この記事では、映画『ブラッディ・リベンジ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ブラッディ・リベンジ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ブラッディ・リベンジ』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:サスペンス
監督:ナタリヤ・レイチ
キャスト:フランチェスカ・イーストウッド、クリフトン・コリンズ・Jr、リーア・マケンドリック、ピーター・ヴァック etc
映画『ブラッディ・リベンジ』の登場人物(キャスト)
- ノエル・ポセロ(フランチェスカ・イーストウッド)
- バルボア大学の美術学研究科に通う学生。同じ学部の人気者、ルークに想いを寄せているが、その気持ちにつけ込まれレイプされてしまう。学校に被害を訴えるも助けて貰えず、自らの手で制裁を加える。
- ケネディ警部(クリフトン・コリンズJr.)
- ルークの死をはじめ、バルボア大学の男子学生が次々と死亡する事故を事件として捜査する。ノエルは事件と関係があるのではないかと踏む。
- スカイ / デイジー・アストン(リーア・マケンドリック)
- ノエルが住む寮の隣人。親友。ノエル同様レイプされた過去を持つが、打ち明けられずにいる。
- ルーク(ピーター・ヴァック)
- ノエルが秘かに想いを寄せているイケメン。交友関係が広く、連日開かれるパーティに多くのゲストが集まる人気者。ノエルの視線に気が付き、レイプ目的でパーティに誘う。
- シェーン(デビット・フウィン)
- ノエルやルークと同じ学科に通っている学生。ノエルとは友人だが、それ以上の感情を持っているようだ。
映画『ブラッディ・リベンジ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ブラッディ・リベンジ』のあらすじ【起】
バルボア大学の美術学研究科に通うノエルは、内気な学生だった。階段で他の学生とすれ違う時も、挨拶を交わさないどころか肩をぶつけられるような存在感の無さである。彼女の作品は品評会で酷評を受ける程に平凡な作風で、教授からは「もっとリスクを冒せ」と喝を入れられる。そんなノエルは、クラスメイトのルークに恋心を抱きつつも、彼に気付かれないように遠くから眺める日々を過ごしていた。
ある日ノエルは、構内の中庭でルークを見つめていたところ、視線に気付いた彼に声を掛けられた。憧れの人との会話にドギマギしながらも、彼からのパーティへの誘いを承諾した。その夜、普段は着ないようなドレスに身を包むノエルの姿を見た親友のスカイは、彼女に男性の陰を見る。ルークと仲良くなりたいがどうしていいか分からないと緊張するノエルはスカイにアドバイスを貰い、勇んでパーティへと向かった。
パーティには大勢の学生達が集まっていた。ノエルは勇気を出してルークに声を掛け、2人は芸術の話で盛り上がる。「君と話してると楽しいよ」と囁かれたノエルは舞い上がり、導かれるまま彼の部屋に入ってしまった。そこで、さっきまで優しく接してくれていたルークは豹変。ノエルは抵抗らしい抵抗もできないまま犯されてしまった。ルークは前からノエルの視線に気が付いており、レイプ目的でパーティに誘っていたのだ。ノエルは、気合いを入れてセットした髪やドレスをめちゃくちゃにされ、全身痣だらけで寮へと帰った。

映画『ブラッディ・リベンジ』のあらすじ【承】
深く傷ついたノエルに気付いたスカイは、彼女から事情を聞き唖然とする。ノエルはレイプされた事実を学校に相談しようとするが、スカイは「私の友人の話」をして忠告する。レイプ被害は学校や警察に相談してもまともに取り合って貰えず、かえって異常者扱いされてしまうと言うのだ。そうアドバイスを受けたノエルだったが、堪らず学校カウンセラーのメリンダ・サンダースに被害を報告しに行った。
ところが、スカイの言った通りノエルの訴えは相手にされなかった上に、彼女に落ち度があるような責められ方をした。何も信用できなくなったノエルは、ルークに直接謝罪を求めるため彼の部屋を再び訪れる。しかし、ルークはノエルの言い分を全く聞き入れようとしない。口論の末にノエルは、彼を2階から突き落として殺してしまった。警察が彼の死因を調べるにあたり、最後にメールのやり取りをしたノエルも捜査線上に上がったが、彼女はそれを上手くかわす。警部のケネディだけは、ノエルをマークしたままだった。
自分をレイプした相手を殺してしまったノエルは、校内で他のレイプ事件がなかったかを調べ、同じような被害を受けたリンジー・ショウとコンタクトを取る。彼女を集団でレイプしたアメフト部の選手達が無罪放免となり、今ものうのうと生活していることを知ったノエルは、彼らに制裁を加えることを決意する。
