映画『コンタクト』の概要:「コンタクト」(Contact)は、1997年のアメリカ映画。カール・セーガン原作によるSF小説の映画化作品。監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス。主演は二度のオスカーに輝いたジョディ・フォスター。
映画『コンタクト』 作品情報
- 製作年:1997年
- 上映時間:150分
- ジャンル:SF、ミステリー、ファンタジー
- 監督:ロバート・ゼメキス
- キャスト:ジョディ・フォスター、マシュー・マコノヒー、ジョン・ハート、ジェームズ・ウッズ、トム・スケリット etc…
映画『コンタクト』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『コンタクト』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『コンタクト』のあらすじを紹介します。
電波天文学者のエリー(ジョディ・フォスター)は砂漠の天文台で探査と研究をしていたが、先の見えないプロジェクトに対し業を煮やした、科学者のドラムリン(トム・スケリット)や天文学の権威から、研究費と施設の利用権を打ち切られてしまう。エリーは独自で資金源を求め、ようやく新しいスポンサーを獲得する。
そしてニューメキシコの超大型電波望遠鏡にて探査を再開したある日、観測中に恒星ヴェガ付近から地球に向けて電波信号が発せられているのに気づく。送られてくる電波信号を数字に変換すると、どこまでも続く素数の羅列になった。その素数を理解できる知的生物の住む惑星を探すため、別の惑星から送られたメッセージだと考えられた。
信号の解析が進む中、起こった事実を独断で公表されたのを知ったドラムリンや政府が介入する。解析が進むうちに、エリーの思惑と逆方向へ事態は進行してゆき、政府の宗教顧問やカルト宗教家、エリーの出資者ハデン(ジョン・ハート)まで各々に動き始め、政治と科学に宗教までを巻き込む展開となる。
世界中の国々が協力して信号の画像解析を進めるうち、メッセージの中に乗員を宇宙へ運ぶことのできる宇宙空間移動ポッドの設計図が解読された。世界中を巻き込む騒ぎの下、惑星ヴェガへの空間移動ポッドが建設されはじめる。エリーはその乗員に志願するが、乗員を選考する審議会で、政府の宗教顧問でもある恋人のパーマー(マシュー・マコノヒー)から、神の存在を信じるかと問われ否定する。そして人々の信仰を「思い込み」だと考える思想を理由に彼女は落選し、神の存在を認めたドラムリンが乗員に選ばれ、満を持してポッドは完成を迎えた。
世界中の注目を浴びながら訪れたポッドの実験当日、ポッドに乗り込んだドラムリンは、カルト宗教家の自爆テロによりポッドと共に爆死する。
その後、失意の中で日々を過ごすエリーに、ハデンから極秘に建造されていた予備機ポッドの存在を知らされ、彼女は乗員として日本の北海道へと向かう。
映画『コンタクト』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『コンタクト』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
天文、映画、女優の三大オタクが集結して出来た名作SF
実際の天文学者でNASAの宇宙計画にも関わっていたカール・セーガンの原作ということもあり、ディティールの表現力は半端がない。そしてロバート・ゼメキスのそれらを描写する力量には感服してしまう。SFXなどの描写は後半に僅かだけ集中するのであるが、物語の組み立て方や繋げ方にも独特の緊迫感を漂わせ、静かに進行して行くストーリーの中にもスリルが満ち溢れている。これは監督だけでなくジョディ・フォスターの演技にも多くの要素が含まれていると思うのだが、彼女が持つ微妙な表情やセリフのスピードと回し方でそうなっているのだろうと感じるのだ。二度のオスカーを受賞した演技は伊達ではないと言うことをこの作品でも充分に見せてくれる。実際、本作でもゴールデングローブの主演女優賞を受賞しているのだが、全くそれにも頷ける演技である。今まで映画の中ではあまり語られず、SFの世界でも架空の存在にしか思えなかった、”SETI”(地球外知的生命体探査)の実態みたいなものも表現されて興味深い。
そしてクライマックスの、惑星ヴェガへのポッドから移動するシーンにはゼメキス監督の特撮技術が遺憾なく発揮され、ラストの謎解き部分も、主人公にしか体験できなかった神秘的なファンタジーで締めくくる、SF映画のラストシーンとしては秀逸である。
ジョディ・フォスターの女の魅力
個人的な好みというのもあるかも知れないが、ここでのジョディ・フォスターは凄く魅力的に見える。「タクシー・ドライバー」に出演したときの、売春婦役の少女の成長とは思えないほど大人の魅力が滲み出ており、オスカーを受賞した「告発の行方」や「羊たちの沈黙」ではあまりピンとこなかったものが、天文学者になった途端に魅力的に見えるというのもおかしな話ではある。多分受賞作ではストーリーの背景にある、おどろおどろしいものがそう見させてなかったのだろう。今までのハリウッド女優にはあまりいなかったタイプなのではないだろうか。さらに年を重ねてどうなるか楽しみな女優である。
SF映画の最適解の一つではないだろうか。
宇宙人からのファーストコンタクトと言ってしまうと現実の世界との接点を感じることは難しくなりそうなものだが、この作品は全体にどこか地に足がついている感じがするのだ。そのリアリティのおかげで作品に入り込みやすい。映像的な楽しみも申し分なく、2時間半という長さも必然性を感じる。そして話の帰結するところも絵空事になっていないところがまたいい。その主人公の心の動きに説得力をもたらしたのは、やはり名優ジョディ・フォスターだった。(男性 40代)
頭が良い人たちの世界ってこうなっているのかと、私には到底想像も出来ないようなことが次々と起こり、最初から最後まで驚かされながら見ていました。
暗号を解読していくシーンは緊張感がこちらまで伝わってくるくらい空気が張り詰めていて、ドキドキしながら見られます。
正しいことと、求められていることは別物であることが多いですか、求められていることに拘りすぎて、自分の信念を曲げるのは間違っているなと感じました。(女性 30代)
映画『コンタクト』 まとめ
惑星ヴェガから送られてきた信号を解読し、それをさらに立方体に組み合わせ、長い時間を掛け解読するシーンはゾクゾクするようなスリルがある。実際に数学的な理論自体には言及していないが、その数学理論という解答の知識がなければ作ることができないプロセスの表現が、この映画にミステリー感覚を味付けしているのだ。静かに展開しながらスリルを味わえるという点において、数学的展開を用いるというのは最も現代的で科学的な手法であり、さらにストーリーの中に解答へ向かって行くという時間的なスピード感も味わえるという派生効果も生じている。正しく「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的な動きをスクリーンの背景に感じさせてくれる展開と、キャメロン監督のカメラワークの妙である。
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