映画『悦楽の貴婦人』の概要:ずっと夫に放置され、寂しい思いをしてきた妻は、夫が行方不明になったのをきっかけに、外の世界へ飛び出していく。そして夫は、隠れ家の窓から別人のようになっていく妻を見ていた。ラウラ・アントネッリとマルチェロ・マストロヤンニが、すれ違う夫婦を演じた官能的な作品。
映画『悦楽の貴婦人』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:マリオ・ヴィカリオ
キャスト:ラウラ・アントネッリ、マルチェロ・マストロヤンニ、レオナード・マン、ビル・ベルガー etc
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映画『悦楽の貴婦人』の登場人物(キャスト)
- アントニア(ラウラ・アントネッリ)
- ルイージの妻。大金持ちの地主の令嬢で、世間知らず。そのため、活発なルイージとすれ違いの生活が続き、屋敷内に閉じこもっている。ルイージが失踪してから、行動的になる。
- ルイージ(マルチェロ・マストロヤンニ)
- アントニアの夫。表向きはワイン商をしており、各地を飛び回っている。心の中ではアントニアを大切に思っているが、あちこちに愛人がいる。ある事件に巻き込まれて身を隠す。
- クララ(アニー・ベル)
- ルイージの愛人だが、その関係を隠してアントニアの屋敷に出入りしている。婚約者は、教会組織の支部長をしている真面目な男。
- ダリオ(レオナード・マン)
- アントニアの父親が地主だった村の若い医者。アントニアと知り合い、男女の関係になる。
- ビンチェ(がストーネ・モスチン)
- アントニアの屋敷の向かいで小間物屋を営んでいる男。逃亡中のルイージをかくまう。
映画『悦楽の貴婦人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『悦楽の貴婦人』のあらすじ【起】
ワイン商をしているルイージの妻のアントニアは、ずっとベッドから出ていない。彼女は歩けないのだと言い張っていたが、医者は足に異常はないと診断する。アントニアの病気は、忙しい夫の気を引くための仮病だった。
ずっと寂しい思いをしてきたアントニアは、心を病んでいた。ルイージはたまに帰宅しても、アントニアを避けるようにしてどこかへ行ってしまう。アントニアの話し相手として屋敷に出入りしているクララは、真面目な婚約者がいるのに、ルイージと情事を重ねていた。アントニアは、2人の関係に全く気づいていない。
ルイージは以前、無政府主義者の男の脱獄を助けたことがあり、その証拠となる書類が盗まれる。ルイージには思想家というもうひとつの顔があり、密かに印刷所を作って、海外の政治関係の本や仮名で執筆した自分の本を出版していた。その活動に関わっている男が屋敷を訪ねてきて、“このままだと俺たちは逮捕されるぞ”とルイージに警告する。
ルイージは、その書類を盗んだという顧客の家を訪ね、悲鳴を聞く。ルイージが駆けつけると、先ほど屋敷へ来た男が、顧客を殺して書類を取り返していた。男は書類をルイージに渡して逃亡し、殺された顧客の孫娘が、“犯人はルイージだ”と騒ぎ出す。ルイージは急いで現場を去り、愛用の馬車だけを屋敷に返す。
ルイージは、知り合いの弁護士に相談し、安全な隠れ家を用意してもらう。隠れ家に選ばれたのは、ルイージの屋敷の向かいにある小間物屋の2階だった。部屋の窓の隙間からは屋敷の様子を伺うことができる。ルイージは、小間物屋のビンチェにお礼を言い、アントニアには知らせないよう頼む。
映画『悦楽の貴婦人』のあらすじ【承】
警察から事情を聞いたアントニアは、ルイージが死んだものと思い込む。彼女は急に元気になり、夫の仕事を引き継ぐと言い出す。
アントニアはひとりでルイージの馬車に乗り、顧客の代金の回収に向かう。歩けないはずの妻が馬車を暴走させる様子を見て、ルイージは心底驚く。
アントニアは行先をルイージの馬に任せ、山や川を越えていく。ある町の酒場前に到着した馬は、そこから動かなくなる。アントニアが困っていると、酒場の女主人が出て来て、ルイージはいつもこの酒場で酒を飲んでいくのだと教えてくれる。
女主人はアントニアを店に招き入れ、ルイージのことを話してくれる。ルイージは女主人の夫の脱獄を助け、家族の面倒まで見ていた。家にはルイージ専用の宿泊部屋があり、そこには彼の原稿が残されていた。アントニアはそれを預かり、次の場所へ出発する。
ルイージは、事件の時に犯人ともみ合いになり、胸に傷を負っていた。ビンチェは献身的に手当てをしてくれるが、傷は良くならない。しかしルイージは医者を呼ぶのを拒む。彼は、1週間経っても帰らない妻のことを心配していた。
アントニアはひとり旅を続け、ルイージが愛用していた狩猟クラブに到着する。ルイージはここにも専用の部屋を持っており、クローゼットには女性用の服まであった。アントニアはドレスに着替え、クラブの晩餐会へ顔を出す。
