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映画『フェンス』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『フェンス』の概要:家族の確執と時代による人種差別や、浮気問題について、それぞれが胸に秘める垣根を描いたヒューマンドラマ。妻役のヴィオラ・デイヴィスの表情や演技が素晴らしく、第89回アカデミー賞助演女優賞を受賞している。

映画『フェンス』の作品情報

フェンス

製作年:2016年
上映時間:139分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:デンゼル・ワシントン
キャスト:デンゼル・ワシントン、ヴィオラ・デイヴィス、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ジョヴァン・アデポ etc

映画『フェンス』の登場人物(キャスト)

トロイ・マクソン(デンゼル・ワシントン)
53歳の黒人男性。若い頃、野球選手だったが、人種差別により活躍できなかった過去を持つ。昔気質で父親としての威厳を保とうとしており、コーリーに対して厳しく当たっている。
ローズ・リー・マクソン(ヴィオラ・デイヴィス)
トロイの2番目の妻。気が強く気丈な黒人女性だが、慈悲深く愛情深い。トロイと結婚後は、夫に全てを捧げ一心に尽くす。
ジム・ボノ(スティーヴン・ヘンダーソン)
トロイの親友で白人。恰幅が良い。優しくひょうきんな性格で妻一筋。
コーリー・マクソン(ジョヴァン・アデポ)
ローズとトロイの息子で高校生。フットボールの選手で、大学のチームにスカウトされている。父親と衝突し、家を出た後は海兵隊へ志願。6年後は伍長へと昇進する。
ライオンズ・マクソン(ミケルティ・ウィリアムソン)
トロイと前妻の息子。定職に就くのが苦手でヒモのような生活を送っているが、ミュージシャンを目指している。軽そうに見えて実は誠実で、心優しい。
レイネル・マクソン(サナイア・シドニー)
トロイが浮気をしてできた娘。産みの母親は出産のショックで死亡。ローズに託され、快活に可愛らしく育つ。6歳。

映画『フェンス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『フェンス』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『フェンス』のあらすじ【起】

1950年代、ピッツバーグ。トロイ・マクソンは清掃局でごみ収集の仕事をし、日々の糧を稼いで家族を養っている。彼の不満は人種差別による仕事の制限で、同じ職場で精を出す親友ジム・ボノと毎日、愚痴を言い合っていた。

トロイは妻のローズと息子コーリーとの3人暮らしだがある日、自宅にもう1人の息子であるライオンズがやって来る。ライオンズは前妻との子でミュージシャンを目指しているが、現在はヒモのような生活を送っており、トロイとは長い間、疎遠だった。だが、息子がやって来る時は大抵、金が足りない時である。それでも渋るトロイを説き伏せ、血の繋がらないライオンズを労わり、妻のローズは義理の息子に金を差し出すのだった。

トロイには弟が1人いる。だが、弟は戦争へ出兵し頭部を負傷したため、後遺症により知能が退行してしまい、近所でも変人扱いされていた。弟は現在、自ら望んで別の家に住んでいるが、兄の家へ日課として訪ねて来るのだった。

そんな折、ローズが家を囲むフェンスを立てて欲しいと言う。トロイは週末を利用してフェンスを作ることを約束するも、決まって土曜日はバーへ出かけてしまうのだった。

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映画『フェンス』のあらすじ【承】

コーリーと共にようやくフェンスを作り始めたトロイ。彼は過去に野球選手として活躍していたが、年齢と人種差別により試合に出場させてもらえなかった苦い過去を持つ。
息子が大学のチームからフットボール選手として、スカウトされていることを聞かされたトロイは、人種差別があるためにコーリーはチームに入っても無駄だろうと思っていた。

コーリーはアルバイト先でも仕事に関して相談をし、優遇してもらったと言うが、トロイは練習している暇があるなら、手に職を持ち仕事をしろと強く言いつける。有無を言わせぬ父親の態度に息子は愛情を疑い自分を愛しているかと聞くも、トロイは一家の長として、家族を養っていく責任を全うするだけだと断言するのであった。

息子に対して愛のない言葉を投げつけた夫に、業を煮やしたローズが反論。トロイは好きなだけ野球をやって来たのだから、息子にもそうさせて欲しいと話す。しかし、トロイの中では凝り固まった時代錯誤の考えが脳内を占めている。時代は移り変わり、今や黒人選手でも能力がある者にはチャンスが与えられ、人も世界も変わっている。トロイにはそれが見えておらず、受け入れることができないようだった。

