映画『技術者たち』の概要:金庫破りを得意とした主人公はやり手の泥棒。相棒と2人で仕事をしていたが、最後の仕事としてある人物を陥れ、大金を手に入れるための大仕事を計画する。実に用意周到に計画され、アクシデントをも想定した壮大な計画に誰もが騙される。
映画『技術者たち』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:アクション
監督:キム・ホンソン
キャスト:キム・ウビン、イ・ヒョヌ、コ・チャンソク、キム・ヨンチョル etc
映画『技術者たち』の登場人物(キャスト)
- ジヒョク(キム・ウビン)
- 賢く口が上手く、金庫破りの才を持ち全般的に器用。高身長で31歳の青年。人の下に入ることを嫌っており、やり手で前科なし。常に冷静さを保ち用意周到。
- ジョンベ(イ・ヒョヌ)
- ハッカーで25歳の青年。よく裏切るとのことで業界での評判は悪いが、腕は良い。甘い顔立ちで少年のような無邪気さが残る。実はとても忠実。
- グイン(コ・チャンソク)
- ジヒョクの相棒42歳。顔が広く印刷や製造、工学に長けている。小太りだが、根はいい奴で情も深くユニーク。
- チョ社長(キム・ヨンチョル)
- 中華街の社長で、現在は別の場所で事業を行っている。実はマフィアで有能な部下を持ち冷酷無比。政界へ進出しようとしているが、失敗したため、腹いせに裏金を盗もうとする。
- ウナ(チョ・ユニ)
- 画廊勤務。ジヒョクが先生と呼ぶ人物の娘。美しいが、気が強く商売上手。
映画『技術者たち』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『技術者たち』のあらすじ【起】
泥棒のジヒョクは工学が得意なグインとコンビを組んで仕事をしている。
彼は入念な下調べと周到な策を練りそして、時間をかけて下準備を行い実行に移す。ジヒョク常に冷静さを失わず、余裕の態度で危機的状況も擦り抜ける。故に、仕事も回を重ねる毎に高額なものになった。何しろグインも金に目がないので、いつも彼の口車に乗せられてしまうのである。
鳳凰の頭を象った遺物を盗み、それをコピーしたものを約5億ウォンでオークションに出す。その次は稼いだ金を元手に偽札作り。特殊な印刷方法を編み出した。
そして、次にジヒョクは30億ウォンにもなるダイヤを盗む計画を立てる。この仕事は2人だけではできず、腕利きのハッカーが必要だった。
グインの紹介でジョンベと面会。ジョンベは非常に腕の良いハッカーだったが、業界では裏切り者の名で知られ評判は最悪だった。だが、本人曰く裏切ったことは一度もないと言う。ジヒョクはジョンベを仲間にした。そして、計画を進めるためのアジトに潜伏開始。狙いの宝石店は中華街にある。周辺の監視カメラの設置状況や場所などを綿密に調査。
計画を遂行するにあたり、ジヒョクは同時進行で画廊に務めるウナという女性に接触。美術に関心があることを話し10億ウォンの投資話を持ち掛ける。ウナは美人で商売上手。絵画を見る目も確かだった。彼女のブルーダイヤのネックレスを査定してみないかと誘い、目的の店の貴賓室へ入ることに成功する。
そうしていよいよ、作戦決行。別の店で騒ぎを起こし警察の気を逸らしている間、目的の店へ侵入。貴賓室へ向かう。仲間達の連携により、ジヒョクは金庫を破りダイヤを手にした。彼は厳重な金庫を5分で開けてしまう才能を持っていたのだった。
映画『技術者たち』のあらすじ【承】
この仕事ぶりに宝石店の社長が目をつける。チョ社長は中華街を牛耳るマフィアのボスだった。彼は巨額な富を使い政界へ進出しようとしていたが、政界人はチョ社長を軽んじている。そこで一泡吹かせるため、奴らが貯め込んでいる裏金を奪おうと計画。計画実行には腕の立つ泥棒が必要だった。調査を開始し、その日の内にジヒョクのアジトを突き止める。
アジトにやって来たチョ社長と対峙したジヒョク。一味は捕縛され、ダイヤを盗んだ罪を問われ計画に加担するよう脅される。更に身内を盾に取られ、加担せざるを得ない状況となり断れば命はない。ジヒョクは計画の加担を了承した。
