映画『ボーダーライン(2015)』の概要:2015年製作のアメリカ映画。アメリカとメキシコの国境で増える麻薬戦争を、女性FBI捜査官が見たという設定でリアルのドラマティカルに描いたアクションクライムサスペンス。
映画『ボーダーライン』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:サスペンス、アクション
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
キャスト:エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ヴィクター・ガーバー etc
映画『ボーダーライン』の登場人物(キャスト)
- ケイト・メイサー(エミリー・ブラント)
- 正義感が強く、男勝りな女性。誘拐捜査班にいたが現在は麻薬絡みの誘拐捜査に加わる優秀な捜査員。
- レジー・ウェイン(ダニエル・カルーヤ)
- ケイトを支える相棒で理解者。頭脳派で優秀なため、今回の捜査で外されてしまう。
- マット(ジョシュ・ブローリン)
- 国防総省の顧問を自称しているが実はCIA。
- アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)
- 元はメキシコ検察官だったが妻子を殺され、もはやその復讐しか考えていない。コロンビアカルテルの殺し屋である。
映画『ボーダーライン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ボーダーライン』のあらすじ【起】
アリゾナ州チャンドラーでの事件。
この日ケイト率いるFBI誘拐即応班のチームは、ある1件の民家の前に待機する。
中に突入し銃撃戦の末、容疑者2名を確保した後、ケイトは壁の中に何か埋まっているのを発見した。
仲間と壁を崩し、確認すると顔にビニール袋をかけられた死体が立った状態で吊され埋められている。
この家の廊下、寝室の壁の内部だけで35体発見、司法省に連絡を取ろうというところだった。
そんな時、屋敷の離れにある小屋の床下に何かあると見つけた隊員が鍵を壊そうとすると、突然爆発が起こり、警官2名が死亡してしまう。
事件後フェニックスに戻ったケイトは、FBIの会議室前にレジーと呼ばれていた。
中では何人かの人間が会議をしている。
するとケイトが中に呼ばれた。
マットと呼ばれる自称国防総省の顧問という男は、ケイトに今日の事件が起こった屋敷の名義者マヌエル・ディアスについて知っているかと問われる。
合法である事業や抵当権で流れた多くの物件の所有者くらいの知識しか無いケイトは、「知らない」と答えた。
マットが言うには、マヌエルはメキシコの麻薬カルテル「ソノラカルテル」と繋がりがあり、彼の兄のギレルモはソノラのアメリカ支部のボス、従兄弟のファウストはソノラのナンバー3であると言う。
今回現場で活躍する優秀でかつ家族のいないケイトが気に入られた。
カルテルを混乱させマヌエルを引っ張り出すという計画に参加して欲しいという会議だったのだ。
正義感の強いケイトは、首謀者が逮捕出来るならばと承諾しすぐにマット達と目的地に出発するように言われる。
映画『ボーダーライン』のあらすじ【承】
翌朝、ケイトはルーク基地に向かい、そこから自家用飛行機に案内され飛び立った。
機内で顔を合わせたもう1人の男アレハンドロ。
挨拶を済ますとケイトは昨夜エル・パソに向かうと言われていたが、実際に向かう場所はメキシコとの国境付近の街・ファレスだと知らされる。
アレハンドロが何者なのかわからず、しかもマットは自家用飛行機まで所有。
さらに軍人が専用パイロットであるということで、ケイトは自分が一体どのような人間と仕事をするのか全くわからない。
そうこうしているうちに飛行機はエル・パソにある飛行場に着陸した。
テキサス州にある陸軍基地内にあり、休む暇も無くケイトはミーティングに出席する。
そこにいるのは身体の大きな男達ばかり。
麻薬捜査官、特殊部隊といった人間から、今日の作戦のために刑務所から出された人間もいるという。
ケイト達が今日すること。
それはファレスにある裁判所まで行き、逮捕されたギレルモを車に乗せ基地に戻るという任務だ。
しかしファレスは獣の街と呼ばれるほど危険地帯であり、街中に麻薬に関わって失敗した人間が平気で吊されているような場所である。
そんなことを知らないケイトは、防弾チョッキを用意され、車の援護にヘリコプターまでつく物々しい雰囲気に唖然とした。
国境を越えて遂にファレスに入ると銃の音が鳴り響く街に、ケイトは恐怖を抱く。
しかも現地の警察だけでは手に負えず、合同捜査になっているだけあって武装も厳重であった。
ギレルモを車に乗せるとそのままスピードを落とさずに、一気に国境を抜けようとする。
しかし国境で渋滞にあった一行は、周囲の車に細心の注意を払った。
予感は的中、左右にいる車の窓が開き銃を構え始めた。
急いで車を降りた警官たちは、その場で銃撃戦になり銃を捨てなかったものを殺害しアメリカに戻る。
エル・パソにあるフォートブリス陸軍基地に着くと、アレハンドロはギレルモを拷問した。
元々アレハンドロはファレスで検事をしていた人間だったが、現在は辞めている。
この拷問で一つのキーになるトンネルの存在が明らかになった。
映画『ボーダーライン』のあらすじ【転】
拷問中、ギレルモはアレハンドロに「メデジンは地獄だ」と言う。
メデジンとは何か。
その頃、ケイトは基地の屋上からファレスの方角を見ている。
あちらこちらで爆発が起こり、それが花火のように見えた。
ギレルモを失ったことで統制が取れなくなっているのだと言う。
今夜はフェニックスに帰ることになったケイトは、到着するとレジーと合流した。
