この記事では、映画『ファウンテン 永遠につづく愛』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ファウンテン 永遠につづく愛』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』の作品情報
上映時間:97分
ジャンル:ラブストーリー、SF
監督:ダーレン・アロノフスキー
キャスト:ヒュー・ジャックマン、レイチェル・ワイズ、エレン・バースティン、マーク・マーゴリス etc
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』の登場人物(キャスト)
- トマス / トミー / トム(ヒュー・ジャックマン)
- トマスは中世スペインの騎士でイザベラに想いを寄せる。トミーは研究者で、腫瘍を抱えた妻のイジーの治療法を探っている。トムは大澍と共に宇宙を漂流している。
- イザベラ / イジー(レイチェル・ワイズ)
- イザベラは中世スペインの女王で永遠の命を求めている。イジーは脳腫瘍を患っており、余命幾ばくもない。イジーはマヤ文明の死生観に影響を受けて、死を受け入れる。
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』のあらすじ【起】
トマスは祭壇の前で祈り、イザベラのことを思い浮かべる。トマスがマヤ文明のピラミッドに向かうと、目の前にマヤ族が立ちはだかる。彼らはトマスを捕らえるとピラミッドの階段まで連れて行き、上るようにけしかける。ピラミッドの上は祭壇となっており、マヤ族の僧侶がたいまつを持って襲いかかって来る。トマスはナイフで立ち向かおうとするが、逆に腹を刺されてしまう。
トムは大澍が植えられた球体の中で暮らしながら星の中を漂流していた。トムは大澍に優しく話しかけ、樹の皮を少しだけ剥いて食べる。トムの耳にイジーの声が聞こえてくる。トムの左手の薬指には指輪をかたどるように黒インクが塗られており、腕にも年輪のような輪の入れ墨が施されていた。トムは何度もイジーの幻像を見て動揺してしまう。
イジーがトミーを雪の中の散歩に誘う。しかし、トミーは忙しいからと断ってしまう。トミーは脳の腫瘍の治療薬を開発していた。トミーは中米で採取された樹皮の成分を腫瘍のある猿に注入してみる。その手術中に結婚指輪を無くしてしまう。

映画『ファウンテン 永遠につづく愛』のあらすじ【承】
トミーが自宅に帰ってくると、イジーが屋根で星を眺めていた。イジーはトミーに双眼鏡を覗かせ、死にゆく星を取り囲む星雲を見せる。星雲は金色に輝いており、マヤ族は星雲を死者が蘇る場所だと信じていたと説明する。イジーはこのことをテーマに小説を書いていた。トミーはイジーが雪の中で裸足にいることに気付く。
トミーはイジーをお風呂に入れる。そしてイジーが熱湯をあてても何も感じないことが分かり、ショックを受ける。腫瘍のためにイジーは寒暖の感覚が失われていたのだ。イジーはトミーに自分の小説を読んでほしいと渡す。そこに研究所から呼び出しの電話が掛かってくる。トミーが研究所に駆け付けると、猿が見違えるように元気になり、若返りの兆候を見せていた。しかし、腫瘍には変化が見られなかった。トミーは樹皮を使って更に実験を進めるように指示する。
再び家に戻って来たトミーはイジーの小説を手にして読み始める。ファウンテンと題された小説はスペインから幕を開ける物語だった。
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』のあらすじ【転】
イザベラは、政敵に命を狙われていた。イザベラはスペインに中世を誓うトマスを呼びつける。そして中米でマヤ文明の隠されたピラミッドの位置を示す地図を入手したことを説明する。そこには生命の木が植えられており、樹液を飲めば永遠の命が手に入るのだ。イザベラはその木を見つけてくるように命じ、その暁には結婚することを約束する。その誓いの証しとして指輪を渡す。
博物館にいたイジーは症状が悪化して突然倒れてしまう。トミーは治療法を早く見つけなければと焦り、別の猿の手術に挑戦する。病院に戻ってきたトミーにイザベラはペンをプレゼントする。そして小説の最後の章だけが書けていないので、完成させてほしいと頼む。また、かつて旅先で知り合ったマヤ人が遺体と一緒に種を植えれば、その人が木として蘇って生き続けると信じていたことを話す。翌朝、目覚めたトミーはイジーの小説の続きを読み始める。
トマスに同行していた神父は、雨が降りしきるジャングルの中にピラミッドを見つける。しかし、他の兵士達は謀反を計画し、報告に帰って来た神父を切りつける。トマスは兵士達を次々と倒す。息も絶え絶えの神父はトマスにピラミッドが見付かったことを伝える。
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』の結末・ラスト(ネタバレ)
