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映画『1999年の夏休み』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『1999年の夏休み』の概要:夏休みの寄宿学校。ひっそりと静まり返る学舎に、突然転入生がやって来る。彼は数か月前姿を消した少年と瓜二つだった。少年たちの清くも危険なひと夏が始まる。萩尾望都著『トーマの心臓』から着想を得、役者は皆男装した少女である。

映画『1999年の夏休み』の作品情報

1999年の夏休み

製作年:1988年
上映時間:90分
ジャンル:サスペンス、ミステリー、青春
監督:金子修介
キャスト:宮島依里、大寶智子、中野みゆき、水原里絵 etc

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映画『1999年の夏休み』の登場人物(キャスト)

悠 / 薫(演:宮島依里 / 悠の声:宮島依里 / 薫の声:高山みなみ)
本編の鍵となる少年。舞台となる寄宿学校では最上級生(3年)。悠は、夏休み直前に手紙を遺し姿をくらます。大人しく繊細な性格で和彦を恋い慕っていた。薫は、悠と酷似した転入生。悠とは対照的に強気でわんぱくな性格。
和彦(演:大寶智子 / 声:佐々木望)
3年生で寮長を務める。成績トップの優等生で皆から一目置かれている。ただ、神経質で自己否定感が強い。悠と瓜二つの薫を拒否する。
直人(演:中野みゆき / 声:村田博美)
和彦の同級生で同室の少年。面倒見の良い兄貴分で大人びている。和彦に密かに想いを寄せ、悠のことで心を痛める彼に寄り添う。薫に不信感を抱く。
則夫(演・声:水原里絵 ※現在は深津絵里)
2年生。和彦、則夫とつるみ、末っ子的立場なので子どもっぽい。上級生たちと距離を感じ、一歩置いた所から見ている。気さくな薫と親しくなる。

映画『1999年の夏休み』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『1999年の夏休み』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『1999年の夏休み』のあらすじ【起】

月夜の学寮。皆が寝静まる中、悠はある生徒への想いを手紙にしたためていた。その生徒の寮室前に手紙を置くと、悠は真夜中の森へ繰り出す。そして、物悲しい表情で湖が見下ろせる崖から身を投げた。

学校が夏休みに入ると寮生たちは実家に帰省する。帰る場所のない和彦・直人・則夫だけは学寮に留まり、単調で退屈な日々を過ごしていた。悠がいなくなって3ヶ月が経ち、自殺ではないかと噂が立つものの遺体は見つかっていない。悠から好かれていた和彦は心中穏やかではなく、軽いうつ状態にあった。直人はそんな和彦を気遣い、下級生の則夫は冷ややかな目で見ていた。

ある日、突然の訪問者があった。秋学期から3学年に転入してくる予定の少年・薫だった。薫は家庭の事情で予定より早めに寮へ移ってきた。薫を見た和彦たちは驚愕する。薫の容姿は悠と瓜二つで、生まれ変わりかと疑うほどだった。ただ薫は温和な悠とは違い、
直情的で活発な少年だった。和彦たちの間には物々しい雰囲気が流れ、特に和彦は薫に拒否的な態度を取る。薫自身は訳も知らず、寮生たちの不寛容な歓迎に腹を立てる。

薫は自分の寮室に悠がかつて使っていた部屋を選ぶ。偶然のいたずらか、部屋から音楽の好みまで悠と同じ薫に、則夫は恐怖を覚える。転入後、薫は日々の時間割に従おうともせず森へ遊びに行ってしまう。和彦は薫の奔放さに激怒し、薫を殴る。森の崖まで逃げた薫は足を滑らせるが、後を追ってきた和彦に助けられる。