しかし休む暇も無くマット達は、そこから160キロ離れたツーソンに向かうと指示してくる。
ツーソンに到着すると大型バスが何台もいて、降ろされた不法入国者が並べられていた。
マット達はノガレスで捕まった人間を残し、後は帰すと言う。
ギレルモが言ったトンネルはノガレスの東側にあると言うのが理由だった。
その場所を見極めればソノラカルテルは混乱し、アメリカに居るマニュエル・ディアスを呼び戻し逮捕出来るだろという計画だったのである。
マニュエルを呼び戻すボスこそが、従兄弟のファウストということだ。
翌朝、ケイト達が捜査本部が置かれたモーテルに行くと、昨日捕まった不法入国者が地図を見ながらトンネルの場所を説明していた。
その後、銀行に目をつけたマット達は18億円もの入金があった口座を凍結。
しかし銀行に入るなと忠告したマットの言うことを聞かず、勝手に中に入ったケイトは不正入金で逮捕出来ると意気込んだ。
しかしそんなに上手くいくはずがない。
映画『ボーダーライン』の結末・ラスト(ネタバレ)
ケイトはマット達の違法とも採れる荒々しい捜査方法に納得がいかなかった。
FBIに意見するが「方法は気にしないで捜査してくれ」と言われるだけで意見を聞いてもらえなかった。
所詮ケイトは麻薬組織に関しては素人同然なのである。
頭に来た彼女はレジーと一緒にバーに行くと、彼の友人の警官がそこにいた。
意気投合したケイトと警官は自宅に行くと、キスをする。
しかしふとテーブルを見るとソノラカルテルが金を束ねるときに使う輪ゴムが置かれているのに気がつき、ケイトはその男がカルテルに買収された警官だと気がつき押しのけた。
激しくもみ合いになった末、首を絞められて殺されかけたケイトを救ったのは彼女を尾行していたアレハンドロだった。
警官の男はFBIの捜査状況を探るためにケイトに近づいていたのである。
マットが銀行に入るなと忠告したのは、防犯カメラにFBIとして顔が映るからという理由だった。
翌日、マニュエル・ディアスが遂にカルテルに呼ばれ動き出した。
それを知ったマット達はあのトンネルに向かうから着いてこいと指示を出す。
実はマットはCIAであり、国内の単独行動は禁止されていたためケイト達を利用し一緒に行動させていたことを告白した。
ノガレスはアリゾナ州ノガレスにも、メキシコのノガレスにも繋がるトンネルだ。
このトンネルをいよいよ襲撃することになる。
このトンネル内は自由射撃であると言われた。
つまり撃ちたいときに撃って良いという命令である。
ケイトも中に侵入するが、中で道が二股になったところでアレハンドロが進んだ方についていく。
彼はつけられていることは知らなかった。
メキシコ側に抜けたアレハンドロは、そこでソノラカルテルに買収された警官が何かを麻薬を積み込んでいる現場を目撃する。
アレハンドロが彼に銃を向けた時、警官は「メデジンか?」と怯えた様子。
そこへケイトも現れ突然のことに驚くが彼女も銃を向けた。
しかしアレハンドロはケイトに発砲し、ひるんだ隙にパトカーに乗り込み出発させる。
何とか基地に戻ってきたケイトはマットに「メデジンとは何か!?」と絶叫しながらぶつかっていった。
マットは「メデジンはアメリカ全土を統括する麻薬カルテルだったが、今かメキシコカルテルが勢力を拡大している。そのためメデジンが勢いを戻そうと暴走している」という。この計画の趣旨は、CIAと手を組みバランスを取らせながら、元々のメデジンに戻すことが任務であったと言われた。
アレハンドロはメデジンの殺し屋だったのである。
彼は妻子を殺害されたことで復讐の鬼と化し、誰とでも手を組んで犯人を殺すということだけで生存していた人間だったのだ。
逃走したアレハンドロは途中で運転していた警官を殺し、マニュエル・ディアスをついに捕まえて足を撃つ。
そしてファウストの邸宅に連れて行かせると、マニュエルの首を切り、ファウストの情報を軍に流す。
食事中のファウスのト家族を見つけ、彼の前で妻と子供を射殺すると「食事を続けろ」と言い放った。
全て終えたアレハンドロはケイトの家に侵入すると、今回の全てが合法捜査だったという書類にサインを求めてきた。
泣きながら出来ないと言う彼女に、では自殺しろと冷たく言うアレハンドロ。
彼女は仕方なくサインし、アレハンドロは去って行った。
映画『ボーダーライン』の感想・評価・レビュー
各場所で行われた銃撃戦に目が離せないほど、迫力が凄かった。何も知らず捜査に加わってしまったケイトの身に様々な事件の鍵が見つかっていき、踏み入れてはいけない所にもずかずか入り込んでいく姿に、心配する気持ちや、ひやりとさせるシーンが多かった。アレハンドロの横暴で凶暴な性格が怖く、冷や汗をかくほどだったが、過去に妻子を殺害されたため殺し屋になってしまった現実が悲しく、またアレハンドロの気持ちが分からないわけではなかった。どこで誰が見ているか分からない状況の中でも、果敢に捜査を進めるケイトの姿もかっこよかった。(女性 20代)
アメリカとメキシコの国境線上での麻薬取引を扱った骨太な社会派サスペンス。
エミリー・ブラントが演じる主人公は初めから状況をよく理解しておらず、終盤までやられっぱなしのいいところがない。主人公が無双する系のお話では全然ないので、そういう話を期待すると肩すかしを食らうことになる。甘っちょろい正義感を掲げたところで「現実問題こうだよね」と喉元に事実を突きつけられたような後味の悪さは癖になる。
向こうの現状をもう少し下調べしてから見たら、さらに理解が深まったのだろうかと反省。内容が濃いのでリピートして見たくなった。(男性 30代)
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