映画『ブルージャスミン』の概要:『ブルージャスミン』は、ウディ・アレン監督・脚本の映画。主演のケイト・ブランシェットは、本作でアカデミー主演女優賞を受賞した。裕福な暮らしから一転して貧乏生活となった女性の転落を描く。
映画『ブルージャスミン』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:98分
- ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
- 監督:ウディ・アレン
- キャスト:ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィン、ルイス・C・K、ボビー・カナヴェイル etc
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映画『ブルージャスミン』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ブルージャスミン』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ブルージャスミン』のあらすじを紹介します。
ジャスミンは、金融で財を成した夫ハルと共に、ニューヨークで裕福な暮らしをしていた。パーティが何よりの楽しみで、いつも社交界の中心にいた。
しかし、その生活も終わりを迎える。
夫のハルは詐欺師で、財産も他人から奪ったものだったのである。おまけに、何人もの女性と浮気をしており、その事実を知ったジャスミンはヒステリーになってFBIに通報する。それによってハルの悪事は白日の下にさらされ、財産をすべて失い、なおかつ借金まみれになってしまう。ハルは獄中で自殺し、義理の息子は行方知れず。ジャスミンは精神を病んでしまった。
全てを失ったジャスミンは、妹のジンジャーを頼ってサンフランシスコにやってくる。
ジャスミンとジンジャーは里子で、血のつながりはないが、今でも最低限の関係性は保っていた。ジンジャーとその恋人など、ジャスミンが今までいた世界とはまるで違い程度の低い人々。インテリア・デザイナーを目指すが、勉強のためにはお金が必要である。生活のために始めた歯医者の受付も、嫌々やっていたが、院長に強引に迫られたためその仕事も辞める。未だに精神状態は改善されず、街中でぶつぶつ独り言を言ったり、ヒステリー気味になったり、抗うつ剤が手放せない。
ジャスミンは、通っているパソコン教室の友人にパーティに誘ってもらい、そこで外交官のドワイトと出会う。
ジャスミンは都合の悪いことを隠し、嘘を重ねてドワイトと付き合う。とうとう婚約までこぎつけるが、指輪を買いに行ったところで妹の元夫オーギーとばったり遭遇し、ジャスミンの過去をばらされる。
当然婚約は破棄され、失意の中ジンジャーの家に戻るが、そこには恋人といちゃつくジンジャーの姿があった。
ジンジャーも、ジャスミンと一緒に行ったパーティで出逢った男と浮気をしていたが、その男が既婚者と知り、恋人とヨリを戻していたのだ。
そのことで口論になったが、ジャスミンは「結婚して裕福な暮らしに戻る」と嘘を言い放ち、家を飛び出すのだった。
映画『ブルージャスミン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ブルージャスミン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
人は簡単に変われない
作品の中で、自分の価値観や考えを変えようとするのは二人。ジャスミンと、妹のジンジャーである。
ジャスミンはそれまで持っていたもの全てを失い、嫌でも現実を見つめて生き方を考えなければならない。だから、妹を頼りながらも歯医者の受付で働き、生活費を稼ぎながらパソコンの勉強をする。
まずここまで妥協するにも時間がかかっている。はじめ、サンフランシスコに来るために使った飛行機も、なんとファーストクラスだったのである。借金を抱えているにもかかわらず、無意識のうちに購入していたというのだ。これを聞いたジンジャーは呆れる。
さらに、これからの人生をどうするかという質問に、「大学に戻って勉強をする」と答える。これもお金がないとできないことで、現実的ではない。
結局のところ、ジャスミンは未だにセレブ気分でいるのである。スーパーのレジ打ちをする妹のことも、心の奥では馬鹿にしているのである。
パーティに出かけてドワイトと付き合ったのも、貧乏生活が嫌で仕方なかったからというのもあるが、そもそもジャスミンは自分の能力を過信しすぎていたのではないだろうか。実現できるはずもない目標を立て、成し遂げられないのは周りのせい。結局は男に頼る。彼女には自分自身が見えていないのである。よって、本当に変わる事なんてできないのである。
ジンジャーは、恋人を負け犬呼ばわりする姉に感化され、別の男に惹かれる。しかし、結局は恋人と元のさやに戻る。プライドの高い姉と違い、楽観的。子供のころから有能な遺伝子を持った姉と比較されていた彼女にとっては、プライドなどどうでもいいものだったのだろう。結局は、ジャスミンの言うところの「負け犬」で低俗な男が好みで、性に合っているのである。
ケイト・ブランシェットの好演
夫に裏切られ、セレブな社交界の花から貧乏人へ転落したジャスミン。精神を病んでいて、過去をふと思い出しては独り言を言う。しかしプライドだけは高くて、それは彼女の名前からもわかる。「ジャスミン」という名は、元の「ジャネット」が気に入らずに自分で改名したものである。それからもわかるように、ジャスミンは身の丈に合ったものを自覚しようとしない。
過去の回想シーンのジャスミンと、現在のジャスミンはまるで違う。元々の美しさはあるが、現在のジャスミンはやつれきっている。しかし、プライドは高いので、気丈に振る舞おうとするし、ドワイトと接しているときはまるでセレブ時代のように生き生きとしているのである。
この演じ分けは素晴らしかった。ジャスミンという一人の女性の惨めな姿が一層際立っていた。
映画『ブルージャスミン』 まとめ
ジャスミンとジンジャーの二人は対象的で、そのためによりジャスミンは情けなく見えた。ラスト、飛び出していったジャスミンは、ベンチでまた独り言を言う。座っていた女性は気味悪がって立ち去っていく。そこで幕は閉じるのだが、きっとジャスミンはこれから先「私はこんなところで終わらない」と上ばかり見続けて終わるのだろうと思った。
きっとこういう人はたくさんいて、自分の人生をこの程度だと割り切れないプライドの高い人は、多かれ少なかれ彼女のような経験をしたことはあるだろう。
だからこそこのラストは、「かわいそうに」と他人事として済ませられない怖さがある。
人は簡単には変われない。だからこそ、この苦々しいジャスミンの人生を教訓にしていきたいものである。
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