この記事では、映画『ゲット・アウト』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
映画『ゲット・アウト』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2017年 |
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上映時間 | 104分 |
ジャンル | ホラー サスペンス ミステリー |
監督 | ジョーダン・ピール |
キャスト | ダニエル・カルーヤ アリソン・ウィリアムズ ブラッドリー・ウィットフォード ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ |
製作国 | アメリカ |
映画『ゲット・アウト』の登場人物(キャスト)
- クリス・ワシントン(ダニエル・カルーヤ)
- 黒人の青年。優しい白人の彼女ローズと幸せな日々を過ごしているが、ローズの実家へ行くことでクリスの人生が大きく変わる出来事に遭遇する。
- ローズ・アーミテージ(アリソン・ウィリアムズ)
- クリスの彼女。人種差別を行う人へ苦言を呈する等、正義感溢れる白人女性。クリスを実家に招待する。
- ミッシー・アーミテージ(キャサリン・キーナー)
- ローズの母親。催眠術で喫煙者であるクリスを禁煙にするなど心理療法士として相当な技量を持つ。
- ディーン・アーミテージ(ブラッドリー・ウィットフォード)
- ローズの父親であり外科医。オバマ政権を支持するなど人種差別をしないことを事あるごとにクリスへ公言する。
- ジェレミー・アーミテージ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)
- ローズの弟。家にきたクリスへ挑発的な言動で煽る等、ローズや両親とは異なった態度でクリスへ接する。
- ロッド・ウィリアムス(リル・レル・ハウリー)
- クリスの親友の黒人。陽気な性格でクリスのピンチにいち早く気づき行動する。
映画『ゲット・アウト』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『ゲット・アウト』のあらすじ【起】
黒人の青年クリスのもとへ白人の彼女ローズが訪れる。2人はローズの実家へこれから挨拶に行くことになっているが、クリスは黒人である自分を彼女の家族が受け入れてくれるか心配であった。ローズは両親に黒人男性と付き合っていることを言っていないため、若干の不安は拭えないクリスだが、2人は彼女が運転する車に乗り彼女の実家へ向かう。
ローズの実家へ着くと彼女の両親はクリスを歓迎する。ローズの家族はみな白人家族であるが、女性使用人のジョージーナや管理人ウォルターが黒人であることにクリスは少し違和感を覚えた。しかし、彼女の両親は好意的な対応をしてくれるため、あまり気に留めないよう振舞うようにした。
ローズの弟ジェレミーも交えた夕食後、眠れないクリスは煙草を吸うために外へ出る。だが、ジョージーナは鏡で自分の容姿をしきりに気にし、ウォルターは全力でクリスの方へ走ってくるなど不可解な行動をしていた。不審に思ったクリスはすぐに家の中に入ったが、ミッシーに呼び止められ催眠術で眠りについてしまう。
映画『ゲット・アウト』のあらすじ【承】
翌朝目が覚めると、クリスは煙草が吸えなくなっていた。催眠術によって強制的に禁煙体質にさせられたことを知ったクリスは、次第に周囲の環境に不信感を募らせていく。だが、ローズの両親に白人が多数出席するパーティに誘われ断れず参加することになる。
クリスはパーティに参加するが、白人参加者達が過剰に興味を持って接してくることにクリスは疲労を感じ始めた。そこへパーティ会場にローガン・キングという黒人男性客を見つけ、同じ黒人がいることへの安堵感からクリスはローガンに声をかける。同じ黒人と話すことで気持ちが落ち着くと思ったクリスだが、ローガンもジョージーナやウォルターと似た不自然さを伴っていた。
クリスはあきらかに不自然な状況であることを友人のロッドに知らせるため、ローガンをスマホのカメラで盗撮した。だが、その際フラッシュがたかれてしまい、光を浴びたローガンは突如鼻血を出し、クリスへ「出ていけ」と発し暴れるのであった。
クリスから送られたローガンの写真を見たロッドは、行方不明になっている知り合いのアンドレではないかとクリスへ言う。だが、クリスやロッドが知っていた頃のアンドレとは服装や話し方もかなり異なっていた。彼の人格に何かしらの変化を加えられたことを疑い、クリスはローズの家族やパーティの参加者に対しさらに不信感を募らせた。
映画『ゲット・アウト』のあらすじ【転】