イジーの容体が悪化し、トミーは慌てて医者を呼ぶ。そこに猿の治療が成功したとの連絡があるが、イジーは亡くなってしまう。トミーはイジーの葬儀で死すらも治療してみせることを誓う。家に戻ったトミーは、イジーの小説がトマスと僧侶が対峙するところで終わっているのに途方に暮れる。そしてペンを使って薬指に指輪の痕を彫る。
トムがいる球体は星雲の中に入り、死にゆく星に近づいていく。トムは大澍にもう少しで蘇られると話しかけるが、樹は枯れていってしまう。トムはイジーの幻覚に話しかけられ、自らの死を受け入れる覚悟をする。そして、大澍を上って死にゆく星に向かっていく。トムの全身は星に吸い込まれるようにして上昇し、大樹も光の中に消えていく。
マヤ族の僧侶はトマスが何者かを悟ると、自らの命を差し出す。トマスは神殿の奥に生命の木を発見する。トマスがその樹液を傷口に塗ると瞬く間に傷が癒えてしまった。トマスは急いで樹液を飲み、イザベラと一緒になることを願う。しかし、その直後に全身から草花が生え始め、周囲と一体化してしまう。
トミーは研究所に戻って樹皮の研究を始める。そして、イジーから受け取った木の実をイジーの墓に埋める。
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
元々はブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの主演で製作予定だったが、企画が流れてしまった曰く付きの作品。主演2人が交代して予算規模も縮小して作られたことで、小粒な良作に仕上がっている。ダーレン・アロノフスキー監督らしく難解な部分もあり、トムがトミーの未来の姿なのか、或いは別の次元の人物なのかが曖昧となっており、その解釈は観客に委ねられている。クロノス・カルテットの演奏による音楽が神秘的な雰囲気を盛り上げてくれる。(MIHOシネマ編集部)
3つの時代を舞台にした物語は一見難解だが、「愛」と「死」の本質を探る壮大な瞑想のような作品。現代、過去、未来が交錯しながらも、ひとつの魂が旅を続けていく姿に深く心を揺さぶられた。特に、妻の死を受け入れるまでの過程が丁寧に描かれていて、ラストの木の下での悟りの場面では自然と涙がこぼれた。(30代 男性)
視覚的にこれほど美しい映画にはなかなか出会えない。星空を旅する未来の描写と、17世紀の征服者の幻想的なシーンが交錯することで、時間と空間を超える愛の深さを体感できる。イズィの死を恐れるトミーの苦悩が痛いほどリアルで、その葛藤を超えて到達する「死=始まり」という悟りのメッセージに心が洗われた。(20代 女性)
難解な構成ながらも、感情面では非常に真っ直ぐに響いてくる作品。愛する人を失う恐怖と、それを受け入れることの尊さ。科学では救えない“魂の問題”に切り込むアロノフスキーの演出が冴え渡っていた。樹の命を繋ごうとする未来の自分が、実は「愛の記憶」そのものであったという展開が圧巻。(40代 男性)
夫婦の間に流れる静かで深い愛が、時代を超えて描かれるのがとてもロマンチックだった。現代の夫・トミーは妻の死を受け入れられず苦しみ続けるが、最後に彼女の願いに応える形で“永遠”を受け入れる姿に涙。視覚的な演出や音楽の美しさも相まって、まさに詩のような映画だった。(30代 女性)
この映画は、物語というより「感情」や「哲学」を視覚化した体験だった。最愛の人を救いたいという衝動と、自然の摂理としての死の受容。その狭間に揺れる人間の姿が、幻想的な映像とともに描かれ、深く共感した。ラスト、生命の循環を受け入れたトミーの姿があまりにも美しく、言葉を失った。(50代 男性)
アロノフスキー作品らしい難解さはあるが、結局はとてもシンプルな「愛の物語」。妻が残した小説に込めたメッセージを、夫がやっと受け取るまでのプロセスが切ない。過去のスペインの物語や、未来の宇宙の物語が、彼の心の旅であると分かった瞬間、すべてがつながった感動があった。(20代 男性)
映像詩とも言える美しさ。光と闇、静けさと混沌の対比が絶妙で、映像を見ているだけでも心が動く。トミーが死の恐怖を越えて、愛と一体になるラストはまさに悟りの瞬間。イズィの“木を植えて”という願いが命の循環として昇華される演出には鳥肌が立った。何度も観て味わいたい映画。(40代 女性)
最初は難しそうと思ったけど、観ていくうちに「時間」「愛」「死」って何だろうと自然と考えさせられた。妻を失いたくないという気持ちが、時空を超えて男を旅させていると感じた。ラストでそれを受け入れるシーンが、悲しさを超えて美しくて泣いた。観終わった後、心が少し優しくなれる映画。(20代 男性)
単なるSFやファンタジーではなく、魂の旅を描いた哲学映画だった。3つの時代の物語が重なり合うことで、愛する者を失った人がどう癒され、どう生き直すのかを丁寧に描いていた。木を通じた命の連続性が美しく、死の先にも「つづくもの」があるという感覚をくれる作品だった。(30代 女性)
映画『ファウンテン 永遠につづく愛』を見た人におすすめの映画5選
ツリー・オブ・ライフ
この映画を一言で表すと?
