映画『エリート・スクワッド』の概要:麻薬犯罪と警官の汚職がはびこるブラジルのスラム街で非情なまでに正義を貫く特殊部隊ボッピの活躍を描くアクションドラマ。後継者を探す部隊長と特殊部隊を目指す2人の新米警官の姿を追う物語。
映画『エリート・スクワッド』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ、フィルムノワール
監督:ジョゼ・パヂーリャ
キャスト:ワグネル・モウラ、アンドレ・ハミロ、カイオ・ジュンケイラ、マリア・ヒベイロ etc
映画『エリート・スクワッド』の登場人物(キャスト)
- ナシメント(バグネル・モーラ)
- ブラジルの特殊部隊ボッピの大尉。これまで冷酷非情に職務を遂行してきたが、妻の出産が近く父親になることへの不安を抱えおり、それが仕事にも影響してくる。
- マチアス(アンドレ・ハミロ)
- 新米警官。頭脳明晰で知能で勝負するタイプで、弁護士を志して大学で勉強している。学内で麻薬がはびこっているのを目にしながら何もしないなど、甘さが残る。
- ネト(カイオ・ジュンケラ)
- 新米警官。情熱に燃えるタイプで、考えるより先に行動してしまうのが欠点。警察の腐敗に失望してボッピを志す。血の気が多く、ナシメントの後継候補となる。
- マリア(フェルナンダ・マシャード)
- アンドレの大学の同級生で、アンドレと関係を持つようになる。スラムで子供達を支援する活動を行っている。
映画『エリート・スクワッド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エリート・スクワッド』のあらすじ【起】
1997年のリオデジャネイロで、特殊部隊ボッピのナシメント大尉は、スラム街に巣食う麻薬組織と汚職警官に嫌気が刺していた。妊娠している妻とも満足に一緒の時間を過ごせず、文句を言われていた。そうした中、リオを訪れるローマ法王がスラム街の近くに泊まることになり、特殊部隊は街の浄化作戦を開始しなければならなくなる。
新米のマチアスとネトが警察に入ってくる。正義感に燃える2人だったが、ネトは車両の整備工場に配属となり、マチアスは報告書をまとめる仕事を任されてしまう。マチアスは警察で働く傍ら、大学で法律を学んでもいた。学友のマリアがスラム街でNGO活動をしていたため、マチアスはスラムにあるNGO事務所を訪ねて皆と勉強する。
ナシメントは部隊を率いてスラムに侵入して麻薬組織を摘発していく。しかし、ナシメントが組織の見張り役をしていた少年から情報を得たために、少年が行方不明になってしまう。少年の母親に責められたナシメントは母親に同情してしまう。非情であるべきボッピとしてあるまじき感情だ。ナシメントはストレスによるパニック症状を度々起こすようになり、早く自らの後継者を探そうと決意する。
映画『エリート・スクワッド』のあらすじ【承】
マチアスの大学にはスラム街から流れてきた麻薬が売買されていた。しかしマチネスは見て見ぬ振りを通す。授業で警察の権力の乱用について議論となり、マチアスは警察を擁護する発言をして学友から非難を浴びてしまう。皆から嫌われるが、マリアとは親密な関係になっていく。ネトは車の部品を警官が盗んでいる実態を知り、怒りを募らす。さらに賄賂を要求する警官を見たため内部告発しようとするが、取り合ってもらえず警察組織への反発を強めていく。
仲間の大尉の話で司令官が大量の賄賂を受け取っていることを知ったネトとマチアスは、司令官を出し抜いて賄賂を横取りして車両の整備費用に充てる。しかし大尉に疑いがかかり、大尉はスラム街に連れて行かれて殺されそうになる。ネトとマチアスは大尉を助けようとスラム街に侵入する。スラムではダンスパーティーが行われており、混乱の中でネトがライフルを発砲してしまう。たちまち銃撃戦となり、ボッピに援護要請が下る。