映画『ブラッディ・リベンジ』のあらすじ【転】
アメフト部のパーティに変装して忍び込んだノエルは、リンジーをレイプした学生を殺害。興奮冷めやらぬまま彼女はキャンバスに本能をぶつけ、殺人の後に描いた油絵はこれまでにない程の高評価を得た。ノエルは勢いそのままに、他のレイプ犯達も次々に殺害。その度に素晴らしい作品を描いていった。
ノエルがスカイの部屋を訪れると、彼女は自傷行為を行っていた。以前「友人の話」を聞かせてくれたスカイのことを気にかけたノエルは、警備室で校内での犯罪記録を調べる。そこでスカイの本名がデイジー・アストンであることと、彼女もノエルやリンジーと同じようにレイプ被害にあっていたことが判明する。さらに、スカイの証言に対して「精神異常」や「合意の可能性あり」といった誤った診断が下されていたのだ。ノエルはこの診断を下し、自分の証言も聞き入れなかったカウンセラーのメリンダを恐喝。スカイをレイプした学生、カルヴィン・リーヴスを殺そうとする。
カルヴィンを拉致し体育館へ連れ込んだノエルだったが、警備員が血溜まりに気付き通報。ノエルは、泣き叫ぶカルヴィンの首元に鋏を突き刺し逃走した。
映画『ブラッディ・リベンジ』の結末・ラスト(ネタバレ)
カルヴィンの殺害未遂を受け、ケネディはスカイに事情聴取を行うが、リンジー同様自分をレイプした相手について語りたがらなかった。警察にマークされたスカイは、最近のノエルの挙動を怪しみ彼女の洗濯物を漁る。すると、洗濯かごから血のついたタンクトップと、自分がレイプされた時の写真が出てきた。
カルヴィンを殺し損ねたノエルだったが、学生生活は順調だった。教授から短期間での成長を認められ、修了式での代表スピーチを任されたのだ。このことでさらに自信がついたノエルが帰宅すると、スカイは彼女を問い詰めた。スカイは警察から監視されていることでトラウマが蘇り、ノイローゼ状態になっていた。いたたまれなくなったノエルは彼女に一連の犯行を告白し、翌朝自首すると約束したが、スカイは「私が殺人犯です」と書き残し自殺してしまった。
修了式を迎えたノエルは、同じ学部の生徒の前で堂々とスピーチをした。病院で意識を取り戻したカルヴィンの証言を受け彼女を逮捕しに来たケネディは、スピーチが終わるのを待つ。ノエルは「皆さんどうか、美を保つより真相を明かしてください。正直でいてください」と締めくくり、晴れやかに微笑んでパトカーに乗せられた。
映画『ブラッディ・リベンジ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
綺麗なクリフトン・コリンズJr.が見られる貴重な映画の1つである。
陰キャのノエルが殺人によって自身を付け陽キャへと変貌する様は、賛同こそできないが美しい成長過程である。暴行シーンや殺害方法も現実的で、違和感なく鑑賞できる。
細かい苦言を呈すると、綺麗なクリフトン・コリンズJr.がノエルに最初の聞き取りをしてから、次の登場シーンでは沢山の髭をたくわえていたので、時間経過の表現が甘いように感じた。(MIHOシネマ編集部)
高校のキャンパスを舞台にしたスリラーとして、“復讐”の動機を丁寧に描いた良作。主人公が性的暴行を受けた後、自ら武器を手にして復讐の道を進む姿には、衝撃と共感が交互に押し寄せました。正義と自己犠牲の境界線を問いかける脚本がドラマとしても深みがあり、ラストの静かな結末に胸が締め付けられました。フェミニスト視点でも考察したくなる1本。(20代 男性)
怒りと恐怖の狭間で揺れ動く主人公の心理描写に圧倒されました。復讐は暴力ではなく、自分の声を取り戻す行動だったんだと最後に気づく瞬間に震えました。証拠を握って裁判に訴えるのではなく、痛みを相手の記憶に刻もうとする決意が切実で、言葉にならない余韻が残ります。フェミニストとしても多くの議論を呼ぶ作品だと思います。(30代 女性)
性的暴力を目撃してしまった友人を救えなかった罪悪感から、自分自身が行動に出るという展開に強い衝撃を受けました。いじめや暴力が隠蔽される現実に対し、映画は痛烈なメッセージを投げかけていて胸が締め付けられます。犠牲者から加害者にならざるを得ない選択を迫られる苦悩が、切なさと怒りの入り混じった感情を呼び起こしました。(40代 男性)
この映画のラストはまるで詩のようで、暴力ではない「行動」が復讐の本質であることを感じさせられました。銃ではなく声を武器にした復讐のあり方に、胸が熱くなると同時に、恐ろしさも覚えました。過去の自分を変えるために行動する主人公に、観た後で自分自身の行動を見直したくなりました。鮮烈な一作です。(20代 男性)
