映画『悲情城市』の概要:1989年製作の台湾映画。台湾の山あいの街九分を舞台にした作品で日本統辞が終わった1945年から中華民国建国までの4年間を過ごした林家の人々を描いた作品である。
映画『悲情城市』 作品情報
- 製作年:1989年
- 上映時間:159分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ホウ・シャオシェン
- キャスト:トニー・レオン、シン・シューフェン、リー・ティエンルー、チェン・ソンヨン etc
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映画『悲情城市』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『悲情城市』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『悲情城市』のあらすじを紹介します。
1945年8月15日、日本が敗戦。
台湾の日本統辞時代は幕を閉じた。
林家は長男の愛人に男児が生まれ、次男は軍医として南洋にいったまま、三男は通訳として上海にいったきり戻らない、四男は耳が聞こえず郊外で写真館を営んでいた。
ある日、軍医の三男が精神錯乱状態で帰宅した。
そのせいで長男の愛人の兄に阿片の密輸に関わらないかとそそのかされる。
このことは長男にばれてしまい決着するものの、裏切りという名目で三男が裏組織のボスに連れて行かれた。
1947年2月、2・28事件が勃発。
厳戒態勢の台北に向かった四男も政治的嫌疑がかかり連れて行かれるも口がきけずに釈放。
しかし写真館で同居していた友人は足の骨を折られかえってくる。
仲間は皆殺害され、その遺品を家族に届けることにした四男。
その道中ゲリラとなり山にこもる友人と再会した。
四男は同居していたその友人の妹と結婚することが決まっていた。
長男は組織のボスの銃で殺される。
四男は子供をもうけそれなりに幸せを手にしたが、妻の兄でもある友人が軍隊により射殺されてことを知る。
数日後、四男も連れて行かれ、その後の消息はわかっていない。
そして1949年台北は臨時首都に定められた。
映画『悲情城市』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『悲情城市』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
台湾ニューウェーブの傑作
台湾は政治的な理由により、これより前の映画は検閲が激しかった。
そのため表現の自由には残念ながら制限があった。
しかしそれを変えたのは本作品である。
この映画は台湾映画界の中でも、傑作だと知られ未だに多くの人にとって語り草になっているのだ。
時代は日本統治終了の1945年から1949年の中華民国建国までの4年間。
この激動の時代を生きた林家の家族を描いた作品で、耳の聞こえない四男を主に描く。
この四男をトニーレオンが演じ話題になったが、まさに彼の真骨頂とも言える演技だろう。
時代背景をリアルにかつ大胆に作り込むことで、ドキュメンタリーのような作風が仕上げられた。
エンターテインメント性はかなりうすく、感動して号泣することも泣ければ、感嘆の声もない。
あるがままの台湾の姿をできるだけ人に伝えるべく製作された映画、まさにそんな作品である。
ハリウッド映画のような華やかなものが好みの人には見るのも辛い映画かもしれないが、静寂のなかに揺るぎない意思や歴史を詰め込んだ時代映画である。
登場人物の多さが難点
なんといっても人の多さが厄介な映画である。
林家だけならまだしも、まだまだキーマンがたくさん存在する。
ぱっとみただけでは到底理解不能な人数だ。
話自体、歴史を知らなければあたまに入りにくいのに人が多いから難しい。
1度見て見られそうなら是非もう一回見ることをおすすめする。
何度も見て理解するだけの価値はあり、知ってて損はしない歴史である。
この映画を理解するころは日本人として需要であるかもしれないとも思う。
映画『悲情城市』 まとめ
台湾映画のなかでも群を抜いて、真面目で、かつ忠実に描かれた時代作品であろう。
またなぜこんなにシリアスに描いたのか。
人々の娯楽作品を作るならこのテーマは選ぶはずがない。
しかしながらこの監督はいつか誰かがやらなければならない台湾人の使命のようなものを果たしたのだ。
興行成績を考えたのなら絶体絶命楽しいものを作るはず。
逢えての挑戦だったのか。
このような映画は絶対に必要であり後世に残るはず。
世界の人が見るべき映画である。
台湾の暗い歴史ではあるが目をふせずより多くの考える場所として見て欲しい。
みんなの感想・レビュー
この作品のDVDが手に入って視聴できたのは、丁度終戦記念の日でした。また、台湾の李登輝元総統のお葬式があったばかりで、この作品が完成したのが、李登輝氏が総統に就任した後だったのが歴史的な意味があるのですね。とにかく台湾の人達がこんな悲惨な目に遭っていたとは、今の今まで知りませんでした。学校では教えてくれませんでした。その代わり日本語が使える人がいたり、家が畳式様式だったりすることも。ローレライの場面が美しかったです。若い二人の幸せそうな姿も。日本の「故郷」や「赤とんぼ」の歌が流れていました。列車の中で文清が殴り殺されそうになる場面は、真に迫っていて、手に汗をにぎりました。梁朝偉の表情はとても豊かでした。香港映画のスターだけありますね。血なまぐさい場面は少なかったけれど、手紙や銃声で想像できます。舞台の林家は裕福で、いつもお祖父さんの李天祿が定位置でご飯を食べています。外で何があってもいつも家族一緒にご飯を食べることで、安定した何物かがあるということを侯孝賢監督の映画に良く見うけられると思いました。長男の文雄はヤクザだが、赤ん坊をあやす優しい面もありました。寛美の赤ちゃんも歩いて好きなこと喋ったりして可愛かったです。二胡の演奏と歌など、悲しいばかりの場面に色を添えてくれました。音楽が日本人の手によることが興味深かったです。