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映画『望郷(1937)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『望郷(1937)』の概要:ギャングのペペは、故郷フランスを追われアルジェリアのカスバに身を隠していた。ある日、同郷の旅行客ギャビーと出会い恋に落ち、彼女に会うため逮捕を覚悟でカスバを出ようと決心する。

映画『望郷』の作品情報

望郷

製作年:1937年
上映時間:94分
ジャンル:ラブストーリー
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
キャスト:ジャン・ギャバン、ミレーユ・バラン、リーヌ・ノロ、リュカ・クリドゥ etc

映画『望郷』の登場人物(キャスト)

ペペ・ル・モコ(ジャン・ギャバン)
パリのギャング。フランスからアルジェリアへ逃れ、入り組んだカスバの街に身を潜めている。悪党だが人望があり、街の住人はみな彼に味方する。パリからの旅行客であるギャビーに惹かれ、危険を承知で彼女に会う覚悟を決める。
スリマン刑事(リュカ・グリドゥ)
ペペを追う地元警察の刑事。警察でありながらペペとは意気投合し、真正面から彼を逮捕し手柄を得る日を探っている。
ギャビー(ミレーユ・バラン)
フランス、パリから知人らと旅行に来ていた美しい女性。未亡人。ペペと互いに想いを通わせるが、スリマンの罠にかかり「ペペは死んだ」と信じてしまい帰国を決める。
イネス(リーヌ・ノロ)
ペペのカスバでの愛人。ギャビーに一目惚れしたペペに嫉妬する。

映画『望郷』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『望郷(1937)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『望郷』のあらすじ【起】

アルジェリア警察は、カスバの街に隠れるフランスのギャング・ペペを2年もの間捕まえられずにいた。現地を訪れていたフランス警察のジャンヴィエは、迷宮のように入り組んだ街で多くの手下と協力者を従えているペペを逮捕するのは困難だと嘆いた。アルジェリア警察の刑事・スリマンは、ペペは人気があるから、街の者は逮捕に協力しないだろうと言う。地道な捜査に痺れを切らした警察側は、カスバの街へ一斉捜査を決行した。

ペペは、手下のカルロスや舎弟のピエロを連れ、盗品の宝石を鑑定士に見せていた。ペペの協力者でありながら警察のスパイであるレジスは、一斉捜査で自宅を訪れた刑事らにペペの居場所を伝えた。建物を取り囲まれたペペ達だったが、彼らはテラスを移動して脱出した。

旅行でカスバを訪れていたギャビーは、銃声に驚き近くの建物へ逃れた。そこへ、警察との銃撃戦で腕を怪我したペペがスリマンに伴われてやって来た。ペペとギャビーは一目で惹かれ合い、その様子を見たスリマンは怪しく微笑んだ。

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映画『望郷』のあらすじ【承】

警察による一斉捜査は、ペペの逮捕に至らず失敗に終わった。次にフランス警察は、彼をカスバから街場へおびき出す作戦を思い付いた。レジスは、ペペが一番目をかけているピエロを使おうと提案し、母親思いのピエロを街へ誘い出せば心配したペペが付いてくると見込んだ。

愛人であるイネスの家に身を隠したペペは、2年にも及ぶ彼女との生活にうんざりしたと愚痴を溢していた。そこへやって来たスリマンは、昨夜、ギャビーを無事にホテルへ送り届けたと言った。

一方のレジスは仲間を使い、ピエロへ「彼の母から届いた」という偽の手紙を届けさせ、カスバを訪れるはずの母親は急病で来られないと信じ込ませた。ノルマンディーからアルジェリアへ渡って来た72歳の母を心配したピエロは、彼女が療養しているという街場のホテルへ向かった。ペペはピエロへ「レジスは信用するな」と忠告したが、彼は聞く耳を持たなかった。

その夜、ピエロの恋人アイシャは、ピエロが街から戻って来ないとペペへ相談した。ペペは手下達を連れてレジスを拘束し、ピエロが戻って来たら解放すると言った。スリマンは、ペペに会いたいというギャビーを連れて彼の元を訪れた。レジスを拘束している階下で、ペペとギャビーは故郷パリについて思い出を語り合った。そこへ、重症を負ったピエロが戻って来て「レジスだ」と呟いた。ペペの手下はレジスを撃ち殺し、ピエロもその場で息絶えた。

