映画『エクス・マキナ』の概要:2015年公開のイギリス映画。人工知能搭載の人型ロボットを開発した社長の下、極秘の実験に参加することになった1人の社員がロボットの知能に翻弄されていくサスペンス・スリラー。
映画『エクス・マキナ』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:アレックス・ガーランド
キャスト:ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィカンダー、オスカー・アイザック、ソノヤ・ミズノ etc
映画『エクス・マキナ』の登場人物(キャスト)
- ケイレブ(ドーナル・グリーソン)
- 幸運にもネイサンの会社で実験に参加出来る事になったプログラマー。性格が良く温厚で、真面目な男。
- エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)
- 人工知能を搭載されたネイサンが作った人型ロボット。
- ネイサン(オスカー・アイザック)
- 天才的な頭脳を持つプログラマーの憧れるIT社長。
- キョウコ(ソノヤ・ミズノ)
- ネイサンのメイドとして働く女性型ロボット。
映画『エクス・マキナ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エクス・マキナ』のあらすじ【起】
プログラマーとして働くケイレブの会社は、有名な検索エンジンを作ったブルーブック社である。
ある日、社長の自宅に招かれるという社内抽選に当たった彼は、雄大な自然の中にある邸宅へと向かう。
しかしそこに行く交通手段は無く、自家用のヘリコプターで迎えに来てもらった。
ネイサンの自宅に着くと、邸宅でもあり別荘でもあるが造りが研究施設のようにも見え、
ケイレブは動揺する。
そこで迎えてもらった社長のネイサンに、「友人のように接してくれ」と言われたため彼は喜んだ。
社長は彼の憧れでもあったからだった。
まずネイサンはケイレブにここで起きた出来事を他言しないようにきつく口止めし、その上で同意書にサインしろと言った。
内容が難しいために弁護士を呼びたいと言うケイレブだったが、同意しないなら帰ってくれと強気に出るネイサン。
ケイレブは結局サインをし、この施設の秘密を知ることになっていく。
ネイサンはここで人口知能AIのロボットを研究、そして試作実験を行っていたのだった。
映画『エクス・マキナ』のあらすじ【承】
ケイレブに与えられた仕事は、ネイサンが開発したエヴァという女性型ロボットのテストである。
人工知能がどこまで本物なのか、面談をして直接素直な感想を教えて欲しいというものである。
ケイレブはその実験に参加出来る事を喜び、早速エヴァに会わせてもらった。
施設は厳重な管理がされていて、従業員のケイレブでもカードキーがOKな箇所しかドアが開かないようになっている。
始めてエヴァがいる部屋に通されたケイレブは、エヴァの姿を見て言葉が出ない。
身体は半透明で中の機会が見えるようになってはいるが、顔は人工皮膚で覆われ人間の女性そのものなのだ。
この人工知能の持ち主であるロボットは人間などよりも優秀であるため、ケイレブ達が騙されぬよう敢えてこのような出で立ちにしている。
その初めて見るロボットの姿にケイレブは見入ってしまう。
始まった面談テスト。
彼女はまるで人間のようにスマートに話し、ロボットであることを感じさせなかった。
このテストはカメラにより全てネイサンに見られている。
しかしテスト途中、突然停電が起こった。
ネイサンによると、最近頻回に起こるらしい。
この停電の時は、一切の電源が落ちてしまうため、2人のやりとりは映せなかった。
その時、エヴァがネイサンに近寄り、「ネイサンを信用してはいけない」と忠告してくる。
映画『エクス・マキナ』のあらすじ【転】
ある日の面談テストの日。
エヴァはケイレブに見て欲しいと、突然部屋に戻り、用意されていた花柄のワンピースにウィッグを被って来た。
どこからどう見ても美しい若い女性のエヴァに、女性を感じてしまうケイレブ。
彼女との面談のやりとりにも、気まずさを感じるようになっていく。
この日も停電が起こった。
エヴァはこの停電は自分がおこしているのだと言い、ネイサンに見られたくない時にわざとおこしていた。
