映画『時の面影』の概要:第二次世界大戦直前のイギリス。謎の塚の発掘依頼により、プリティ邸を訪れたアマチュア考古学者のブラウン。彼は依頼を受けて塚の発掘を始め、アングロサクソン時代の遺跡を発見するが…。
映画『時の面影』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:サイモン・ストーン
キャスト:キャリー・マリガン、レイフ・ファインズ、リリー・ジェームズ、ジョニー・フリン etc
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映画『時の面影』の登場人物(キャスト)
- エディス・プリティ(キャリー・マリガン)
- 大佐であった夫を亡くし、幼い一人息子を育てている。幼少期に発掘作業を体験したことから、塚のある土地を購入し発掘したいと考えている。心臓の障害で生い先が短い。
- バジル・ブラウン(レイフ・ファインズ)
- アマチュア考古学者。博物館に勤務しており、各地の発掘に赴いている。エディスの依頼にてサットン・フーの発掘を行う。発掘のプロだが、大英博物館からは認められていない。
- ペギー(リリー・ジェームズ)
- 考古学者の妻で自身も考古学者。夫との間に溝を感じ埋められないと思っている。ローリーに惹かれており、徴兵にて出兵するローリーと一夜を共にする。
- ローリー(ジョニー・フリン)
- エディスの従兄弟。発掘は素人だが、好青年でよく気がつく。人手が足りないと知らせにて手伝いに来る。
- リチャード・フィリップス(ケン・ストット)
- 大英博物館の考古学者。体格が良くいつも大柄な態度を取っている。
映画『時の面影』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『時の面影』のあらすじ【起】
1939年、イギリスサフォーク州。アマチュア考古学者のバジル・ブラウンは発掘の依頼でエディス・プリティの邸宅を訪れた。彼女は墳丘塚の発掘がしたくてサットン・フーと呼ばれる土地を購入したが、肝心の発掘ができていないと言う。エディスが育った実家は遺跡の上に建てられており、彼女は幼少期から発掘する父を手伝ってきた。故に、自分も発掘がしたいと考えてのことらしい。
エディスは地元のイプスウィッチ博物館の給料と同額の給料を出すと言ったが、バジルは納得せず早々に帰ってしまった。そこで、給金の上乗せをすることで、どうにかバジルを引き止めることに成功するのだった。
発掘にはバジル以外にも2人の助手が雇われる。バジルはいくつかある塚を見定め、小さい塚から発掘を開始。大きな塚は大抵が真っ先に盗掘され、掘っても何も出ないと思われるからだ。すると、塚から盆と思われる物が出土する。そこへ、イプスウィッチ博物館の新館長が進捗状況の確認に現れる。新館長は戦争が始まる可能性を危惧し、バジルにローマ遺跡の発掘の方に加わってもらいたいと言う。エディスは本人の意思に委ねることにした。
そんな中、バジルは出土した板について調べ、バイキングよりもっと前のアングロサクソンの物ではないかと言い出す。そして、彼はローマ遺跡の発掘よりも塚の発掘を優先させると答えた。
発掘は支えが完成するまで一時中断となったが、もしこの塚が墓であった場合、遺骸が出る可能性もある。バジルは発見された遺骸は丁重に扱われると言う。彼は言いながら塚の中へ入ったが、次の瞬間塚が崩れバジルが生き埋めとなってしまう。
エディスは使用人たちを呼び、懸命に土を手で掘り意識を失ったバジルを救出。息をしていなかったため、蘇生処置を行いどうにか助かった。エディスは彼に休むよう言ったが、バジルは自分の祖父は農夫だったとの言葉から、サットン・フーもまた畑として耕され大きな塚も変形したのではないかと気付く。彼はすぐさま塚へと戻り大きな塚は見えている部分が中心ではなく、盗掘されたとしても大部分が残っている可能性を示唆した。
翌日から大きな塚の発掘が開始され、塚から木の欠片と思われる物が出土する。そこから更に掘り進めると船が現れた。船ごと埋葬するということは、墓の主は恐らく位の高い貴人だったと思われる。バジルはエディスにもこのことを報告し、大発見だと大喜びするのだった。
映画『時の面影』のあらすじ【承】
このことは博物館にも知らされ発掘を博物館が引き継ぎたいと言い出す。その日は雨が降っていて発掘現場にシートをかけていたバジル。エディスは彼に博物館からの申し出は断ったと告げる。人手が足りなければ親戚の若者を連れて来ると約束した。
雨宿りの最中、様々なことを話し信頼関係を築いていくエディスとバジル。ディナーを共にする約束をしたが、バジルの妻が訪ねて来たことで約束が反故となる。バジルと妻の間に子供はいないようだが、夫婦関係は良好らしい。エディスは少しだけ肩を落とした。
ところが、深夜になって雨が強まってきたため、バジルは慌てて塚の様子を見に向かう。すると、そこにエディスの従兄弟で発掘の手伝いに来たと言うローリーも駆け付ける。快活な好青年だったが、発掘は素人だと言う。
翌日、エディスはロンドンへ。彼女はこのところ頻発する胸の痛みを検査するため、病院に向かった。検査の結果、幼少期の高熱により心臓の弁膜に傷がつきそのまま大人になってしまったため、今となっては修復できない状態だと言われる。治療法もまだ確立していないことから、次に発作が起こると命に関わると告げられるのだった。
