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映画『コングレス未来学会議』あらすじネタバレ結末と感想

映画『コングレス未来学会議』の概要:スタニスワフ・レム原作のSF「泰平ヨンの未来学会議」を実写とアニメーションで映画化。出演はロビン・ライト、ハーベイ・カイテル。2013年製作のアリ・フェルマン監督作品。今後の映画界を予見するような異色作。

映画『コングレス未来学会議』 作品情報

コングレス未来学会議

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:120分
  • ジャンル:SF、コメディ、ファンタジー
  • 監督:アリ・フォルマン
  • キャスト:ロビン・ライト、ハーヴェイ・カイテル、コディ・スミット=マクフィー、ジョン・ハム etc

映画『コングレス未来学会議』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『コングレス未来学会議』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『コングレス未来学会議』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『コングレス未来学会議』 あらすじ【起・承】

近未来。女優になって25年目のロビン(ロビン・ライト)は、空港の近くに娘サラ(サミ・ゲイル)と難病の息子アーロン(コディ・スミット=マクフィー)と暮らしていた。

アーロンは、赤い凧を揚げるのが好きだが、航空機に凧がぶつかりそうになり空港の管理局から抗議されてしまう。

ロビンは旬の女優を過ぎ、過去には撮影をドタキャンしたこともあったが、マネージャーのアル(ハーベイ・カイテル)から突然、最後の出演になると言われてしまう。

これからの映画界はCG化された女優が活躍するらしい。ロビンをスキャンして、CGキャラクターを製作するのだ。その代わり、今後演技をしないで欲しいと言われます。

納得がいかないロビンは、CG化することを拒むが、難病の息子の高額な医療費もあり、ついにCG化する契約を結んでしまう。

息子アーロンの難病は進行しており、主治医のパーカー先生から夜盲症になるだろうと診断された。”アーロンは美しい心の持ち主だ。私達のずっと未来を彼は生きるだろう。”と。

ロビンは契約し、その日のうちにスキャンすることになった。データを取るために笑ったり泣いたりという演技を繰り返す。その様子を助監督だったクリストファーがスキャン担当として見守っていた。

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映画『コングレス未来学会議』 結末・ラスト(ネタバレ)

それから、20年後。白髪まじりになったロビンは、赤いドレスを着て車を走らせていた。ミラマウント社の未来学会議に出席するためだったが、途中のガソリンスタンドで貰った薬を吸ったとたん、風景が急にアニメーション化されてしまう。

走っていた道路は海になり、イルカや魚が元気に飛び回っていた。気球にCG化したロビンの出演作「エージェントR」の映像が映し出されるのだった。やがて、海に浮かぶ未来都市のようなミラマウント・ホテルが現れた。

ロビンは自宅に残してきた息子アーロンに通信機で話しかけた。”アニメ化された私を見せたいわ!”と言うと、アーロンは、”映画の予告編を観た人に気づかれた?”と訊くのだった。

ミラマウント・ホテルの一室にロビンは入ったが、部屋の電気が点かない。”なぜ、こんなに暗いの?”と語りかけると、”あなたの心次第です。”というロボットの声が。

一家に一台、ロボットが所有される世界では、人間の存在感は小さい。久しぶりに会った映画会社のジェフに、他の出席者は皆、CGで参加するらしいと聞いた。

またジェフから、この世界がもうすぐ消えてしまうことやロビンの存在が最終的には化学物質と同じになると言われ、ロビンの心は揺れてしまう。

未来学会議で、”この化学薬品を飲んではだめ!私がその破滅のシンボルよ!”と観衆に訴えるが、既に遅く、幻想誘発剤で世界は冒されていた。

その頃、未来学会議の司会者リーブ・ホブスが殺された。同時にミラマウント・ホテルも壊滅した。逃げ惑う観衆の中に、ロビンは娘サラの姿を見るが、娘はロビンに気が付かない。

ロビンは、ホテルの元職員ディラン(ジョン・ハム:声の出演)に助けられ、一緒に逃げた。しかし、アラバマ革命が起こり、ロビンは回復の兆しが見られないのでそのまま冷凍保存されたらしい。

1980年代はじめに再び、ディランに会った時は、”アーロンと一緒にいたい”という選択をロビンは選んでいた。幻想誘発剤のため、世界は”自分の心のまま、風景が変わる”ように変化し、その人自身の面影は残っていない。