そんなある日、トロイは会社の本社へ呼び出される。昇進と共にピッツバーグでは、初の黒人トラック運転手となったのだ。だが、彼は文字も読めず、運転免許証も持っていない。バレる前に免許を取ればいいと楽観的である。
そこへ、ライオンズが訪問。息子は借りた金を返しに来たついでに、ライブをするから見に来て欲しいと言うも、トロイはそれすらも拒否。
更に、コーリーが父親の言いつけを守らず、フットボールの練習に行っていることに激怒。スカウトの許可証には、絶対にサインはしないと断言。そうして、息子との関係は悪化の一途を辿るのであった。父親の威厳を保ちたいトロイ。息子が自分を越えていくことが許せなかったのだ。

映画『フェンス』のあらすじ【転】

父親に断固反対されながらも、コーリーはフットボール選手への道を諦めるつもりはない様子。そんな時、トロイの弟が治安を乱すとして警察に逮捕されてしまう。保釈金を支払うとすぐさま釈放されたが、逮捕されたのはこれで6、7回目だった。

警察から帰ってフェンス作りを再開したトロイだったが、ボノからとある女性との浮気を指摘される。トロイと付き合いの長いボノは、親友がローズと出会ったきっかけも知っている。彼はトロイにローズを悲しませるなと忠告。だが、トロイはこの時、問題は簡単に解決できると高を括っていたのだった。

トロイは決心してローズに浮気を告白。浮気相手の女性はトロイの子を妊娠しており、これ以上は隠し通せないと思ったのだ。当然、ローズは愕然としてしまい、18年連れ添った夫に切々と訴える。彼女は夫であるトロイのために妻として必死に尽くしてきた。それなのに、この仕打ちはあまりに酷い。

トロイは家の心配や責任から逃れたくて、他の女の元へ走ったと言う。そして、自分の意見を押し通そうとし、ローズの話も聞こうとしない。自分1人だけが頑張ってきたような話し方をするのだ。ローズも負けじと反論するが、互いに納得がいかない。話にならないと去ろうとするローズを捕まえたトロイ。そこへ、喧嘩を聞きつけたコーリーが母親を庇った。
そのせいでトロイは激怒し、家族の心はバラバラになってしまった。

それぞれに思いを秘め、話し合うこともせずに淡々と時が過ぎる。トロイは黙々と1人でフェンスを作り続け、ローズは必死に神へと祈り続けた。

そして、半年後。とうとうローズが動き出す。だが、長年培った考え方がそう簡単に変わるはずもない。ローズは息子コーリーのスカウト許可証にサインはくれなかったのに、弟を連行し施設へ入れるサインはするのかと詰る。だが、トロイは字が読めない。釈放の書類と言われ、サインをしただけのつもりだった。それが実は、施設入所承諾の書類とは知らなかったのだろう。結局、夫婦の話し合いに折り合いはつかず、状況を悪化させただけで終わってしまった。

映画『フェンス』の結末・ラスト(ネタバレ)

ある雨の夜。病院から電話がある。それは、浮気相手の子供が無事に出産されたという知らせだった。産まれた子供は女の子。だが、浮気相手は出産時のショックで亡くなってしまう。動揺を隠せないトロイ。ここでも、亡くなった浮気相手の葬儀に関して、言い合いになる夫婦。

後日、トロイが娘を抱いて帰宅。母親を亡くし面倒を見る者もいない。トロイは傲慢にもローズに面倒を見て欲しそうである。だが、ローズは夫を冷たくあしらうのであった。
裏庭に座り、トロイが赤子をあやしている。キッチンでその声を聞いていたローズ。産まれた赤子に罪はない。父親の罪を被せる道理もない。観念したローズは、赤子を育てることに同意した。

そうして、翌月の給料日。とうとう父親と息子が衝突する。コーリーはトロイに対して、自分に何をしてくれたのかと問う。すると、トロイは命を授け育ててやったと怒鳴る。言い合いは取っ組み合いへと発展。しかし、コーリーは父親に負けてしまい、家を追い出されてしまうのだった。その後、トロイは自分のバットを構えて振った。そうして、意識を失くし昏倒するのである。

6年後、トロイが亡くなった。赤ん坊はレイネルと名付けられ、可愛らしく快活な女の子に育っている。コーリーは家を出た後、海兵隊へ志願し今や伍長であった。ライオンズは他人の小切手を使ったために労役所へ入れられ、あと9カ月で退所。今も音楽を続けていた。

だが、コーリーは6年前のあの時のまま、トロイには良い思いを抱いていなかった。しかし、ローズに諭され全てが息子のためだったと言われる。コーリーはその後、幼い妹とトロイがいつも唄っていた歌を唄う。直後、トロイの弟が特別に施設から一時帰宅。彼は兄のトロイを偲び、常に持ち歩いていたラッパを吹き鳴らす。何度か試し、最後に素晴らしい音を空へと響かせるのであった。

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