映画『クライム&ダイヤモンド』の概要:ある詐欺師が命を助けてもらうため映画好きの殺し屋に自分の経験した映画のような物語を語って聞かせるサスペンスコメディ映画。様々な名画が引用され物語に色を添える。監督・脚本はクリス・ヴァー・ヴェル。2002年アメリカにて公開。
映画『クライム&ダイヤモンド』 作品情報
- 製作年:2001年
- 上映時間:92分
- ジャンル:コメディ、サスペンス
- 監督:クリス・ヴァー・ヴェル
- キャスト:クリスチャン・スレイター、ティム・アレン、リチャード・ドレイファス、ポーシャ・デ・ロッシ etc
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映画『クライム&ダイヤモンド』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『クライム&ダイヤモンド』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『クライム&ダイヤモンド』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『クライム&ダイヤモンド』 あらすじ【起・承】
フィンチ(クリスチャン・スレーター)はホテルの一室で殺し屋の“毒舌ジム”(ティム・アレン)によって拉致されていた。
ジムは無類の映画好きで、特に物語のある古い名画を愛していた。そこで、フィンチの語る物語が面白ければ、寿命を延ばしてやると言う。フィンチは命がけで、自分の経験した映画のような物語を語り始める。
1977年、ニューヨークのダイヤモンド取引所で奇術師が400万ドル分のダイヤを盗む。奇術師と娘は宝石箱の中にダイヤと鳥の羽と写真を入れ、野原に埋める。
時は流れ、フィンチは詐欺罪により収監された刑務所でその奇術師マイコーと知り合う。マイコーは逮捕されたが、ダイヤは未発見だった。フィンチは100万ドルでマイコーの脱獄計画の手助けをする。
外での作業中マイコーは計画を実行する。そして予定外だったがフィンチも共に脱獄する。
2人は監察医のサビアンに身分の偽造を依頼する。サビアンは検死した焼死体の中から、フィンチにはタウト、マイコーにはザボヤという人物を用意し、偽造に必要なものを全て揃えてくれた。しかしタウトの旅券番号だけが分からず、フィンチはタウトのアパートへ向かう。そしてマイコーは伝書鳩で連絡を取り合っていた娘のテスと再会する。
ゴシップ記事のカメラマンだったタウトはマフィアのボスの息子がSMプレイにより女を殺した現場を盗撮し、そのことで殺された。タウトは念のためそのビデオを隣人のドラッグクイーンに送りつけていた。
タウトがまだ生きていると勘違いしたマフィアはフィンチに2人組の殺し屋を仕向け、銃撃に巻き込まれたマイコーが撃たれる。マイコーはフィンチに“娘を頼む”と言い残して死んでいく。
映画『クライム&ダイヤモンド』 結末・ラスト(ネタバレ)
フィンチはテスとあの野原へ宝石箱を掘り返しに行くが、その場所には刑務所ができ近づけなくなっていた。
フィンチは命を狙われる理由を探るためタウトのアパートに忍び込み例のビデオを見る。マフィアはドジな2人組の殺し屋に業を煮やし、凄腕の殺し屋“毒舌ジム”を雇う。
事情を察したフィンチはテラに協力を頼み警察へ行く。“タウト”だと名乗って警察に事情を説明し安全のため刑務所での保護を願い出る。それはダイヤの埋まっているあの刑務所だった。
警察は半信半疑ながらフィンチを刑務所に保護する。フィンチはガーデニングと偽って宝石箱を掘り出し、伝書鳩を使って少しずつテラのもとへダイヤを送る。
計画は順調に進み、テラが面会に来る。テラはフィンチの指示通りビデオは駅のコインロッカーへ、ダイヤはホテルに隠しており、カナダへ旅立つと告げる。別れ際、フィンチは宝石箱の中の写真をテラに渡す。父と母と幼い自分の家族写真を見てテラは涙を流す。
フィンチは刑務所から警察へ移動するが、ついにその正体がばれてしまう。逮捕を免れるため警察に例のビデオの在りかを教え、ビデオを押収した警察はフィンチを逃してくれる。