ロビンはディランと空を飛び、娘のサラが自然主義者になり、子供を唯一生み続ける集団にいることを知ります。しかし、アーロンはなかなか見つからない。ある日、アーロンが使っていた赤い凧を見つけた。

アーロンに会いたい一心で、ロビンは、”現実世界”に行く薬をディランから貰う。アニメの世界は終わり、現実に戻った。息子を探すため、ロビンはアーロンの主治医パーカー先生を訪ねた。

彼はアーロンの行方を知る唯一の人間だった。”君の帰りを19年間、待っていたよ。だが、半年前に向こうの世界に旅立った。”と言う。ロビンは悲しむが、再び、アニメ化された世界に戻ることを決意した。

パーカー先生から薬を処方され、アニメ化された世界へ。映画の撮影現場にアーロンはいた!アーロンの赤い凧もあった。”アーロンね?”と呼びかけると、彼はゆっくり振り向いた。

映画『コングレス未来学会議』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『コングレス未来学会議』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

薬漬けの未来に人類の幸せがあるのか?

今、はやりのディストピア(反理想郷)を描いたSFですが、そこから逃げ出すことに中心が置かれているわけではなくて、あくまでも母親としてどう生きたいかという内向的な物語です。

元女優の母親は、難病を抱える息子の事が常に心配です。CG女優として人気を得ても、実態はCGという幻。幻想誘発剤を飲めば、姿は変わりますが心は望んだものを得られるという世界。

アニメーションにしてしまうと、どんなにおかしな世界でも違和感を無くしてしまうので、逆にその世界の怖さが際立ちます。ただ、日本のアニメを知る観客が観れば、アニメとしての精度が低いので、とてもつまらなく感じてしまうだろう。

観終わったあとに残る、空虚感と赤い凧のイメージ。人間の本質が失われる世界に唯一残った”生命力”を感じさせる赤い凧は、愛する息子の姿で、ただ1つの希望なんです。

アニメ&実写を得意とする、アリ・フォルマン監督の魅力

アリ・フォルマン監督は、イスラエル出身の53才。1996年に「セイント・クララ」で映画監督としてデビュー。自らの戦争体験を基に描いた「戦場でワルツを」(08)が、第66回ゴールデン・グローブ賞を受賞しました。

ドキュメンタリータッチで描くアニメと実写で紡がれた戦争ドラマは、多くの衝撃を与えています。アニメという虚構の世界にも関わらず、リアルさと戦争の本質が鋭く突き刺さる作品です。

第3作めとなった「コングレス未来学会議」でも、実写とアニメを融合させた作品作りをしていますが、アニメ部分でのキャラクターの解釈に苦労したそうです。人物造形に加えて、絵の崩れ方がひどい!と感じました。

日本のアニメをもっと観て研究して欲しいですね。ただコミカルなシーンは上手です。マイケル・ジャクソンに似た人物が出てきたり、スティーブ・ジョブズをもじったリーヴ・ボブスの演説シーンなどは必見かも。

今後の作品に期待したいと思います。


近い将来、現実にもこんな世界がやって来るのではないかと恐怖を感じた今作。老いることや人から注目されなくなって行くことは、悲しいことではありますが、それも生きているということだと思うんです。
そう考えると、今作の世界観は生きるということを無視しているように思えてしまいました。薬を使って、自分の求めるものを虚構世界で手に入れるというのは、確かにその時は満たされるのかもしれませんが、現実を見た時、心は悲しくなるだけではないでしょうか。(女性 30代)

映画『コングレス未来学会議』 まとめ

ディストピアを描いたSFという側面だけでなく、映画業界の未来を予見させる展開が魅力の作品です。女優をCG化するなんて今の技術でも可能だし、そうなればより安い製作費で作れそう。

特筆すべきなのは、アリ・フォルマン監督が、美しさに惚れこんで起用した女優ロビン・ライト。確かに50歳にしてはきれいだと思いますが、代表作といえば「フォレスト・ガンプ/一期一会」が知られているくらいなのでかなりマイナーな存在です。

今後、彼女がどう化けるかが注目です!また、アニメと実写を融合させた作品を描く作家は多いですが、日本のアニメ監督のレベルには到底及ばないと思います。

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