映画『グッドモーニングショー』の概要:朝のワイドショーのメインキャスター・澄田真吾は、立てこもり事件の犯人に現場へ来ることを要求され、銃を持った犯人と対峙する。テレビの裏側を熟知する君塚良一が監督と脚本を務めており、ワイドショーの舞台裏が、リアルに再現されている。
映画『グッドモーニングショー』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:君塚良一
キャスト:中井貴一、長澤まさみ、志田未来、池内博之 etc
映画『グッドモーニングショー』の登場人物(キャスト)
- 澄田真吾(中井貴一)
- 朝のワイドショー「グッドモーニングショー」のメインキャスター。災害現場で不謹慎な行動をとって視聴者からの非難を浴び、報道番組から外された。元女子アナの妻と大学生になる息子がいる。相手に嘘をついて欲しい時はアゴを触る。
- 西谷颯太(濱田岳)
- 以前自分が働いていたカフェに、猟銃を持って立てこもる。澄田が現場に来ることを要求する。
- 小川圭子(長澤まさみ)
- 「グッドモーニングショー」のサブキャスター。思い込みの激しい性格で、澄田に愛されていると勘違いし、番組内でそれを公表しようとする。
- 三木沙也(志田未来)
- 「グッドモーニングショー」のスポーツ担当のキャスター。澄田と災害現場に同席しており、澄田の行動にはちゃんとした理由があることを知っている。
- 石山聡(時任三郎)
- 「グッドモーニングショー」の番組プロデューサー。澄田とは同期で、ツーカーの仲。
- 黒岩哲人(松重豊)
- 立てこもり事件を仕切る警視庁特殊班の刑事。西谷の要求に応え、澄田を店内まで連れていく。
映画『グッドモーニングショー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『グッドモーニングショー』のあらすじ【起】
朝のワイドショー「グッドモーニングショー」でメインキャスターを務める澄田真吾は、毎朝午前3時に起床して、出勤の準備を始める。今朝は妻と息子がまだ起きており、何やら深刻に話をしていた。まだ大学生の息子が、“彼女に子供ができたので結婚する”と言い出したのだ。
澄田は頭を抱えつつ、タクシーで出勤する。車内で番組のサブキャスターの小川圭子から電話があり、“私たちのことを今日の番組中に発表する”と脅される。澄田と圭子の間に男女の関係はなかったが、1度だけ彼女の部屋に行ったことがあった。思い込みの激しい圭子は、澄田に愛されていると完全に勘違いしていた。
テレビ局のスタジオでは、大勢のスタッフが番組の準備を進めていた。今日のトップニュースを決める会議では、芸能担当と報道担当が対立する。プロデューサーの石山聡は、視聴率を取るために、くだらない芸能人の恋愛スクープをトップに決める。澄田も、ワイドショーとはそういうものだと割り切っていた。
石山は澄田を呼び出し、「グッドモーニングショー」が打ち切りになることを告げる。次の番組で澄田の続投はなく、澄田はメイン番組を失うことになる。
澄田は番組のスタッフから、ある事件の現場リポートを頼まれるが、それを断る。以前報道番組のキャスターをしていた澄田は、豪雨による土砂災害の現場で、笑いながら顔に泥を塗りつけているところを放送され、視聴者から非難を浴びて番組を降板になっていた。その出来事は、澄田のトラウマになっていた。
本番直前、品川区のカフェで立てこもり事件が発生したとの一報が入る。スタッフはすぐ事件の情報収集を開始し、カメラマンは現場へ走る。そして番組も、このニュースから始まることになる。
映画『グッドモーニングショー』のあらすじ【承】
本番が始まり、番組は立てこもり事件の概要を伝える。犯人は、午前6時過ぎに猟銃を持って店内に立てこもり、店員と10名ほどの客を人質にしていた。
石山は、警視庁特殊班の黒岩から連絡を受ける。立てこもり犯がキャスターの澄田を要求しているらしい。石山は澄田にそれを説明し、現場へ向かって欲しいと伝える。しかし澄田は、現場へ行くのをためらう。
澄田は一旦その話を断るが、圭子が本気で自分たちのことを公表しかけたので、それを阻止するために“中継に出るためスタジオを離れます”と言ってしまう。引くに引けなくなった澄田は、立てこもり事件の現場へ向かう。番組では、犯人の要求が澄田だということが発表され、視聴者からすごい反応がある。視聴率の低迷に悩んでいた石山は、この独占スクープに番組の起死回生をかけていた。
現場に到着した澄田は、マイクを持ってカメラの前に立つ。他局のカメラも、澄田の姿を映し出す。澄田は覚悟を決めてリポートを始める。
