映画『フライド・グリーン・トマト』の概要:主婦のエヴリンは、叔母を訪ねた先の老人ホームで、一人の老女に出会う。陽気な老女は、ある二人の女性について語り出す。引き込まれたエヴリンは施設に通いだし、自身の問題とも向き合っていく。過去と現在、それぞれの女性二人の絆を描く。
映画『フライド・グリーン・トマト』の作品情報
上映時間:130分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジョン・アヴネット
キャスト:メアリー・スチュアート・マスターソン、メアリー=ルイーズ・パーカー、キャシー・ベイツ、ジェシカ・タンディ etc
映画『フライド・グリーン・トマト』の登場人物(キャスト)
- エヴリン・カウチ(ケーシー・ベイツ)
- 中年の専業主婦。息子は自立し、夫と二人暮らし。夫婦仲に関してストレスを溜め、過食気味である。既婚女性のためのセミナーに参加中。ニニーに出会い、彼女の話に引き込まれる。
- イージー・スレッドグッド(メアリー・スチュアート・マスターソン)
- 裕福なスレッドグッド家の次女。男勝りで気が強く、おてんば。男性服を着て、恋愛や結婚にはほとほと興味が無い。ルースとは親友で姉妹のような関係。
- ルース・ジェイミソン(メアリールイーズ・パーカー)
- スレッドグッド家と親交のある家の娘。イージーの兄バディとは恋仲だった。敬虔なカトリック教徒で、真面目かつ思慮深い。イージーとは正反対だが、強い絆で結ばれている。
- ニニー・スレッドグッド(ジェシカ・タンディ)
- エヴリンが老人ホームで出会った老女。82歳。スレッドグッド家のクレオに嫁ぎ、イージーは義妹である。明朗で饒舌家。昔話を通してエヴリンと親しくなる。
- エド・カウチ(ガイラード・サーライン)
- エヴリンの夫。野球好きで、仕事から帰るとテレビ前に直行する。エヴリンとの仲は新婚の頃より冷めている。ニニーと出会ってから変化していく妻を理解できない。
- ビッグ・ジョージ(スタン・ショー)
- スレッドグッド家の使用人。イージーを幼い頃から見ており、兄バディが亡くなった時からより目をかけている。無口な大男。妻のシプシーと共に、イージーとルースをサポートする。
- スモーキー・ローンサム(ティム・スコット)
- イージーとルースのカフェの客。ホームレス同然で住む家がなかったが、イージーたちから部屋を提供され居候するようになる。
- グレイディ・キルゴア(ゲイリー・バサラサ)
- イージーの悪友で、長年イージーに想いを寄せる。成長してからは保安官となり、イージーたちのカフェをよく訪れる。所帯を持った後もイージーを気にかける。
映画『フライド・グリーン・トマト』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『フライド・グリーン・トマト』のあらすじ【起】
アラバマ州。エヴリンは夫と共に、叔母に会うため老人ホームに来ていた。エヴリンだけは拒絶され、仕方がなくエヴリンはロビーで時間を潰すことにした。そこで、一人の老女に話しかけられる。ニニーという老女はお喋りで、昔話を語りだす。
スレッドグッド家はその日、長女の結婚式で大忙しだった。次女のイージーはドレスを汚して、兄の服を着て出席。家族からは問題児扱いされるが、長男のバディはイージーを誰よりも可愛がっていた。
式の後、イージーは兄と、彼の恋人ルースと共に高架上を散歩する。ルースの帽子を取りにバディは線路へ降りるが、列車に轢かれて帰らぬ人となる。大切な兄を失ったイージーは、心を閉ざすようになる。
エヴリンは無気力な日常を持て余していたが、ニニーの昔語りに興味を抱く。そして贈り物を持って、毎週彼女の元に通うようになる。目的は、イージーの物語の続きを聴くため。
イージーは家を出て各地を放浪していたが、実家に戻る。母親はイージーのため、ルースを呼び出していた。ルースはイージーと親しくなろうとするが、正反対のために衝突する。しかし、イージーはルースのため、蜂の巣から素手で蜂蜜を採る。ルースはイージーを「蜂に好かれる女」と称し、徐々に打ち解ける。けれど、夏が過ぎてルースがフランク・ベネットという男に嫁ぐと、イージーは連絡を絶つ。
