映画『ウォール・ストリート』の概要:1980年代のマネーゲームの狂乱ぶりを描いた、『ウォール街』の続編。8年の刑期を終え、出所してきた伝説の投資家と、若く有能なトレーダーとの駆け引きを通じ、マネー業界の光と闇を再び描き出す。監督は前作と同じくオリヴァー・ストーン。
映画『ウォール・ストリート』の作品情報
上映時間:133分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:オリヴァー・ストーン
キャスト:マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ、ジョシュ・ブローリン、キャリー・マリガン etc
映画『ウォール・ストリート』の登場人物(キャスト)
- ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)
- ウォール街の伝説ともなっているカリスマ投資家。1980年代に株式と不動産の天才的な取り引きで財をなすが、インサイダー取引などで8年服役し、出所してくる。娘の婚約者であるジェイコブの復讐劇に加担する一方で、ある野望を実行しようとしていた。
- ジェイコブ・ムーア(シャイア・ラブーフ)
- 投資銀行ゼイベル社で働く有能なトレーダー。自分の会社を潰し、投資の師である社長のルイスを死に追いやったブレトンへの復讐を企てる。ゴードンの娘ウィニーと結婚の約束をするが、父を恨むウィニーに内緒でゴードンに近付く。
- ブレトン・ジェームズ(ジョシュ・ブローリン)
- 投資銀行チャーチル・シュワルツ(C・S)の経営者。かつて自社の危機に救いの手を差し伸べなかったゼイベル社のルイスに恨みを抱いており、ゼイベル社を経営破綻に追い込む。ジェイコブの才能を評価し、彼が自分に恨みを抱いていると知りながら、自社に採用する。
- ウィニー・ゲッコー(キャリー・マリガン)
- ゴードンの娘で、インターネットのニュース投稿サイトを運営している。家族を不幸に陥れた父を憎んでおり、ジェイコブのプロポーズを受け入れたものの、ジェイコブがゴードンの協力を得ていることを知ることに怒り、彼の元を去る。
- ジュリー・スタインハルト(イーライ・ウォラック)
- 米国連邦準備制度理事会(FRB)のご意見番でもあるウォール街の重鎮。ブレトンの会社の相談役的存在だが、ブレトンがゼイベルの経営破綻に関与していたことを知ると彼の元を去り、ゴードンと手を組む。鳥の物まねが得意。
- シルヴィア・ムーア(スーザン・サランドン)
- ジェイコブの母。看護師の仕事を辞めて不動産仲介業を手がけている。しかし、不動産価格の下落とサブプライムローン問題の影響で事業が難航し、息子にたびたび金の無心に来る。
- ルイス・ゼイベル(フランク・ランジェラ)
- 投資銀ゼイベル社の経営者。通称「ルウ」。ジェイコブが14歳のとき彼と出会い、その才能を見抜いて成人した彼を採用。投資のノウハウを授ける。しかし、ブレトンのたくらみで会社を倒産に追い込まれ、FRBからの救済の道も断たれて行き場を失い、自殺する。
- マスターズ博士(オースティン・ペンドルトン)
- 水素融合(フュージョン)エネルギー開発を手がける科学者。ジェイコブの支援で開発を進めるが、ジェイコブの会社の経営破綻で開発が頓挫する。ジェイコブの支援なしには開発が進められないため、たびたび彼に救いを求めて連絡してくる。
- バド・フォックス(チャーリー・シーン)
- 1980年代、一介の証券会社の社員だったが、ゴードンの力で大きな成功を収める。しかし、ゴードンの野望から父の会社を救うため、ゴードンを裏切り、自らもインサイダー取引で逮捕される。それから二十数年後、チャリティー・パーティーで偶然ゴードンと再会する。
映画『ウォール・ストリート』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ウォール・ストリート』のあらすじ【起】
8年の刑期を終えた元カリスマ投資家、ゴードン・ゲッコーが出所してきた。刑務所から大型の携帯電話を返され、苦笑するゴードン。1980年代には最先端のテクノロジーだったものだ。出所した彼を刑務所まで迎えに来る者は誰もいなかった。
7年後、ニューヨークにある高層マンションの一室には、幸せな朝を迎えるジェイコブと、その恋人ウィニーの姿があった。テレビのトーク番組にゲスト出演していたゴードンの話を興味深げに聞くジェイコブ。しかし、ウィニーは険しい表情でテレビの電源を切った。ウィニーはゴードンの娘で、家族を不幸に陥れた父のことを今でも憎んでいた。
バイクで出勤途中のジェイコブに、マスターズ博士から電話が入る。博士は水素融合エネルギー開発を手がけており、その研究の将来性に期待するジェイコブから資金援助を受けていた。ジェイコブは博士に追加の出資を約束する。