黒岩は澄田を呼び出し、警察だけが知っている犯人の情報を伝える。犯人は28歳の西谷颯太という男だった。それを盗み聞したカメラマンは、その情報をスタジオに伝える。番組では、これを独占スクープとして発表し、スタッフは西谷の情報を収集する。このカフェでは2年前に火事があり、その時のニュース映像も番組内で流される。
西谷と連絡が取れなくなり、黒岩は澄田と店内へ入ることにする。西谷は爆弾も持ち込んでいるらしく、澄田は物々しい防護服とヘルメットを着用することになる。カメラマンは、防護服とヘルメットに極秘で小型カメラを仕掛け、スクープ映像を狙う。澄田はマイクを握りしめ、カフェに近づいていく。黒岩からは、“犯人を否定しない、信用しない、約束しない”という3つの約束を守るよう指示される。
小型カメラの映像は、緊迫感に満ちていた。番組スタッフも、固唾を飲んでその映像を見守る。澄田はリポートを始め、黒岩に注意される。警察からテレビ局に中継をやめるよう抗議の電話が入るが、石山は中継の続行を決める。結局は警察の用意した小型カメラの調子が悪くなり、澄田が装着した小型カメラの映像を流すことが許可される。
映画『グッドモーニングショー』のあらすじ【転】
黒岩と澄田が店内に入ってすぐ、老人と妊婦が解放される。西谷に顔を見せるよう要求され、澄田のヘルメットが外される。澄田は西谷に見覚えがなく、自分が呼ばれた理由が全くわからない。
西谷は澄田に、カメラの前で視聴者に向かって謝罪するよう要求する。くだらないことばかり放送しているくせに、いつも偉そうなコメントをしているのが許せないらしい。澄田は納得いかなかったが、黒岩にも従うよう言われ、店の外へ出てカメラの前に立つ。
澄田は謝罪する前に、自分やスタッフがどんな気持ちで番組を作っているのかを語り始める。西谷は苛立ち、早く土下座して謝罪しろと騒ぎ出す。澄田はプライドを捨て、その場に土下座する。
その時、スタジオと繋がっている澄田の音声モニターから、西谷がこのカフェで働いていたという情報が入る。澄田は店内に戻り、西谷と2年前の火事との関係を追求し始める。そして、自分や番組への文句は単なる言いがかりで、この事件を起こした本当の理由は別にあるのだろうと西谷に迫る。
西谷が興奮し始めたので、黒岩は澄田のマイクを奪う。しかし、防護服にセットされた小型カメラにはマイク機能がついおり、店内のやり取りはそのまま全国に放送される。
澄田は、西谷が社会への不満からこんな事件を起こしたのだろうと推測し、この場でその不満をぶちまけるよう促す。澄田に説得され、西谷も迷い始めるが、その隙に店員が逃げ出してしまい、西谷は激昂する。西谷は、時限爆弾のタイマーを番組終了間際の8時59分にセットし、スイッチをいれる。
西谷は澄田に反撃を開始し、あの災害現場でのリポートのことを持ち出す。すると、スタジオにいたスポーツ担当キャスターの三木沙也が、澄田がなぜあんな行動をとったのかを説明し始める。あの日澄田は、被災した男の子に声をかけ、彼と同じように顔を泥だらけにして、彼を元気づけようとしていた。それがタイミング悪く全国に放送されてしまい、ふざけているように見えてしまった。しかし澄田はその子を巻き込むことを嫌がり、一切の弁解をしていなかったのだ。
映画『グッドモーニングショー』の結末・ラスト(ネタバレ)
西谷は、2年前の火事の原因が、店長のタバコの不始末だったことを暴露する。しかし店長は立場の弱い西谷に責任をなすりつけ、そのせいで西谷は店をクビになっていた。澄田は、火事のことを調査して、西谷の汚名を晴らすと約束する。これで西谷は納得するだろうと思われたが、彼はいきなり銃をぶっ放す。
澄田は衝撃で倒れてしまうが、弾は当たらなかった。そして西谷はついに、澄田を呼んだ本当の理由を話し始める。
以前西谷は、圭子と一緒にテレビ局から出てきた澄田に、“これを読んでください”と声をかけ、封筒を渡そうとしたことがあった。しかし澄田は彼を無視して、圭子とタクシーに乗ってしまう。西谷は自分の存在を無視され、深く傷ついていた。
西谷はその時の封筒を今も持っており、中身をぶちまける。その中には、圭子と楽しそうに食事をしている澄田の写真が入っていた。澄田は、“彼女はそんなんじゃない”と弁解するが、スタジオの圭子は“私は愛されています”と爆弾発言をする。放送は一時中断され、映像は占いに切り替わる。
全てをぶちまけた西谷は、銃を自分の喉元に突きつけ、自殺を図ろうとする。西谷は人生に絶望し、自分みたいな人間は死んだほうがいいのだと思っていた。澄田は、“みんなは君が生きることを望んでいる”と、必死で西谷を説得する。
2人のやり取りを受けて、スタジオでは、西谷が命を捨てるべきか、取っておくべきかの視聴者アンケートを実施することになる。これは危険な賭けだったが、石山は西谷の自殺を止めるにはこれしかないと考え、アンケートの開始ボタンを押す。
