映画『カメレオン』の概要:野田伍郎は仲間達と共に詐欺を行っていた。無事に成功して浮かれていた帰り道、男が車に連れ込まれ拉致される現場を目撃する。その拉致された男は、国会で裏金疑惑について証人として呼ばれていた人物だった。
映画『カメレオン』の作品情報
上映時間:97分
ジャンル:アクション、ラブストーリー、サスペンス
監督:阪本順治
キャスト:藤原竜也、水川あさみ、塩谷瞬、豊原功補 etc
映画『カメレオン』の登場人物(キャスト)
- 野田伍郎(藤原竜也)
- 両親が心中した為、施設で育つ。人を刺して少年院に入り、暴力団やマフィアを渡り歩いた。傭兵のテスト生だったこともある。異色の経歴の持ち主。現在は春川達と結婚詐欺をして稼いでいる。
- 小池佳子(水川あさみ)
- 占い師。過去に結婚詐欺に引っ掛かり、一文無しになる。不思議な雰囲気を持つ伍郎に惹かれていく。
- 春川公介(塩谷瞬)
- 鬱で病院に行った時に伍郎と知り合う。伍郎の詐欺仲間。両親の為にお金を貯めている。
- 木島高(豊原功補)
- 裏で政治家にとって不利になる人物を葬り去る、『RCA』というグループのボス。
- 吉田純(波岡一喜)
- 伍郎と少年院で出会う。伍郎の詐欺仲間。暴力団の下っ端。
- 山村一座<山村修次(犬塚弘)、山村典子(加藤治子)、境研造(谷啓)>
- 伍郎の詐欺仲間。旅芸人として舞台公演も行っている。
映画『カメレオン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『カメレオン』のあらすじ【起】
伍郎は資産家の娘と春川公介の結婚式の司会を行っていた。式は滞りなく進んでいたが、途中で暴力団の吉田が怒鳴り込んできて、春川に借金を返せと迫った。春川の会社社長は呆れて帰ってしまい、会場も騒然となる。娘の父親は怒りご祝儀を手切れ金代わりに渡して、春川達は結婚を取り止めることになった。だが、それは伍郎達の策略で、春川や暴力団の男、春川の会社社長は詐欺仲間だった。
伍郎達が詐欺の成功を喜びながら帰っていると、駐車場で男の拉致現場を目撃してしまう。伍郎は咄嗟にそれを携帯に録画した。そして、そのまま車に乗って帰るが、バイクに乗った人物が後を追跡して伍郎達の車に発信機を設置した。何も気づかないまま伍郎達はアジトへと戻り、車に貼られていたガムテープを剥がした。
朝、春川の会社社長を演じていた山村修次、その妻の典子と仲間の境が、『山村一座』として舞台に出る為に化粧をしていた。春川は昨日手に入れたお金を山村達に配った。そして、伍郎は舞台の依頼があったことを山村達に伝える。典子から電話番をさせていることを申し訳なさそうに謝られたが、伍郎はマネージャーだからと言って笑った。
伍郎が気だるげに煙草を吸っていると、春川が現れてカモの女に本気で惚れたと言ってきた。伍郎は驚き、全てを辞めたら学が無い俺らでは働き口なんか無いぞと詰め寄った。春川は何も言い返せなかった。
映画『カメレオン』のあらすじ【承】
伍郎は春川と共に女性に会いに行き、会社の同僚だと言って自己紹介をした。だが、春川は正直に、鬱で病院に通っている時に伍郎と出会ったことを打ち明ける。そして、君とやり直したいと告白をする。しかし、女性から遊びだったと言われて振られてしまう。
春川は落ち込み、心療内科の病院に行って薬をもらう。伍郎が何とか慰めようとしている時、吉田から電話が掛かってくる。暴力団の上の者に殴られながら、必死にニュースを見ろと伝えていた。伍郎は春川と共に急いでタクシーに乗り込むと、途中でチラシ配りをしていた仲間の大北を捕まえてアジトへと戻った。
伍郎達がテレビを見ると、厚木国交大臣の裏金疑惑について、証人が行方不明になったことが放送されていた。その証人とは、伍郎達が昨日目撃した拉致された男だった。吉田達は目撃情報を売ればお金になるのではと色めき立ったが、伍郎は窓から外を覗くと、忘れろと一言怒鳴って部屋を出て行った。
伍郎は歌を口遊みながら、1枚のDVDディスクを封筒の中に入れた。そして、『オレが帰らない時はコレ使え』と書いて、事務所の引き出しの中に入れた。伍郎は外に出ると、男達が乗った車に近寄りトップに会わせてくれと頼んだ。
映画『カメレオン』のあらすじ【転】
男は主犯格の男に伍郎の経歴を読み上げて報告した。伍郎が子供の頃、両親は借金を作り夜逃げをして心中をしていた。そして、伍郎は施設に預けられたのだが、14歳の時に親の会社に金を払わなかった工務店の社長を、ナイフで刺して少年院に入れられていた。その時、吉田と大北に出会う。その後、格闘技のテスト生、暴力団やマフィアなどを渡り歩き、現在は詐欺をしながら生活をしていた。