宇宙と家族の記憶をつなぐ、壮大で詩的な魂の映画体験。
どんな話?
1950年代のアメリカを舞台に、厳格な父と繊細な母、そして三兄弟の成長を描きながら、現代と宇宙のスケールを交差させて「人生の意味」と「喪失と再生」を問いかける幻想的なドラマ。
ここがおすすめ!
『ファウンテン』と同じく、時間と空間を超えて命や愛を描く映像詩。抽象的でありながら感情に訴える力が強く、人生の深い問いと向き合う静かな衝撃があります。美しい映像と音楽にも魅了されます。
メッセージ(原題:Arrival)
この映画を一言で表すと?
時間の概念を超越した母と娘の愛に涙する、知的かつ感動のSFドラマ。
どんな話?
突如地球に現れた宇宙船。言語学者ルイーズは、異星人と意思疎通する中で“言語”と“時間”の真実に近づいていく。やがて彼女は、自身の人生と愛に対する壮絶な選択を迫られる。
ここがおすすめ!
哲学的テーマと感情的なドラマを融合させた傑作。『ファウンテン』同様、時間のループや死生観が物語の核にあり、観終わった後に人生の見方が変わる感覚が得られる深い映画です。
ブレードランナー2049
この映画を一言で表すと?
人工生命に宿る“魂”を問う、未来と孤独の詩的SF。
どんな話?
人造人間=レプリカントが社会の裏側で生きる2049年。ブレードランナーの“K”は、自らの記憶とアイデンティティを巡る真実を追い求める中で、世界の“本質”に触れていくことになる。
ここがおすすめ!
視覚美と音響に包まれた哲学的SFで、存在と記憶、愛とは何かを静かに問いかける。『ファウンテン』と同じく、静謐で深遠な美しさと孤独を描いており、何度も味わいたくなる作品です。
ビフォア・サンセット
この映画を一言で表すと?
時を超えて交差する、言葉だけで心を揺さぶる極上のロマンス。
どんな話?
9年前に出会い、1日だけを共にした男女が再会し、再び限られた時間の中で語り合う。会話だけで進む物語の中に、人生、愛、後悔、希望が繊細に描かれていく。
ここがおすすめ!
『ファウンテン』のように、時間と記憶、再会と別れが美しく織り交ぜられた作品。抑制された感情がかえって強く心に残る。言葉と余白だけで愛を語れる映画を求めている人にぴったりです。
スフィア(原題:Sphere)
この映画を一言で表すと?
人の深層心理と宇宙の神秘が交錯する、思考型SFサスペンス。
どんな話?
海底で発見された謎の球体=“スフィア”に調査チームが接触すると、次々と不可解な現象が起き始める。科学的探求心と人間の恐れが暴走する中、彼らは自分たちの心の闇と向き合うことになる。
ここがおすすめ!
視覚より内面に迫るSFで、『ファウンテン』のような抽象的かつ象徴的な構成を楽しめる人にはおすすめ。愛や記憶の投影、精神世界の探求に興味がある方に刺さる作品です。
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