しかし、近年の不動産価格の下落で、株式市場には不穏な空気が流れ始めていた。ジェイコブが勤める投資銀行、ゼイベル社の経営者ルイスは、経営に不安を抱える中で、ジェイコブに145万ドルという巨額のボーナスを与える。
ジェイコブはボーナスでウィニーに高額の婚約指輪を買う。さらに友人のトレーダー、ロビーに100万ドルを託し、ゼイベル社の株式を買わせた。しかしその後、同社の株価は急落。ロビーはジェイコブに株を売ることを勧めるが、ジェイコブは株価が再び上がることを信じて売り渋り、大損をする。
ゼイベル社は株価の暴落で存亡の窮地に立たされていた。ルイスはFRBに救済を依頼するが、C・S社のブレトンらに救済を拒否される。代わりにブレトンは、1株75ドルの値を付けていたゼイベル社の株式を1株3ドルで売るよう要求する。彼の目的はゼイベル社の乗っ取りだった。
FRBの救済を得られず、実質的にゼイベル社は倒産。すべてを奪われたルイスは自殺する。ルイスの死の数日前、ジェイコブは、自分に巨額のボーナスを与えたルイスにその理由を尋ねるが、ルイスは「この業界で生きるなら地獄に堕ちる。その前にあの金を役立てろ」と言い残していた。
ルイス自殺のニュースが流れる中、ジェイコブは、「時を大切にしろ」というルイスの言葉を思い出し、ウィニーにプロポーズする。ウィニーは彼の申し出を受け入れる。
映画『ウォール・ストリート』のあらすじ【承】
ジェイコブは母校の大学で開かれたゴードンの講演会に出席していた。ウィニーの父という以外、この過去の成功者に対してあまり興味を持ってはいなかったが、狂ったマネーゲームが横行するアメリカ社会を鋭く批評するゴードンの話に深く魅了される。
講演が終わり、ジェイコブは、自分がウィニーの婚約者であることを打ち明け、ゴードンに近付く。かつてウォール街に君臨したカリスマ投資家は、意外にも気さくにジェイコブの話に応じた。ゴードンは、ゼイベル社の悪評を流して空売りをしかけ、ルイスを追い込んだ黒幕がブレトンだという情報をジェイコブに告げた。
ジェイコブは、ゴードンに復讐するため、C・S社が出資する赤道ギニアのハイドラ・オフショア社が国有化されるという情報を流す。そして大口投資家に同社の株式を空売りするよう勧める。その結果、ハイドラ社の株価は下落し、C・S社は巨額の損失を被る。
数日後、不動産の仲介業を行うジェイコブの母、シルヴィアが、息子とその恋人に物件を紹介していた。不動産価格の下落で息子に金を無心する母親に、ジェイコブは20万ドルという大金を振り込む約束をする。
その帰り道、ジェイコブは思いがけずブレトンからの招待を受け、彼の屋敷を訪れる。ブレトンはハイドラ・オフショア社の株取引で大損をさせた張本人がジェイコブであると知っていた。その上で、ジェイコブの才気と度胸を買い、自分の部下になるよう誘う。ジェイコブはブレトンの破滅を目論んで彼の部下となる決意をする。
以後、ウィニーに内緒でゴードンのもとを訪れるようになったジェイコブは、ゴードンにブレトンの情報を調べさせる代わりに、ゴードンとウィニーとの関係を取り持つ、という取り引きをする。しかし、ウィニーの父に対する恨みは深く、2人を引き合わせてもなかなか関係は修復しなかった。
映画『ウォール・ストリート』のあらすじ【転】
ジェイコブは、ブレトンの元で頭角を現し始めていた。中国の大口投資家にマスターズ博士の開発事業を紹介し、出資を引き出すところまでこぎつける。ゴードンからの情報で、ブレトンが個人口座を使ってゼイベル社の空売りを仕掛けていたことも分かってきた。
そんなある日、ゴードンの頼みで、ジェイコブは彼をブレトンのチャリティー・パーティーに招く。ジェイコブもウィニーとそのパーティーに出席していた。
ゴードンはそこで、バド・フォックスと再会する。かつて自分を刑務所に追いやった人物だ。しかしゴードンは、本当に自分を陥れた張本人はブレトンだと薄々気付いていた。今ではそれなりの成功を収めて優雅な生活を送っているというバドを、ゴードンは複雑な表情で見送った。
パーティー会場で顔を合わせても父親を避けようとするウィニー。ゴードンはそんな彼女に、麻薬中毒になったウィニーの兄を救うために高利貸しから多額の借金をしたことや、家族をないがしろにしていたことを反省しているという話を打ち明ける。ゴードンの真意を聞いたウィニーは、父を許すことにした。
それから間もなく、ウォール街を未曾有のパニックが襲う。サブプライムローンの不良債権化に端を発する株式市場の暴落が始まったのだ。
一方、ブレトンは、中国の投資家の出資の話をジェイコブに内緒で潰してしまう。怒ったジェイコブは、復讐半ばでありながらブレトンの元を去る。
