映画『フレンチアルプスで起きたこと』の概要:休暇でフレンチアルプスを訪れたスウェーデン人の一家。父親のある行動が原因で、家族の間には亀裂が生じ、楽しいはずの休日は重苦しいものになる。白銀の雪景色が、登場人物達の張りつめた心情の描写に一層の緊張を与える。
映画『フレンチアルプスで起きたこと』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:リューベン・オストルンド
キャスト:ヨハネス・バー・クンケ、リーサ・ローヴェン・コングスリ、クリストファー・ヒヴュ、クララ・ヴェッテルグレン etc
映画『フレンチアルプスで起きたこと』の登場人物(キャスト)
- トマス(ヨハネス・バー・クンケ)
- 一家の父親。家族からは、頼もしい父として信頼されている。仕事人間で、まとまった休みを滅多に取れない。休暇中でも鳴り続ける携帯電話を手放せない。
- エバ(リーサ・ローヴェン・コングスリ)
- 一家の母親。良妻賢母であろうと努力しており、育児や夫婦生活にフラストレーションを抱えている。
- マッツ(クリストファー・ヒヴュ)
- 一家がスキー場で出会う男性。離婚歴があり、現在は独身で、20歳近く年下の恋人ファンニと付き合っている。
- ファンニ(ファンニ・メーリウス)
- マッツの恋人。20歳。若々しい愛らしい女性で、世代の違うマッツやトマス達の心情を理解しようと努める。
- ヴェラ(クララ・ヴェッテルグレン)
- トマスとエバの娘。思春期に差し掛かり、両親に反抗的な物言いをする。
- ハリー(ヴィンセント・ヴェッテルグレン)
- トマスとエバの息子。癇癪持ちの駄々っ子で甘えん坊。
- シャルロット(カリン・マイレンベルグ)
- エバと親しくなるスウェーデン人女性。夫と子供を置いて、休暇を利用してフレンチアルプスを単身訪れている。家庭と個人を両立させており、自由に恋愛を楽しんでいる。
- ブラディ(ブラディ・コーベット)
- 休暇中のシャルロットの一時的な恋人。イタリア人。
映画『フレンチアルプスで起きたこと』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『フレンチアルプスで起きたこと』のあらすじ【起】
スウェーデン人夫婦のトマスとエバは、トマスの貴重な休暇を利用して、子供達を連れてフレンチアルプスを訪れる。
休暇一日目。一家はスキー場付きのカメラマンに写真を撮ってもらう。写真に写った一家は幸せな家族そのものである。トマスとエバは、駄々をこねるハリーに手を焼く。休暇を楽しく過ごすため、トマス達は不満を抱えながらも努めて明るく振る舞う。
ホテルのロビーで、エバは一人で休暇を楽しんでいるシャルロットに出会う。エバは、家庭から解放されて自由を満喫するシャルロットを羨ましく思う。
二日目。一家がレストランのテラスで食事を取っている最中、目の前の雪山で人工的な雪崩が発生する。想像以上に大規模な雪崩がテラスに遅いかかり、宿泊客達は一目散に逃げ出す。トマスは思わず携帯電話を掴み、家族を放り出して一人で逃げる。エバはその場で子供達を抱きしめ、雪崩から守ろうとする。
エバはトマスに不信感を募らせる。子供達は両親の険悪なムードを感じ取り、ふてくされて無口になる。夜、一家はドローンを飛ばして遊び、仲直りする。
映画『フレンチアルプスで起きたこと』のあらすじ【承】
トマスとエバは、シャーロットと恋人のブレイドと共に、夕食をとる。四人は慣れない英語で会話を交わす。エバは、トマスが雪崩を前にして逃げ出したことをシャルロット達に話す。雪崩の件について、トマスとエバは異なる見解を持っており、戸惑うシャルロット達を余所に、二人は口論になる。
子供達を寝かしつけ、トマスとエバはホテルの廊下で話し合う。エバは、トマスが家族を置いて逃げ出したと認めないことに納得がいかない。二人は雪崩が起こった状況を一つずつ確認し、事実を検証する。