しかし結果は残酷で、7割近い視聴者が西谷の死を望んでいた。モニターでその結果を聞いた澄田は、ヘルメットの小型カメラに向かって、アゴを触る仕草をする。これは澄田が嘘をついて欲しい時の合図だった。それを見た石山は投票結果を編集し、偽りの結果を放送する。スタジオでは、“多くの皆さんが命を捨てるなと言っています”と西谷に呼びかけ、スマホでそれを見た西谷は、自殺を思いとどまる。
西谷の身柄は警察に確保され、時限爆弾も処理される。人質は全員無事に救出され、澄田は現場リポートを終了する。
警察の事情聴取を終えた澄田は、テレビ局に帰ってくる。澄田も石山も、ワイドショーにはワイドショーにしかない面白さがあると感じており、石山は番組の続行を上司に頼むつもりだった。
疲れ果てて帰宅した澄田を、妻は仁王立ちで迎える。明日の番組では、澄田が圭子の一件で謝罪会見をすることになっていた。澄田は“見どころ満載だ”と呟いて、妻と笑い合う。妻は、圭子は澄田の好みではないことを見抜いていた。
映画『グッドモーニングショー』の感想・評価・レビュー
朝の情報番組のメインキャスターを務める澄田は、家庭では妻と息子から、職場では同僚から、それぞれ無茶な相談を持ち掛けられる。おまけにプロデューサーには番組の終了を告げられるという仕打ち。そんな中、都内で人質立てこもり事件が発生し、犯人から澄田が呼び出される。
色んな出来事が詰め込まれていて話を追うのが精一杯だったが、特に冒頭の朝の情報番組の裏側のシーンは、忙しないスタッフたちの仕事ぶりがドキュメンタリーを観ているようで面白かった。
犯人と接する際の心得「否定しない、信用しない、約束しない」という警察官の言葉も印象深かった。(女性 20代)
コメディに全力を注いだ作品で、出演俳優が豪華。それだけにもったいないなと思ってしまう作品だった。脚本が下手なわけではなく、むしろ上手なのだと思う。コメディ作品らしいテンポの速さや物語全体の起承転結はある。ただ、散りばめられた小ネタがあまりハマっておらず、綺麗な脚本だからこその違和感を感じた。主演の中井貴一があまり合っていなかったようにも感じる。
人間ドラマを絡めているが、そこがチープに感じてしまった。もっと厚みのある人間ドラマを絡めれば、この作品への評価も変わってくると思う。(男性 20代)
踊る大捜査線シリーズの脚本家・君塚良一がメガホンをとったコメディー映画。中井貴一演じる、朝の情報番組のキャスター・澄田真吾が立てこもり事件に巻き込まれるというストーリーだ。しかも、演技派俳優が揃ったおかげで、すべてのシーンの空気が完成されている。これだけ多くの登場人物がいるにもかかわらず、キャラクターの持ち味を出し切っているのは、脚本が綿密に計算されているからだろう。
次にまた澄田が事件に巻き込まれる物語を見てみたいものである。(男性 40代)
真剣にストーリーを追っていると、ふっと笑える要素が盛り込まれていて、おもしろい作品だった。ワイドショーってくだらないなと思うことも正直あるのだが、この作品を見ていると大変な仕事なんだなと思えた。そして、放送された部分によって、受け取る印象がだいぶ違うことに少し恐ろしさも感じた。澄田真吾は間抜けな男だなと思っていたのだが、子供を巻き込まないために弁解をしなかったことを知ったときは見直した。(女性 30代)
これは本当に面白かったです。評価はあまり高くありませんが、個人的にはある点が物凄く刺さりました。それは中井貴一演じる澄田の不幸さです。東日本大震災の後、ニュース番組を見ていた時にあるキャスターが、中継が自分に繋がっていることに気付かず「はあ面白い!」などと言って被災地で大笑いしているシーンが流れました。それを見た私は咄嗟に「見てはいけないものを…」と感じましたが、翌日からそのキャスターが番組に登場することはありませんでした。
そんなリアルなシーンをずっと覚えていた私は澄田の不祥事に「これは!」と食いついてしまい、そのまま最後まで楽しんでしまいました。大満足の作品です。(女性 30代)
中井貴一のあたふたする姿は、実に面白いです。また、立てこもり犯を熱演した濱田岳に、一瞬にして引き込まれました。キャストが豪華なだけでなく、ベテラン揃いですから終始安定感があります。テレビ番組舞台裏の忙しなさや、番組を制作する側の考えが垣間見える点が大変面白いです。一つのワイドショーを作るのに、何人もの人達が多大な労苦を費やしているんですね。今までそんな風に考えたことは無く、自分の至らなさを思いながら鑑賞しました。(女性 30代)
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