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映画『大停電の夜に』あらすじネタバレ結末と感想

映画『大停電の夜に』の概要:2005年後悔の日本映画。クリスマスに東京で大停電が起こってしまい、その夜をどのように過ごしたかというそれぞれの登場人物にスポットを当てた群像ドラマである。

映画『大停電の夜に』 作品情報

大停電の夜に

  • 製作年:2005年
  • 上映時間:132分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:源孝志
  • キャスト:豊川悦司、田口トモロヲ、原田知世、吉川晃司 etc

映画『大停電の夜に』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

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映画『大停電の夜に』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『大停電の夜に』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『大停電の夜に』 あらすじ【起・承】

12月24日のクリスマスイヴの日。
東京は大停電になり、街は真っ暗になる。
ラジオではこのニュースを緊急で扱い、国民はざわついている。

この停電が起こったまさにその時、天体お宅の翔太は病院の屋上から空を見ていた。
彼が見ていたのは天体ではなく、今にも自殺でもしそうな女性が心配で双眼鏡を覗いていたからだ。
彼女の名前は麻衣子、思い悩んでいる様子。
翔太は自転車の後ろに彼女を乗せて走り出した。

プレゼントを持って約束のレストランに向かう妻(原田知世)。
夫の遼太郎(田口トモロヲ)は忙しくドタキャンは日常茶飯事だった。
そして今夜もドタキャン。
1人寂しく家に戻るのだった。

忙しいと電話をして妻を帰らせた後、向かった場所はホテルの1室。
そこには美寿々(井川遥)が立っている。
そして奥さんの元に返したくないのだと駄々をこね、遼太郎を困らせている。

泣きながらホテルのエレベーターに乗り込んで来た美寿々。
そこにいたのはホテルマンの冬冬(阿部力)だ。
あまりに泣いている美寿々に大丈夫かと声をかけた。
すると停電でエレベーターが止まってしまう。

街で惚れた女・礼子(寺島しのぶ)に再会する銀次(吉川晃司)。
元ヤクザの銀次は礼子に会いに出所後すぐに戻る。
しかし礼子は銀次を待てず他の男の子を身ごもっていた。
地下鉄に乗っている最中に陣痛が来た礼子を銀次は担ぎ車外に出て線路を負ぶって歩くことにした。

小夜子は初老の女性。
停電で子供達との外食も無くなり、夫婦で火鉢を囲んで酒でもと夫に提案した。
そこで昔女学校の教師時代に同僚の男性との子供を出産した過去を初めて語り始めた。
そしてその息子という人物から電話が来たことを話す。

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映画『大停電の夜に』 結末・ラスト(ネタバレ)

キャンドル屋のオーナーの女性はのぞみと言う。
彼女は店の前にあるバーのオーナー(豊川悦司)が気になっている。
毎日彼の行動を観察していた。

停電になり店のキャンドルを持ってバーにやって来たのぞみ。
バーの店長の木戸はもう店をたたんでしまうのである。
そのことを聞いたのぞみにキャンドルのお礼にビールでもどうかと誘った。
そして弾かないベースのこと。
好きだった彼女を待ち続けていること。
木戸はのぞみに色々な事を語り出した。

産気づいた礼子を銀次と偶然居合わせた初老の男が病院に運ぶ。
無事に出産したことを確認し、バーを訪れる。
店の前には美寿々がいて、1人では入りづらく躊躇している様子だった。
こうして見ず知らずの3人は入店する。

遼太郎の妻は離婚しようと決めていた。
夜にふっと街に出て、バーの前へ。
そう彼女こそがバーのオーナーが待っていた元彼女である。
彼女は店には入らず通り過ぎた。

バーから帰宅後、初老の男は息子と名乗る人物と会うように妻の背中を押した。
そして瀕死である元愛した男性に会ってきなさいと。
妻の人生全てを受け入れた。

遼太郎は自分を産んだ母と再会し、バーの前を通った。
そこには妻の姿が。
左遷になったのだと告げる遼太郎に、妻は引っ越しの準備をしようと微笑んだ。
こうしてやり直せるのかもしれない。

バーのマスターは店を辞めるからと、のぞみにニューヨーク行きのチケットをあげる。
好きな人と行ってこいと。
のぞみはじっとオーナーの目を見つめた。
動揺しうろたえるオーナー。
「やっぱり店辞めるのや~めた!」と言うのだった。

映画『大停電の夜に』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『大停電の夜に』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

トヨエツのバーでの物語が地味すぎる

全体的に他の物語は非日常を描いているエピソードが多いのに対し、バーを経営しているトヨエツのエピソードは若干パンチが弱い気がする。
基本的に店は場所を動くわけでは無いし、アクティブなエピソードは無理だろう。
それであればもう少し前半部分もバーでの流れに動きをつけてみたらどうだったろうか。
のぞみと会話する意外にこれといって変わり種の面白エピソードも無く、そんなに言うほど二枚目でも無い。
バーでの会話や人との出会いをもう少しドラマティカルに描いていたら、物語に厚みが出て面白さが倍増したであろうと思う。

キャスティングのマッチさ

この物語に登場するキャスティングはマッチしている人が多い。
特に男性キャストで良かったのは宇津井健と阿部力だ。
宇津井健は勿論だが、花より男子でブレークした阿部の魅力は相当なもの。

彼は元々中国語が堪能と言うことで、この役は見事に合っていた。
エレベーターの中で上海にいる彼女のことを、片言で語る彼は素のまま。
彼のありのままの良さが映像から溢れている。

もう少し少人数の脚本を提案

12人の男女の群像劇を描いた物語。
しかしそれぞれの関係性が浅く、薄い。
幅広いという意味では面白いが、場面も人も変わるので時系列などを考えたり、名前や関係性を思い出すのが多少億劫になる。
しかし見失うほどわかりにくい脚本では無いので、それは有り難い。

全体的にエピソードをもう少し濃くして、人数を減らせば1人に対しての感情移入がしやすくなりもう少し面白い作品になったのではないだろうか?


クリスマスの出来事を切り取った群像劇と言うと『ラブ・アクチュアリー』を思い浮かべますが、今作はそちらに比べるとかなり地味でリアリティがあります。日本人が見るからリアリティを感じるのだと思いますが、改めて日本人の大人しくて控えめな人間性を感じた気がします。
嬉しくても悲しくてもそこまで大袈裟に体をめいっぱい使って表現する日本人って少ないですよね。この作品の登場人物も皆、心にもやもやを抱えているのにそれを爆発させたりはしないんです。
穏やかで心地よい、日本人らしい温かいクリスマスを感じられる作品でした。(女性 30代)

映画『大停電の夜に』 まとめ

東京で大停電が起こるという、何とも奇抜な発想のドラマ。
この暗闇の中で人間しか動いていない生の臨場感を上手く表現している。
人は普段あるはずの物が無いと、混乱し、いつも考えないような大胆なことをしようと思う物なのかもしれない。

見えないからこそ素直になれる。
そんな人間の心理に共感させる描き方は日本人の気持ちの奥行きを利用していると思う。
日本人は情緒豊かであり、良い意味でも悪い意味でも内心を吐露しない。
しかしこのような珍しい時だからこそ、自分をさらけ出すということが出来るのかもしれない。

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