三日目。エバは子供達をトマスに押し付け、一人でスキーをする。昼食時、エバはシャルロットと、家庭と個人の両立について話し合う。ストレスを抱えているエバは、シャルロットの個人主義的な考えが理解できずに非難する。
ハリーは、両親がこのまま離婚すると思い込み、エバと別れないようトマスに泣きつく。
夜、エバはリフトで出会ったマッツとファンニを夕食に招待する。子供達が眠った後、四人はワインを飲みながら歓談する。突如、エバは会話に割り込み、トマスが逃げたことを語りだす。感情的になったエバは泣き出し、せっかくの休暇中に辛い思いを一人で抱える苦しさを吐露する。
マッツは中立的な立場をとり、エバの話をふまえながらトマスを擁護する。突如、ハリーが室内でドローンを飛ばし、四人の会話は打ち切られる。
雪崩の件について、トマスは、エバが自分の考えとはあまりにもかけ離れた認識を持っていることに衝撃を受ける。トマスは、マッツとファンニに、エバが内容を誇張していると話す。エバは携帯電話に収められていた雪崩当時の映像をマッツ達に見せ、トマスが確実に逃げ出したことを証明する。
映画『フレンチアルプスで起きたこと』のあらすじ【転】
トマス達の部屋を出た後、マッツとフェンニは危険時におけるお互いの行動を予想して言い争う。二人は歳の差を引き合いに出し、徹夜で埒の明かない会話を続ける。
四日目。トマスとマッツは、スキー場の人が来ない高所へ登り、真っ白な斜面を開放感に満ちて滑走する。トマスの心情を察したマッツは、ストレス発散のために、無人の雪山に向かって叫ぶようトマスに勧める。トマスは汚い言葉を大声で叫ぶ。
休憩所で、トマスとマッツは若い女性達にモーションをかけられて喜ぶが、女性達が他の男性と勘違いしていただけだと知る。侮辱されたと思ったマッツは女性達に突っかかる。
部屋のキーを紛失したトマスは、部屋に入ろうと家族達に合図を送るが、部屋は無人のようである。エバ達を探してホテル中を駆け回った後、トマスは部屋の前まで戻り、再びエバ達の帰りを待つ。エバ達は先に部屋に戻っており、エバは何事もなかったかのようにトマスを部屋へ入れる。
疲れ切ったトマスは、電話中のエバを抱き寄せて仲直りしようとするが、エバはトマスを素っ気なく引き離す。
映画『フレンチアルプスで起きたこと』の結末・ラスト(ネタバレ)
夜、トマスはエバを廊下に呼び出し、再び話し合いの場を設ける。自己嫌悪に陥ったトマスは子供のように泣きじゃくり、エバは途方に暮れる。寝たふりをしていた子供達は、両親の会話に聞き耳を立てており、不安を感じて涙を流す。
エバはトマスを部屋に連れ戻し、落ち着かせようとする。起きてきた子供達は、トマスに抱きついて泣き出す。子供達は呆然としているエバの腕を引き寄せ、四人は抱き合いながら泣く。
五日目。悪天候の中、一家はスキー場へ出る。数歩先も見えない吹雪の中、トマス、ハリー、ヴェラ、エバの順に一列になり、四人は滑降し始める。トマス、ハリー、ヴェラは無事に下まで滑り降りるが、エバは途中で姿を消している。エバの助けを求める声を聞きつけたトマスは、子供達にその場を動かないよう言いつけた後、声のする方へ駆け出す。しばらくした後、トマスはエバを抱えて戻ってくる。
一家は荷物をまとめ、ホテルから空港へ向かうバスに乗り込む。バスにはマッツとフェンニ、シャルロットも同乗している。運転手が崖上の細い道で乱暴に運転するため、乗客達は怯えはじめる。エバは運転手に文句を言ってバスを停車させ、真っ先に降車する。
マッツはパニックになりかけた乗客達を落ち着かせる。シャルロットのみが車内に残る。全員の荷物を載せたまま、バスは乗客達を置き去りにして走り去る。
一行は山道を徒歩で下り始める。エバは歩き疲れたヴェラをマッツに任せる。一人の男性に煙草を勧められ、トマスは久しぶりに喫煙する。ハリーは、父親が喫煙する場面を初めて目にして驚く。
みんなの感想・レビュー