政界の裏金は輸出入品が必ず通過する、韓国最初の関門インチョン税関に隠してあった。税関の密輸摘発率や監視システムの警備体制はアジアで最高レベル。裏金は全部で1500億ウォン。チョ社長と一味は作戦会議を綿密に行った。ジヒョクが破る金庫は未だかつて誰も破ったことがない代物。税関に関する資料は全てチョ社長が用意した。
インチョン税関には保安区域がある。金はそこに隠してあった。だが、そこは最も警備が厚い。50余名の武装警備員が常駐し、2人1組で見回りが行われ異常が発生した場合、待機班が到着するまでの時間はわずか10分。金庫を破り10分以内に1500億もの金を運ぶのは不可能である。例えばそれらを全て掻い潜り、運良く金を運び出せたとしても、最終的には検問所システムに引っかかる。だが、その問題を解決する策をチョ社長はすでに持っていた。1ウォンのクーポン券と5万ウォン札をそっくりそのまま交換し、偽装しようと言うのだった。
チョ社長はジヒョクの裏切りを警戒し、密かに一味の1人であるジョンベに取引を持ちかける。大金を渡し奴らを監視する自分のスパイになれと言うのだった。
映画『技術者たち』のあらすじ【転】
ウナと会い投資金の使い道を聞いていると、ジヒョクの前に広域捜査隊の警官が現れる。警察は中華街の監視カメラから、容疑者疑惑にてジヒョクの捜査を開始したのだ。抵抗せずに任意同行へ応じたジヒョク。6時間もの拘束に耐え、証拠不十分として開放される。
自宅として居住しているホテルへ帰宅したジヒョクは、チョ社長にクーポン券と札をすり替える方法を思いついたと連絡を入れる。翌日、自分のホテルで落ち合う約束をしたが、ホテルには私服警官が張り付いており、ジヒョクを監視していた。そのことに気付いたチョ社長は秘書へ撤退を命じる。警察が来る寸前に脱出したジヒョク。だが、警察はジヒョクの部屋にある隠し部屋を発見し、狙いがインチョン税関であることが知られてしまう。
チョ社長と合流したジヒョクは税関内のコンテナ置き場に爆弾を設置し、目を逸らす方法を提案。早速、環境局を装い爆弾を設置。更に保安システムへ侵入し、エラーを出し続けてシステムの復旧を遅らせれば、わずか10分だった猶予を45分にまで延長が可能となった。
ジヒョクは金庫破りの練習も行いつつ、チョ社長を騙す案をグインと相談。しかし、その相談を密かに聞いたジョンベが、チョ社長へ知らせてしまう。税関のシステムを書き換え、金の持ち主を自分達にする計画だった。
その昔、ジヒョクに泥棒の術を教えた者がいた。彼はその人物を先生と呼び慕っていたが、ある夜にビルから転落し死亡してしまう。その時、ビルの屋上に人影を見たジヒョク。先生は誰かに殺されたのだと察した。先生には1人娘がいたが、仕事柄会えずにいた。それがウナなのである。ジヒョクは彼女に危険が迫っていることを話すも、ウナはまともに取り合おうとせずジヒョクと別れた後、チョ社長の部下に攫われてしまう。
そうして迎えた作戦決行日。それぞれが計画通り配置につき、チョ社長が爆弾の起動を行う。警備システムを切った後、システムの復旧に40分から45分。検問所を制圧し、裏金を運び出す準備が整う。金庫破りにかける時間は5分。練習では一度も成功しなかったジヒョク。誰もが息を飲んで成功を祈った。多少手間取り数分オーバーするも、開錠に成功。あとは急ピッチで金を運び出すだけである。
映画『技術者たち』の結末・ラスト(ネタバレ)
残り23分。金を2回に分けて運び出す。1回目の運び出しが成功後、警察が税関へ到着。2回目の運び出し中に保安区域へ広域捜査隊がやって来る。どうにかやり過ごし、制限時間ぎりぎりで検問所を通過した。
一先ずは成功である。あとは警察をやり過ごすだけだが、ジヒョクは囮となるために単独で行動を開始。警察は逃げるジヒョクを追いかけ、仲間達は見つからずに済んだ。