映画『1999年の夏休み』のあらすじ【承】

夜半。和彦は夢で悠の幻影を見るが、それの思念に苛まれ無呼吸に陥る。焦った直人は人工呼吸で和彦の呼吸を取り戻させる。穏やかに眠る和彦に安堵し、そっと口付けを落とす。それを覗き見していた則夫は疎外感に襲われ、廊下をふらつく。まだ起きていた薫は寂しげな則夫に気付いて、自室に入れてやる。則夫は眠れず和彦たちの部屋へ行こうとしたが、二人の仲睦まじさを目にしてあてどなくさまよっていたのだった。

薫に気を許した則夫は、悠と和彦の話を聞かせる。悠は直接的なアプローチはしないが、いつも和彦に熱い視線を送っていた。和彦はそれに気付いていたのに冷たく突き放したと言う。だから則夫は、悠の死後も涼しい顔をしている和彦が理解できなかった。

則夫が眠った後、薫は共用の電話がある場所へ行く。電話の相手は離れ離れに暮らす母親。薫は母を盲目的に愛しながらも、彼女の再婚に反対していた。微笑を浮かべながら、早く大人になれば母を独占できるのに、とこぼす。このときの薫はいつもの明るさが形を潜め、どこか影を帯びていた。

受け容れられたことで則夫は薫と親しくなり、共に行動するようになる。一人、薫に顕著な嫌悪感を見せていた和彦も徐々に薫と打ち解ける。和彦は、悠と同じ容貌なのに対照的な薫に困惑しながらも強く惹かれていた。当時悠には苛立ちを覚えていたのに、薫には安らぎを感じていた。薫に惹きつけられる和彦が、直人は面白くなかった。

映画『1999年の夏休み』のあらすじ【転】

喉を潤すため食堂に降りていた直人は、薫が電話口で不審な動きをしていることに気付く。別室の電話で確認してみると、薫の発信先には誰もいないことが分かる。薫は相手のいない通話を延々していたのだった。薫の病的な表情や口調に、直人は気味悪さを覚える。

則夫は薫と仲良くしながらも、ところどころ悠と違う振る舞いにショックを隠せない。則夫は内心では、薫は悠の生まれ変わりだと信じ込んでいるのだ。当の薫は、悠に重ねられていることに耐えられなくなる。

和彦は薫と二人きりになる機会があり、心の底に溜めていた思いを吐き出す。和彦は自他否定が強く臆病で、そのために心を閉ざして生きてきた。和彦自身が自分を愛せないのに、素直に慕ってくる悠のことなど到底受け止めきれなかった。耳を傾けていた薫はそんな和彦に、殻に閉じこもらず悠をもう許してやれ、と言う。薫は段々悠に共感し、悠の気持ちが今なら解りえた。錯乱した和彦は薫に悠を見て、首を絞めかかる。薫は、悲し気に会いたくたってもう会えないんだ、と拒絶せずに諭す。それを聞いた途端、和彦は堰を切ったように泣き出す。

則夫は自室で一人、人形遊びをしていた。上級生たちを人形に見立て、自己流の相関図を組み立てる。悠を憎む和彦、和彦を好きな直人、嵐のような薫…。自分はこの輪に入れない、と則夫は切なげに認める。そして心の隅で、いつも自分に優しかったのは悠だったと思い浮かべた。

則夫は薫がいないことを不審に思うが、直人から薫の母の訃報を聞く。和彦は薫を追って列車に同乗していた。緊迫する薫たちに怯える則夫だが、直人は珍しく冷たい態度を取る。

薫の母は画家で、アトリエにはたくさんの画板が粛々と並んでいた。塞ぎこむ薫に、和彦は優しく声をかける。薫の母への深すぎる愛は悲しみとなり、いつも強気な彼を弱くしていた。和彦は、薫が母との思い出を訥々と語るのに耳を傾ける。そして自身の両親は事故で死んだことを明かした。心を寄せ合った二人は抱き合う。その晩この情景を夢に見ていた直人は、薫が不気味な笑みを浮かべるのを目の当たりにする。

