映画『シンデレラマン』の概要:米国が大恐慌の嵐に揺れる中、愛する家族を守りながらボクシングを続けたボクサー・ジム・ブラドックの波乱万丈の半生を映画化。
映画『シンデレラマン』 作品情報
- 製作年:2005年
- 上映時間:144分
- ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、スポーツ
- 監督:ロン・ハワード
- キャスト:ラッセル・クロウ、レネー・ゼルウィガー、ポール・ジアマッティ、クレイグ・ビアーコ etc
映画『シンデレラマン』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『シンデレラマン』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『シンデレラマン』のあらすじを紹介します。
時は’20年代。
強力な右ストレートを武器に、のしあがってきたボクサー・ブラドック(ラッセル・クロウ)の人生は約束されていた。
妻メイ(レニ・ゼルヴィガー)、娘ローズマリー(アリエル・ウォーラー)、息子ハワード(パトリック・ルイス)にも恵まれ幸せな日々。
このまま試合を重ねればタイトル奪取も夢ではないと、マネージャーのジョー(ポール・ジアマティ)も声を弾ませている。
そんな彼の身に不幸が襲い掛かったのは1929年。
彼の命ともいえる右手を負傷した、その年、米国では株価が暴落し世界恐慌が勃発。
ブラドックは、家族を養う為、怪我をおして試合に出場し続けたため、負け続けてしまう。
あまりの惨敗ぶりに、コミッショナーは、ブラドックを処分する事に決定。
ジョーの歎願も空しく、ブラドックはボクサーライセンスを取り上げられてしまう。
家族と離れ離れになる事を嫌がったブラドックは、過酷な日雇い労働にも耐える日々を送るが、そこで得られる収入は僅かなもの。
しかし次男ハワードが病に倒れてしまい、メイはついに子供たちを親族に預ける事にする。
ブラドックは、家族が共に暮らすには、つまらない自尊心を捨てなければいけない事を悟り、生活保護の列に並び、自分を捨てたコミッショナーに頭を下げに行く。
彼の努力が認められ、ジョーがついにブラドックを探し当て試合を持ち込んでくる。
試合相手は対戦相手を潰すことで知られる若手成長株。誰も試合相手がいないというので、挑戦者を探していた。
いちかばちかの試合をブラドックは引き受ける事にする…。
映画『シンデレラマン』 結末・ラスト(ネタバレ)
コミッショナーが、ブラドックの存在すら認めようともしない中、ジョーとブラドックは戦跡を残して行き、ついにヘビー級チャンピオン・マックス・ベア(クレイグ・ビアーゴ)への挑戦権を勝ち取る。
どんな試合でも応援してきたけれど、この試合だけはやめてというメイの懇願をふりきりブラドックはリングに立つ。
ブラドックは苦戦を強いられるが、マックス・ベアを打ち破りついにチャンピオンの座を勝ち取る。
彼は、その栄光をひけらかすことなく、まっすぐ家路へと急いでいく。
大恐慌の時代、どんな苦境も諦めず立ちあがる彼の姿を、人々が『シンデレラ・マン』と呼ぶところで終わる。
映画『シンデレラマン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『シンデレラマン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
何故メイは、ブラドックについていこうとしたのか
大恐慌の時代となり、生活が苦しくなり、ブラドックの妻・メイは家財道具を全て売り払ってしまう。
親族の家に行けば、それなりの生活が約束されているものの、頑なにこの土地で家族全員で暮らせるまで暮らしていこうとする夫についていった結果である。
病気になっても薬を買うお金もなく、当たり前の生活も保障されない。
次男は病気になり、メイはとうとう子どもたちだけでも親族の元に送る。
そんな中、かつてのマネージャーのジョーが、試合をもちこんでくるが、メイの目にはジョーは裕福な暮らしをしているのだろうと思う。
が、彼の家を訪ねると、自分以上に困窮し、同じ様に家財道具を売り払っているジョーの妻の姿が目に映る。
他人である自分たち家族の為に、ここまでしてくれるジョーと、その妻の為にメイは、何も言わず付いていく決心をする場面は、この時代ならではと思う。
ブラドックとジョーの魅力の引き出し方
この映画のポイントは、ラッセル演じるブラドックにしても、そのマネージャーを演じるジョーにしても、影の部分ではなくいい部分に焦点が当てられている事である。
あえて、ブラドックが大恐慌から立ち上がる所までで、ストーリーを止めている事で彼が何故シンデレラ・マンと呼ばれ米国の希望と呼ばれたのかは理解できるし、ラッセルの名演が光る。
実在のジョーは、合理的でいい人間でもなかったようだが、ブラドックの子供や妻たちにだけは、いい人間であろうと勤めていたらしい。
ここに焦点をあてたことで、ジアマティの持ち味が引き出されたともいえる。
何故、ブラドックはシンデレラマンになれたか
ブラドックは、何のためにそこまでして戦うのかと聞かれ『ミルク』と答える、子供たちにミルクを飲ませる、これは家族が衣食住に困らない様にする為。
一家を養うのは父親だった時代、その言葉がヘタをすると美談にもとられかねない。
マネージャーのジョーは、昼間は台所用品の訪問販売をしながらブラドックと家族をささえ、その姿を妻に納得させている。
それはブラドックにしてもジョーにしても、自分の人生に何ひとつ言い訳をせず、前に向かい歩いていたからだろう。
もしもこの2人が、本当はボクシングをやりたいが、今はこの仕事をしているというグチをこぼしていたなら、神は微笑まなかったという所も見所だ。
守るべきものがある人は本当に強いなと感じる作品でした。文字にしてしまうと簡単ですが、作品の中では家族の絆や、ボクサーとしてのプライド、周囲の人の支えなど「良い部分」に焦点を当てて描かれているので困難な状況を強いられて落ちていく様子よりも、ここから這い上がるんだという強い気持ちの方が印象的でした。
ブラドックをラッセル・クロウが演じたことで、強さの裏にある優しさや執念のようなものを簡単に受け入れることができました。
感動と興奮を味わえる最高の作品です。(女性 30代)
映画『シンデレラマン』 まとめ
この時代、ブラドックは家族を幸せにし、なおかつ自分にとって達成感が得られる仕事であれば、何でもよかったはずだ。
その点でいえば、この映画はいささか古い考えの持主の男性にお薦めという事は拒めない。
現代では、とうてい通じない亭主関白論がまかり通る作品ではあるが、ラッセルとジアマティ、ゼルウィガーの演技力によりカバーされているといっても過言ではないだろう。
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