そうして、1人になったジヒョクは税関の記録書き換えのために事務所へ。裏切り計画を知っていたチョ社長も向かい、2人は対峙した。
ジヒョクが慕う先生は、かつてチョ社長の忠実な配下だった。しかし、チョ社長は依頼を断られたからと先生を殺害したのである。
銃を突き付けられたジヒョクはチョ社長に脅され、爆弾と共に爆発地点へ向かえと言われる。車に乗ったジヒョクは爆弾テロとして警察に追われ、追い詰められる。そして、彼は逃亡の果てに銃撃され、爆弾と共に海へと飛び込んだ。遺体は上がらなかった。
更に金の偽装中、ジョンベとグインが仲間割れし、激情したジョンベはグインをナイフで刺してしまう。遺体はそのままコンテナに置いて行かれた。
金はチョ社長の会社に運び込まれた。しかし、中身を確認するも全てクーポン券である。金はどこへ消えたのか。愕然としているチョ社長の携帯が鳴る。電話に出ると相手は死んだはずのジヒョクだった。まんまと大金をかすめ取られたチョ社長。しかも彼の会社に警察が突入。秘書の案内によりその場から1人で逃亡することにした。
逃亡中の社長へ電話を入れ、種明かしをするジヒョク。全ては鳳凰の遺物から始まっており、偽札作りも消えるインクを作ることが目的だった。ジョンベも裏切り者という噂を利用してわざとスパイ工作をした。グインを刺したナイフはおもちゃのナイフで、刺された演技をしていたのだ。金はすべて消えるインクでクーポン券に印刷し直されており、チョ社長は完全に騙されたのである。こうして、電話している間にも警察に扮した仲間達が金の回収を行っていた。
車で走行中のチョ社長は横から衝突され、大事故に巻き込まれる。突撃して来たのはジヒョクだった。彼はチョ社長を撃たずにウナのネックレスの返却を求め、そして逃亡。ジヒョクと仲間達は1500億ウォンもの大金を仲間で山分けした。
大仕事を遂げた満足感に浸ったジヒョク。仇も討ったし、泥棒家業からの引退を決意する。そうして、ウナに父親からだと約束の10億ウォンを渡した。
後日、アブダビ美術館の提携イベントにて、ジヒョクとウナは再会を果たすのだった。
映画『技術者たち』の感想・評価・レビュー
天才的な金庫破りの技術を持ち詐欺師でもある主人公とその仲間達が、強固なセキュリティを持つ税関に隠された大金をたった40分で盗み出すというストーリー。
犯罪者集団とは言え、タイトル通りの正に技術者たちを描いているのだが、とにかく凄い。主人公の計画には隙がなく、天才と言われるのも頷ける。スピード感もありスリルもあり、終盤で全ての種明かしをするのだが、その作業がまず地道で緻密。仲間の動きもきちんと指示できなければ、計画の遂行は難しかっただろうと思うが、集めた仲間も秀でているのでそこには間違いがない。前のめりになって見てしまった作品。(女性 40代)
「悪いこと」をしているはずなのにかっこいいな、凄いなと思ってしまう「ヒーロー」のような存在って居ますよね。
今作に登場する「天才」たち、悪いことをしているのにかっこいいんです。テクニックも圧巻で、とにかく素晴らしい作品でした。
金庫破りとハッカーの2人がとにかくイケメンです。特にハッカーのジョンベを演じたイ・ヒョヌは子犬系の可愛らしい顔でありながら、やる事は大胆で天才的な技術を持っています。
韓国映画でこういったジャンルの作品を見るのは初めてでしたが、ハラハラドキドキとても楽しめました。(女性 30代)
テンポが小気味よく、騙し騙され合いの展開が痛快なケイパー映画です。残酷な描写は殆ど無く、快適に鑑賞できます。そして、編集が巧みだと感じる場面が多かったです。登場人物が悉く天才、達人ばかりでとにかくスマートでした。泥棒、詐欺、ハッキング等、悪事というものは相当頭脳明晰でないと、土台無理なんですよね。真面目に地道に生きることが、最良の道なんだと思います。エンディングのコントも面白いです。『技術者たち』という邦題が、地味すぎる気がします。(女性 30代)
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