立て続けに起こる不可解な現象に限界を迎えたクリスは、すぐに自分の家へ帰るつもりであることをローズへ告げる。ローズは自分も一緒にここから出るとクリスへ言い、2人は実家を後にすることを決める。
一方、ローズとクリスが一時的に席を外したパーティ会場では、クリスの写真が立てかけられ、パーティに参加していた白人達によってクリスに対するオークションが開催されていた。
その日の夜、クリスはローズと帰るための身支度を始めていた。だが、ローズの部屋から1つのアルバムを発見する。そこには、アーミテージ家の使用人として働いているジョージーナやウォルター、さらにローガン等多くの黒人と恋人関係を匂わせる写真が多数収められていた。
クリスは、黒人と付き合うのはクリスが初めてとローズから聞いていたが、嘘であったことに気が付く。ローズ含むアーミテージ家全員が家族ぐるみで黒人に対し何かしらの異常な行動を行っていると察知し怖くなったクリスは、その場から逃げようとする。だが、出入り口を家族に封じられ、ミッシーの催眠術にかかり眠りに落ちてしまった。
映画『ゲット・アウト』の結末・ラスト(ネタバレ)
目が覚めるとクリスは椅子に縛られており身動きが取れなくなっていた。アーミテージ家は代々黒人を捕らえ、白人の脳を黒人の体へ移植し、人格を奪い永遠に生きる手術を行っていた。パーティ会場で行っていたオークションは次の移植手術を受ける人を選定するための競売であった。
脱出するためにクリスは催眠にかかったふりをした。眠りについていると錯覚したジェレミーが拘束器具を外した瞬間、クリスは彼を鈍器で殴り、その場から脱出する。その後、手術を行うとしていた父ディーン、母ミッシーを倒し、クリスはアーミテージ家から脱出することに成功する。
異変に気が付いたローズとジョージーナ、ウォルターはクリスを追いかけてきた。ジョージーナはローズの祖母、ウォルターはローズの祖父の人格が入っていた。クリスはジョージーナを倒したが、ローズとウォルターに追い詰められてしまう。
咄嗟にクリスは、ウォルターへスマホのカメラでフラッシュをたき写真を撮ることで、一時的にウォルター本人の人格を蘇らせローズを倒すことに成功する。だが、長くは意識を保つことはできないことを悟ったウォルターは、その場で自害した。
クリスは傷だらけになっているところをロッドに救われ、その場から逃げるのであった。
映画『ゲット・アウト』の考察・解説(ネタバレ)
映画『ゲット・アウト』の結末2つの違いとは?
映画『ゲット・アウト』には、二つの異なる結末が存在します。一つは劇場公開版で使用された「ハッピーエンド」と呼ばれるもの、もう一つは監督のジョーダン・ピールが当初構想していた「オルタネイトエンディング」です。
劇場公開版の結末では、主人公クリスがローズの一家から逃げ出し、最後にローズを殺害するシーンが描かれます。クリスが車で逃走を図る直前、警察が現場に到着しますが、運転手は彼の親友ロッドでした。ロッドの助けを借り、クリスは無事にその場を脱出します。この結末は、緊迫感のあるストーリー展開の後に、観客に安堵感をもたらす「ハッピーエンド」と言えるでしょう。
一方、オルタネイトエンディングでは、警察到着の瞬間、クリスはその場で逮捕されてしまいます。彼はローズ一家を殺害した容疑者として刑務所に収監されることになるのです。友人のロッドが面会に訪れますが、クリスはすでに自分の運命を受け入れており、無力感に包まれています。この結末は、現代社会に根強く残る人種差別の問題や、警察による不当な扱いを浮き彫りにしており、物語全体に暗い印象を与えています。
この二つの結末の違いは、映画が提起する社会的テーマの捉え方に大きな影響を与えるものと言えるでしょう。
映画『ゲット・アウト』はなぜつまらないと感じるのか?
映画『ゲット・アウト』を「つまらない」と感じる理由はいくつか考えられます。まず一つには、物語の進行がゆっくりとしているため、ホラーやスリラー映画に期待されるような緊張感や衝撃的な展開が少ないと感じる人がいるかもしれません。特に前半部分では、主人公クリスが恋人の実家を訪問し、違和感を覚えながらも具体的な恐怖に直面しないため、退屈に感じる観客もいるでしょう。
また、この作品は心理的な恐怖を重視しており、残虐な描写や暴力的なシーンが少ないため、ホラー映画に期待されるようなスリルやショック効果を求める人には物足りなく感じられるかもしれません。さらに、人種差別という社会問題を題材にしたメッセージ性の高い作品であるため、そのテーマが伝わりにくかったり、考えさせられる要素が退屈に感じられたりする可能性もあります。
加えて、この映画に対する期待値の高さも一因かもしれません。『ゲット・アウト』は公開当時大きな話題を呼び、数々の賞を受賞しましたが、その評価の高さゆえに、実際に鑑賞した際に期待ほどの面白さを感じられなかったという人もいるのではないでしょうか。
映画『ゲット・アウト』でローズは最後死んだのか?