映画『望郷』のあらすじ【転】

ペペは、ピエロの死を激しく悔やんだ。ピエロを埋葬して来たと言うスリマンはペペを慰めた上で、銃声に怯えたギャビーはもうカスバへ来ないと告げた。ペペは感情を露わにし、彼女に会うために街へ降りると飛び出してしまった。

それを見たイネスは、「彼女が家で待ってる」と嘘を吐いてペペを連れ戻した。しかし、水を買いに通りに出たペペは自分を探して歩くギャビーを発見、彼女が来ないというのはスリマンの嘘であった。意に反してペペとギャビーがカスバを歩いている場面を見かけたスリマンは、次なる作戦を思い付いた。

ようやくギャビーと二人きりになったペペは愛を告白し、「君のためなら街へ降りる」と約束した。

翌日、ギャビーとブランシュ公園へ行くと浮かれるペペは、ベランダで歌い踊った。二人が落ち合うと確信したスリマンはすぐさまギャビーのいるホテルへ向かい、彼女を旅行へ連れて来たクリッブ氏へ「カスバは危険な街です。ギャビーを連れて行かないように」と忠告した。

ペペはギャビーの来訪を待ち侘びていたが、出かけようとするギャビーの前に現れたスリマンは「ペペはムニエ刑事に射殺された」と嘯き、それを信じた彼女は呆然とした。

映画『望郷』の結末・ラスト(ネタバレ)

カスバでギャビーを待っていたペペは、遂に彼女と会えなかった。ギャビーのいるホテルではクリッブが帰国する船の手配をしており、翌10時のヴィルドラン号に乗って帰国することが決まった。

落ち込むペペは、カルロスからカスバ脱出の計画を持ちかけられ快諾した。ペペは街の様子を見てくると言うカルロスへ、ギャビー宛ての手紙を渡した。

翌朝、カルロスの妻タニアは、まだ彼が戻っていないとペペへ告げ悲しんだ。そこへイネスに連れられて一人の男がやって来た。彼はレジスとグルになり、ピエロへ偽の手紙を渡した男だった。彼は、ピエロの件は全て警察が仕組んだ罠だったと白状し、さらに、カルロスがムニエ刑事に捕まったと言った。男は、逮捕されるカルロスから手紙を受け取り、それをギャビーへ届けたと言う。しかし、ペペはそれが嘘であると見抜き、真実を話すよう彼を締め上げた。

苦しむ男は、ようやく「これはスリマンの罠だ」と白状した。そして、ギャビーはペペが死んだと聞かされていること、明日の船でパリへ帰ることを明かした。

ペペはイネスに別れを告げると、逮捕されることを承知で街の外れの波止場へ向かった。後を追うイネスは波止場ではなくギャビーのいるホテルへ向かい、ロビーから出て来たスリマンと鉢合わせてしまい「ペペは船に乗って逃げるつもりよ」と言った。

ギャビーの乗る船へ乗船したペペは、客室を覗き彼女を探したが、再会することなくスリマンによって手錠をかけられた。波止場から船を見つめるペペは、船外に出て街並みを見るギャビーを見つけ彼女の名前を叫んだが、声は汽笛にかき消されてしまった。ペペは、そのまま意識を失い帰らぬ人となった。

映画『望郷』の感想・評価・レビュー

旅行中の恋という切ないシチュエーションに加え、会ってしまえば逮捕されるというジレンマがもどかしくも燃え上がる大人の恋の物語。

警察と対峙しながらも多くの人に慕われ、スリマンすら虜にする彼の魅力は『怪傑ゾロ』や「アルセーヌ・ルパン」「鼠小僧」を思わせる。庶民に寄り添った快活さを見せるペペは、ギャビーとの恋で逃亡生活を終えることになる。

終盤、イネスの一言が決定打となって逮捕されてしまうペペだが、彼女はペペをフランスに帰したくないために居場所を白状したのだろうか?2年連れ添ったイネスを無碍にした結果、身を亡ぼすことになったペペには同情する。(MIHOシネマ編集部)

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