アントニアは、そこでルイージと関係のあった女医と知り合いになる。女医は、ルイージのことをよく知っており、彼が内緒で印刷所を営んでいることや、仮名で本を出版していることを教えてくれる。
帰りの支払いの場で、アントニアはクララまでこのクラブに出入りしていたことを知る。アントニアは、自分だけが何も知らなかったことに気づき、悔しい思いをする。
映画『悦楽の貴婦人』のあらすじ【転】
帰宅したアントニアの様子を見て、ルイージは彼女が狩猟クラブへ行ったことを知る。アントニアはクララを呼び出し、全てを話すよう迫る。クララは女医とルイージの3人でセックスをしたことなどを赤裸々に語る。厳格な家庭で育ったアントニアには理解しがたい世界でルイージは生きていた。
アントニアは自分も変わろうと決意し、着飾って町へ出る。ずっと貞淑な妻だったアントニアは、ルイージ以外の男を知らなかった。アントニアは、ルイージへの復讐のつもりで、知り合いの将校と寝てみる。しかし全く夢中になれず、“不感症なのか”と言われてしまう。
アントニアの不貞行為は町中の噂になるが、彼女は平気だった。ルイージへの復讐に目覚めたアントニアは、印刷所にも出入りするようになり、本名でルイージの原稿を出版する。ルイージは、どんどん行動的になる妻を、ハラハラしながら見守っていた。
アントニアは、ずっと放置していた死んだ父親の土地を見にいく。そこで若い医師のダリオと知り合い、地主が無関心なせいで水道や道路が整備されず、村人が困っているという話を聞く。アントニアはダリオに協力してもらい、この村の開発計画を進める。
一緒に時間を過ごすうち、2人は惹かれ合っていく。アントニアは、ダリオと抱き合って初めて女の悦びに目覚め、快感に溺れる。その様子を見たという弁護士の話を、ルイージは“妻が官能的なわけない”と否定する。ルイージは、アントニアが不感症だと思い込み、ずっと彼女を抱いていなかった。
あの事件の容疑者が逮捕され、ルイージはいつでも家に帰れる状況になる。しかしルイージは、アントニアに拒まれることを恐れ、隠れ家を出ようとしない。同じ頃、アントニアは小間物屋の2階に夫が隠れていることに気づく。アントニアの視線から、ルイージも彼女に気づかれたことを察する。
映画『悦楽の貴婦人』の結末・ラスト(ネタバレ)
ルイージは感染症になり、高熱を出してうなされる。ビンチェは医者を呼び、適切な処置をしてもらう。ルイージは、生きるのが怖くなっていた。
アントニアはさらに活動の幅を広げ、慈善団体まで作ってしまう。屋敷には、ルイージの愛人や友人が出入りするようになり、ますますルイージの居場所はなくなる。一方で、ルイージは別人のようになった妻を深く知りたいと思うようになる。彼女の全てを理解し、行き着くところまで行き着いたら、彼は自殺するつもりでいた。
アントニアも行き着くところまで行くつもりで、女医と知り合いの男と3人でセックスをする。それでもアントニアは、まだルイージを許す気にはなれなかった。
結婚式を明日に控えたクララと婚約者は、アントニアを訪ねてくる。婚約者は、クララの純潔を信じており、自分も童貞であることを告白する。クララの不貞を知っているアントニアは、大丈夫なのかと心配になる。しかしクララは、何とかなると考えていた。
クララの結婚式が終わった夜。アントニアは屋敷にダリオを呼び、寝室で愛し合う。アントニアは、向かいの窓からルイージが見ていることに気づいていた。ルイージは、別の男に抱かれる妻の姿を見せられ、苦しげな表情を浮かべる。
情事を終えたアントニアは、銃声を聞いて屋敷を飛び出していく。アントニアは、ルイージの身を案じるが、頭を撃ち抜いて自殺したのはクララの婚約者だった。アントニアは目に涙を浮かべ、小間物屋の2階を見つめる。
アントニアは、ルイージの失踪を伝える新聞記事の上に“なぜ?”とメッセージを書き、それをルイージに渡してもらう。それを見たルイージは、ここから出る準備を始める。
夜、屋敷の戸口で待つアントニアの前に、ルイージが姿を現す。2人が室内へ入ると、寝室の明かりが消える。
映画『悦楽の貴婦人』の感想・評価・レビュー
タイトルほど官能的なストーリーではありませんが、男と女の性に対する価値観や異性の見方がものすごくリアルで良い意味で「気持ち悪い」作品でした。
外で遊び、妻には冷たい態度をとる夫とそんな夫に耐えて悩む妻。ある日夫が行方不明になったことをきっかけに妻は「外の世界」へ飛び出します。今まで知らなかった世界を知ってしまった妻を夫は隠れて見ていました。
他の男と関係を持つ妻に嫉妬する気持ちと、妻が新しい世界を知り変わっていく姿をもっと見ていたいという気持ち。随分と歪んだ性癖だったんでしょうか…。(女性 30代)
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