映画『1999年の夏休み』の結末・ラスト(ネタバレ)

心が通じ合った薫たちは学寮に戻ってくる。しかし事態は、則夫が姿を消しており急転した。最悪の結果を心配して、薫たちは必死で則夫を捜す。則夫は岸辺の岩陰で雨をしのいでいた。その両腕には、足を骨折したうさぎが抱えられていた。全くの予想外れに、上級生たちはほっと胸を撫で下ろす。直人は、柔和になった和彦に複雑な気持ちを抱く。

則夫の提案で、夜、少年たちは湖畔で打ち上げ花火をする。束の間の楽しいひと時に、少年たちは子どもらしい笑顔を浮かべた。則夫は無邪気にはしゃぐ上級生たちを一歩離れた所から見つめる。来年の夏、和彦たちは卒業して学寮にいない。その事実が則夫にはたまらなく惜しいものだった。

薫は川辺で色褪せた紙片を拾う。それは悠が和彦に遺したラブレターだった。悠は文中で自身の恋心を透明で静かな感情だと表現していた。たとえ死んでも和彦が自分を憶えているのならこの身体は失われても構わない、と悠の深い愛がつづられていた。手紙にあった悠失踪の真相を知った薫からは、涙が溢れだす。そこに直人が現れ、実のところ薫が悠だと指摘する。直人曰く、悠の母親も画家で数年前に亡くなっている。薫の母の死は和彦に振り向いてもらうための作戦だ、と厳しく追及した。薫は表情を強張らせ逃げだす。

直人は和彦の親友で居続けながら、激しい恋愛感情を胸に秘めていた。悠が死んだ時、和彦の目には自分だけしか映らない、と直人は喜んだ。だから、薫―悠に今度こそ死ねと脅しをかける。場所は悠が身を投げた崖。そこに和彦がやってきて、薫は危機を脱する。立ち去った直人を追え、と薫は和彦を叱る。直人の恋心に気付かない和彦に薫は憤るが、和彦が突然、薫が好きだと告げる。和彦は他人に恋心を抱いたことないが、薫が和彦の心の扉を開けたことで変化した。薫は陰のある表情をして、和彦にどれくらい自分を好きか尋ねる。そして二人はどちらからともなくキスをし、「僕は悠だ」と薫は正体を明かした。

薫(悠)は和彦を許せずに名前を変えて学園に現れた。和彦はどうしたら詫びれるか聞くが、悠は一緒に死んでくれれば許すと言う。和彦は否定もせず聞き入れた。子どものまま何度も生まれ変わろう、と悠は和彦を抱きしめる。異変を察知して戻った直人に止められるが、二人は抱き合ったまま崖から飛び降りる。同じように危険予知していた則夫も、ボートを漕いで二人の救出を試みていた。結果和彦は助かるが、悠だけは湖の奥深くに沈んだ。後日、和彦たちは湖畔を訪れ今度こそ本当に逝った悠を悼む。

再び静穏の日常が戻る。一人の少年が学園の駅に降り立ち、和彦たちと対面する。彼は、容貌こそ悠や薫に酷似しているが全くの別人だった。しかし和彦のことはよく知っていて、悠のはかなさとも薫の純粋さとも違う、朗らかな笑みを浮かべていた。そうして少年たちだけの夏は過ぎて行く。

映画『1999年の夏休み』の感想・評価・レビュー

ストーリー、キャスト、キャラクター、世界観、音楽、全てにおいてすごいの一言です。『1999年の夏休み』というタイトルですが公開されたのは1988年。つまり、この作品は未来のBLを描いているんです。当時このような斬新なストーリーや、少女が美少年を演じるという設定はなかなか受け入れられなかったと思います。
しかし、2021年になった今考えると、この作品はしっかりと未来のことを捉え、受け入れていて、古さよりもむしろ新しさを教えてくれる本当に素敵な作品だなと感じました。(女性 30代)

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