映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』の概要:低所得者の住宅地に住む3人の男女はそれぞれに困った問題を抱えていた。彼女らはネットを使って問題の解決に奔走したが、個別では全く上手くいかない。そこで、3人はハッカーを頼り、問題を解決しようとするのだが…。
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:コメディ
監督:ブノワ・ドゥレピーヌ
キャスト:ブランシュ・ガールディン、ドゥニ・ポダリデス、コリンヌ・マシエロ、ヴァンサン・ラコスト etc
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』の登場人物(キャスト)
- マリー(ブランシェ・ガールディン)
- 15歳になる息子の母親で、離婚後は仕事もせず低所得者の住宅地に住む。売れそうな家具をオークションに出品して生活費を稼いでいる。酒を飲むと記憶を失くし、失態を犯してしまうのが欠点。口が上手く、息子をとても愛している。実は過去に数々の功績を残した逸材。
- ベルトラン(ドゥニ・ポダリデス)
- 病気で妻を亡くして以来、15歳になる娘と二人暮らし。娘が学校でいじめられていることを知り、娘を助けたいと思っている。錠前屋に勤めており、プロの錠前師でもある。通販に嵌り借金まみれで、電話ショップのオペレーター嬢に恋をする。
- クリスティーヌ(コリンヌ・マシエロ)
- 原発の監視員として働いていたが、テレビドラマに嵌って仕事をおろそかにしてしまい、大事故が発生。現在は個人タクシーの運転手として働いている。切れるとクレイジーになる。顧客満足度が星1つであることを悩んでいる。
- マリーを脅迫する男(ヴァンサン・ラコスト)
- バーでマリーと意気投合し、一夜限りの体の関係を持った青年。マリーとの行為を動画撮影し、ネット上にばらまくと脅迫。大金を得て職業訓練校に通おうと考えている。
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』のあらすじ【起】
郊外にある停職者向けの住宅地に住むマリーと友人のベルトラン、クリスティーヌ。マリーは自宅の家具をネットオークションで売るなどして生活費を稼ぎ、崩壊寸前のベッドで寝る日々を送っている。15歳になる息子は離婚した夫が引き取って育てているが、マリーは夜中に時々、夫の自宅へ侵入し息子と会話をして冷蔵庫の食品を拝借するなどしていた。
バーで踊って息子と会った翌日、スマホに見知らぬ男から着信が入る。男は昨夜の行動をマリーに話して聞かせるが、マリーはまともに受け取らず着信を切ってしまう。
その日はベルトランが車を売ると言うので、個人タクシーで働くクリスティーヌの車で町へ。ベルトランは15歳の娘と二人暮らしだが、ネットショップや電話ショップでの通販に嵌って借金まみれだった。町での買い物中、マリーにまた男から着信が入る。昨夜、酔っぱらって一緒に飲んだ男らしく、身体も重ねたと言う。男はマリーとまた会いたいようだが、マリーは即座に断った。
クリスティーヌは原発の監視員として働いていたが、ある日テレビドラマに嵌ってしまい次第に職務中でもドラマを観るように。そのせいで放射能漏れを見逃してしまい大事故へと繋がってしまった。彼女はその後、タクシー運転手としてどうにか働いている。
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』のあらすじ【承】
電話の男があまりにしつこいので、会うことにしたマリー。若い男は体を重ねている最中の動画を撮っていたらしく、金を渡さなければ動画を公開するとマリーを脅し始める。
ベルトランは高額請求の書留郵便を受け取り、送り先の農園へ。病気で亡くなった妻が契約していた野菜ジュースの契約がまだ生きており、未払いの請求が一気に来てしまったことで大慌て。
クリスティーヌは顧客満足度がずっと星一つであることを会社に責められ離職の危機に晒されてしまう。彼女は評価を上げようと悪戦苦闘するも、なかなか上がらず。
それぞれ個人的に問題を解決しようと四苦八苦したものの、解決策は見つからない。
マリーは金を稼ぐべく家事代行サービスの仕事に就くことに。初仕事で赴いた先の豪邸には老人が一人暮らしをしており、彼の話によるとハッカーに依頼して大金を得ているらしい。
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』のあらすじ【転】
そこでマリーはベルトランとクリスティーヌを呼び出し、自分が抱えている問題を明かし脅迫する男のスマホから動画を消してもらおうと考える。ベルトランは娘がいじめられている動画を消したいと考え、クリスティーヌは顧客満足度の星を増やしたいと言う。3人はまずマリーを脅迫する男の自宅へ不法侵入し、男のスマホをゲット。
次に神と呼ばれるハッカーの元へ。神と無事に会ったマリーとクリスティーヌは正直に金がないことを明かし、依頼を受けてくれるか頼む。すると、ハッカーは無料で請け負ってくれる。おかげでクリスティーヌの顧客満足度が星5つに。
スマホの動画は削除できたが、投稿されてしまった動画はメインサーバーがある現地のカスタマーセンターでしかできないと言われ、マリーはカリフォルニアへ、ベルトランはアイルランドへ向かうことになった。
ところが、ベルトランはアイルランドへ向かわず、電話ショップのオペレーターがいるモーリシャスへ向かってしまう。
一方、マリーは順調にサンフランシスコへ到着。グーグルのデータセンターへ向かっていた。
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』の結末・ラスト(ネタバレ)
自分の功績を残すべく動画を撮りながら、データセンターへ入ったマリーだったが、警備員に止められてしまう。本社へ向かえと言われたので本社へ行ったが、またしても不審者扱いされ警備員に捕まってしまうのだった。
その頃、ベルトランはオペレーターとの待ち合わせ場所に博物館を指定したが、待てど暮らせど彼女は来ない。そこで、彼はショップの本社へ直接赴きオペレーターの彼女と会うことにしたが、扉を開けるとなんとそこにはAIが一台いるだけ。オペレーターはミランダと名乗っていたが、彼女はAIだったのだ。ベルトランは愕然として怒り任せにAIに何度も蹴りを浴びせた。
どうにか警備員から解放されたマリーは、近くのバーへ向かい意気投合した男性と仲良くなる。目を覚ますとそこは男性の自宅ベッド。全裸の男性が傍で寝ていた。散らかった部屋の様子を見るに、昨夜は散々お楽しみだったようだ。マリーは下着姿で室内を歩き回り、撮影スタジオを完備した部屋を発見してしまう。
失意の念と自責の念に駆られたマリーは、早々に帰国。脅迫男には勝手に投稿すればいいと自暴自棄になって叫んだ。実は結婚前まで驚くべき功績を成し遂げていたマリー。今や呆れ果てた夫から離婚され、地に落ちて貧乏暮らしをしているが、息子への愛は変わらない。
ベルトランはまだ帰国しない。彼は恋焦がれたミランダが人工知能の女王だったが、自分は間抜けの王様だと言う。2人の親友はその話に大笑いするのであった。
映画『デリート・ヒストリー スマホの履歴を消去せよ!』の感想・評価・レビュー
フランスとベルギーのコメディ映画。第70回ベルリン国際映画賞で審査員特別賞を受賞した社会派コメディの意欲作である。
登場する3人の男女は親友同士だが、とにかくだらしないかクレイジー。彼女らはそれぞれに問題を抱えているが、いかんせん低所得者の住宅地に住む貧乏人たち。彼らはネット上での失敗や仕事でのストレスを抱えている。その上でそれぞれの問題を解決しようとハッカーを頼るが、結果的に誰も得をしていない。皮肉な結果だが、くだらなくもそこがまた面白かった。(MIHOシネマ編集部)
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