グロくないのに、心がえぐられるような映画でした。暴力は否定しながら「声を届けること」こそが復讐であるという落とし方に、とても深いメッセージを感じます。復讐に身を染めた主人公が最後に見せた静かな表情に、観客自身が救われるような清涼感を覚えました。女性監督の視点が色濃く出ていて、とにかく心に残ります。(30代 女性)
「復讐とは痛みの言葉を、相手に突きつけること」という構図には、フェミニズム的な含意があると感じました。加害者と被害者、その間にある想いのすれ違いを拳ではなく、行動として形にした設定がまさに革新的。被害者として、生きる人間に真摯に向き合った作品だと思います。(40代 女性)
アメリカにおける性暴力後の制度的な無力感を背景に、主人公が孤立の中で立ち上がる姿を描いた衝撃作。最後、彼女自身が声にならない叫びを、観客が受け止める構造になっていて深い共鳴を呼びます。暗示的なカットや静かな映像が逆説的に力強く、ただの復讐劇とは一線を画した作品だと感じました。(20代 男性)
復讐ものにありがちな快楽が一切排除されていて、「行動する者の覚悟」に焦点を当てているのがすごい。スポンサー的な描写も抑制されていて、リアリズムと静謐さが際立つ構成でした。正義が暴力を容認しないなら、それでも行動を選んだ主人公の意志が強く胸に残ります。(30代 女性)
視覚的な衝撃よりも、語られなかった声の強さで迫る映画だと思います。被害者の叫びは拳にはならず、復讐の方法も静かだからこそ「続いてしまう残響」のように余韻が残ります。主人公が最後に手紙を読むシーンの静けさが、とにかく忘れられない。誰かのための行動の覚悟に、心が震える一作でした。(40代 男性)
映画『ブラッディ・リベンジ』を見た人におすすめの映画5選
プロミシング・ヤング・ウーマン
この映画を一言で表すと?
痛烈な社会風刺と美学が融合した、フェミニズム・リベンジサスペンスの新境地!
どんな話?
将来を有望視されていた女性キャシーは、ある事件をきっかけに医大を中退し、夜な夜な男たちを“試す”という復讐のような行動に身を投じる。全ては、親友を襲った真実を明かすためだった。
ここがおすすめ!
ポップなビジュアルと重厚なテーマのギャップが魅力。ミステリー的な展開と意外性ある結末に唸らされる。女性の声なき怒りを鮮やかに可視化した作品で、『ブラッディ・リベンジ』に通じる覚悟と怒りが詰まっています。
ハードキャンディ
この映画を一言で表すと?
少女VS中年男の緊張感が張り詰める、知的で戦慄の復讐劇。
どんな話?
14歳の少女ヘイリーは、ネットで出会った30代の男に近づき、やがて彼の隠された過去を暴き出す。密室で展開される心理戦が、観る者の神経をえぐるサスペンス。
ここがおすすめ!
会話劇主体でありながらもスリリング。エレン・ペイジの鬼気迫る演技が光る。復讐に正義はあるのか?という『ブラッディ・リベンジ』とも通じる問いを投げかける、見応えある一作です。
アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ(2010)
この映画を一言で表すと?
極限の暴力に晒された女性が、自らの手で地獄を返す怒涛のリベンジ・スリラー。
どんな話?
作家のジェニファーは人里離れた小屋で男性たちに襲われ、命からがら生き延びる。やがて彼女は、容赦のない復讐の鬼と化して彼ら一人ひとりに鉄槌を下していく。
ここがおすすめ!
暴力描写の過激さが賛否を呼んだ本作ですが、加害者の軽薄さと被害者の怒りを生々しく映し出す姿勢にこそ価値がある。『ブラッディ・リベンジ』の過激さをさらに突き詰めたような衝撃作です。
ジェニファーズ・ボディ
この映画を一言で表すと?
美しさの裏に潜む悪意と怒りを描く、ホラーとフェミニズムの融合。
どんな話?
美少女ジェニファーは悪魔に取り憑かれ、人を喰らう存在になってしまう。彼女の親友ニーディは、変わり果てたジェニファーの正体と向き合うことになるが…。
ここがおすすめ!
ティーンムービーの形を借りながら、女性の怒りと抑圧を描き出した異色ホラー。見た目のポップさとは裏腹に、鋭いテーマを内包。『ブラッディ・リベンジ』と同じく、“声なき声”を描いた一作です。
レディ・ヴェンジェンス
この映画を一言で表すと?
スタイリッシュかつ哀切。美しき女の復讐が、観る者の倫理を揺さぶる。
どんな話?
無実の罪で服役したイ・グムジャ。13年の時を経て、彼女は本当の犯人に復讐すべく動き始める。彼女の冷酷な計画と過去の真実が交錯する、傑作復讐劇。
ここがおすすめ!
パク・チャヌク監督による映像美と、主人公の哀しみに満ちた復讐が見事に融合。静かで残酷な怒りが終始張り詰め、ただの暴力とは異なる余韻を残す。『ブラッディ・リベンジ』と同じ“女性の怒り”を描いた芸術的な傑作。
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