マスターズ博士への支援も、ジェイコブへの復讐の道も絶たれたジェイコブは、ゴードンに相談する。そこでゴードンはジェイコブに、ブレトンの秘密を曝露する。それは、ブレトンが個人口座を使った空売りで市場を操作し、私服を肥やしていたばかりでなく、サブプライムローン問題を予見して、不良信用保険の全額支援まで政府から取り付けていたというものだ。
さらにゴードンは、ウィニーのために開設した信託預金の口座がスイスの銀行にあることを打ち明ける。額にして1億ドル。ゴードンはその金をウィニーがスイスで引き出せば、ロンダリング(洗浄)してアメリカへ送金すると約束する。
ジェイコブはウィニーを説得すると、ゴードンの指示通り、彼女とスイスへ飛び、口座の金を引き出し、ゴードンに送金する。ジェイコブはその金で、マスターズ博士の事業に出資するつもりだった。
しかし、帰国したジェイコブに博士から電話があり、金が入金されていないという。慌ててゴードンを訪ねると、彼は1億ドルを持ち逃げしており、アパートはもぬけの殻だった。
映画『ウォール・ストリート』の結末・ラスト(ネタバレ)
ウィニーは、ジェイコブにゴードンと近付かないよう、再三警告していた。しかし、ジェイコブが彼女に内緒でゴードンと会っていたことを打ち明けると、怒りとショックで彼の元を去る。そのときウィニーは妊娠していた。
一方、ゴードンはロンドンで投資銀行を始め、わずかな期間で1億ドルの資金を11億ドルに増やしていた。周囲に復活をアピールし、値上がりしそうなあらゆる投資案件を買い漁る。そんな彼の元をジェイコブが訪れ、取り引きをしたいと申し出る。
ウィニーに1億ドルを返す代わりに、ジェイコブが見せたものは、ウィニーのお腹の中にいる胎児の孫の電子映像だった。自分に孫ができるという事実に動揺するゴードンだったが、ジェイコブの申し出は却下した。ジェイコブは「かわいそうな人だ」と言い残し、ゴードンの元を去る。
金も仕事も恋人も失ったジェイコブだったが、最後の手段として、ゴードンから入手したブレトンに関する情報をまとめ、ウィニーの会社が運営するニュース・サイトで公表する。
ブレトンの卑劣なやり口は、サイトを通じてマスコミやウォール・ストリートの関係者の間にも広まり、世の批判を浴びるようになる。ブレトンに愛想を尽かした相談役のジュリーは彼の元を去り、ゴードンと手を組む。さらにブレトンには、脱税と株価操作の容疑で司法の手が及ぶことになった。
ルイスの復讐を成し遂げたジェイコブだったが、ウィニーはまだ彼を許してくれない。その2人の前にゴードンが現れ、1億ドルをマスターズ博士の研究事業の財団に出資したと告げる。そしてウィニーに謝罪すると同時に、父親として人を許すことの大切さを教えた。ゴードンの説得で、ジェイコブとウィニーは和解した。
時が過ぎ、ジェイコブとウィニーの息子ルイスが1歳になる誕生日パーティーが開かれた。ルイスは、亡くなったジェイコブの師と同じ名だ。パーティーには、再び看護師の仕事に戻ったジェイコブの母シルヴィアと、和やかな微笑みで彼女と語り合うゴードンの姿もあった。
映画『ウォール・ストリート』の感想・評価・レビュー
マネー・ゲームの一方で復讐や父娘の確執が描かれているため、どれもが中途半端な印象を受けた。ハッピーエンドで終わって良かったような気もするが、あっさり終わったような気もして、少しだけ物足りなく感じた。実際にゴードンのような父を持つと、大変だろうなと思う。こんなにお金に振り回される人生は嫌だ。個人的には、看護師の仕事に戻ったジェイコブの母シルヴィアに好感が持てた。本来は理性的な人だったのではないかと思う。(女性 30代)
この作品は1987年に上映された『ウォール街』の続編として、リリースされた作品で、この作品を見る前に前作を見るとより映画に入り込めます。
前作から引き続き、マイケル・ダグラスが出演し、変わらぬ堂々とした演技でゴードン・ゲッコーを演じています。この映画では金融関係や株のハラハラドキドキの駆け引きのみならず、家族の情を描いたヒューマンドラマも楽しめます。
お金のために様々なことをしてきた男でも、最後には家族が大切、そんな家族に対する愛と思いやりも感じさせてくれる作品です。(女性 20代)
とにかくカッコよすぎる「悪」であり伝説の投資家、ゴードン・ゲッコーをマイケル・ダグラスが演じるこの作品。1987年公開の『ウォール街』の23年ぶりの続編です。前作がものすごく面白かっただけに、自ずと期待値が上がってしまいましたが実際に見た感想としては、「前作とは別物」でした。
長い刑期を終えてニューヨークに戻ってきたゴードン・ゲッコー。彼の迫力が激減です。ものすごく丸くなってしまった伝説の投資家。時が経つというのはそういう事なのかもしれませんが、前作の彼が良すぎただけに残念な気持ちになりました。(女性 30代)
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