映画『Diner ダイナー』の概要:作家、平山夢明の同名作品を実写映画化。殺し屋専門のダイナーに騙されて連れて来られたヒロインが常に命の危険に晒されつつ、店主ボンベロが作り上げる料理に魅了されていく。蜷川実花監督の元に業界のトップクリエイターが集結し、これまでにない世界観を魅せる。
映画『Diner ダイナー』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:蜷川実花
キャスト:藤原竜也、玉城ティナ、窪田正孝、本郷奏多 etc
映画『Diner ダイナー』の登場人物(キャスト)
- ボンベロ(藤原竜也)
- 元殺し屋で一流の料理の腕を持つ人物。料理に対し妥協を許さず、常に真剣勝負。相棒のブルドックをとても可愛がっている。カナコを雇うことにしたが、いつも扱いづらい女だと臆面もなく言っている。亡くなった組織のボスに恩義を感じており義理堅い面もある。
- オオバカナコ(玉城ティナ)
- 幼い頃、母に置いて行かれたことで、自分の居場所を見失ってしまう。自分の価値が見出せずにいたが、ボンベロと彼が作る料理に出会ったことで幼い頃の夢を思い出す。実はとても気が強く肝が据わっている。
- スキン(窪田正孝)
- 全身傷だらけの殺し屋。一見、まともに見えるものの常に感傷的。亡くなった母親の写真をいつも持ち歩き、カナコを優しく励ましたりする。完璧なスフレを食べきることで、トラウマが発動し発狂する。
- マテバ(小栗旬)
- 組織内の東のトップで、東のマテバと呼ばれている。スキンのボスで金髪に華奢な丸眼鏡をかけている。美しい昆虫を愛し、時には食べてしまうこともある。非常に知的。
- マリア(土屋アンナ)
- 組織内の西のトップで、西のマリアと呼ばれている。妖艶な美女で自らの美貌で男を虜にしてきた百戦錬磨。激情家で常に皆殺しを希望している。
- 無礼図(真矢みき)
- 組織内の北のトップで、北の無礼図と呼ばれている。男装の麗人。美しいものに目がなく、美しいことは正しいと豪語している。まともそうに見えて執念深い。
- コフィ(奥田瑛二)
- 組織のナンバー2で、南のトップ。南のコフィと呼ばれている。組織のボス亡き後、実質的に組織を仕切ってきた人物。筋が一つもないつるつるのミカンを愛している。
映画『Diner ダイナー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『Diner ダイナー』のあらすじ【起】
幼い頃、家を出て行った母に置いて行かれたオオバカナコ。以来、彼女は自分の居場所を見出すことができず、透明人間のように過ごしていた。ただ、オオバカナコは料理を作ることだけは得意で、それだけに救いを得ている。
そんなある日、彼女はメキシコの死者の祭りに魅入られ旅行費を稼ぐべく、怪しすぎて普段は手を出さない高額のアルバイトへ申し込むことに。ところが、バイトの面接で会ったカップルはいかにも怪しい風貌で、なぜか2人に巻き込まれ豚の仮面を被った組織の男に捕まってしまう。カナコは生きるために自らの価値を男に述べなければならず、咄嗟に料理が得意だと話した。すると、何の気まぐれか男は彼女の度胸を気に入り、ある場所へ売り渡すのだった。
その店の名前はダイナー。ダイナーを仕切るシェフ、ボンベロは店の王で砂糖の一粒でさえも自分に従うことを徹底する。彼は自分に従うか、死ぬかの二択をカナコに迫った。更にボンベロはどんな客でもダイナーでは平等に扱い、上等なもてなしをするが、絶対に親しくなるなと言う。なぜなら、ボンベロの店は殺し屋専門のダイナーだからだった。
カナコはまず、徹底して店の掃除を言いつけられる。逃走しようとしてボンベロの宝、ディーヴァウォッカを見つけてしまった彼女は、ひとまずはそれを隠しボンベロから殺される危険を回避するのだった。
そうしていよいよ開店。店の入り口には3つの扉があり、ボンベロが招いた客しか入れない。1人目は全身傷だらけの若い男、スキンだった。カナコの仕事は部屋へ向かった客の荷物を預かり料理を運ぶことだ。
映画『Diner ダイナー』のあらすじ【承】
料理に関して徹底し、確かな腕を持つボンベロは元々殺し屋だったらしいが、一流の料理の腕を持っており組織のボスが彼を見出し、ダイナーを与えたようだ。