帰宅すると博物館の館長たちが許可も得ず塚へ向かったと執事から報告される。公に博物館が船を発掘したという功績を得るためと、国レベルの発見であったことから今後は大英博物館が発掘を引き継ぐことになったのだ。大英博物館の考古学者、リチャード・フィリップスが指揮を執ることになったらしい。その話にバジルは抵抗したが、エディスが確認したところ、建設省から正式に通達された事柄らしい。国として発掘が進むことになるため、個人は手を引かなければならない。命の危機と発掘を国に奪われるというダブルショックにエディスは体調を崩し、寝込んでしまうのだった。
船からは埋葬室が見つかっていたが、フィリップスのやり方が気に入らない。バジルは腹を立てて発掘から手を引き家に帰ってしまう。
ローリーもまたフィリップスのやり方には憤っていたが、今後は発掘の進行状況を撮影することにした様子。エディスは彼からバジルが発掘を辞めて帰ったという話を聞く。
映画『時の面影』のあらすじ【転】
帰宅したバジルは、妻へと不満を打ち明けた。すると、彼の一番の理解者である妻は功績を得るために発掘をしているのかと問う。過去の遺物を見つけ出すことは、未来と祖先を繋げることではないかと。故に、発見者として名前が載らなくても続ける意義はある。妻の言葉に目が覚めたバジル。そこへ、エディスの息子が自転車でやって来る。バジル夫妻は少年を家へ招き迎えを呼んだ。
すぐさまローリーとエディスがバジルの自宅へやって来る。バジルは発掘に戻ることをエディスに告げた。
翌日、再び塚へ。発掘の手伝いとして顔見知りの発掘のプロが駆け付けてくれた。その内の一人の妻ペギーも考古学者だが、まだ発掘には関わったことがないと言う。彼女はフィリップスに挨拶をしたが、発掘作業人は大抵が男性でペギーは紅一点。当時はまだ女性が活躍できる場は少なく、男性からの心無い言葉を浴び去られることもあった。
着々と発掘が進む中、ペギーが発掘中に足を取られる。そこから新たな発掘物が見つかった。エディスは発掘の様子をいつも見守る中、ペギーが初めて遺物を発掘。船の中からは次々とアングロサクソン時代の金貨などが出土。考古学者たちは興奮冷めやらず、土を掘り続ける。
出土した物は大英博物館の研究室へと送られる予定だったが、その後の所有は誰になるかでフィリップスとエディスが一悶着を起こす。そもそも、サットン・フーはエディスの土地だ。出土品はひとまずバジルがプリティ邸へ運び、エディスが保管することになった。
映画『時の面影』の結末・ラスト(ネタバレ)
その後、ペギーの夫が一部の出土品を研究室へ運ぶため、現場を出発。歳の離れた夫との夫婦関係に溝を感じているペギーは、密かにローリーへと好意を寄せ始める。
出土品と遺跡の所有者を決めるため、審問を受けることになったエディス。審問にはフィリップスも来ることになったが、その後はサットン・フーを公開するつもりだった。ところがその時、エンジンの不具合により近くの森へと戦闘機が墜落。ローリーは発掘が終わったら空軍へ入るつもりだったため、逸早く駆け付け川に墜落したパイロットの救助へ。戦闘機の訓練は老朽化した飛行機で行われていたので墜落事故はよくあった。パイロットは墜落時に溺死しており、遺体は丁重に送られた。このことでローリーとペギーは急接近。
夜遅く、帰宅したペギーは廊下で発作に苦しむエディスを発見する。そんな母を目にした息子が家を飛び出してしまう。バジルは偶然少年と出会って、母の助けになれないと泣く少年を励ますのだった。
サットン・フーでの大発見が新聞に掲載される中、イギリスの国王が戦争への許可を出したと報じられる。いよいよをもって戦争が始まってしまう。ローリーにも徴兵命令が下され、軍へ入隊することに。そこへ、ペギーの夫が戻って来る。ペギーは夫の帰還に喜んだが、ローリーの徴兵を知り愕然とした。
審問の結果は満足できるもので出土品の所有はエディスとなった。だが、彼女は自分の生い先が短いことを知っている。幼い息子を守ることもできなくなるだろう。その前に遺跡を発見した者がバジルだと明言しておく必要がある。エディスは遺跡発見パーティーを自宅で開き、発見者はバジルだとスピーチ。そして、バジルに出土品は大英博物館に全て寄付し、バジルが発見者だと世に顕すよう要求したと話した。
戦争に備え、遺跡は土の重みで潰れないよう工夫が行われ再び土の中に埋められることに。この作業はバジルとプリティ家の人々で行う。その頃、ペギーは密かにローリーと会って互いへの愛を確かめる。そして、エディスは許す限り息子との時間を大切に過ごした。
ドイツとの開戦が報じられる。プリティ家は郊外へ避難し、遺跡は土の中へ。大戦中、サットン・フーの出土品はロンドンの地下鉄駅に隠された。これらが一般に公開されたのは、エディスが亡くなってから9年後のことだったが、バジルの名前は明記されなかった。彼の功績が認められたのは近年のこと。現在はエディスの名と共に大英博物館の展示資料に掲載されている。
映画『時の面影』の感想・評価・レビュー
イギリスで有名な遺跡サットン・フーを発見し、発掘したバジル・ブラウンと発掘を依頼したエディス・プリティの奮闘を描いている。
バジル・ブラウンは当時、アマチュア考古学者で発掘者としては正式に認められていなかった。故に、彼の名前は記載されなかったらしい。第二次世界大戦勃発直前の時代で、世間は戦争が始まる不安を抱えている。街に出るとその様子が描かれているが、発掘現場は広大な草原に中にあるため、その不安は感じられない。国の発掘事業となったのは悪いことではなかったかもしれないが、発掘者であり発見者として名が残らないというのも辛い。作中でバジルの妻が夫を諭すシーンがとても印象的で、その言葉が胸に刺さった。とても素晴らしい作品。(MIHOシネマ編集部)
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