映画『CAVE ケイブ』の概要:洞窟を舞台に決死のサバイバルをする中で、展開していく愛憎劇を描いた作品。紅一点のヒロインを中心に均衡を保っていた3人だったが、洞窟内での事故に見せかけて彼女をものにしようと1人が密かに画策する。ノルウェー制作、2016年公開。
映画『CAVE ケイブ』の作品情報
上映時間:78分
ジャンル:サスペンス、アドベンチャー
監督:ヘンリク・マルティン・ダールスバッケン
キャスト:ハイジ・トワニ、マッツ・ショーゴード・ペテルセン、ベンヤミン・ヘールスター、インガル・ヘルゲ・ギムレ etc
映画『CAVE ケイブ』の登場人物(キャスト)
- チャーリー(ハイジ・トワニ)
- 紅一点。アドリアンの妻。元軍人でタフ。精悍で美しい。
- アドリアン(マッツ・ショーゴート・ペテルセン)
- チャーリーの夫。元軍人で筋骨逞しい。ヴィクトルの恋心を憐れに思っている。
- ヴィクトル(ベンヤミン・ヘールスター)
- 元軍人で過去、チャーリーと関係を持っていた。憐れむアドリアンに殺意を抱いており、チャーリーに執着している。
映画『CAVE ケイブ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『CAVE ケイブ』のあらすじ【起】
昔みたいに探検に行かないか。そう誘われたヴィクトルは、雪山をバイクで走り待ち合わせ場所に向かっていた。待ち合わせには車が一台やって来る。アドリアンと紅一点のチャーリーだ。彼らは夫婦だった。ヴィクトルはチャーリーに好意を寄せている。だが、アドリアンも親友の為、苦しい片思いをしていた。
3人は山小屋で一旦、打ち合わせをする。その夜、チャーリーとアドリアンの夜の営みを目撃してしまうヴィクトル。いたたまれなくなり、彼らの行為が終わるまでトイレに籠もって朝を迎えた。
3人は目的の洞窟へと出発した。カヌーで川を下って行く。その途中、チャーリーが木立の中に人影を見るが、他の2人は見ていないと言う。急流に差し掛かり、そこからは崖を下りて徒歩で進む。岩場を越えて目的の洞窟に到着。そこには立ち入り禁止の札が立っていたが、なぜか柵が開いていた。調べでは前人未踏のはずだが、柵が開いているのは妙だ。だが、3人は深く考えずに洞窟へと入って行く。
映画『CAVE ケイブ』のあらすじ【承】
中へ入ると意外と広さがある。雪壁の間や危険な岩場を進み、どんどん内部へ。高さのある場所から先に降り立ったチャーリー。他の2人が降りて来る前に、洞窟の先へと様子を見に進んだ。その先でチャーリーは足跡を発見。更に物音を聞く。2番手で降りたヴィクトルは、先に待っているはずのチャーリーがいない事に気付く。3番手で降りたアドリアン。だが、ザックを止める釘が抜けて落下。大した高さではなかった為、怪我は無かったが声に驚いたチャーリーが戻って来る。
アドリアンの無事を確認したチャーリーは、洞窟の先へ2人を連れて行く。その先には何者かのテントがあった。誰かがいるのか、或いは捨てて行ったのか。テントの中を開けてみると、潜水用の道具や登山道具が散りばめられている。その中に埋もれて、血だらけの寝袋を発見。
3人で相談。許可なく立ち入り禁止の洞窟に入った事を、明らかにするのは良策ではないと2人の男がチャーリーを説得。予定通り進みその後、警察に通報する事になった。地図はヴィクトルが持っていた。彼の指示する通り、岩と岩の狭い間を腹這いで進む。だが、少しだけぽっちゃりしているヴィクトルは、上下の岩に挟まってしまい、抜けられなくなってしまう。
岩は案外に脆かった為、アドリアンが削ってヴィクトルを助けようとするが、その振動で壁が崩壊。穴が塞がってしまった。その先に水場があった為、彼らはそこにテントを張って少し休む事にする。
映画『CAVE ケイブ』のあらすじ【転】
チャーリーが席を外している時だった。アドリアンが不憫に思ったヴィクトルに交渉を持ち掛ける。チャーリーを共有しようと言うのだ。だが、ヴィクトルは苦笑するだけで、何も答えなかった。
同じテントで過ごすチャーリーとアドリアン。アドリアンは彼女にヴィクトルの話をする。昔はヴィクトルとも関係があった彼女だったが、今はアドリアン一筋だと言う。だが、アドリアンはヴィクトルがまだチャーリーを好きな事を察していた。
2人の楽しそうな声を遠目から見るヴィクトル。彼はおもむろにスマホを取り出し、それを眺める。誰かと連絡でも取り合っているのか。ヴィクトルはチャーリーが眠っている隙に、テントへと入り込み横たわる。彼女に触れたその手を匂いつつ、自慰をするヴィクトル。