フィンチはホテルへ行き、やっとダイヤを手に入れたところでジムに捕まったのだ。
フィンチの話に感動したジムは、追ってきた2人組の殺し屋を始末し“テラのもとへ行け”とフィンチを逃がしてくれる。さらにマフィアまで暗殺しフィンチを守る。
駅で再会したフィンチとテラは熱いキスをし、それを見届けたジムは路上で「雨に唄えば」のジーン・ケリーを真似てタップダンスをする。
映画『クライム&ダイヤモンド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『クライム&ダイヤモンド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
最高の脚本
この映画の監督・脚本を手がけたクリス・ヴァー・ヴェルという人物については詳細がわからない。だが、本作の脚本を書き上げるのに10年の歳月をかけたらしい。
一本の映画の脚本に10年もかけるなんてと思うかもしれないが、本作を観ればその歳月の意味がわかるだろう。それほどこの脚本はよくできている。
映画マニア(それも古い名画)の毒舌ジムに捕まった詐欺師のフィンチが、自分のストーリーを語ることで回想シーンが始まるのだが、ところどころにジムの口出しが入り画面は2人のいるホテルに戻ってくる。この構成が絶妙な合いの手のようで、観客はますます先が気になり物語に引き込まれていく。
その物語というのがまた実にうまくできていて、伏線として仕込まれた多くの点と点が見事につながっていく気持ちよさはたまらない。映画館なら間違いなくスタンディングオベーションものだ。
毒舌ジムと愉快なサブキャラたち
本作は複雑な物語だけあって登場人物も多い。
その中でも特に“毒舌ジム”の存在感は際立っている。一発で相手の眉間を撃ち抜く凄腕の殺し屋でありながら「ティファニーで朝食を」を観て涙し、映画を語り始めると相当うるさい。お金になる仕事より面白い物語を優先する毒舌ジムの人生観は、この作品一本しか発表していない監督のそれと重なるのではないだろうか。
そしていつも食事をしている間抜けな2人組の殺し屋、アフロを着た監察医のサビアン、黒人のドラッグクイーンなど、コメディ要素満載のサブキャラが次々と登場し、しかもそれぞれにちゃんと役割を持つ。このあたりが非常にうまい。
テラの父マイコーの奇術も伝書鳩も宝石箱も夢のある演出で、本作をただのサスペンスではない“毒舌ジム”の好きそうなストーリーのある映画にしている。
毒舌ジムが映画好きのキャラクターということもあり、作品の至る所に有名な映画のワンシーンを真似したような描写があるので、見ていてとても楽しかったです。
忘れてはいけないのは、フィンチは詐欺師だと言うこと。何が本当で、何が作り話なのか。最初はそんなことを疑いながら見ていましたが、ストーリーが秀逸すぎて次第にそんなことは気にならなくなってしまいました。
作中に登場するキャラクターも個性豊かで憎めない愛らしさがあるので、暗い気持ちになることなく、最後まで楽しめました。(女性 30代)
映画『クライム&ダイヤモンド』 まとめ
何の前知識もなくこの映画を観始めたが、すぐに“これはもしかして…”という期待に胸が膨らんだ。そして、想像を何倍も超える本作の素晴らしさに自然と目頭が熱くなった。
これほど夢中になれる映画にはなかなか巡り会えない。
この映画にはコメディ、サスペンス、ロマンス、犯罪と様々な要素が組み込まれている。その数多い要素の根底にこの監督の映画に対するロマンがこぼれ落ちそうなほど注ぎ込まれているからこそ、あの粋なラストシーンが純粋にぐっとくる。
本作には数々の名画が引用されており、それは確かにこの映画をより楽しむスパイスになっている。しかし引用された名画を知らなくても何の問題もない。
映画好きも、そうでない人もきっと楽しめる隠れた名作なので全力でオススメしたい。
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