しばらくの間、ハヤブサが道案内をしてくれていたが、急に消えてしまう。不穏に感じたものの一行は先へ進み森の中へ入ったが、どうにも怪しい。道も半ばでアーサーは魔女の声を聞いた。彼は急いで仲間の元へ向かったが、やがて森は薄暗くなり濃い霧が発生。崩れかけた遺跡に差し掛かったため、彼らはそこで休息を取ることにした。
モルドレッドはグィネヴィアを自分の妃にしたいと考えており、貴族や民を恐怖で支配している。補佐として国に残っていた騎士ルーカンはモルドレッドから王座を守れなかったと悔いているが、戦続きで戦っていた騎士たちにしてみれば不甲斐ない。一行は小競り合いを始めるが、そこへハヤブサが戻り焚火へ飛び込むと魔法使いのマーリンが姿を現した。
マーリンはアーサーを呼び出し、信念を失ったと告げる。アーサーは戦のせいで1万もの兵士を失い何のために戦っているか分からなくなったと言う。だが、マーリンは厳格な言葉でもってアーサーを鼓舞するのだった。
騎士たちの元へ戻ったアーサーは、彼らの前で地に膝をつき忠誠は王ではなく国と仲間の騎士に誓うべきだと告げる。彼は改めて騎士たちと共に忠誠を誓う。しかし、それでも未だエクスカリバーは戻らない。その後、騎士の1人が森の中で魔女に命を奪われ、モルドレッドが王妃を幽閉したと情報が入る。そこで、アーサーは騎士たちに徒歩で城へ向かうよう指示し、自分は単独にて別ルートで城へ向かうことにした。
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』のあらすじ【転】
城へは徒歩で2日はかかる。ランスロットがアーサーと共に行くと言ったが、彼には協力してくれる貴族の元へ向かい忠臣を集めてもらうよう頼む。ランスロットを見送ったアーサーだったが、直後に背後から襲われ意識を奪われてしまうのだった。
一方、キャメロット城では魔女が司祭にモルドレッドの婚礼を取り仕切って欲しいと頼む。現王妃と結婚すればモルドレッドが王になる。司祭は反逆だと非難したが、抗うことができなかった。当然、グィネヴィアはモルドレッドを拒否し続けている。
その頃、暗殺者に捕縛されたアーサーは、暴力による報復を受けていた。暗殺者の父親は国を守るために戦い亡くなったらしい。モルドレッドもアーサーを反逆者だと宣っている。散々責め苛まれたアーサーは女暗殺者を殺したくないと言いながら、戦いを強要され彼女を殺してしまう。魔女によって恨みを増幅された暗殺者は死の間際にようやく正気を取り戻し、モルドレッドはグィネヴィアを殺すだろうと告げるのだった。
そんな中、アーサーの命令を遂行するため、単身で行動していたランスロットは、グィネヴィアの姿になった魔女の誘惑に負けてしまう。彼は朝になって相手が魔女だと気付いたが、すでに周囲を包囲されており捕まってしまうのだった。
城へ連行されたランスロットはグィネヴィアへの秘めた恋心を暴かれ拷問にかけられる。
その頃、ルーカン達は城の丘の下へ到着。アーサーもまた近くまで来ていたが、彼は女に手をかけたことを嘆きマーリンに助けを乞うた。元は平民だったアーサーは聖剣を手にしてしまったことで王と祀り上げられた男だ。マーリンは都度、アーサーを鼓舞し導いて来た。今度もアーサーのために鼓舞し、道を示してくれる。
モルドレッドはその日の内にグィネヴィアと婚礼を挙げるつもりだ。アーサーは城へ向かっていたが、またも魔女の誘惑に負けそうになる。川に引き込まれ命からがら岸へ上がると、なんと川原にエクスカリバーが刺さっているのだった。
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』の結末・ラスト(ネタバレ)
侍女からランスロットが牢に拘束されていると聞いたグィネヴィアは、密かに彼へと会いに向かう。ランスロットは誓いを拒否しろと言うが、グィネヴィアは諦めているようでもあった。
婚礼にはサクソン国の貴族も招待している。モルドレッドは王妃と結婚し、王位に就いたらサクソン国と手を結ぶ。グィネヴィアは王子を王にするだけの存在として利用されるだけの存在である。ところが、魔女の目的は王となったモルドレッドの妃になり、キャメロットを牛耳ることにあった。故にグィネヴィアがモルドレッドを王にしたら後は彼女を亡き者にし、自分が取って代わろうという腹積もりなのだ。
そうして、いよいよ婚礼が開始される。アーサーは仲間の騎士と合流し、都の中心へ続く水路から侵入を開始。大広間で行われる宴にてモルドレッドを制裁するという計画を立てた。モルドレッドの所業は売国行為である。王として許すことはできない。
謁見の間では今正に婚姻の誓いが行われようとしている。アーサー達は城への侵入を果たし、ランスロットが牢にいるのを発見する。彼を解放したアーサーは共にグィネヴィアの救出へ。騎士たちは同じ仲間を手にかけることに悔いを残しつつ、制圧へと突き進む。
大広間へ逸早く到着したルーカンは婚姻の誓いを促す司祭を弓で射殺。そこへアーサー達が乱入し、モルドレッドとその兵士達と戦いを展開した。しかし、グィネヴィアは魔女によって大広間から連れ出されてしまう。アーサーは息子と対峙し、グィネヴィアとランスロットが密かに心を通わせていることを知る。
別室へ連れ出されたグィネヴィアは拘束から逃れて反撃し、魔女を殺すことに成功。そこへランスロットが現れグィネヴィアと愛を交わし、城を去ってしまう。
アーサーは2人の姿を目撃し、ショックを受ける。激怒した彼は仲間の騎士の死を悼みモルドレッドを拘束し、追放を言い渡すのだった。
国王として威厳を正し、国のために尽くした騎士を手厚く葬り敵国兵の死体は吊るし上げにして晒す。愛する者を失い親友に裏切られ息子をも失った彼は、それでも王として責務を果たさなければならない。アーサーは血に塗れたまま王冠を被り、玉座に腰を下ろすのであった。
映画『ザ・キングダム 伝説の騎士と魔法の王国』の感想・評価・レビュー
アーサー王が妻グィネヴィアを巡って息子モルドレッドと三角関係を繰り広げたという説に基づき制作された作品。
アーサー王と言えば平民から王へと栄光を手にし、勇敢にも国を導いた英雄と誉れ高いイメージだが、今作では王が抱える苦悩を中心に描き反逆した息子から妻を取り戻すために奮闘している。しかしながら、終盤での騒乱に乗じてまさかのランスロットの抜け駆けには愕然とさせられた。度々、マーリンが姿を現しアーサーを導くのだが、マーリンの出現が神がかっている。最終的にアーサーは王として王座に座るが、彼の苦悩や悲哀が滲み出すような厳格な表情であったのがとても印象的だった。(MIHOシネマ編集部)
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