映画『ゲット・アウト』のクライマックスシーンでは、主人公クリスがローズの命運を決める重大な選択に迫られます。ローズは一方的にクリスを襲撃しようとする一方で、彼に助けを求めるかのような素振りを見せ、感情を巧みに操ります。しかし最終的に、クリスがローズの首を絞めようとした瞬間、警察の車両が現場に到着します。
この時点でクリスはローズを殺害するのを断念しますが、彼女はすでに致命的な傷を負っていました。ローズは地面に倒れ込み、クリスが立ち去るのを見届けながら、その場で息絶えたように描かれています。したがって、劇場公開版の結末において、ローズは死亡したと考えられます。
物語全体を通して、ローズはクリスを陥れ、彼の脳を支配して一家の邪悪な計画に利用しようとする重要な役割を担っていました。彼女の死は、映画の中で正義が成就する象徴的な瞬間の一つと捉えることができるでしょう。
映画『ゲット・アウト』に張り巡らされた伏線とは?
映画『ゲット・アウト』には、物語の後半で明らかになる一家の陰謀を示唆する、数多くの伏線が張り巡らされています。
その中でも最も明白な伏線の一つが、ローズの家族がクリスに投げかける奇妙な質問や態度です。例えば、ローズの父親は、オバマ大統領を支持していると何度も口にすることで、人種問題に対する偏見のなさをアピールしようとします。しかしこの過剰なまでの主張は、後に彼らが白人の優位性を前提とした立場からクリスを支配しようとしていることを暗示しているのです。
また、家に仕える黒人のメイドや庭師たちの不自然な振る舞いも伏線となっています。彼らが本来別の人物であり、体に他者の人格を移植された存在であることが後に判明します。こうした違和感のある行動は、一家が行っている脳移植実験を示唆しているのです。
他にも、ローズの母親が用いる催眠療法の技術も重要な伏線です。クリスが催眠状態に陥った際、椅子の詰め物を引き裂くことで脱出手段を見出します。この椅子の詰め物が後のクリスの脱出の鍵となる点も、巧妙に仕組まれた伏線と言えるでしょう。
映画『ゲット・アウト』にグロいシーンはあるか?
映画『ゲット・アウト』には、いくつかのグロテスクな場面が登場しますが、一般的なホラー作品と比較すると、その描写は比較的控えめだと言えます。最もグロいシーンは、映画の終盤で行われる脳移植手術の場面でしょう。クリスの体に白人の脳を移植しようとする一家の計画が明らかになる中、手術の様子が具体的に描かれます。手術台に横たわる人物の頭蓋が開かれ、露出した脳が映し出されるこのシーンは、視覚的に不快感を与えるものとなっています。
また、クリスがローズの家族と対峙し、激しい攻防戦を繰り広げるシーンでも、暴力的な描写が見られます。クリスが家族と戦い、道具を用いて彼らを殺害する場面では、血しぶきが飛び散り、残虐性が強調されています。
ただし、これらのシーンは視覚的にはグロテスクですが、映画全体としては心理的なサスペンスや不気味な雰囲気を重視しているため、他のホラー作品ほど過激な表現は控えられています。
映画『ゲット・アウト』の映画に出てきた日本人とは?
映画『ゲット・アウト』には、ある場面で日本人のキャラクターが登場します。それは、物語の途中で開催されるオークションのシーンで、主人公クリスを含む黒人男性たちが、白人のエリート層によって品定めされる場面のことです。日本人キャラクターは、このオークションに参加する人物の一人として、短い場面ながらその姿が確認できます。
この日本人キャラクターは、物語の展開に大きな影響を与えるわけではありませんが、その存在は「人種の壁を超越した白人優位の階級社会」を象徴しています。彼もまた、他の白人参加者たちと同様に、クリスの肉体を商品として扱い、脳の移植を企む陰謀に加担しているのです。つまり、アジア人でありながら、支配階級の一員として描かれているのです。
このシーンは、アメリカの白人社会だけでなく、世界中のエリート層が人種差別に加担している状況を示唆しています。したがって、日本人キャラクターは単なる脇役ではなく、映画のテーマを補強する重要な存在として登場していると言えるでしょう。
映画『ゲット・アウト』はホラー苦手な人でも見れる作品か?
