映画『ブタがいた教室』の概要:新人教師の星は、担任となった6年2組でブタを飼い、最終的にそのブタ食べることを提案する。大阪の小学校で実際に行われた実践教育を基にした映画である。子供たちは台詞を与えられず、自分の気持ちを自分の言葉で表現している。
映画『ブタがいた教室』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:前田哲
キャスト:妻夫木聡、大杉漣、田畑智子、池田成志 etc
映画『ブタがいた教室』の登場人物(キャスト)
- 星先生(妻夫木聡)
- 新人教師で6年2組の担任。クラスでブタを飼い、食べることを提案する。子供たちに大変な思いを味わってもらい、命や食べることの尊さを理解してほしいという熱意を持っている。
- 高原校長先生(原田美枝子)
- 星が勤める小学校の校長先生。星の授業に協力的。
- 池沢先生(田畑智子)
- 3年1組の担任。初めはブタを飼うなどという突拍子もない行動に呆れているが、最終的に自分のクラスでブタを引き継ぐことに賛成してくれる。
- 6年2組の生徒26名
- 星が連れてきたブタに「Pちゃん」と名前を付け、みんなで協力して一生懸命育てる。
映画『ブタがいた教室』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブタがいた教室』のあらすじ【起】
新人教師の星は4月から6年2組の担任となり、学校にブタを連れてくる。そして、クラスみんなでそのブタを育てて食べようと提案する。星は提案を受け入れてもらえるか少々不安だったが、子供たちは大喜びでブタを飼い始める。
校長と教頭を前に、星はブタを飼う授業の重要性を熱く語り説得している。教頭は疑心暗鬼な様子だが、校長は「覚悟を持って頑張りなさい」と協力的であった。
6年2組の子供たちは、早速ブタのために小屋を建て始める。顔や服がペンキで汚れ、慣れない工具に苦戦しながらもみんな楽しそうである。
子供たちはブタに名前を付けたいと言い出し、星は反対するが、結局ブタは「Pちゃん」と名付けられる。
平日は給食の残飯を、休みの日は飼育当番の人が家からの残飯を持ってきてPちゃんにあげることになった。
ブタの飼育は順調に進んでいるかのように思えたが、他のクラスからブタの鳴き声がうるさいと苦情が来たり、保護者からも苦情が来たりしていた。
校長は、先生と子供たちの間に信頼関係がなければできない授業であるからこのまま見守りたいと、保護者にも理解を求めた。
映画『ブタがいた教室』のあらすじ【承】
ある日、Pちゃんのことを人一倍可愛がっていた女子生徒の花が、Pちゃんを勝手に外に連れ出してしまう。最終的に食べられてしまうのが嫌で助けたかったのである。
Pちゃんと花はクラスメイトに見つかり、その後星も合流するが、子供たちは星に対して「散歩をしていただけ」と言い訳をした。
夏休みに入っても子供たちはPちゃんの世話を欠かさなかった。
Pちゃんが風邪で倒れると、子供たちはとても心配していた。星はそんな子供たちの様子を見て迷いが生じる。
9月になると、初めは小さい子ブタだったPちゃんも大きくなっていた。他のクラスの先生は「Pちゃん、うまそうに育ってきたな」などと言っている。
給食に豚肉が出ると、それを食べるのを躊躇してしまう子が出てきた。
卒業まであと149日に迫った頃、星はPちゃんを食べるか、食べないか、クラスで議論をすることにした。
「6年2組の仲間だから食べたくない」「食べるという約束だったから食べる」「食べないなら今後どうするのか」といった様々な意見が飛び交い、この日は、食べない18人、食べる5人、わからない3人という結果に終わった。
映画『ブタがいた教室』のあらすじ【転】
6年2組では日々話し合いが続いたが、なかなか結論が出せずにいた。学校でも家でもPちゃんをどうするかが常に議題に上がっていた。
2月に入り卒業する日が迫ってくると、子供たちは校内放送でPちゃんを引き継いでくれるクラスを募集する。
後日、3年1組がPちゃんを引き継ぎたいと立候補してきた。担任の池沢はあまり乗り気ではないが、子供たちがとても興味を持っている様子である。次の6年生にと考えていた星は戸惑うが、試しに3年生にも世話をしてもらうことにした。
しかし案の定、体の小さい3年生はPちゃんに押し倒されてしまったり、バケツもうまく運べなかったり、安心してPちゃんを任せられるような状態ではなかった。
クラスでは引き続き活発に議論がされている。最終的に、3年生にやり方を教えてあげて引き継ぐか、食肉センターに送るか、その二択に絞られていた。多数決を取ると13対13であり決着がつかない。2つのチームに分かれ、泣きながら議論を続けていた。みんなPちゃんのことが大好きだからこそ、その思いがぶつかり合うのだった。
映画『ブタがいた教室』の結末・ラスト(ネタバレ)
卒業まであと3日。再度投票をしたが、結果は前回と同じ13対13。6年2組の意見として星の票も必要であり、その一票で結論が出ることとなる。
そんな議論の後、星が一人教室に残っていると、池沢が正式にPちゃんを引き継ぎたいと申し出てきた。
次の日、星はPちゃんの小屋の前で子供たちに話をしている。星が出した結論は、食肉センターへ送るというものだった。
6年2組のみんなは、「Pちゃんは別の所へ行くことになった」と3年1組へ報告する。3年生は「僕たちもPちゃんを飼いたかった」と諦めきれない様子だが、6年2組のみんなはそんな3年生に対して「ごめんね」としか言えなかった。
星は池沢からも「自分じゃ頼りないからか」と言われるが、否定する。子供たちはもう十分頑張ったのだから、教師としてその決断をしたのだという。
卒業式も終わり、Pちゃんが食肉センターへ運ばれる日になった。みんなの手にはPちゃんが大好きなトマトが握られている。トラックの荷台に載せられたPちゃんに、みんながトマトをあげる。
トラックが走りし、子供たちはそのトラックをどこまでも追いかけるのであった。
映画『ブタがいた教室』の感想・評価・レビュー
最初は驚くほどテンポが良く、序盤だけ見たらコメディ作品と言っても過言ではないほどだった。しかし中盤から後半にかけては「命」について考えさせられる作品へと変わっていく。全体的に見ると、上手くまとまっている作品だった。
中でも印象的だったのは子供たちの演技である。豚を可愛がるシーンやみんなで悩むシーンなど、実際に小学校のクラスの映像を見ているかのような自然な演技だった。子役あっての作品だと言い切れるだろう。(男性 20代)
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