現場に駆けつけたナシメント率いる部隊は瞬く間に事態を鎮圧させ、皆を救出する。ネトとマチアスはボッピに入ることを希望する。ナシメントの元に妻から破水が始まったと連絡があり、病院で赤ちゃんと対面して喜ぶ。父親となったナシメントのために、後継者選びをすることが決まる。
映画『エリート・スクワッド』のあらすじ【転】
スラム街での銃撃戦が新聞記事になったことで、マリアが活動するスラム街を牛耳る麻薬ディーラーにマチアスが単なる学生ではなく、警官であることがばれてしまう。そうした事情を知らぬままマチアスとネトはボッピに入るための厳しい訓練を開始する。
ボッピの訓練は100人中5人しか残れないとされる過酷さだ。志願者はタフな精神を徹底的に叩き込まれる。居眠りをしたら手榴弾を握らされ、食事は地面に投げ捨てたものを食べなければならない。次々と脱落者が出てしまう。第1段階の訓練が終わり、残ったのは数人だけだった。
ネトとマチアスも第1段階の訓練を通過する。久しぶりに大学に戻ったマチアスは、マリアから警官の身分を隠していたことを責められる。ナシメントは若い頃の自分を彷彿とさせるネトを後継者候補と見なしていたが、ネトは最後のスラムでの実践訓練でミスをしてしまう。しかし、妻から説得されたナシメントは2のチャンスをネトに与える。訓練を終えたネトとマチアスはボッピとして法王を迎えるための作戦に加わり、ネトが隊を率いることになる。
映画『エリート・スクワッド』の結末・ラスト(ネタバレ)
マチアスはスラムで知り合った子供に眼鏡をあげようと待ち合わせをするが、弁護士事務所との面接と重なってしまう。ネトが代わりに子供との待ち合わせ場所に向かう。しかし、その情報が麻薬ディーラーに筒抜けになっていた。待ち伏せに遭ったネトは銃撃されてしまう。ネトがボッピの隊員と気付いた麻薬ディーラーは恐れおののき、直ぐにその場を逃げる。
ネトは結局助からず、葬儀が行われる。ボッピは報復を開始し、スラム街で関係者を徹底的に締め上げていく。自分の甘さを捨てたマチアスも自ら拷問に加わり、麻薬ディーラーの居場所を懸命に突き止めようとする。同時に大学内にはびこっていた麻薬の密売を黙って見ていることも堪えられなくなり、取り締まる。
遂に麻薬ディーラーを見つけ出し、ボッピが隠れ家に突撃する。逃げようとしたディーラーを身動きできない状態に仕留めると、ナシメントはマチアスに銃を渡してその場を去る。マチアスが任務を完遂できれば彼こそが後継者だ。麻薬ディーラーは顔だけはやめてくれと懇願するが、マチアスは顔に銃口を向けたまま引き金を引く。
映画『エリート・スクワッド』の感想・評価・レビュー
ブラジルのスラム街を舞台とした映画でまず思い浮かぶのが、フェルナンド・メイレレス監督の傑作『シティ・オブ・ゴッド』だ。今作は同じ脚本家が関わっており、前者がスラム街を内側から描いていたのに対し、今回は取り締まる側の特殊部隊の目を通して外側から描いているのが興味深い。新米警官だったマチアスが非情さを身に着けるまでに成長する姿はかっこいいが、欲を言えば特殊部隊が活躍するアクションシーンをもっと見たかった。(MIHOシネマ編集部)
ブラジル、リオ・デ・ジャネイロの警察内に実在する特殊部隊「BOPE」をテーマにした今作。
彼らは「最後の砦」と言った感じです。ギャングが蔓延り、腐敗しきって機能していない警察、そしてその環境に慣れてしまった市民たちを「正しく導く」ことが彼らの任務でした。
「BOPE」の訓練はどう考えても一般的では無く、かなりクレイジー。居眠り防止にピンを抜いた手榴弾を持たせると言うのは正直、狂っているなと感じました。(女性 30代)
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