ボンベロはカナコに眠り薬を飲ませ、強制的に休ませる。彼女はダイナーのものであると同時にボンベロのものでもあるからだ。
そんな彼の元に組織のナンバー2で、南のトップであるコフィから連絡が入る。組織のボスが亡くなってからじきに1年が経つ。その1周忌を機に組織の各地のトップが一堂に会する。東のマテバ、西のマリア、北の無礼図、そして南のコフィである。会場はダイナーであったが、コフィは次期ボスを決定するにあたり、ボンベロが持つディーヴァでもてなして欲しいと言うのだった。
そこで、ボンベロはディーヴァの在り処をカナコから聞き出そうと必死になる。だが、彼女はスキンが高額でカナコを買い取り自由にすると言っても、ウォッカの在り処を話そうとはしない。懇親会まであと6日。ボンベロは彼女に生き延びられるか、やってみろと言うのだった。
ディーヴァをボンベロに渡してしまえば、カナコは即座に殺されるだろう。そんな時、ボンベロの相棒だというブルドックが退院して来る。犬は容赦なく人殺しもするよう躾けられているため、次からはカナコの見張り役を担うことに。ボンベロは仕入れに行くため、誰が来ても中に入れるなと言って出かけて行った。
そんな時、カナコを一目で気に入った殺し屋が仕事でミスをしたストレスを発散させるべく、巧みにダイナーへ入り彼女を殺そうと襲い掛かって来る。犬のお陰で殺されることはなく、ボンベロも駆け付け追い返すことができた。どうにか生き延びた彼女にボンベロは初めてハンバーガーを作ってやる。
映画『Diner ダイナー』のあらすじ【転】
その後、血塗れのスキンが助けを求めて店へとやって来る。彼のボスは東のマテバだったが、スキンは命令によって組織のボスの死の真相を探っていたらしい。勘ぐりを入れたマテバは口封じのため、消されてしまいスキンもまた襲われたのだった。彼はカナコに飴の缶を渡し、もしもの時はボンベロを守れと言う。カナコはボンベロの言いつけでスキンの好物であるスフレを作った。すると、スキンはスフレを食べきり突如、錯乱状態に陥る。カナコはスキンを止めようとしたが、ボンベロが彼を銃殺。
スキンは完璧なスフレを食べることで狂気に陥る。それがトリガーとなっていた。そのせいで、彼を殺さなければならなくなったボンベロは、カナコへと銃口を向け店から追い出そうとする。だが、カナコは出口へ向かわずボンベロの元へ。そして、最後まで責任を持てと詰め寄った。しかし、彼は引き金を行くことなく、スキンの死を悼むのだった。
以後、覚悟を決めたカナコは、ボンベロを見て技を盗み料理の腕を磨く。ボンベロもまた、これまでが嘘のように黙したまま、料理を作り続けた。
そうして、とうとうカナコはディーヴァの在り処を教える。彼女はディーヴァをすぐに金庫へと戻していた。すると、ボンベロは組織の事情を語って聞かせる。
1年前、組織のボスが事故死した。掟により跡目相続は1周忌が終わってからとなるため、懇親会を境に血生臭い跡目争いが始まるだろう。
そうして、いよいよ懇親会当日。コフィ、マリア、無礼図が堂々と来店。マテバは何者かに殺害され犯人は分からないと言う。非常に緊迫した懇親会であったが、マテバがスキンに何かを探らせていたという話になり、ボンベロが責められる。そこで、カナコはスキンから受け取った飴の缶を差し出した。
缶の中には亡くなったボスの指輪と、コフィと名前が書かれたメモが入っている。コフィはわざとらしい言い訳を口にしたが、明らかに嘘である。すると、彼は全てがビジネスだと言い放った。コフィを断罪しようとしたマリアだったが、無礼図が彼女を拘束し殺害。無礼図はボスの指輪を装着し、カナコにディーヴァを持って来るよう頼んだ。
映画『Diner ダイナー』の結末・ラスト(ネタバレ)
無礼図は次にコフィを銃殺。たった1人残ったトップは無礼図だけ。彼女は自分の元でダイナーを存続させるよう命令したが、カナコは内情を知り過ぎたとして消されることになった。彼女は連れ去られる際、ダイナーで働けて良かったと笑う。そこで、ボンベロは無礼図の手下へと反旗を翻し、カナコを救出。店の扉を全て封鎖し、ありったけの酒と武器を店内に仕込んだ。それから即興でカナコに料理を教える。彼女は彼から料理に対する姿勢と心意気を学んだ。