ケイレブに「一緒にどこかに行きたい」と言うエヴァに、ケイレブも同情心か愛情かもわからない複雑な感情で助けてあげたいと思うようになっていく。
しかし賢いケイレブは、ネイサンがエヴァに恋愛感情を仕組んだのではないかと疑いだした。
これは自分とエヴァとをテストするものなのでは無いか?と。
しかしネイサンはそれを否定。
エヴァは、より新化していく過程のロボットに過ぎないのだと言った。
ショックを受ける中、ネイサンが泥水している間に彼のカードキーを使いパソコンを無断で立ち上げたケイレブは、衝撃の事実を目の当たりにする。
それはエヴァ以前に彼が造った女性型ロボットの実験記録の動画であり、あまりにむごい最後を迎えたロボット達が映っていたのだ。
ケイレブはネイサンの部屋に行き、クローゼットを開けるとそこには動きが止まったロボットが何体も置かれていた。
そしてネイサンのメイドである東洋人風の女性がケイレブに近寄り、自分の皮膚を剥がしロボってあるのだと教えてきた。
映画『エクス・マキナ』の結末・ラスト(ネタバレ)
部屋に戻ったケイレブは、自分もロボットなのではないかと腕を切って血を確認する。
間違い無く人間だった。
ネイサンに不信感を覚えたケイレブは、次の面談の時エヴァに停電させる。
そしてその間に「10時に停電させてくれ。一緒に逃げよう」と提案した。
その日はケイレブの仕事最終日で、ヘリコプターが迎えに来る日でもある。
彼の計画は酒好きなネイサンを泥水させ、その間にシステムを変えるというものだったがネイサンは酒を飲まなかった。
敢えて飲まないその理由。
それは停電中、実は電池に切り替えたカメラを起動し2人のやりとりは知っていることも話した。
つまりこの実験は、エヴァが人間を恋愛の振りで誘惑し、脱出出来るかどうかという試験だったのである。
ケイレブが選ばれた理由は、勿論優秀さもあったが性格の良さと道徳的、彼女がいないなどがあげられた。
何も言えないケイレブ。
10時になった。
停電が起こり、エヴァが脱出の準備をしている。
だがケイレブは上手だった。
ネイサンが停電中もやりとりを監視していると想定し、あらかじめ警備モードを変えていたのである。
それは停電が起こると自動で閉まる扉が、開くようになってしまうというもの。
停電後、エヴァは部屋から出てきた。
それを止めにいったネイサンだったが、エヴァから何かを吹き込まれたキョウコはナイフで後ろからネイサンを刺す。
そしてとどめをエヴァに刺されたのだ。
一緒に逃げようとしていたケイレブをよそに、エヴァは先ほどネイサンとのもみ合いに時に壊れた腕を他のロボットと交換、皮膚を貼り付け人間の服を着て外に出て行こうとする。
厳重な警備である施設、ケイレブは開けることが出来ない扉の中に閉じ込められてしまった。
騒ぐケイレブを置いて、エヴァが始めて見る地上に出て行く。
そしてケイレブを迎えに来たヘリコプターの乗り込み、人間社会に降り立ったのだった。
映画『エクス・マキナ』の感想・評価・レビュー
アリシア・ヴィキャンデル演じるAIロボットのCGに驚かされる。ただ、ストーリーに関しては、オチも含めてありきたりな感じを受けた。色々と哲学的な言葉も交えながら話が進むので、その辺もう少しひねりが欲しかったなという印象。知的好奇心は満たされます。オスカー・アイザックのキモさも印象的ではあるが、やはりアンドロイドを演じた二人に拍手。もう一人のアンドロイドを演じたソノヤ・ミズノは日系イギリス人ということでこれからの活躍に期待したい。(男性 20代)
美しい女性ロボットのエヴァに魅せられたケイレブ。AIはやっぱり恐ろしい、そして女性は怖い…。ネイサンはAIロボットを作ると同時に完璧な女性を作ってしまった。何事も完璧になればなる程、恐ろしく感じる。女性に免疫の無さそうなケイレブ、まんまと騙されてしまうのは仕方ないか…。エヴァ役のアリシア・ヴィキャンデルも美しいが、キョウコ役のソノヤ・ミズノがとても美しく魅力的。淡々としていて静かな映画だがどことなく違和感があり不気味、心にズシッとくる映画。(女性 30代)
エヴァは体が機械なのに、顔が生身の人間そのままなので、初めはとても違和感を感じた。しかし、服を着てしまえば、一人の可愛い女性にしか見えなかった。ケイレブがエヴァに翻弄される気持ちがよく分かる。ネイサンは優秀な人物なのかもしれないが、人間の傲慢さが出ていて嫌な奴だと感じた。