潜水の準備を入念に整える。今回はヴィクトルが先導して2番手をチャーリーが進む。タンクの調整はヴィクトルがすでに済ませていた為、水深計だけに注意しろと言う。そして、潜水開始。
狭い場所に来たら、ヴィクトルの合図を待てという打ち合わせ通り、アドリアンとチャーリーは合図を待つ。だが、アドリアンの酸素タンクに異常が発生。酸素が送られて来ないのだ。出口はどこにもなく、水中での異常は命に関わる。アドリアンは合図を待たずにヴィクトルの後を追った。その頃、チャーリーは辺りを見回して死体を発見。パニック状態となり、ヴィクトルが進んだ先へ急いで向かった。
水面に浮上したヴィクトルの前に、すぐ後を追って来たアドリアンが現れる。ヴィクトルはアドリアンを外へ出さないよう水中へ押し戻す。揉み合いの結果、アドリアンは窒息して命を落とした。そこへ、ようやくチャーリーが現れる。ヴィクトルは事故を装う。蘇生処置を必死に施すチャーリー。ヴィクトルは外に出て助けを呼ぼうと言うが、彼女は半泣き状態でアドリアンを置いて行けないと処置を続ける。必死に外へ出ようと促すヴィクトルだったが、不意にアドリアンが息を吹き返す。
映画『CAVE ケイブ』の結末・ラスト(ネタバレ)
死にかけたアドリアンを背負って、洞窟の出口を目指す。ヴィクトルはチャーリーに出口を探して来いと促し、その場から離す。彼はアドリアンをどうしても殺す気のようだ。
出口を探して必死に走るチャーリーだったが、進んだ先は行き止まり。急いで戻るが、ヴィクトルがアドリアンを殺害する現場を目撃してしまう。彼女は踵を返して再び走った。大声でチャーリーを呼びながら追いかけるヴィクトル。
暗視スコープをつけたヴィクトルには、彼女の居場所を見つける事など造作もない。チャーリーを捕らえ、自分を見ろと言うヴィクトル。彼は彼女に無理矢理口づけをすると、走り去って行った。
暗闇で1人、涙するチャーリー。その後、洞窟内を壁伝いに進むと、ヴィクトルが父親に電話している声が聞こえた。予定通りに進んでいると言う彼に、父親は川を下れと言っているようだ。チャーリーは彼の背後に忍び寄り、岩を持って殴打。ヴィクトルを何度も殴り、彼を殺してしまった。
チャーリーは川を1人で下って行く。徒歩では進めない場所に至り、彼女は川へと身を投じる。水流に飲まれ、気付いたら川に出ていた。必死に泳いで、登れそうな場所から崖を登る。ヴィクトルの父親は確かにそこへ来ていたが、彼女を静観するだけで助けはしなかった。
歩道をとぼとぼと歩くチャーリーの元に、ジープが停まった。大丈夫かと声を掛けられる。車の荷台には誰かの死体が乗っている。男性は彼女を保護して車を走らせた。
映画『CAVE ケイブ』の感想・評価・レビュー
洞窟という限られた場所で展開する愛憎劇と綿密に計画された完全犯罪を描いた作品。
すでに結婚した元恋人への未練を断ち切れず思い続ける男が、父親と共謀してまで元恋人の夫を殺した動機は恐らく、相手からかけられる憐憫と上から見下される屈辱からだったのではないかと思う。作中では父と息子の計画ははっきりと描かれておらず、目的も明示されているわけではない。故にヒロインも殺される可能性があり、限られた空間での恐怖も相まって中々スリリング。序盤から前人未踏の洞窟という説明があるため、進む先に何があるか分からないという不安もある。ところが、物語が進むと計画も明らかになっていくのでヒロインの恐怖がより鮮明に描かれる。そして、ラストシーンでは逃れた安堵の後の追い打ちの恐怖。もうこの先には不安しかないという印象が強まって終わる。よくできたストーリーだが、映画作品としてはどこか物足りないという感じがした。(女性 40代)
夫のことを一途に愛する妻が憎愛に巻き込まれていくお話。物語のほとんどが洞窟の中という狭い空間で描かれているので、鑑賞していると自然と自分もその場にいるような気持ちになり、とても臨場感がありました。
夫と過去に関係を持った相手と3人で過ごすと言うだけで苦痛なのに、夫を殺され、自分自身も殺人を犯してしまうなど、とにかくチャーリーが可哀想でした。
最後の最後まで報われない展開でとても重苦しい終わり方です。(女性 30代)
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