一方、無礼図は扉を破壊。ボンベロは煙幕を使いカナコを奥の部屋へ閉じ込めた。抵抗していた犬も撃たれてしまい、ボンベロはたった1人で無礼図一派と対峙。激しい銃撃戦を展開させる。配下を倒した後、ボンベロは2本の包丁を武器に無礼図と戦った。双方共に互角ではあったが、ボンベロはすでに満身創痍である。彼はガス管をナイフで切断すると、店へと火を放った。
爆発の後、すぐさまスプリンクラーが作動。店内を見渡したボンベロは、ようやくカナコの部屋を開ける。彼女はボロボロになった彼を抱え、裏道を逃走。追手をどうにか倒したボンベロは、カナコに自らの口座の鍵を渡し、隠し通路を示して自由に生きろと告げた。カナコはいつか自分の店に来て欲しいと話し、口づけをして別れる。
その後、ボンベロは無礼図と再び相まみえ、スキンが持っていた自爆装置を作動させるのであった。
しばらく後、念願のブラジルにて料理店を開いたカナコ。彼女の店ダイナーでは、常に予約で座れないテーブルがあった。そこへ、見覚えのある犬と黒衣を纏ったボンベロが現れる。彼女は泣きそうな顔で笑い、彼の訪れを喜ぶのであった。
映画『Diner ダイナー』の感想・評価・レビュー
写真家でもある監督、蜷川実花の元に業界のトップクリエイターと演技派俳優が集結。独自の世界観と非常に個性的な殺し屋たちの姿が描かれている。登場が少ない殺し屋でもかなり作り込んだ衣装と演技が光る。
とにかく、どのシーンを切り取っても芸術的。加えて登場する殺し屋たちもかなり個性的で、ワンシーンしか出ないにもかかわらず、主張が激しく記憶に残る。ダイナーの創り込んだ世界はまさに異世界だ。ストーリーは組織の跡目抗争ではあるが、個性的な殺し屋たちが戦う姿もまた面白く、魅力に溢れている。(MIHOシネマ編集部)
蜷川実花監督による、色鮮やかな世界観が目を引く作品だった。独特な世界観と個性の光るキャストを揃えているが、ストーリーに重きをおいているようには感じられなかった。
服装のビジュアルや、世界観の創作は文句なし。美しく、それでいて殺し屋たちが集うのにふさわしい闇もあった。
個人的にはスキンの狂演が印象的。最後はきれいにハッピーエンドになって、後味も悪くない。アクションシーンも多く、飽きずに楽しめる映画だった。(女性 20代)
玉城ティナのメイド服目当てで観に行ったら、予想外に満足度の高い作品だった。
まずは何と言ってもキャストが豪華。一度にこんなにたくさんの豪華俳優陣が見られる映画はそうそうないだろう。“次は誰が出てくるんだろう!”とワクワクしてしまった。
蜷川実花監督による色彩豊かな世界観も素晴らしく、出てくる料理は本当に美味しそうで、映画を観た後は無性にハンバーガーが食べたくなってしまった。
物語も最後まで展開が読めず、純粋に楽しむことが出来た。
もちろん玉城ティナのメイド姿は最高に可愛かった。(女性 30代)
写真家である蜷川実花が監督を務めた作品だけあり、華やかでお洒落な世界観に圧倒される。殺し屋を題材としている為、ハラハラドキドキな展開はもちろん少々グロいシーンもあるものの、どこか美しい。
そして何よりこの作品の素晴らしさは、俳優陣の豪華さだ。普段主演を張る小栗旬でさえも驚くほどのチョイ役で使われている。一方、この作品で主演を務める藤原竜也といえば少し変な役が多いイメージがあるが、この作品は本当に男らしく格好いい。
素敵な世界観、キャストの素晴らしさに魅了されてしまう作品である。(女性 20代)
色鮮やかで光と影を上手く使った花映し出した写真を見て「蜷川実花っぽい」って思うことありませんか?今作は彼女が監督を務めているということで、その蜷川実花っぽさが全面に押し出された芸術的でアートな雰囲気の作品でした。
藤原竜也はどんな役を演じても彼らしさが滲み出てしまうので、今作でも彼の持つ情熱や信念のようなものを感じられた気がします。個性豊かなキャラクターが登場するのですが、そのビジュアルが蜷川実花の作る世界観にぴったりでまさにアートでした。玉城ティナもすごく可愛くて目で見て楽しい作品です。(女性 30代)
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