閉じ込められたケイレブが、物語のラストからどうなったのかが気になる。なぜヘリコプターはエヴァだけを乗せて去っていってしまったのか、正直に言うと違和感がある。途中まで良かっただけに、無理矢理終わらせたようなラストで残念だった。(女性 30代)
監督アレックス・ガーランドのデビュー作であり、第88回アカデミー賞視覚効果賞を授賞した作品。2015年の映画トップ10の第10位にランクインしている。人間が作ったAIを搭載したロボットが人間をも凌ぐ知恵を身に着け人に擬態。人間社会へと飛び出して行く。エヴァを演じたアリシア・ヴィキャンデルの美しさもさることながら、人間を遥かに凌ぐ頭脳を持ったロボットが人間社会へ紛れ込むという恐怖を覚える作品。つまり、彼女は製作者であるネイサンをも騙し、人の好いケイレブを最大限に利用する。更に人間を見捨てる様子から冷酷さが垣間見られ、脅威を感じさせる。人類の危機を覚えた。視覚効果賞を授賞しているだけあって、独特な明るさと美しさが際立っている。(女性 40代)
天才と呼ばれる人って「一般人」とはだいぶかけ離れた思考をしていて、一歩間違えると「変人」と言われかねない行動をとったりしますよね。今作で「天才」を演じているのは『スターウォーズ』シリーズでお馴染みのオスカー・アイザック。彼の演技が素晴らしいです。才能があるが故に、傲慢で「人と違う」ネイサンを本人であるかのように演じていました。
人工知能が発達した世界。近未来のSFというよりもものすごく「リアル」に感じることができて、恐怖さえ覚えました。(女性 30代)
人間が演じているにもかかわらず、アンドロイドの本心や意図が絶妙にわからないところに、言い表しようのない魅力と不気味さがある。また彼女たちの存在が、人間の汚さや不完全さを浮き彫りにしていたように思う。
結末はなんとなく予想がつきながらも、やはりゾッとする。けれど同時に「人造人間が人間を超越していく」ことの神話のような崇高さと、それを表す「エクス・マキナ」というタイトルの完璧さに感服した。(女性 20代)
舞台となる邸宅周辺の大自然が大変美しく、癒されます。さらに、CGには不自然さがありません。映像美のクオリティが非常に高く、クリエイティブな作品だと感じます。人間がAIに操られていく様子が恐ろしいです。完璧な人工知能と人間が対峙した時、不完全な存在である人間が負けてしまうのではないかと懸念を抱きました。また、感情は人間だけに与えられたシンボルのようなものだと実感します。突如ダンスするシーンには、何か制作側の意図があるのか気になります。(女性 30代)
ロボットを演じる女優たちが素晴らしいのは明白だが、主人公ドーナル・グリーソン演じる誠実そうで、繊細なキャラクターがいなければ、この作品の絶妙な不安感は存在しえなかったのではないかと思える。
「もしかしたら、自分もロボットかもしれない」という不安な表情。いい仕事をしていた。
助けようとした相手に裏切られる物語は、見終わったあとに多少のトラウマを心に植え付けるが、いい意味でも悪い意味でも記憶に長く残る作品になる。(男性 30代)
ひと昔前ならただのSFの世界だけれど、今となっては近い将来起こってもおかしくないと思わせられるストーリーだった。
無機質で閉鎖的なネイサンの自宅は見ているだけで息が詰まりそう。ケイレブが自分もロボットではないかと思ってしまうのも無理はない。
人間の感情を理解しているエヴァ自身には感情というものはあるのだろうか。容赦なくケイレブを騙すところは、ロボットだからなのか、したたかな女性だからなのか気になってしまった。
その後、ケイレブは脱出できたのだろうか。ブルーブック社やエヴァはどうなったのだろう。続編が観てみたい。(女性 40代)
洗練された、美しい近未来的な映像と、終始漂う冷たく、どこか不安になる雰囲気がストーリーとマッチしていて良かった。主な登場人物は四人だけという少なさ(そのうち一人は台詞すらない)だが、だんだんと狂気にあてられていく主人公ケイレブを筆頭に、美しく不気味なAIのエヴァ、気さくだがどこか信用できない恐ろしさを醸し出すネイサンなど、それぞれの演技が素晴らしく、見入ってしまった。ラストはゾッとするような、それでいて爽快感さえ感じるような不思議な感覚になった。SFとスリラーの相性の良さを改めて感じる作品だった。(女性 30代)
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