映画『ゲット・アウト』は、典型的なホラー作品とは一線を画しており、びっくり演出やグロテスクな描写が比較的少ないため、ホラーが苦手な人でも鑑賞しやすい作品だと言えます。この映画の特徴は、心理的なサスペンスと不気味な雰囲気の構築に重点を置いている点です。恐怖を感じさせる要素は確かにありますが、過激な視覚的表現は控えめであり、ホラー映画の中では穏やかな部類に入ります。
この作品で恐怖心を煽るのは、主人公クリスが恋人ローズの家族に対して抱く不安感や、彼の周りで起こる不可解な出来事です。物語が進行するにつれ、観客はクリスが恐ろしい陰謀に巻き込まれていることを察するのですが、その恐怖は直接的なモンスターやグロテスクな描写に依存するのではなく、社会的な不安感や緊張感によって生み出されています。
したがって、あまりにも怖いホラー映画が苦手な人にとっては、『ゲット・アウト』は社会問題を題材にしたサスペンス作品として楽しむことができるでしょう。逆に、ホラー要素を期待する観客には物足りなく感じられるかもしれませんが、緊迫感溢れるストーリー展開が魅力的な作品となっています。
映画『ゲット・アウト』は、どのあたりが怖いのか?
映画『ゲット・アウト』の怖さは、直接的なホラー描写よりも、心理的な不安感や社会問題に根ざした部分に由来しています。特に、主人公クリスが恋人ローズの実家を訪れた際に感じる違和感や不安が、観客に恐怖心を抱かせます。ローズの家族は表向きには親しみやすい態度を取りますが、その裏に潜む邪悪な意図が徐々に明らかになっていく過程で、観客は緊張感に包まれるのです。
さらに、クリスが家族に取り囲まれ、次第に自分が操られていることに気づいていく様子も、恐怖心を煽ります。特に、ローズの母親による催眠術でクリスの自由が奪われ、「サンクプレイス」と呼ばれる意識の深い場所に閉じ込められてしまうシーンは、観客に強い不安感を与えます。この場面では、物理的な拘束ではなく、精神的な束縛が描かれており、一般的なホラー作品とは異なる種類の恐怖が演出されています。
加えて、一家が実際に黒人の肉体を利用して自分たちの意識を移植するという陰謀が明らかになると、恐怖心はさらに増幅します。人種差別の問題を根底に据えつつ、エリート層による支配の恐ろしさが浮き彫りになっており、これが映画全体の怖さを際立たせているのです。
映画『ゲット・アウト』のタイトルの意味とは?
映画『ゲット・アウト』のタイトル「GET OUT」には、「逃げ出せ」という直接的な意味だけでなく、作品のテーマを象徴する重要なメッセージが込められています。主人公クリスは、恋人ローズの一家が関わる恐るべき陰謀を知り、その状況から必死に脱出しなければならないのです。
物語の中で特に印象に残るシーンとして、黒人の庭師がクリスに「ゲット・アウト(逃げ出せ)」と忠告する場面があります。この言葉は、その場から立ち去れという字義通りの意味を超えて、クリスが直面する危険な状況や、彼を支配しようとする勢力から逃れるための象徴的なメッセージとなっています。クリスはローズの一家が自分の肉体と精神を支配しようと企んでいることを悟り、自らの意志を取り戻すために、必死の脱出を図るのです。
さらに、この映画が全体としてアメリカ社会における人種差別や階級格差の問題を扱っていることを考えると、「ゲット・アウト」というタイトルは、そうした不平等な状況からの解放をも意味していると解釈できます。つまり、この作品は単なる一個人の危機脱出の物語にとどまらず、より深遠な社会的メッセージを内包しているのです。
クリスの経験は、人種差別という不条理な現実に直面した時、それに抗い、自らの尊厳を守るために「逃げ出す」ことの重要性を示唆しています。同時に、「ゲット・アウト」というタイトルは、差別や抑圧に苦しむ全ての人々に向けた、解放へのメッセージでもあるのです。
映画『ゲット・アウト』はどこで見れる?フルで無料視聴する方法は?
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