伍郎は主犯格の男である木島に会うと、仲間は黙らせるからほっといてくれと頼んだ。拉致された男の末路がどうなるかを理解していたのだ。伍郎は傭兵のテスト生だったことがあり、木島達の様子から傭兵だと分かっていた。木島は口止め料として200万円を渡すが、伍郎は交通費として5万円だけ抜き取った。
伍郎は占い師の女性に会いに行くが、女性はお金が無い為、空腹で倒れてしまう。伍郎は女性を連れておでん屋に行った。そこで、女性と初めて自己紹介を行う。女性は小池佳子と名乗り、伍郎はローゴ(老後)の反対で伍郎だと名乗った。だが、佳子が結婚詐欺に遭って一文無しになったことを聞き、思わずお金を置いて店を出る。佳子は伍郎の後を追い、自分と寝たくない理由はあるのかと迫った。
誘拐された男が記憶障害を患って橋に放置されているのが発見された。その日、春川は伍郎が残したDVDディスクを持ち出して、放送局に駆け込んだ。
映画『カメレオン』の結末・ラスト(ネタバレ)
伍郎が佳子と共にアジトに帰ると、山村達が当て逃げの被害者を装って詐欺を働こうと練習をしていた。佳子は山村達の案に、自分が妊婦役として登場すれば詐欺だとバレにくいのではと提案する。その姿を見た典子は、佳子が妊娠の経験があることに気付く。指摘された佳子は泣き出してしまい、典子が優しく慰める。
春川がイライラしながら帰って来た為、伍郎は皆でお酒を飲んでどんちゃん騒ぎをする。次の朝、吉田と大北が浮かれながら帰っていると、突然黒服の男達に拉致される。春川は伍郎にDVDディスクを持ち出したが、怖気づいてディスクを渡さずに帰ってきたことを打ち明ける。だが、新聞には証人喚問に呼ばれた男性が、拉致されたことが書かれていた。伍郎は危険を感じて、荷物を纏めるよう春川に指示を出した。
山村夫妻と境は車に乗って逃げ出した。春川は吉田と大北に連絡をしたが通じなかった。その時、パトカーに乗った男達が現れる。伍郎は傭兵がカモフラージュをしているだけだと気付き、1人アジトに残って春川達を逃がす。だが、バイクの男が外で待ち構えており、春川はキャッシュカードを伍郎に託して犠牲になった。伍郎達はパトカーに乗り込んで逃げるが、後ろから男達も追ってくる。激しいカーチェイスの末、伍郎は男達の車を廃工場に誘い込んで穴に落とした。
伍郎達が警察に行くと、刑事の梶原が木島達について教えてくれた。“RCA”と呼ばれる工作員で影の軍隊と呼ばれていた。だが、梶原はキャリアを棒に振りたくないので、助けてはくれなかった。その頃、マスコミはRCAの存在について、厚木国交大臣を追っていた。木島は残りの者達も片付けろと指示を受け、アタッシュケースに入ったお金を受け取った。木島は部下に春川達の遺体の焼却処分を命令した。
伍郎は佳子と共に銚子に行き、キャッシュカードのお金を下ろすと春川の実家に置いた。そして、海が見える高台にある小屋で、伍郎は佳子に別れを切り出した。佳子はそれを受け入れず、伍郎を抱きしめてキスをした。だが、突然道路から狙撃され、佳子は背中から銃弾を浴びた。伍郎もまた撃たれてしまい、小屋から転落する。だが、伍郎は小屋の下で生きており、佳子が連れ去られるのを怒りに震えながら見ていた。
伍郎は吉田の暴力団事務所に行くと拳銃を奪い、RCAに乗り込んだ。そして、RCAの工作員を次々と殺した。だが、木島はおらず探している内に遺体安置所に辿り着いた。伍郎はシーツにくるまれている遺体を見て激しい怒りを見せるが、シーツは呼吸に合わせて動いていた。
伍郎は木島が国会で答弁している場所に乗り込み、木島が男性を拉致している現場の写真をばら撒いた。木島が怒って伍郎の腕を掴むと、義手が落ちた。伍郎は右手1本だけで外で待っていると言うと、ニヤリと笑った。
その後、伍郎は佳子の肩を抱いて街を彷徨い歩いた。
映画『カメレオン』の感想・評価・レビュー
『カメレオン』と言うタイトルを最後まで忘れずに見て欲しい今作。藤原竜也と言えば「クズ」を演じさせたら右に出るものは居ない最高の俳優ですが、今作で演じているのは「クズ」では無いけど「普通」でも無い、謎だらけの男です。
ストーリーが進めば進むほど、誰が正しくて何を信じれば良いのか分からなくなる展開は、映画を見ているというよりも「小説」を読んでいるような、ゆっくり味わいたくなる感覚でした。
ラストもはっきりと描かれず、観客に考えさせるような雰囲気で終わるので、余韻に浸る要素としてはとても良かったと思います。(女性 30代)
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