映画『フライド・グリーン・トマト』のあらすじ【承】
数年後、ジョージア州。イージーはアラバマからルースに会いに行く。幸福な家庭の妻であるはずのルースは、夫から暴力を受けていた。そして子どもを身ごもるが、母の死を機に、迎えに来たイージーと共に婚家を出る。その後、ルースは男の子を産みバディ・ジュニアと名付ける。
イージーの父親が資金を出して、イージーとルースは「駅前カフェ」を開く。当時、奴隷の立場にあった黒人も客としてもてなし、世間からは非難されていた。
カフェの経営は順調だったが、ある晩KKKの奇襲に遭う。その中にはフランクが紛れており、赤子を見にイージーたちの家に侵入する。以後フランクは姿を見せなかったが、祭りの夜、イージーたちが留守の間に赤子を連れ去る。
ジョージアの保安官がカフェを訪れる。あの夜以降フランクが行方不明で、その捜索をしているという。保安官は、フランクを警戒していたイージーとビッグ・ジョージに殺害の疑いをかける。ルースもイージーを疑うが、イージーは馬鹿なことはしていないと誓った。
映画『フライド・グリーン・トマト』のあらすじ【転】
イージーとルースに影響されたエヴリンは、健康的な生活をするようになり、著しく変化していた。妻の変貌ぶりに、エドは顔をしかめるだけだった。
フランク失踪から5年後。フランクの行方は依然として不明だった。イージー宅に居候していたスモーキーも町を出ていたが、久しぶりにカフェに戻ってくる。5歳のバディ・ジュニアは、遊びの途中で列車に撥ねられてしまう。命と引き換えに片腕を失うが、元気を保った。
ある日、フランクの車が川底から引き揚げられた。イージーとビッグ・ジョージは逮捕され、この事件は法廷にまで持ち込まれる。裁判のペースは、検察側がリードしていた。しかし、牧師が「当時、イージーたちは教会の集会に出席していた」と証言し、イージーたちの無罪が証明される。裁判長は、フランクの死を事故が原因だと断定した。
疑いが晴れて間もなく、ルースがガンに冒される。病状は回復せず、ルースは息子のことをイージーに託し息を引き取る。
ニニーへの親愛を深めたエヴリンは、孤独な彼女を引き取りたいと考える。エドにそのことを話すが、強い反対を受ける。メンタルもタフになったエヴリンは屈せず、自分の意思を貫く。
映画『フライド・グリーン・トマト』の結末・ラスト(ネタバレ)
ニニーを迎えに来たエヴリンは、空の個室を見て愕然とする。職員にニニーは亡くなったのか尋ねると、自宅に帰るためホームを去ったと教えられる。エヴリンはニニーを追いかけて、「駅前カフェ」の跡地へ急ぐ。
エヴリンがニニーを見つけると、ニニーは取り壊された自宅の前で立ち尽くしていた。エヴリンは、ニニーに一緒に暮らそうと提案する。ニニーはその提案を嬉しそうに受け入れる。そして、フランクの死の真相を語りだした。
祭りの晩。留守を預かっていたシプシーは、赤子を救うためにフランクを手にかけた。事実を知ったイージーたちは、黒人への処罰が想像できたため、黙っていることにした。そして、フランクの死体は肉片に分断され、料理の材料に使われた。
エヴリンとニニーは、去り際にルースの墓を訪れる。墓には、「蜂に好かれる女」からの手紙と、蜂蜜が入った瓶が置かれていた。エヴリンは、ニニーの正体がイージーであることが判る。イージーは、エヴリンと共に新しい家へ向かった。
回想では、鉄道の廃線と共にカフェも閉店すると、人々はこの地から去って行った。現在でもカフェの建物は残り、すっかり廃れてはいるが、どれほど人々の「心の居場所」だったかを物語っていた。
映画『フライド・グリーン・トマト』の感想・評価・レビュー
ホッとする話に見せかけてなかなかシビアな物語。90年代に入ってこういう女性の人生みたいなものがよく描かれるようになった。その先駆けとなった作品だろう。古き良き時代として描かれている過去も本当はどうだったのだろうかと想像すると愉しい。黒人差別と黒人の女性差別はまた別物であることが文脈外で語られており、声高に言わなくても周知の事実だったことがうかがえる。お気楽な女性頑張ろう映画も良いがこうした根の深い作品もたまにはいい。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー